あらすじ
野草の匂いと陽光のみなぎる、伊豆湯ヶ島の自然のなかで幼い魂はいかに成長していったか。著者自身の少年時代を描いた自伝小説。
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しろばんば、夏草冬濤、北の海、読みました。
洪作くんと、少年時代に戻ることができます。
その年頃の少年が見える、感じる当時の情景が、美しく描かれています。
私自身の体験でも、小学生の頃、楽しかったことが中学生になるとつまらなくなったりして、中学生の頃に仲良かった友達も、卒業したらばらばらになって全然会わなくなって…ということがあります。これらの作品群には、流れていった井上靖の少年時代が詰まっています。それがまた、読者である自分のノスタルジーを呼び覚まします。
もう随分前になりますが、しろばんばシリーズが好きで、湯ヶ島へ、しろばんばの里に足を運びました。浄蓮の滝を見て、西平の湯に入って、ずいどうを通って…お墓参りをしました。
郷里を掛け替えのなく感じる気持ちは、忘れたくないと思います。
(ゲーム、ぼくのなつやすみが好きな人はおすすめの本です。)
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舞台がほぼ自分の郷里であることの贔屓目も手伝った側面はあるが、ここまで感情移入して自分の感性ですんなり受け入れることのできる小説は初めてであった。
郷愁というよりは、多くの人が幼少期に出会ったことのある心の動きがかなり正確に再現されており、そこに懐かしさを感じるといったところ。外的な出来事や環境に対して内的なものがどう応答するか、まるで子供の心がそのまま端正な文章になったようである。それでも幼年期の前編は叙事的な傾向が強く、少年期を描く後編は多分に抒情的になっていく。一人の人間の魂が形作られる過程のようである。
後編に移ると幅も奥行きも大きくなっていく洪作の世界で、おぬい婆さんは小さく老いていく。あれだけ剛毅でつっけんどんだったおぬい婆さんが衰弱し、もう洪作の庇護者たりえないことを2人が共有してしまう描写が非常に悲しい。
おぬい婆さんに対する惻隠の情を言葉にできなかった洪作が、二度と会わないであろう老人に優しく声をかけるのも象徴的。子供の大きな成長は些細で何気ないことから起こるのだろう。
以下好きな場面等
村の人間の意地の悪さや皮肉っぽさは、不快というよりはむしろ、この作品ではユーモアを担っており小気味良さを感じさせるものがある。
豊橋で迷子になった場面において、「あとへ引き返すより、まだ前へ進む方が怖さが少いような気がした」とあるが、子供の心理描写としてここまで適切なものは寡聞にして知らない。
沼津のかみきの小母さんに好きな食べ物を聞かれるところ、「よく理解できなかったので、何でもみんな嫌いにしてしまおうと思っていた」とあり、子供の頃ってこんな感じだったなと強く懐かしさを抱いた。
湯ヶ島から大仁が4時間は (長すぎて) 驚かされるが、下田までも4時間で行けるのは意外。下田行きの描写は、量的にも物語的にも比重はそれほどないように思うが、丘の上から入江を眺める2人の構図が快い。
村を去るとき、最も親しい幸夫が遠くから笑いかけるだけというのもいい。
最後に遠く離れていく天城が、読者にも湯ヶ島との別れを感じさせる。
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本書は伊豆湯ヶ島を舞台に、小学生時代を過ごす洪作が主人公の小説です。井上靖自身がモデルの自伝的小説ですが、全編を通じて何とも言えない良い味を出しています。山奥の小さな村で登場人物も極めて限られている、しかし洪作をとりまく家族環境はとても複雑で、洪作の両親は豊橋に住んでおり、両親よりも曾祖父の妾であったおぬい婆さんに育てられています。
洪作の心の機微がとても細かく描写されていて、そういえば自分も小学生の頃同じような感情を持ったなあと思い返すこともありました。そして洪作の心の成長もとても細かく表現されています。田舎の村ですからたいした事件もなく、全編を通じてのどかな中に哀愁が立ちこめた伊豆の情景が記述されていて、静かな感動を覚えます。本書を読み終えて、小津安二郎監督の映画「東京物語」を見たときの感動を思い出しました。大きなクライマックスはないけれども、全編を通じて静かなる感動を引き起こす作品であり、極めて日本的名作ではないかと思いました。その意味では「東京物語」を見て感動する外国人の方はいらっしゃいますが、「しろばんば」の良さが分かる外国人はいるのだろうか?とふと興味がわいたりしました。続編も読みます。
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私は小学生の一時期を山奥の小さな学校で過ごした。山に登り、川の淵を泳ぎ、田畑を走り、木の実を採り、暗くなるまで遊び惚けた頃がこの小説によって蘇った。まだ己が何者かもわからない時代、ゆっくりと世界が広がってゆく時代、四季の循環がとても永く感じられる時代である。洪作少年を通じて忘れていた郷愁に没入できる楽しさを教えてくれる名作である。文章も美しい。続編となる「夏草冬濤」も読みたい。
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日常がたんたんと綴られている
洪作とおぬい婆のやりとりが、昔の日本の日常 という感じで心地よい
強気な婆さんも、亡くなる数年前には人格が丸くなっていく
人間とは という感じで読んでいて凄く心地が良かった
昔から長く愛され続ける本って、言葉が分かりやすくて変なトリックがなくて人間味が溢れている
素敵だなと思った
豊橋の黄色いぜリィ食べてみたい
今度買おう。
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教科書で読んだ名作。
文豪の時点的作品。幼少時代、軍医の父の赴任先でなく一人父の故郷、伊豆は下田街道沿いの湯ヶ島で曽祖父の妾のおぬい婆さんと土蔵で暮らす。
題名のしろばんばという白い虫を追いかける風景を始め、筆者の原風景と少年の成長が伊豆の景色景色と合わせて描かれる。
おぬい婆さんの死、少年は中学受験を控え故郷を離れ父母の赴任する浜松へ向かう。それは少年期の終わりでもある。
昔教科書で一部分は読んだことのある作品。おぬい婆さんに甘やかされながら少しずつ広がっていく世界、敬愛する姉のような存在の叔母の死、初恋など見事に描かれる。正に名作。
中年以降、人生の折り返し点を過ぎて読むとなおさらグッとくる作品のように思う。
さらに続編もあるので読んでみようと思う。
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井上さんの幼少期を描いたとして非常に有名な作品です。
大正時代の日常生活の様子が非常によくわかり、人と人との付き合い方が、主人公の洪作の目線、感情を通して描かれている部分が非常に興味深かったです。日常の一コマ一コマが描かれているのですが、洪作とおぬい婆さんの生活、やり取りが読み手を大正時代に引き込みます。あるいは、自分自身が幼少期だった頃の記憶へと導いていきます。
実際、自分自身も今は亡き大好きだった祖母を思い出しました。幼少期の夏休みに祖母の家で過ごしたこと、一緒に布団を並べて寝たことなど、大きな出来事ではなく、何でもない、ちょっとした祖母とのことを鮮明に思い出していました。
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伊豆湯ヶ島の豊かな自然の中で暮らす少年が、人との出会いや別れを通して成長していく物語。
淡々とした文章で当時の田舎の日常が綴られていて、派手さはないけれど、じんわりとあたたかな気持ちになれる。
子どもから大人へと成長していく過程で洪作が感じる様々な思いは、時代は違っても多くの人が共感できるのではないかと思う。
まさに少年文学の金字塔。
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好きな本として挙げる人が多いので、手に取ってみた。あらすじによると、ひと昔前の地味目なお話のようで、どうして人気があるのか不思議だったけれど、読み終えてみると、やっぱり良かった。包容力のある時代とそこに生きる人々へのノスタルジーだろうか… 色々なハプニングはあるが、全体に静かな語り口で、読みながら、穏やかな懐かしいような気持ちになる。
書き出し(夕暮れどきに、しろばんばを追いかけながら戸外で遊びまわる子どもたちの情景描写)が美しい。大正時代の田舎の暮らしに自然と引き込まれていく。
人間描写が細やかで生き生きとしていて、会話もとても自然。子どもたちがやんちゃで、好奇心いっぱいで、繊細で、とても子どもらしく描かれていて、微笑ましい。村全体で大人も子どもも一緒になって盛り上がり、噂し合い、驚き、心配し、助け合い、笑いながら毎日を送っている。とても人間くさい暮らしだ。かつては、こうした村が、日本の色々なところにあったのだろう。今は過疎化が進んでしまったけれど…
家庭環境は複雑だが、明治や大正の戸主制度の下では、結構あり得ることだったのかもしれない。血のつながりのないおぬい婆さんと洪作の強い結びつきには、胸を打たれる。
周囲の人々の老いや死、未知の世界を見つめる主人公の心のうちが、丁寧に正直に描かれている。特に印象深かったのは、ある冷たい北風が吹く日に、おぬい婆さんが洪作の学校に羽織を届けに来る場面。小柄な老婆が風にあおられながら近づいて来る姿から、洪作は今まで気づかなかった老いを強烈に感じて、眼を離すことができなかった。おぬい婆さんの洪作への深い愛情が伝わって来る感動とともに、哀感が溢れていて、とても心に残った。それ以外にも、心に残る場面は多かった。他の作品も読んでみたい。
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少年時代の自伝的小説。小学生の少年洪作が曽祖父の妾であったおぬい婆さんと共に過ごす中で様々な出来事を経験して成長していく過程を描いている。
多感な少年期の感じ方を本当に上手に表現しており、読んでいてこんな気持ちだったな、という箇所が多数あった。また、変に感動させるという意図も感じさせないところもまた良い。おぬい婆さんとのやり取りが心暖かと同時に少し切ない。少年文学の傑作と思う。
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クレマチスの丘にある井上靖文学館で観た10分ほどの映画がしろばんばと井上靖との出会いであった。600ページ弱の長編だがあっという間に読み終えた。作家の少年時代を読みやすく描いている。曾祖父の妾であるおぬい婆さんとの生活、村の子供達との触れ合い、両親や親せきの人達との関わりを通して洪作の成長していく姿、心の変化を表している。洪作の母は妹が生まれるとおぬい婆さんに洪作を預け、中学に上がるまで彼女と生活することになる。妾という存在であった彼女は本妻の家族の近くで暮らすことに肩身の狭い思いをしたと思うが、本来の負けん気で悪態をつきながらも礼儀や洪作に対する愛は本物であった。洪作は長ずるにつれ、明らかに老いてゆく彼女を見て労わる心や若くして死んだ叔母やまた最後には老いて死んでしまったおぬい婆さんを通して大切な人との死別というものを知り、また同世代の女の子への思慕など様々な経験を通して成長していく。そして村の子供達との別れがまた一層彼を成長させたことだろうと思う。ぜひ多くの人に読んでほしいと思った。
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再読
『伊豆の踊子』と同じころの天城での少年時代における自身の情感を
大人の言葉で巧みに描いた傑作
場面選びも抑制の利いた文章も素晴らしいが
いつの時代の誰もが共感できる小学生からみた世界の広がりの表現が秀逸
何度でも読み返したい名作
内容には関係ないが
馬車で湯ヶ島から大仁まで4時間(前編三章)なのに
下田まで3時間(後編二章)と表記されているのはかなり謎
まともに考えると4時間は有り得ないので低年齢故の錯誤が含まれているのか
それとも単に表記ミスか
まあ内容には関係ないんだけど
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主人公洪作とおぬい婆さんとの生活を描いた作品。大正時代。伊豆の田舎で日々起こる小事件を通じ、噂が瞬時に行き渡る様や人々のつばぜり合いなどを非常にコミカルに綴っている。
妾という立場で親族の中で懸命に生き抜くおぬい婆さん、時代の発展やそれに取り残される人々、大切な人たちとの別れなどの色々な出来事が、多感な少年期の洪作を成長させていく。だんだんと洪作の感情に種類や厚みが増していき、大人になっていくのが丁寧に描かれている。ほっこりした。
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2017.05 イタリア旅行(ジェノバとチンクエテッレ)に持参し、9年ぶり再読。
長編の名作、前半と後半の流れも主人公の成長がエピソードを通してとてもうまく表現されている。こどもに読ませたい一冊。
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名作だわ。文章がいいわ。続きが読みたいわ。
再読201510月30日、再記
やっぱり名作だわ。繊細さと無邪気さと、育ち行く感受性を
よくまぁこれだけ書き込んだと思うと、泣けてくるね。
洪作の目から描いているところがまた非常にいい。
井上靖の作品のなかではこれがダントツだと思ってる
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「自伝三部作」の第一弾。著者をモデルとした伊上洪作の小学校時代をえがいた作品です。
洪作は、両親のもとを離れて、曽祖父の妾だったおぬい婆さんのもとに預けられています。おぬい婆さんは、洪作の母である七重や、彼女の実家の「上の家」の人々に疎んじられており、彼女の愛情は洪作ひとりに注がれます。そのおぬい婆さんも、洪作が六年生のときにこの世を去ります。洪作は中学校への進学を間近にひかえており、彼の少年時代の終わりが訪れるところまでの成長が、洪作自身の視点からたどられています。
叔母のさき子の結婚と病死、親戚の「かみき」のわがままいっぱいにそだった姉妹に出会ったときの驚き、一つ年上の御料局のあき子という少女との交流などのエピソードとともに、富士山が見える湯ヶ島の山村での生活についての描写も、生き生きとしていておもしろく読みました。
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なんかしろばんばって、髪の毛真っ白なお婆ちゃんが出てくる童謡的なイメージだったけど、実は虫だった!
というのが冒頭でいきなりネタばらしされてて、もうビックリですよ。
まぁそれなりにお婆ちゃんが活躍するんだけどね。
そんなこんなで、自分の家の子どもにひたすら甘いお婆ちゃんと子どもの話、ていやあそれだけなんだけど、なんか洪ちゃの心の葛藤が妙にグッときて、男の子ってホントしょうがないわね、ってなったりならなかったり。
この婆さんの生き方は、面倒くさい田舎暮らしを乗り切るためのバイブル、になるかも。
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帰国後隔離期間中の2冊目。
私も一時期祖母と2人で1年間ほど暮らしたことがあり、その間両親と兄弟とは別々だった。
大人同士の会話は、当の大人と子どもとではその捉え方が違い、子どもの年齢に応じても違うのだろう。そこは子どもワールドで、大人には想像も及ばない。感受性、人生経験、距離感など色々影響される。大人同士の人間関係に子どもは敏感。確かに振り返ると自分もそうだったと思い出す。
大人になった今、親になった今、子どもたちがどう感じるのか、ということも考えながら発言したい、と考えた。
親や祖母がだんだん物理的に小さく見てくるのは、その通りだと思う。そこに複雑な思いが去来した。
こういう本、中学生か高校生くらいの時に読んでおきたかった。そしたらどんな大人になっただろうか。今とは違う自分だろうか。
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おそらく中学生の時に教科書か何かに一部載っていて、それが面白く購入して読んだのだと思う。
その時は三部作すべてを読んだ記憶があるが、やはりこの「しろばんば」が1番面白かった。
そこから30年以上経って久しぶりに読んでみた。
時代背景が当時感じたよりもより古くなっているのは当たり前であるが、それでも少年が少しずつ大人になっていく過程がとても面白かった。
自分が異性を異性として認識したり、世の中のことを少しずつ理解していった時もこんな感じだったのだろうかと懐かしく感じたり、今もそう成長した訳でもないなと思ったり。
Posted by ブクログ
大正時代に伊豆湯ヶ島という所で小学生時代を過ごした主人公、洪作の物語です。
学校や村で起こる小さな事件、そして狭い世界ながらも色々な人々との関わりを通じて、少しずつ成長していく様子が主に洪作の目線で描かれています。
作者の自伝的作品ということもあってか、心の動きの描写が生き生きとしていて素晴らしいです。時々自分の小学生の息子と重ねてしまい、ああ息子もこんな風に感じてるのかもなあと思いました。
いつの時代も、少年の心の動きは変わらないのですね。小説を楽しむ一方で、男児の育児書のようにも思えた一冊でした。
現在、続編の「夏草冬濤」を楽しく読んでいます。
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夕暮れに飛ぶ白い虫を追いかける情景は、
まるで自分の経験したことのように
頭に浮かぶ。
多感な少年の目を通した感覚は、
この小説が描く大正時代のみならず、
現代にも共通すると思う。
Posted by ブクログ
ふと読みたくなり、中学生以来、久しぶりに手にしました。
洪作少年の心の機微、おぬい婆さんとの土蔵での日々、美しい湯ヶ島の風景。自分が過ごした時間、場所ではないけれどどこかノスタルジーな気持ちになります。
再読して、また違う印象も受けました。これからも読み継いでいきたい本です。
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古い本読んでいると、その世代の人が何をどう考えて生きていたのかがかいまみえる。この本もそんな一冊。おぬいばあさんの行動が、祖母に見えて、祖母はこの時代の人だったのか。様々な言動は異常ではなかったのだと思った。
おぬいばあさんとの接点は年を取るごとに描写が減っていき、子供の成長期にあたり、関心事の変遷が描かれていて、スピードも心地よく素晴らしかった。
主人公の今後が気になるところ。
Posted by ブクログ
生きてるときは、何となく真面目な大作が多い作家の印象があって読んでなかった、井上靖。ひさしは好きだったが。
結構流行作家だったし、映画化もされていたから読むまでもないかと思っていたが、死後25年経っても本が刷られているのだからやはり名作なのだろうと思い、読んでみた。
意外に良かった。
二つしか年の違わない太宰治と比べるまでもなく、井上靖は作家としては天才肌ではない。だからこそ丁寧に、きちんと、誰でも読み取れるように書いている。登場人物も不可解な行動をとることはなく理解不能な性格でもない。読者の周りにも必ずいるような人ばかり。だからちゃんと読めばちゃんとかえってくる。
しかしこういう小説を上手く書くのは難しく、きちんと書くとつまらないものになりがち。大事件があるわけでもないのに最後まで読ませるのはやはり腕があったから。
日本の正統派ビルドゥングスロマン。
中学のうちに、こういう、なんでもないのに面白く、深みのある、きちんとした言葉で書かれた本を読んで欲しいなあ。
坊っちゃんの清を悪どくしたようなおぬい婆さんのキャラがいい。
Posted by ブクログ
前半がほんとにほんとに退屈で、何が名作なのかぜんぜんわからなかった。
出てくる人みんな意地悪いし、仲も悪いし、冗談も言わないし。
でも中〜終盤、特に死にまつわる話がよかった。
さき子姉ちゃんの面影や、狂ってしまった犬飼先生や、もうろくしていくおぬいばあさんの姿。
体験したことのない日常が描かれていて、素朴で情感が強かった。
映画のなかった時代の映画のように思った。
何十年も経ってから、記憶を頼りにこれだけのことが書けたのだとしたらものすごいことだと思う。
ただとりとめがないので、「子供に読ませる名作」としては全然魅力的に思わない。
Posted by ブクログ
善人すぎたり悪人すぎたりするのではなく、本音で行動する人物がたくさん登場するのである意味爽快。少年が成長していく過程に自分の子供時代と重ねてほのかな懐かしさをおぼえた。天城の田舎の描写が目の前に浮かぶようでまたよい。