吉村萬壱のレビュー一覧
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ネタバレ第129回芥川賞受賞作。
いやあ〜かなりグロテスク。芥川賞や文学というものの懐の深さを再確認。ほんと強烈。生半可な気持ちで読んだら後悔するかもしれない。
選考委員の石原慎太郎が『多くの国民がデフレとはいえなんとなく満ち足りた錯覚の内にある時代に、逆に妙なリアリティがあり、読む者を辟易させながら引きずっていく重い力がある』と評したように、本当に重く重く引きずり込まれた。
あらすじ。
物語の主人公は、高校で倫理を教える25歳の平凡な教師中岡慎一。アパートで独り暮らしをする慎一の前に、半年前に知り合った23歳のソープ嬢サチコが現れる。サチコは慎一のアパートに入り浸り、昼間は遊び歩き、夜は情交と酒盛りの日々を送る。
サチコの夫は刑務所に服役中で、ふたりの子どもは施設に預けたままだが、詳しい事情は明らかでない。慎一はサチコを伴い車で四国に旅立つが、幼稚な言葉を使い、見境なくはしゃぎまわり体を売るサチコへの欲情と嫌悪が入り交じった複雑な感情は、慎一の中で次第に暴力・殺人願望へと変容していく。慎一は、自身の中に潜在する破壊への思いを、カマキリに寄生するハリガネムシの姿に重ね合わせる。
感想。
面白い、との一言ではすますことのできない強烈な読書体験。特に主人公がサチコの傷を縫うシーンと、最後の工事現場でのシーンは一生忘れられない描写だった。自分の中にハリガネムシのように寄生していた暴力性をあくまで客観的に理解し、それでも止めることができない主人公は積極的に堕落しているようにも感じられた。自ら人の道を外れてしまった自分がどのような状況になり、どんな感情を抱くのか試したいという人間の怖さが見えた。自分やばいな、と思っても、普通は実行できない。 -
Posted by ブクログ
3年前、仕事で車に乗っておりました。夜の8時前でしたからそれほど遅い時間ではないです。
幹線道路脇の暗い側道を走っていたところ、前の車が急ブレーキかけまして、なんだなんだと思っていたら前から全裸の若い女性が走ってきたことがあります。
いやもう、そりゃびっくりです。最初は白っぽいものがいる、としか認識できませんでした。まさか服を着てない女性とは思いません。
年齢は僕は30前後と思いましたが同乗してた同僚は10代ぐらいに見えたそうです。
表情はやや困ったなーぐらいの感じで、大事なところを手で隠すでもなくジョギング程度の速さで僕らの車の横をすり抜け路地に消えていきました。
ショックでしたよ。僕は悪霊とか心霊とか信じないタイプなのですが、こちらに向かって走ってくる白いものが何かわかったときは、人間以外のとてつもなくおぞましい何かを見てしまったような気がしました。同僚はかわいそうに夢に出てきたらしいです。キシャーって言いながら追いかけられたらしい、ははは。
いや、もしかしたら性犯罪の被害者かも知れないと思い車停めましたがちょっと先に服と靴が落ちてて、ああ、ここで脱いだのね、とわかり、その線は消えました。
しかし、いじめとかの可能性ありますから警察には伝えときました。
やってきた警察官が不真面目で腹が立ったのですがそれはまた別の話でして、いままで、こんな目にあったのは僕ぐらいと思っていたけど、あんな、こう言っちゃなんだけど特殊な性癖を持つ人なんてそうはいないだろうと思っていたけど、
この本読んで案外ありふれたことなのかもという気がしました。
まぁ、スリルとか背徳感とか、わからんでもないですけどねぇ……。
倫理的にどうかと思う人たちがとんでもなく下劣なことをやるのだけど、それをまるで研究者のような視点から観察している感じである、と伊坂幸太郎さんは推薦文を寄せてるけどまさにその通り。次に何をやるのか面白くて目が離せない。
それでも嫌な感じはなくて、読み終わったあとも木村さん一家は幸せになってほしいし、デリヘルのバイトしてた中学校の先生も、一気に両親を亡くした内藤さんたちも、ヨガ行者のお母さんも、ヤクザの子分もドライバーで3人と戦った大学生もみんな幸せになってほしいと思いました。
この感じが戸梶圭太さんの小説とちょっと違う感じ。 -
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ネタバレ•『ラサンドーハ手稿』高原英里
この作品が最初で良かった。退廃的な世界観、暗い路地裏から話しかけてくる仮面たち、ひょっとして私たちの世界でも起きているかもしれないよと錯覚させるような精神が入れ替わるストーリー。百点満点です。
•『串』マーサ•ナカムラ
奇妙なお役目がグロい!
連綿と続いていくんだなと主人公の微笑みで感じます。なんだか鬱りたくなるのに爽やかで奇妙な読後感。
•『うなぎ』大木芙沙子
あーっ、純文学!うなぎが臍から出てくる超自然的現象はさておき、不良と仲良くしているところをいい子ちゃんの家族(になりかけの人と母親)に見られたくないっと顔を背けてしまった…小さなしこりが今も残り続けていた様がいいですね。
•『マルギット•Kの鏡像』石沢麻衣
とっても好き。退廃的なのにどこか美しさを感じさせる世界観が好きなんでしょうね。
•『茶会』沼田晋佑
僕の理解力がなかったら申し訳ないけど、体入れ替わっちゃってますよね?
•『いぬ』坂崎かおる
精神が侵食されるような短編。本当にいるのかいないのか、いると思えばいるんでしょう。
•『開花』
•『ニトロシンドローム』
•『天岩戸ごっこ』 -
Posted by ブクログ
なんて怖い小説なんだ。
読み終わったあと、背筋がゾッとした。
冒頭から、薄々と漂う不穏な空気。
何かおぞましいものをみんなが見ないふりをしていることだけがわかるけど、それが何かはわからない。
淡々と子供が死んでいく。
最後の章で、これまでの点々とした違和感が線になる。
どうして、浩子ちゃんは似顔絵を見て首を絞めるほど怒ったのか。
どうして、赤ちゃんを見つめることが咎められることになるのか。
どうして、肉や魚をわざわざ買って捨てるのか。
どうして、緊張するとTシャツが濡れるのか…
どうして、うーちゃんは後ろ足で立って体当たりで餌を欲しがるのか…
主人公が淡く心を寄せていた川西さんが、20年もの投獄に引き渡した人物だというのがまた、辛い。容赦ない…
一見のどかな日本の村社会だが、起こっていることは侍女の物語や1984などのおそろしい世界と変わらない。
この人の他の本も読んでみたい。
あぁ、おそろしかった… -
Posted by ブクログ
ネタバレ再読。
『クチュクチュバーン』『国営巨大浴場の午後』『人間離れ』の3作を収録。人類全体を襲う急激な身体の変化(進化?)や、または、宇宙人(と思われるもの)などの到来によって、あっという間に絶滅へと突き進む人間たちを描く小説集。
表題作もダイナミックで面白いけれど、他2作の方が、滅びゆく経過にある世界の壮絶さや人間存在というものの悲しさを感じさせて印象深い。
成すすべもなく無為に死ぬことを、「虫のように死ぬ」という言葉があるけれど、ドライでシニカルに続く地獄絵図の中で、人間は虫のように死ぬことすら許されない。どうやっても人間は、自らが人間であるという自意識から逃れられず、そしてそれを(「人間は考える葦である」というような)高潔な精神と結びつける余裕もないまま、激烈な苦痛と屈辱を絶えず意識し続けながら、しかし傍目には淡々と無意味に死んでいく。
突飛な設定ながら異様な説得力のある小説集。消耗させられるので、心に余裕があるときに読みたい本。 -
Posted by ブクログ
これぞ夫婦愛!になるのかな?
夫が浮気をした。
妻にバレて妻の体が段々と大きくなる。
3m、4m、5m……。
妻は体の大きさに比例して口からは得体の知らない液体を出し大量の糞尿をする。夫は毎日それの片付けに手こずる。異臭が近所に漏れ騒ぎ出す。これ以上この家で妻を匿う事は難しい。5mにもなった妻をダンプカーに乗せて逃走する。
妻の体が段々と大きくなる?しかも5mにも
そんな病気がこの世にあったのかと疑問符が頭に浮かんだがなんだか面白いというか不思議な気持ちで読み終えた。
夫婦愛が描かれているのか?それとも全然違う意味合いを持つ内容なのか……普段は使わない難しい漢字を充てているし、読解能力が低い自分には難しい結論となりましたがなんか面白かったです。
異臭を放ち巨大化した奈緒美さんを少し可愛らしいと感じたのは自分だけでは無いはずです。