井上靖のレビュー一覧

  • おろしや国酔夢譚
    読み終わった
    みなもと太郎「風雲児たち」に大黒屋光太夫の話しがあってから、ずっと読みたかった一冊。異国の地に一人でいるってことがどういうことか。留学中の身には少しばかり彼の境遇が近く感じられる。本当は全然違うんだけどね。
  • 楼蘭
    井上靖の歴史短編小説集。

    1:楼蘭
    2:洪水
    3:異域の人
    4:狼災記
    5:羅刹女国
    6:僧伽羅国縁起
    7:宦者中行説
    8:褒ジ(女以)の笑い
    【ここまでは中国西域の説話】

    9:幽鬼
    10:補陀落渡海記
    11:小磐梯
    12:北の駅路
    【ここまでは日本の説話】

    12話と盛りだくさんです。
    通勤途...続きを読む
  • 楼蘭
     オリエント情緒というかシルクロードロマンというかそういうのを感じたい時に
    ぱらっとめくって好きなとこを読んで満足する一冊です。
    ずっと手元に置いておきたい。
  • 猟銃・闘牛
    宮本輝さんが、雑誌の中で「人間同士の言うに言われん相性みたいなものを絶妙な言い方で表現していますね。…本当に名作ですよ」とおっしゃっていたので、手にとりました。本当にそのとおりでした。
  • 幼き日のこと・青春放浪
    「幼き日のこと」「青春放浪」「私の自己形成史」収録。
    「幼き日のこと」には大正時代の農村の生活が詳細にユーモラスに登場する。
    おばあちゃんの昔話を聞いているような感覚!祖母亡き今、もっとちゃんと話を聞いておけばよかったという後悔を、少し軽くしてくれる。
    実際の出来事が起こった順番を、自伝的小説「しろ...続きを読む
  • 淀どの日記
    織田信長の姪であり、浅井長政とお市の方の娘であり、豊臣秀吉の側室である淀殿(茶々)の物語。
    その強気な性格がゆえに、運命に翻弄されていく。

    様々な女性の生き様が印象的でした。
  • 楼蘭
    これは作家井上靖氏の昭和30年代中心の短篇小説集です。標題に代表されるように西域に主題をとった作品群が多く、この地域に関心の深い私には前から読みたかった作品です。小説というよりは史書のような趣きで、どこまでが創作でどこからが史実かとかわからなくなりそうなくらい、引き込まれます。日本の説話にまつわる作...続きを読む
  • 北の海(下)
    終わった〜!10代で挑戦し挫折した井上靖の自伝的三部作を読破。この下巻でも会話がイキイキしてて、特に洪作が宇田に台湾行きに関して一札とられる場面は面白すぎてニヤけてしまった。全作通し、なんて靖氏は昔をよく覚えておられるのだろう!と感嘆しながら読み終えたら、本作の解説を読んで、ガ〜ン・・・「『坊ちゃん...続きを読む
  • 夏草冬濤(下)
    洪作の下巻の“ワル”っぷりは気持ちがいい程です。洪作すなわち作家井上靖氏が文学に興味を抱き始めたきっかけが興味深い。それにしても、詩歌をたしなむ不良学生たち・・・インテリジェント
  • 夏草冬濤(上)
    『しろばんば』の続編。ちょうどこの作品の洪作と同じ年頃に、読んだ以来だと思う。複雑な家庭環境で繊細に立ち回っていた湯ヶ島時代の洪作に比べ、思春期を迎えちょっぴり”坊”の道をそれ始めた洪作に、当時はあまり魅力を感じなかった。オトナになり、今回再読して、物語の中の洪作が引き起こすあれこれを、まるで姉のよ...続きを読む
  • おろしや国酔夢譚
    時は江戸、大黒屋光太夫の漂流記。
    彼はおろしや国(ロシア)で何を見たのか?
    戦後の旧ソ連抑留者を思い起こさずにはいられません。
  • 夏草冬濤(上)
    井上靖自伝3部作の2番目。中学時代の多感な年頃が舞台。

    女性というこれまで道の生き物への接し方と刺激的な友人との出会いは、主人公を少年時代からぐっと成長させるが、オトナになりきれないココロとのギャップがまた切ない。
  • 猟銃・闘牛
    「エンタメ」の夜明け で闘牛が紹介されていたのがきっかけ。
    井上靖はあすなろ物語を昔読んだくらいだったが、少し文章は固めに感じた。

    猟銃:個人的には一部少しわざとらしくも感じた。
    闘牛:この中では一番おもしろい。
    比良のシャクナゲ:まぁまぁ。昔のエリート感。
  • 天平の甍
    なぜ今これを読もうと思ったのかわからないが、心惹かれて読む。遣唐使、鑑真、唐招提寺…教科書では数行の説明で済まされることだけど、それに載ってない人々の想いがすごいことだなーと。今と距離感の全く異なる異国の地にそもそも往来することが奇跡的なことだしそこで何かをなすことの過酷さ。第1章で脱落しそうになっ...続きを読む
  • 敦煌
    物語の舞台は1026年から30年代ごろ中国の西域
    想像もつかないくらい大きな大陸で始終多民族が侵攻して、戦って、占領して、征服して、滅ぼされて‥という中で生きるとは。
    主人公が敦煌に至り、仏教の経典に出会うまでの運命に引き込まれました。

    砂漠、どんなに広いんだろう。どんな景色なんだろう。
    敦煌、す...続きを読む
  • 敦煌
    30年振りに再読した。
    読後の印象は、記憶にあるものとは違っていた。記憶では、主人公の生き方に対して、一貫性と達成感を感じていたが、今回は、それよりも結末に至る過程におけるさまざまな選択の潔さ良さを心地良く感じた。
  • 蒼き狼
    久しぶりに読んだ井上靖。
    硬質で格調高い日本語がよかった。
    無理に空想を膨らませるのではなく、淡々と、でも見てきたことのようにチンギスカンを描き切る。
    あとがきの、この作を描くに至った経緯が見事。
  • 額田女王
    飛鳥時代の万葉歌人、2人の天皇から愛された上になんか挑戦的な歌を詠んだすごい美人、というイメージの額田王。でもこの小説では、それだけではない額田王の姿を描いている。
    2人の男性に翻弄されたり、翻弄したりする恋多き女というイメージ、あるいは、高貴な人に求められたら拒むことのできない身分制度の中の女性の...続きを読む
  • あすなろ物語
    あすなろの木はUSJのクリスマスシーズンに飾られているクリスマスツリーの木。「明日なろう」と言うのが由来とされている。理想の自分と現実の自分との対比というか描写が面白い
  • 夏草冬濤(下)
    主人公が年齢の割に世間知らずでバカ。毎日バカなことばかりしているので、安心して読める癒し系の作品に仕上がっている。
    ハードボイルド文体に近いくらい内面描写に深く立ち入らず、深刻な出来事も起きず、昔のバカなガキの日常系という感じ。すぐ喧嘩して、異性への自意識に煩悶して、年上の女にいいように使われる。サ...続きを読む