井上靖のレビュー一覧

  • 氷壁

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    1955年のナイロンザイル切断事件と北鎌尾根での遭難を元に書かれた小説。魚津は登山家は冒険しないと行っていたが、落石の続く中に自ら進んで行き、、、。幸せな結末ではだめだったのか

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    2025年07月03日
  • 額田女王

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    ネタバレ

    日本史史上、誰もが知る人物であるのに謎の多い額田王の生涯を描いた著名な一作。生涯を描いたと言っても、激動の飛鳥時代を描いて、その中を生きる額田王を描いたという感じだ。少女期に宮廷に上がり、大海人の寵愛を受けて娘を産み、別れ、中大兄の寵愛を受けたというのは誰しも知るところであるが、著者が男性であるが故か額田王の感情があまりにも淡白だ。天武天皇即位以降については不明な点が多いからか数ページで終わっており、母親として最大の悲哀である十市皇女の薨去の件もほとんど流されている。前半に資料もなしに描き切ったのならば、晩年について描く方が読み応えがあった気がする。

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    2025年04月18日
  • 天平の甍

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    唐で何年もかけて学んだものを命懸けで船で運び、それも確実に届けられるかわからない中、何とか伝えられた戒律と考えると、仏教の教えは価値のあるものに思える。

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    2025年04月02日
  • 後白河院

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    後白河院の近くにいた同時代人四人が語る当時の「現代史」。
    本書の発表は1972年。
    1995年に発表された辻邦生の「西行花伝」は、本書の形式に倣ったものであることが分かる。

    四人とは平信範、建春門院中納言、吉田経房、九条兼実だ。
    平信範は、平の名前を持つが、武家平氏の清盛と違って貴族。堂上平氏と呼ばれる。鳥羽院、後白河院に仕える。
    建春門院中納言は、後白河院の妃、平滋子。
    清盛の夫人である時子の妹。
    後白河院の間に高倉天皇を産む。
    彼女の存在が、後白河院と清盛の融和を生み出していた。彼女の死によって後白河院と清盛な対立は先鋭化する。
    吉田経房は、平氏政権の実務官僚だったが、源頼朝に認められ、鎌倉と朝廷との取次役を務める。
    九条兼実は、摂関太政大臣。弟に天台座主慈圓がいる。後白河から、高倉•安徳•後鳥羽•土御門まで仕える。

    こうした政権の中枢にいた人たちの視点で、平家政権の専横•崩壊、鎌倉政権の誕生を見つめ、頼朝より「大天狗」と呼ばれた後白河院の権謀術数を描き出す。
    歴史の脇役ではあるが、転換期を経験した人たちの視点を以て歴史を語らせたことが秀逸。

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    2025年03月14日
  • 北の海(上)

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    七帝柔道記からこの本にたどり着いた。自伝的三部作の第三部にあたる本書の、前二部作であるしろばんばや夏草冬濤は未読のまま読んだ。四高、今の金沢大学の前身、での柔道づけの生活が続くのかと思っていたら、なかなか出てこず、上下巻のうち、四高での柔道描写は思いの外少なめで残念だった。しかし、少ないながら四高柔道部での仲間たちとの生活は生き生きと描かれていて最高だった。全編を通じて、あのノリだったらよかったのに、と思ったが、人生の中の一瞬でしかない青春を描く小説なのであるから、物足りないくらいが良いのかもしれない。

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    2025年02月03日
  • 敦煌

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    本作の主人公、趙行徳にしても、『天平の甍』の普照にしても、人為を超えた何物かに突き動かされて、結果的に何事かをなしている。何事か、とはここでは仏意の伝承ということになる。さすれば、仏意とは遺伝子の如きものであろうか?

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    2024年12月24日
  • 天平の甍

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    ウ~ン。どうなんだろうか? 事実と思われることを積み重ねて書かれているとも言えるが、実際はそうでもない。井上靖の文名を高らしめた作品ではあるが、那辺にその文学的価値があるのだろうか? 普照のどっちつかずのキャラクターはよく描けているとは思えなくもないが、まだ、踏み込みが甘いような気もする。

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    2024年12月22日
  • 風林火山(新潮文庫)

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    単純に面白かった。
    大河ドラマで描かれたであろうように、何ゆえに山本勘助はかくなる人物と成り得たのかが分かるともっとよかった。
    すなわち、勘助の行動の原理は由布姫への執着にあると思うが、なぜ、かくまでに勘助は由布姫に執着してのであろうか?
    また、勘助が武田家の従者となり、抵抗なり、批判なりがあったと思うが、それをいかにして、打開していったのかも気になるところだ。
    軍略についての説明がもう少しあるとなおよかった。

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    2024年12月18日
  • 敦煌

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    映画を確かに見たが、覚えているのはラストのシーンのみ。そこまでの長い物語があったのだ。この物語は事実から逆算して井上が創り出したストーリーなのか。すごい。ただ面白いというほどではないな。

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    2024年10月24日
  • わが母の記

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    井上靖本人の母親の老いに関して
    家族が経験したことを
    本人目線で淡々と綴っている。

    とはいえ、母親の面倒を見たのは
    主に女姉妹家族や妻娘であるため、
    だから、淡々と分析できているのでしょう。

    母親がどんどん子供返りしていくとか、
    家族や周りを困らせているさまは、
    なぜ?と、
    分析せずには居れないのかもしれません。
    別荘があったり、お手伝いの方がいたり、
    家族が助け合えたり、
    恵まれているとはいえ、
    大変な時間をすごされたことでしょう。
    人が亡くなるということは、
    大きなことです。
    そして、全ての人が、行く道なのです。
    状況などは違えども、
    全ての家族が通る道なのです。
    感慨深くよませてもらいました。

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    2024年09月06日
  • 楼蘭

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    中国歴史小説集かと思いきや、全12編中、中国関連は6編、インド2編、日本4編であった。インドはいいとして日本ものが光秀から現代ものまで一体どういう基準で選んでいるのか。しかも2編はすでに読んだ小説集とダブっている。
    表題作、楼蘭は、なかなか読ませるだけに、悲しい。

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    2024年06月20日
  • 風林火山(新潮文庫)

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    相当前に買ってもらった本を再読。最初に読んだのは小学生の頃で、何も覚えてないので実質初読なのだが…
    歴史小説は司馬遼太郎ばかり読んでいたのと、最近は大河小説が続いていたので、シンプルかつスッキリとした印象。ひたすら戦をするというよりはヒロインも出てくるし、恋焦がれるような?心理描写もある。短いもののコンテンツが盛りだくさんだった。

    解説は古いこともあってやや蛇足感が出てしまったか。歴史小説は素晴らしいジャンルだと思ってやまない

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    2024年06月13日
  • 敦煌

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    歴史に翻弄され、なりゆきにまかせながら生きる主人公の姿が印象的。
    ここまで自分の生き方にこだわりを持たない人はいるのだろうか。。
    シルクロードの砂漠の世界に徐々に没入できる作品。

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    2024年06月08日
  • 猟銃・闘牛

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    闘牛は実際にあった出来事をモチーフに書かれているそう。きっと恋愛パート以外は実話に近いのだろう。戦後間もないごたごたの時代の、泥臭く働く人たち。興行を成功させるには綺麗事だけでは済まないのだなと改めて思う。うさんくさい人とも付き合いながら、会社の命運を賭けて博打にも近いイベントを打ち出していく主人公。お仕事系の話が大好きなのでワクワクしながら読めた。

    猟銃は、出てくる女性たち三者三様の視点からの手紙が面白い。薔子に関しては二十歳という年齢設定の割に子供っぽい文章だなぁと感じてしまったが、当時のお嬢様はそんなものだったのかな。

    どの短編も出てくる人物が生き生きとしていて、魅力的でした。

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    2024年05月20日
  • 補陀落渡海記 井上靖短篇名作集

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    表題作を読みたくて購入。表題作以外は1作を除いて現代小説でしかも全く面白くない。
    表題作はまずまず。最も終わり方をもう少し工夫出来ないものか。それともこれは史実なのか。
    もう一つの歴史小説は磐梯山の噴火。凄まじい出来事のようだが、小説は今ひとつ。

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    2024年03月09日
  • あすなろ物語

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    あすなろ忌
    1953年の作品。
    明日は檜になろう“あすなろう。
    若い頃何かしらの感銘を受けて、いつか再読しようと持ち続けた一冊。
    親と離れて祖母と二人、小さな村の蔵で暮らしていた少年、鮎太の恋心と成長の物語。
    この少年の設定から、だいぶ本人に近いように思う。

    以下は、覚え書き
    ⚪︎深い深い雪の中で
     「しろばんば」と同時期。
     明日は檜になろうと一生懸命考えている木。
     永久に檜にはなれない。
     伊豆山の雪の中、あすなろの木の下で若い男女
     の心中事件。女は、鮎太の祖母の姪。時折、
     同居していた。男は、鮎太に勉強の必要を教え
     た大学生。この章の印象が強い。
     
    ⚪︎寒月がかかれば
     ここに出てくる少女が読んだ鮎太の歌
     寒月ガカカレバ キミヲシヌブカナ
     アシタカヤマノ フモトニ住マウ
     歌のごとく 愛鷹山のふもとに井上靖文学館が 
     建てられている。存命中に建てられ、井上靖も 
     たびたび訪れたようだ。しばらく行ってないけ 
     れど、大きくはないが、林の中の素敵な建物。
    ⚪︎張ろう水の面
     このあたりから青年。大学生となり、未亡人
     へ憧れを抱いたり。それを避けて九州へ行った
     り。
    ⚪︎春の狐火
     大学生→兵隊→新聞記者
    ⚪︎勝敗
     遊軍記者として活動
    ⚪︎星の植民地
     戦後の混乱期

     一人の男性の寂しい幼児期から真面目な少年期、反抗的な青年期、戦争、敗戦。その時代に気になる女性をそれぞれ登場させる。
    実は記憶が、、違う^ ^。
    路傍の石とか真実一路とかその辺と混じってしまっていたかも。そのうち、他のも読みます。

     

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    2024年01月29日
  • 楼蘭

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    古の桜蘭という国の状況が偲ばれ、古代人の想いも時を超えて伝わっ手きます
    他の短編も興味深く知識を広げる意味でいい本かもね

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    2024年01月18日
  • 氷壁

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    井上靖さん初読。

    「氷壁」というタイトルから「神々の山麓」のような山岳小説をイメージしていたが、内容は山以外の人間模様が中心の作品。

    二人の親友でもある登山家の一名が滑落事故で亡くなった。その死因を巡り、様々な憶測が絡み合うことで物語が進行していきます。

    終盤ハッピーエンドかと思いきや悲しい結末に。まぁ、そうなるよねと思いながら読み終えてしまいました。

    救いがない展開ですが、主人公の上司の豪放磊落でありながら、部下に語ったり、愛情を持って接するところになんとか救われた気がします。

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    2023年11月26日
  • 天平の甍

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    奈良時代の最盛期である天平。その頃、唐から高僧・鑑真を日本に連れてきた僧侶・普照の物語。鑑真の渡航は当時では非合法的だった。天平二年、七年と出航するが難破。天平七年の遭難の際には海南島まで流されてしまう。そして天平十二年に渡航に成功。時間的、距離的に想像を絶する話です。

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    2023年11月14日
  • 敦煌

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    昔の中国を舞台とした物語。

    人の生きる様をときに熱く、ときに粛々と
    描いている。

    人生において、たとえ失敗したとしても
    次の道がまた開けるものなのだろうか。

    最後は…
    この主人公は心に秘めた事を
    成し遂げようとするが成功したのか失敗したのか?!

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    2023年06月27日