吉村萬壱のレビュー一覧

  • ボラード病
    不愉快な感覚が読んでいる間ずっと続いていた。
    小説内では全てが明らかにされないが、それもまたリアル。
    自分の見ている世界はある意味簡単に変わりうるし、宗教のように思考を委ねることは楽なんだろうな。
    海塚町の閉塞感は昔ながらの共同体の閉塞感というより、なかったことにしよう・自分たちは素晴らしいという新...続きを読む
  • 前世は兎
    初の作家さん。
    読書会で取り上げられたので。

    前世は兎
    夢をクウバク
    宗教

    梅核
    真空土練機
    ランナー

    「もっと変なことしてくんないかな。」とか、
    「もっと変なこと言ってー!」とか、
    「もっと訳わかんない渦に飲み込まれたい。」とか、
    超絶受け身で楽しむだけ。

    本当は世の中に物申したいと書か...続きを読む
  • ボラード病
    不穏な描写が続き、なんとも言えない不気味な展開が続く。ディストピア小説として下手なSFじゃなく、震災後の延長上に存在しそうな世界観だったのは良かった。

    多和田葉子の『献灯使』という同じく震災後のディストピア小説も読むと、文学界にも東日本大震災や原発事故が多大な影響を与えていることに気づく。
  • 臣女(おみおんな)
    おもしろい。心に不満がたまると巨大化していく妻と、その妻の看病をする男の話。ずっと読みたいと思っていたもののなんとなく後回しにしていた。この作者の新刊が読みたく、その前に読んでおこうと思い、やっと読んだ。もっと早く読んでおけばよかった。作者の変態性、歪み、純真さ、すべてが好み。
  • 前世は兎
    吉村萬壱先生、謎多き人である。脳をどう絞ればこんな発想が出てくるのか。あるいはなんの労力もなく、当たり前の日常からこんな発想なのか。現在大阪の閉鎖病棟で個展を開かれている。緻密で不気味な鉛筆画や、なかなか気持ちの悪い立体作品を並べておられる様はTwitter等で拝見した。会期中には行けないのが残念。...続きを読む
  • 臣女(おみおんな)
    夫の浮気を知った妻は身体が巨大化していった。絶望感と罪悪感に苛まれながら、夫は異形のものと化していく妻を世間の目から隠して懸命に介護する。しかし、大量の食料を必要とし、大量の排泄を続ける妻の存在はいつしか隠しきれなくなり、夫はひとつの決断を迫られることに。

    すごい内容。衝撃的。
    しかも便とか吐瀉物...続きを読む
  • ヤイトスエッド
    清潔と不潔。
    浄と不浄。
    きれいはきたない、きたないはきれい。
    下種は聖。
    これらはつまり極端は対極に転じ得るということだ。
    (中島らもと通ずると思うが、ふたりを並べた論は見たことがない。)

    男は女を犯すとき、女になって男に犯されたいと夢想する。
    女はマゾヒスティックな殉教を夢見る。
    すなわち男と...続きを読む
  • 臣女(おみおんな)
    「グロ」と「夫婦愛」の融合。
    家畜人ヤプー以来の奇作です。

    内容は、夫の不倫を知った妻が突如、5mになるまで巨大化。
    日常生活もままならなくなる中、懺悔と愛情の入り混じった心境で介護し続ける夫の戦いの物語です。

    戦いといっても、大半が妻の食事や排泄処理。
    排泄の描写は、スカトロファンにはたまらな...続きを読む
  • ボラード病
    ここはB県海塚。新鮮な魚や野菜が手に入るこの町で、町民は心を一つに支え合いながら生活し、子ども達は自主性を重んじる学校に通いのびのびと育つ。同級生の急死が若干多い点はさて置き、理想的な共同体から外れまいと必死に努力する主人公の少女だがー。モダンディストピア小説と聞き、真っ先に手に取った本作。ポスト3...続きを読む
  • ハリガネムシ
    どこまでも狂っていく。
    歪んだ性癖、狂った興奮をしゃぶり尽くしながら。
    嫌悪するような場面もあるが、このドライブ感はすごい。読んでしまう。
  • 流しの下のうーちゃん
    にゃー家族が買ってきてくれたー!
    つげ義春的な感じやと評判のようですが、そんな感じもしたけどわたしはそれより諸星大二郎ぽいとも思ったよ。へんな世界(?)がね。
    とりあえず労働こわい。
  • 臣女(おみおんな)
    現代日本の下水システムはすばらしい。
    うんこにまみれてこそ真実の愛。そのスタート時点から変わらなかった奈緒美の健気さを知るラストシーン。せつない。
  • クチュクチュバーン
    悪趣味な話です。
    読んでいると指先とか耳の奥の辺りとかがムズムズしました。
    20世紀末の頃ってこういう破滅に向かう世界で生きる人を描いた漫画が多かった印象があります。
    ただ、そういう漫画との大きな違いは、登場人物たちが破滅に抗おうとしていないところでしょうか。
    いやーな読後感を味わえる作品でした。
  • クチュクチュバーン
    全ての有機体も無機物も一つになってクチュクチュしてバーンするだなんて、わくわくが止まらない。気持ち悪さを通り越しての痛快さに脳裏が刺激される。人類補完計画の悪趣味バージョンだと思っている。
  • クチュクチュバーン
    恐怖によっても快感を与えられるのかと気付いた作品。
    あと、わたしこーいうの好きなんか、て気付いた作品。でも多分、この人の文章じゃないと読めんかったと思う。設定自体はありきたりだし、言ってることはあざとい。破壊力半端ない文章でぐいぐいキてるから読めた。
    めっちゃ体力使う。
  • クチュクチュバーン
    強烈だった。救いがない、なんてもんじゃない。
    命も、生きる努力もすべてを無意味にしてしまう不可抗力。理不尽すぎる。
  • ハリガネムシ
    平成15年上半期芥川賞受賞作。カマキリに寄生してたハリガネムシと自分に潜む欲望を重ねた作品ていうかもうグロくてウゲーの連続だった。
    教職の主人公と底辺女の話。主人公が自分のSに目覚めるんだけど、これって他人事じゃないというか誰でも少し潜んでる願望だと思うからなおさらウゲー見たくねぇだった。覚醒させな...続きを読む
  • ハリガネムシ
    こういう部分否定できないかもしれない……
    な、なんだよ!
    ちょ、ちょっと待てって!
    俺がそうってわけじゃなくてさぁ!
  • ハリガネムシ
    とても、怖かった。という感じ。でも、どこか開放感溢れてて。つまり私は自分の気持ちが整理できないままこの本を読み終えてしまった。こんなのは初めてでとても不思議な気持ちになり、何となく「芥川賞受賞」の意味が分かる気がした。
    大人の世界の「実は」を鮮やかに描いている。受け入れがたいが、きっとそうなのかな、...続きを読む
  • 臣女(おみおんな)
    不思議な話だった…歪みすぎた恋愛小説でした笑
    自分なら申し訳ないけどここまでの介抱は出来ないなあ。。
    うんこやら紫の液体やら汚い描写が多くて笑ってしまいました。
    登場人物が変な人多すぎて(主人公も)全く感情移入できない上に、何がしたいんだって人が多くて全体的に浅いな…って感じでした。