井上靖のレビュー一覧

  • しろばんば

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    児童書版では前半までしかおさめられておらず、ぬい婆との関係など、気になりすぎて購入。

    ぬい婆とのなんてことない「生活」。
    例えば、嵐の夜に握り飯をこさえて、見回りを待つ、みたいなこと。遅いだのなんだの文句を言うけど。

    他人を見回る地縁の「他人事じゃない感覚」や「握り飯ひとつたべなされ、と振る舞う様子」に何か温もりを感じる。

    村の誰が里帰りするだの、その人は出世しただの落ちぶれただのも他人事じゃない。
    主人公とぬい婆が、都会に行くにも帰るにも、筒抜けで、好奇心まんまんで見送り、迎えが来る。それすら他人事ではない。

    後半に、主人公がぬい婆にお土産にした羊羹を、ぬい婆が小さく切って、近所に配

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    2025年08月09日
  • 黒い蝶

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    購入済み

    講談社の馬場さん経由

    面白いです。
    ブン屋崩れの頃の話で、芥川賞貰った闘牛とかと同じ頃の作品、お仕事です。
    もちろん色々もっているのですが、もう、盛り盛りと。
    その辺りも楽しい。
    お好みで。

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    2025年08月03日
  • 敦煌

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    約1000年前の、フィクションだけど、時を越えてくる物語。こんな壮大な体験が500円せずに味わえるって、本ってつくづく凄いと思う。中国大陸の奥深さ多様さ無常などを感じました。

    地球儀で見てみると、主人公趙行徳が移り渡ってきた開封から敦煌は、ちょうど北海道から鹿児島くらい。意外にそんなに長くはない、いや長いかとか思ったり。仏教が中国に伝わってきたルートという意味では敦煌〜開封はぜんぜん一部でしかなく、インド〜敦煌もめちゃくちゃ長いし、インド自体もデカいし。あと、シルクロードという捉え方だとさらに長い。丸い地球儀だと中国から中東が見えない、当たり前だけど。

    そんなふうに距離感を確認した上で、改

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    2025年08月01日
  • 楼蘭

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    中国、インド、日本が舞台の物語12編の短編集。
    「薬屋のひとりごと」から西域に興味がわき調べてみると、「楼蘭て実際にあった国の名前なのか」「その楼蘭の小説があるのか」ということで買ってみた本。

    【楼蘭】
    かつてシルクロードの要衝として栄えた楼蘭は、大国や大いなる自然の力に翻弄され滅んでいったまるで蜃気楼のような都市。そこに生きた人々の営み、彼らの想像を超える苦悩と翻弄の歴史、そして悠久の時の流れの中に埋もれていった文明の儚さに深い哀愁とロマンを感じる。

    楼蘭は漢の命により紀元前77年に鄯善と名前を変えて場所を移し、紀元5世紀ころまで続いたようだ。当たり前の事ではあるが、鄯善移住後すぐの世代

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    2025年07月31日
  • しろばんば

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    当然ながら大人が書き記したものなので、純粋な子供の視点はあり得ない。でも時代がなせる業なのか、何とも言えないほのぼの感というか人間生活が大きな事件もなく淡淡と、それでいて明確に頭に思い浮かべることができる。
    間違いなくこの作家の力量によるもの。教科書で一部が取り上げられていた記憶もあるし、一度読んだような気もするけれども、改めて読んでみて、現在の作家には書くことのできない時間の流れが本作にはあるなぁと。

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    2025年07月22日
  • 風林火山(新潮文庫)

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    大河ドラマの原作という先入観のせいか、テレビドラマのように、見どころになる要所要所に話がスキップして淡々と進んでるように思えて、つまらないとは思わなかったけど、まぁ読みやすいぐらいに思ってましたが、川中島の戦いに全部が詰め込まれてた。歴史小説だから結果は知ってるはずなのにゾクゾクしました。

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    2025年06月10日
  • 風林火山(新潮文庫)

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    今川義元、織田信長の視座で書かれた小説を読んだ。次なるは武田信玄(晴信)と思い、本書を手に取った。黒田官兵衛、竹中半兵衛と並び称される軍師・山本勘助が主役。彼の目線で中部・関東の戦国の様子が語られる。義元の軍師・雪斎が提唱したといわれる甲相駿三国同盟を、勘助も考えていたという書きぶりが面白い。中部・関東はまさに群雄割拠し過ぎて、天下人が現れなかったと言えるのではないか。特に武田や長尾景虎(上杉謙信)にとっては日本アルプスが大きな障壁になったように感じられた。

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    2025年05月18日
  • 天平の甍

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    大きなものに包まれた小市民の生き方の模索、淡淡とした文体もマッチしている。
    現在も同じなんだろうけれども、いかんせん、大きなものが少なくなってしまったのかなぁ。大きなものって凡民の反映でもあると思うから、そうすると現在の世は懐が浅いのかのぅ。

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    2025年05月09日
  • 孔子

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    「論語」は孔子の死後300年後に出来上がった、と言う。架空の愛弟子蔫薑(えんきょう)が物語る本書のように多くの弟子たちが教えを聞き伝えた事で可能となった書物なのだ。ちなみに約2500年前の中国春秋時代末期に生きた孔子と弟子・思想家が、14年間に及ぶ遊説で人々に教え伝えた思想知恵などを綴った書物である。気になった孔子の詩「60にして耳順う、70にして心の欲する所に従って、矩を踰えず」60歳になったら人の言葉が素直に耳に入ってくるようになり、70歳になると自分の心の欲するように振る舞っても、道を踏み外すようなことは無くなった。即ち、聞くことに素直になると知恵と考えが人生経験から自信に変わる、と言う

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    2025年05月03日
  • 猟銃・闘牛

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    虚子自伝に出てきた琵琶湖あたりの描写から、以前に読んだ「比良のシャクナゲ」をぼんやり思い出して再読。井上靖の最初期の短篇3作。根底にある価値観等にどうしても時代(古さ)を感じるところはあるものの、そんなことが気にならなくなるくらい、読ませる力に脱帽。
    「猟銃」はNYで一人三役を演じ切った中谷美紀さんのルポ「オフ・ブロードウェイ奮闘記」を先に読んで知った名作。

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    2025年04月23日
  • 猟銃・闘牛

    購入済み

    井上靖さんの芥川賞作品が読みたくて購入しました。
    特に猟銃は、3人の関わり合いのある女性からの手紙という形式をとっていて面白いと感じました。

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    2025年04月10日
  • 猟銃・闘牛

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    まったく覚えていなかったけれども、孤独感は確かに井上靖の手になるもの。
    「猟銃」の舞台化らしき記事を読んだので久方ぶりに手に取りましたが、井上靖、やっぱええですわい。
    でもあんまり読まれていないのかな、今は。少々残念。
    あと巻末解説の大衆文学に対する見下し感、これってどこか戦前戦後とか言われる時代の空気にマッチしている気がする、決して良い意味で言ってません。はっきり駄目だと思う。
    現在、これに似た空気感が漂っているようで、井上靖のような作家は絶対に必要かなと改めて思う次第で。

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    2025年03月31日
  • 北の海(下)

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    いったい君はいつ台北に行くんだねと思いつついつまでも読み続けていたくなる。この後、台北から金沢へと続く話も読みたかったな。

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    2025年02月27日
  • 楼蘭

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    敦煌から続けて読む。中島敦や芥川龍之介とも似てるけど、昭和になってから書かれているので読みやすい。「異域の人」が一番良かったかな。

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    2025年02月24日
  • 風濤

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     本作は発表当時も、またその後の読者にとっても、極めて読み辛く、評価が困難な作品であったと思われる。
       文学賞こそ受賞しているが、同時代の評価としては  ぐらいである。
     理由としては簡単で小説の結構をとっていない。漢文の書き下し文が現代語訳なしで、そのまま挿入される。200箇所弱に及ぶ編注がつくほど、説明なしに当時のモンゴル語、高麗語の言葉が使用される。これはいったいどういうことか?

     元寇に至るまでを高麗の立場で描く。朝鮮半島の人々に課せられた元による様々な苛斂誅求を辛くもくぐり抜けるが、言うまでもなく2回に及ぶ日本征討は失敗に帰し、高麗の全土は荒野と成り果てる。ここには何も希望も幸

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    2025年01月23日
  • 天平の甍

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    久しぶりの再読。鑑真和上の来日という歴史的な大事件をベースに、遣唐使の中でも「留学僧」に焦点を当てた名作。解説や感情描写を廃しているところに不満を覚えている読者も多いようだが、むしろ本書はそこが魅力的だ。

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    2025年01月19日
  • 殺意 サスペンス小説集

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    ネタバレ

    短編ですが、どれも読み応えがあります。舞台は昭和のはじめ頃ですが、読みにくくはありません。「ある偽作家の生涯」で、岡山の和気や西大寺が出てきて驚きました。

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    2024年12月11日
  • しろばんば

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    「自伝三部作」の第一弾。著者をモデルとした伊上洪作の小学校時代をえがいた作品です。

    洪作は、両親のもとを離れて、曽祖父の妾だったおぬい婆さんのもとに預けられています。おぬい婆さんは、洪作の母である七重や、彼女の実家の「上の家」の人々に疎んじられており、彼女の愛情は洪作ひとりに注がれます。そのおぬい婆さんも、洪作が六年生のときにこの世を去ります。洪作は中学校への進学を間近にひかえており、彼の少年時代の終わりが訪れるところまでの成長が、洪作自身の視点からたどられています。

    叔母のさき子の結婚と病死、親戚の「かみき」のわがままいっぱいにそだった姉妹に出会ったときの驚き、一つ年上の御料局のあき子と

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    2024年11月29日
  • 夏草冬濤(下)

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    自伝的小説。16歳前後かな。三島から沼津の中学へ徒歩通学している。心情が手に取るようにわかりやすく、文章がとても読みやすい。道ですれ違う女子学生が直視できずうつむいてしまう様子やお金持ちのお宅にお呼ばれしたときに靴下を履いてなくて足が真っ黒だったり、気恥ずかしかったりほほえましかったりするエピソードがたくさん。

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    2024年10月28日
  • あすなろ物語

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    古本屋でたまたま手に取った本で、戦前/戦後の青年の生活と心の移ろいを、なんとも自然に綴った物語。伏線回収とか、特徴のあるキャラクターだったり、ドラマのある話とはある意味無縁で、時代背景やその情景までも、そのまま活字に映しているように思え、読み心地が良かった。
    また、どこかクールで冷静な印象の主人公だけに、どの時期にも”女性”が伴走しているところも、特徴。

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    2024年08月08日