井上靖のレビュー一覧

  • わが母の記
    樹木希林の映画を見て購入。学生時代にしろばんば、あすなろ物語、とんこう、天平の甍など五十年前読んだ記憶が呼びさまされる。硬派な小説だけど爽やかさが感じられる。
  • 夏草冬濤(下)
    再読
    『しろばんば』に続く中学生3年時代
    話の選び方も表現もなんとも微妙な仕上がりで
    小学生だから良かったのか
    『しろばんば』の完璧な出来栄えと比較すると何段も落ちる
    どうしてこうも落差があるのかは不思議
  • 風林火山(新潮文庫)
    昨年の大河ドラマの原作ということで、かなり時代遅れですが、今更のように読んでみました。
    井上靖氏が描く登場人物の心象風景を描く物語としては優れているように思えますが、これを歴史的人物に仮託する手法には疑問を感じました。いろいろな細部において、必ずしも歴史的事実に基づいたストーリーとも思えず、歴史小説...続きを読む
  • あすなろ物語
    明日は檜になろう物語。明日は何かになれるかな。むしろ明日は何かになろうとしているのかな。そのための行動を起こしてるんかな。というか自分のことを疑問形でしか語れなくなったら終わりやなと反省。
  • 楊貴妃伝
    少なくとも楊貴妃について最後まで悪女の描写はなかった。メインの登場人物は玄宗皇帝・高力士・安禄山、サブキャラは梅妃・楊国忠・李林甫(影は薄い)といったところか。ちょう巨大な権力からの召集に逆らえば殺される、権力者の望むままに流されるしか選択肢のない中で女性らしく自分らしい愛を見つけていった、一種のラ...続きを読む
  • 額田女王
    最近、古墳飛鳥時代にこってる。この本は中大兄皇子、大海人皇子、中臣鎌足が活躍の時代。
    遷都は大変やったやろうなぁ。大和や難波宮や大津の宮、さらに百済に戦いに行く足場に九州まで移動したり。
    この本で描かれる額田女王は魅力的。自立した女性になってる。
  • 星と祭 下
    過去に行ったヒマラヤトレッキングと重ねながら一気に読んだ。最後の描写はすごかった。下巻も涙腺が緩んだ。
    『氷壁』を読んだときは思わなかったが井上靖の綴る描写が美しく素晴らしい。他の作品も読みたくなった。
  • 星と祭 上
    ヒマラヤが舞台になるということで読み始めたが、途中まで主人公の架山と合わず進みが悪かった。けれど、十一面観音を拝む辺りから興をおぼえそこからは一気だった。十一面観音と観音に関わる描写が美しく涙腺が緩んだ。
  • 楼蘭
    『タクラマカン砂漠』という響きが好きです。

    生まれ変わるならタクラマカン砂漠に吹く風になりたいと思います。

    12編の短編 表題作の楼蘭は中央アジア、中国の西域を舞台とした古代弱小国の興亡の物語 立地的に大国の漢と匈奴の両方から支配と搾取が繰り返されるなか、細々と暮らしていかなければならない楼蘭の...続きを読む
  • 後白河院
    後半流し読み。
    なんだか平安時代の話は苦手である。
    とっつきにくいというか。
    まぁ、知識がないだけなのであろう。
  • しろばんば
    善人すぎたり悪人すぎたりするのではなく、本音で行動する人物がたくさん登場するのである意味爽快。少年が成長していく過程に自分の子供時代と重ねてほのかな懐かしさをおぼえた。天城の田舎の描写が目の前に浮かぶようでまたよい。
  • 楊貴妃伝
    玄宗皇帝の近づき、楊貴妃にしか分からない距離の感知と変化。権力の恐ろしさと儚さ。権力を維持するために、脅かすものの排除。淡々とした描写。
  • あすなろ物語
    明日は檜になりたいと願う翌檜。子供から大人になると、翌檜ですらなくなっていくのか。そう言われればそうかもなあ。この本も、鮎太が子供時代の頃が一番よかったなあ。ピナクルは、無論後半、激動の戦争時代なのだろうけど、個人的には子供時代にこそ救いがあり、良くも悪くも暗示があり、それら込み込みの翌檜なのだと思...続きを読む
  • おろしや国酔夢譚
    最初は16人いた一行のうち、最後まで生き残ったのが4人。うち2人はキリスト教に帰依し、10年の後日本に帰国したのは2人。18世紀のシベリアの過酷な自然環境や華麗なロシア文明を描いた作品です。
    小説と史書の中間、どちらかと言えば丹念に調べた史実を忠実に再現しようとしています。主人公の感情とかの描写は...続きを読む
  • 戦国無頼
    昭和33年(1958)の作品です。
    司馬遼太郎の「梟の城」が翌年発表ですが、それ以前の、むしろ昭和初期に活躍した山手樹一郎(桃太郎侍の原作者)の世界に近い様に思います。そもそも疾風之介(はやてのすけ)などという命名にも一寸時代を感じさせます。もっとも眠狂四郎もほぼ同時期ですから、まだそういったチャ...続きを読む
  • 風林火山(新潮文庫)
    風林火山なので、武田信玄の話かと思いきや、信玄に支えた軍師 山本勘助の話し。
    物語は山本勘助視点で進んでいき、勘助の信玄や由布姫への忠誠心がすごく伝わってくる。
    あと、勘助の視点から見た信玄の成長が伝わってくる。
    川中島の戦いの途中で終わっており、戦いの結末、そしてそのあと信玄の活躍ぶりを知りたく...続きを読む
  • あすなろ物語
    梶鮎太の少年期から壮年期までの成長物語。明日は檜になろうと願うあすなろの木。本物の檜は一握り。でも、鮎太はあすなろですらない。ぐだぐだの日々。
  • あすなろ物語
    明日は檜になろうと懸命に生きている人々の姿が描かれている。また、登場する女性がみなそれぞれに魅力的。
  • 風濤
     流し読み。同じ(こちらは朝鮮の歴史)中国歴史時代小説の大家、陳舜臣にも言えるんだけど、歴史資料を日本語訳で読ませるような小説って楽しめるのかな、それってあくまで資料であって小説じゃないよね。正直おもろなぃ。
  • 額田女王
    大化の改新、白村江、壬辰の乱という謎に満ちた古代史の最後を飾った、古代史に燦然と輝く歌人額田王と二人の天皇の物語。茜指す紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る、を歌い出すまでの前段の話作りは秀逸。
    井上靖の長編読む度に思うんだけど、長さ半分に出来るよね。何なら敦煌くらい短くてもいい。