井上靖のレビュー一覧

  • 天平の甍

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    本書は8世紀の奈良時代に第九次遣唐使として留学する4人の日本人僧侶を中心にして、後半は6度にもわたる挑戦で訪日をはたす鑑真の物語です。当時の日本人にとっては海外に行くことは命がけで、しかも船はそんなに頻繁に出ていない。無事に唐に渡れても帰ることができるのは何十年後の可能性もあって、帰りも無事に帰れる保証はない。そんな中当時の日本人の中でも外国文化を日本に持ち帰る重要な役割を果たしていたのが僧侶でした。

    本書の中では唐に渡る4人の日本人留学僧と、唐で写経をひたすら続けている業行という5人の日本人僧侶が中心になりますが、それぞれの性格が違っていて、自分だったら誰のタイプになるかなと考えさせられました。もちろん訪日を果たした鑑真和上の偉大さはわかるのですが、個人的には無名の日本人留学僧が積み上げてきたもの、あるいは無念となったものが歴史となって日本を形作ってきたと思います。本書は用語が難解なところもかなりありますが、無意識のうちに自分を留学僧の誰かに重ね合わせながら、自分自身が8世紀の奈良および唐にいるような気分になりました。

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    2023年04月26日
  • 北の海(下)

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    単行本で再読時の感想---6年生の頃母が買ってくれた本。特別な日でもないのに読んでごらんと手渡され、思いがけない贈り物がとてもうれしかったのを覚えている。おもしろくて何度も読み返した大好きな作品。これをきっかけに中学生の間は井上作品を随分読んだ覚えがある。先日ふと思い立って30年ぶりくらいにこの本を読み始めた。1975年の中央公論社刊、活字の小ささに驚いたが、すぐにおもしろさに引き込まれた。読みながらふと、子どもの頃と同じように心がうきたつのを感じ、旧知の登場人物たちに再会できた喜びをかみしめながら、本というもののありがたさやこの作品を送り出してくれた作家への感謝の思いで胸が熱くなった。----
     16年ぶり再読---三部作を順に読んだのは初めて、幸せな読書の時間だった。

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    2023年03月19日
  • わが母の記

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    著者の自伝的小説三部作「しろばんば」、「夏草冬濤」、「北の海」に続いて読んだ。小説中の洪作、すなわち井上靖は長じて文豪となったわけだが、この「わが母の記」の三つのエッセイでは、その見事な筆致で惚けてゆく母親の晩年を冷静に、しかし優しく描写している。本作を読むことで洪作三部作は完結したのだと感じ入った。

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    2022年12月28日
  • 天平の甍

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    読みにくかったなぁ。
    言葉使いの難しさ、人名の読みにくさ。
    文学というより記録文ではないかと思うようなデータの記述。
    もう途中で投げ出そうかと一度だけ思った。
    不思議なことに一度きりで、そのあとは読みにくいと感じながらも話が普照と鑑真の日本渡来に絞られてくると、多くの身内からさえも白眼視されるその目的を果たすための彼らの命がけの熱意が私にページをめくらせてくれました。
    そうか、鑑真が日本に渡って仏教の何たるかを教えたからこそ日本における仏教が本物のものになったのか。
    小学校で習ったかなあ?
    視力を失った鑑真和上像の写真が思い出されるだけだ。

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    2022年12月16日
  • しろばんば

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    私は小学生の一時期を山奥の小さな学校で過ごした。山に登り、川の淵を泳ぎ、田畑を走り、木の実を採り、暗くなるまで遊び惚けた頃がこの小説によって蘇った。まだ己が何者かもわからない時代、ゆっくりと世界が広がってゆく時代、四季の循環がとても永く感じられる時代である。洪作少年を通じて忘れていた郷愁に没入できる楽しさを教えてくれる名作である。文章も美しい。続編となる「夏草冬濤」も読みたい。

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    2022年12月06日
  • わが母の記

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    認知症により記憶が失われていき理解に苦しむ行動をとるようになった母親の晩年の思い出。淡々と描いている。事実がもつ力と文豪の確かな表現力。

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    2022年12月01日
  • あすなろ物語

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    少年期から成年期まで、感受性豊かな自伝的小説。何歳になってもその頃の想いは残り、懐かしさが込み上げる。

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    2022年10月12日
  • わが母の記

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    晩年の母との日々を綴った作品。約5年ずつを空けた3つの作品から構成されている。5年ごとに老いが進む母。自らの人生の記憶を少しずつ消しゴムで消していくような母。世話をする子供たちのことも分からなくなっていく。しかし、母の中では母なりの世界が展開されているようだった。
    井上靖の簡易でありつつも味わい深い文章がまた素晴らしい。

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    2022年08月24日
  • おろしや国酔夢譚

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    大黒屋光太夫を船頭とした17人を乗せた「神昌丸」は駿河沖で時化に会いロシアのアレウト列島(アリューシャン列島)のアムチトカ島に乗り付ける。母国日本へ帰りたい一心でロシアの厳しい生活に耐え、ロシア国内を大移動しながら本国送還を願い続け、10年後許しが出て既に死去した12人とロシア正教に帰依した2人を除いた3人が帰国する。
    アリューシャン列島のアムチトカ島からカムチャツカ半島を経てオホーツクへ渡り、陸路ヤクーツク、イルクーツク、モスクワ、ペテルブルクとなんと10,000キロに及ぶ未知の国、風雪の中の流浪の旅は彼らにとってどんなに厳しかったことか。
    地図と見比べながら彼らの姿を追えばその辛い旅がより思いやられる。

    しかしあれほど帰ることを望んだ日本は、ロシアで艱難辛苦を乗り越えて、あるいはロシア政府やロシア人の助けを享受して生きながらえるうちに、今までの人生では見ることのなかった世界と人々を知った彼らにとって、旧弊な決まりにとらわれて身動きのままならない居心地の悪い他国のようになっていた。
    さらに母国に帰ったにもかかわらず彼らは自国内を自由に移動することさえも許される事はなく定められた土地に一生住むことにされた。見聞きしたことは他言無用ということなのか。

    人間にとって自分という者の居場所が確定して、自分の存在が周囲にとって有益な存在であるという事は生きていく上で欠くことのできないものであると思う。
    彼ら漂流民はそれを求めて10年の長きを耐えたにもかかわらず、彼らが帰ってきた母国はそれらを取り上げてしまった。
    帰国する前に「もしかしたらこのままロシアの地に留まった方が良いのかもしれない」と思った彼らにとってその仕打ちはあまりにも残酷だ。

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    2022年06月10日
  • 敦煌

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    1900年初め、王円籙という道士が窟の一つからたまたま発見した空洞の中には、経巻類が大量に収められていた。
    学がなく、字が読めなかった王円籙は、地方官に報告するも「適当に処理しておけ」と言われるだけであった。
    しかしその大量の文書群は、唐代以前の非常に貴重な資料で、遺失した書物の復活ができた歴史的な大発見だった。
    この文書"敦煌文献"の発見という史実を元に、なぜこれほど大量の貴重な文書が洞窟に封じ込まれていたのか、その経緯を描いた歴史小説です。

    なお、敦煌文献が封じ込まれていた経緯については2つの説がありますが、今日では"不要なものをとりあえず置いておいただけ"であるという説が定説となっています。
    本小説に書かれているのはもう一方の説で、五代十国時代の終期、中国西北部を支配した夏(西夏)王朝が敦煌を占領する際に、西夏に破壊され、焼き捨てられることを恐れた人々が、貴重な文献を隠したという説が採用されています。
    それは今から1000年近い昔の出来事で、その頃に生きた人々のドラマが栄枯盛衰し、忘れ去られてしまった後に発掘されるという、なんとも壮大な展開になっています。
    井上靖によって書かれた敦煌は、大部分は創作ですが、敦煌文献で判明した史実や、実在したとされる人物名が登場しています。
    中国史に興味が無くても、読めば長い時間を飛び越えた歴史ドラマを感じることができると思います。

    主人公は趙行徳という青年です。
    非常に頭脳明晰で、三十二歳で進士試験(官吏任用試験)に挑んだのですが、最終試験の一つ前の試験で不覚にも眠りこけてしまい、大事な試験を自ら放棄してしまったことに気づきます。
    絶望にいた彼はただ歩きに歩いたのですが、狭い路地の中で、西夏出身という女が生きたまま切り売りに売られている場面に出くわします。
    これを見た行徳は回鶻の男から女を買い取り、自由にしてやりました。
    ただで自由になったことを嫌がる女は、唯一の持ち物だという西夏の文字が書かれた布切れを渡します。
    その出来事に運命を感じた行徳は、そこに書かれた"西夏の文字"を学ぶために西へと旅立つという展開です。

    難しい文体、表現が出てきて、スイスイ読めるような作品ではないですが、文章は簡潔で、ある程度読めば慣れると思います。
    歴史が積み重ねられ、中国という国自体も大きく変遷し、忘れ去られた先に発見された文献、その発掘物では伝わらない物語が描かれています。
    特に終盤、敦煌文献が生まれた軌跡が刻まれるプロセスは見事で、ドラマティックでした。
    井上靖氏の中国西域ものとして著名な作品ですが、一冊の小説としてシンプルに楽しめる名作です。

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    2022年05月30日
  • 天平の甍

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    井上靖の歴史小説として代表的な作品。
    井上靖は小説家としての自身の想いや情景を描いたもの、自伝的なものと歴史小説の3つに大別される優れた小説を多数書きました。
    歴史小説では、日本を舞台したもの、中国を中心としたものを多く執筆していて、本作は大別するのであれば井上靖の中国歴史モノの代表作であり、氏の作品全体としても代表的な一作です。
    氏が芥川賞を受賞したのが1950年の『闘牛』、『天平の甍』は1957年刊行なので、初中期の作品と言えますが、1907年に生まれたため、遅咲きの作家であったといえると思います。

    『天平の甍』は天平5年(733年)の遣唐使として唐に渡った若い留学僧たち、とりわけ普照と栄叡を中心とした物語となっています。
    仏教はあるにはあるが、課役を逃れるため百姓の出家が流亡しており、法を整備しても歯止めは効かなかった。
    また、僧尼の行儀の堕落も甚だしく、社会現象となっており、国は仏教に帰人した者が守るべき規範を必要としていました。
    そんな折、白羽の矢が立ったのが4人の留学僧で、普照、栄叡もその4人の内の2人です。
    鑒眞(鑑真)の来朝という、古代日本おける歴史的な出来事を実現させるため、荒波に揉まれる僧侶たちの運命を描いた作品となっています。

    普照や栄叡は実在の人物で、鑑真来朝における苦難の日々は史実が元になっています。
    鑑真という人物や、日本の仏教の起こりは中学社会の教科書でもおなじみですが、その舞台裏にこういった壮大なドラマがあったというのは読んでいて興味深かったです。
    東シナ海には激しい海流があり、季節風の知識もない当時、遣唐使の航行は文字通り命がけだったそうです。
    船は度々難破し、多くの人が命を落としました。
    高僧を連れて帰る指名を帯びた普照たちが鑑真と巡り会えたのも長い年月を経た上でしたが、辿り着けるかもわからないような日本へ連れて帰ることを嫌う弟子の密告等があったりして渡日は難航します。
    また、渡日にこぎ着けても、過酷な船旅も何度も死にそうになりながら失敗を繰り返し、体調も崩れてゆく。
    それでも、日本へ向かうという強い意思が感じられる、壮絶な歴史ドラマでした。

    長い作品ではないですが文体は難しく、読むには骨が折れます。
    ただ、登場する僧たちのそれぞれの選択、生き様も多種多様で、楽しんで読み進められました。
    特に「業行」という僧の最後は本当に悲痛で、怨詛の声が聞こえてきそうな迫力を感じます。
    "凄まじい"という形容詞がピッタリくるような、歴史文学小説でした。

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    2022年05月17日
  • あすなろ物語

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    「あすは檜になろう!あすは檜になろうと一生懸命考えている木よ。でも永久に檜にはなれないんだって!それであすなろと言うのよ」(新潮文庫、47p)井上の自伝的小説といわれているこの作品は、あすなろとしての梶鮎太を時系列で描いていた。特に3-5章の出世する友人やライバルへの葛藤をあらわす「あすなろ」や、第6章の自分を貫く「あすなろ」は自分の価値観とも合わせて、こんなこと考えてしまうなと読み進めていた。でも第6章にあるように、今はあすなろで溢れているけど真のあすなろは?そう考えてみると少ないかもしれない。

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    2022年05月09日
  • 風林火山(新潮文庫)

    ネタバレ

    歴史小説のお手本。

    もう何度も読んだのに、やっぱり手元に持っていたくて、電子書籍にて購入しました。

    一応大河ドラマの原作扱いに成っていますが、余りそこには拘らなくて良いかと思います。

    自分の武田好きは、中井貴一さんの方の『武田信玄』から始まっているのですが、ドラマ先行で原作を読んだせいか、新田次郎と云う作家の感性とはちょっと合わない部分を感じました。
    その後の『武田勝頼』も読みました。
    「つまらない」「嫌い」というのではなく、「合わないなぁ」という感じです。

    と云う訳で本書は、初め殆ど期待せずに読んだのですが、この文量でこの物語の芳醇さは何処から出てくるのか、本当に唸らされました。
    決して(お話の)視界が狭い訳でもなく、キチンと目配せの利いた人物の扱い方をしているし、
    それでいて合戦シーンみちゃんと書き込まれています。川中島の「風」さえ感じられたと言っては褒め過ぎかなw。

    こういう「手練れ」の作品に出会ったのは、その当時殆んど無かったので、一読して驚きました。由布姫と勘助の関係も、変にベタベタしていないところが素晴らしい。寧ろ大河ドラマの内野聖陽さんの方が力みかえって演じられていたので、原作の良さが活かされていない感が有りました。

    とにかく武田好きの方には、絶対に読んでほしい名作だと思います。

    #感動する #泣ける #アツい

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    2022年04月18日
  • 天平の甍

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    我が国の元祖国費留学生達の使命感と壮絶な人生に圧倒された。若い人、特にこれから留学する人達には是非読んでほしい。
    それにしても、鑑真和上の不屈の意志にはただただ頭が下がる。歴史の教科書でサラッと語られている「苦難の渡日」がこれほどのものだったとは。「偉人の偉さ」を改めて感じることができる良著です。

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    2022年04月18日
  • おろしや国酔夢譚

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    いや何とも面白くそして悲しい史実に基づいた物語だった。江戸時代に、商船が難破してロシアに流れ着いた船員たちが一人欠け、二人欠けしながら10年近くかけてようやく光太夫と磯吉の二人だけが日本に帰り着いたという話。
    ところが話はそこでは終わらない。ようやく帰り着いた日本で、二人は故郷の伊勢に戻ることが許されず江戸で不自由な後半生を送ったという。日本に帰り着いた際の日本側の対処やその後の二人の半生を知るだに、この国って昔から狭量だったんだなあと思うばかり。ロシア正教に帰依してロシアに残ることになった庄蔵と新蔵のほうがある意味、思い切れて幸せに生きたかもしれない。
    もともとは十数人だった船員たち。十人十色でこういう苦境に陥ったとき、どのようにとらえるかでその後が変わっていくものだと思う。うじうじ変えられずにいる人もいれば、あっけらかんと現状を受け入れられる人もいる。

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    2022年03月12日
  • 蒼き狼

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    #875「蒼き狼」
     横山光輝の漫画を先に読んでしまつたが、アレはやはり漫画だけあつて成吉思汗をヒーロー的に描いてゐました。内容は同じながら、井上靖の筆致はもつとハードボイルドで突き放した感じがしました。

     著者は元元蒙古民族の興隆を書くつもりだつたのが、成吉思汗といふ一個人にスポットを当てたのは、何より彼自身が蒙古民族の興隆そのものを具現化した人物だつたからだといふ。成程、桁外れの凄い人物ではあります。現在の視点で「英雄」と呼べるのかどうか知りませんが、時代も土地も全く違ふわたくしどもが云々しても詮無い事なのでせうね。

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    2022年02月09日
  • おろしや国酔夢譚

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    実際にあった出来事の、ロシア革命より更に前の18世紀。
    江戸時代の伊勢から漂流した船に乗った人々が
    ロシアという異国で10年どう生きたかどう感じたかをまとめた歴史小説。
    極寒の異国地に漂流し、そこから更に色んな箇所へ移動され
    亡くなる人やロシアに帰依する人や、それでも日本に戻る為に最善を尽くす人がいて
    当時のロシア女帝エカチェリーナ2世との対面まで行ったのに
    やっとの思いで、いざ日本に着けばなんかものすごく虚しい。
    虚しさというより空虚、何だったのだろうか今までの体験はって思い知らされた。
    全く通じない言葉とか身振り手振りだったり、それでも色んな仕事を手伝いたいとか
    自分らは漂流したとはいえ、もう立派にロシアに馴染んでいたからこそ
    当時の鎖国していた日本が非常に狭く見えたんだと思う
    しかし終身里にも帰れず、ずっと幽閉の身とは
    なんとも嘆かわしや。

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    2022年01月20日
  • 敦煌

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    とっても好きな本。
    主人公が好き勝手世界史を放浪する。妻子を持たずにいることが推しポイント。
    夢に向かってひたすら突き進むことができて楽しそう。
    所属や見た目にどうしても囚われてしまう女にとって、こういう自由な生き方に憧れるし羨ましく思う。

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    2022年01月09日
  • 天平の甍

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    ネタバレ

    高僧を日本に連れてくる使命を受け、遣唐船に乗って普照ら若い僧4人は荒れる海を渡り、唐に留学した。無事に帰国できるか、何者かになれるかもわからない。4人僧の、そして写経に没頭する貧相な中年の日本人僧の運命は…

    史実の詳細が物語のスケールの大きさを感じさせてくれます。仏教の用語や唐の時代の中国の地名が多く、1ページ目を開いた瞬間くじけそうになりましたが、地図をみながら主人公たちの足取りをたどりながら読み進めました。

    くじけそうな人はネタバレを読んでから本を読んだ方がいいかもしれません。

    学ぶことって何だろう。自分にできることってなんだろう。人の価値観ってなんだろう。
    考えさせてくれます。

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    2023年12月06日
  • しろばんば

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    ネタバレ

    日常がたんたんと綴られている

    洪作とおぬい婆のやりとりが、昔の日本の日常 という感じで心地よい
    強気な婆さんも、亡くなる数年前には人格が丸くなっていく
    人間とは という感じで読んでいて凄く心地が良かった

    昔から長く愛され続ける本って、言葉が分かりやすくて変なトリックがなくて人間味が溢れている
    素敵だなと思った

    豊橋の黄色いぜリィ食べてみたい
    今度買おう。

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    2021年09月01日