吉村萬壱のレビュー一覧

  • 哲学の蠅
    作家によるエッセイだが、小説かと思うような場面もあった。
    考えてみると、事実とそうじゃないものの差って曖昧なんだな。
  • 哲学の蠅
    自伝的エッセイ、と何処かに紹介されていた。
    本当に「自伝」なんだろうか。

    関連して、太宰治さんの「恥」を思い出した。
    だらしない生活を送っている主人公をよく書く「私小説家」を訪ねていく、ファンの女性の話である。
    訪ねてみれぼ、シュッとした作家先生が出てくるという。

    私小説。考えてみれば、他の小説...続きを読む
  • 回遊人
    これは和製バタフライエフェクトや!
    「タイムリープ物を吉村萬壱が書いたらこうなる」っていうのが面白くて、吉村萬壱作品を初めて読む人でも楽しめるのかはわからん。
    宙ぅ吉ファンにも嬉しい一冊。

    序盤、主人公の息子への冷たさにヘイトが募っていて、「主人公不幸になれ」って思いながら読んでたけども他の人も巻...続きを読む
  • 臣女(おみおんな)
    究極の不条理小説。

    大量に食べては排泄を繰り返す巨大化した妻ナオミ。
    彼女への贖罪と愛とで介護を続ける夫、石井。

    なにしろ退廃的でグロテスク。
    あり得ない設定のくせにリアルすぎる描写。臭いの記憶をすりこむようにリアルすぎる描写。

    隣人、同僚教師、母。
    干渉と絶望に揺れ、愛と憎悪に揺れる。

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  • 死者にこそふさわしいその場所
    『折口山駅付近を舞台に繰り広げられる狂乱』

    一癖も二癖もある登場人物が繰り広げる狂乱を描いた連作短編集。最後には全員集合して… 随所にチャバネゴキブリが登場するなど、好き嫌いは大きく分かれそうな作品でした。
  • 回遊人
    純文学畑の人がタイムリープもの…?と思いながら読んだけど、主人公がぐじぐじとしてて、なんべんやり直してもやり直したいことはなにもやり直せないのは期待通り。
    こんなに自分を省みる時間があったのに、結局オリジナル人生でないときちんと反省も思いやることもできないし、浩はそこにしかおらんしね…

    いやほんと...続きを読む
  • ひび割れた日常――人類学・文学・美学から考える
    人類学者・小説家・美学者によるリレーエッセイ。コロナウィルスをきっかけとして、人間と自然の関係を考える。オンライン授業の広がりで、仕事を持った社会人学生が、必須科目を受講しやすくなったという話を聞いたことがある。視点が違うとマイナスもプラスに転じる。振り返ってみると、コロナウィルス感染の蔓延に脅威は...続きを読む
  • 死者にこそふさわしいその場所
    滑稽で奇妙な人間劇。理屈にまみれた日常なんてくそくらえ。これはフィクションなのか歪んだ現実なのか。
    わたしたちはみな狂気のすぐ隣でいきているんだ。
  • ひび割れた日常――人類学・文学・美学から考える
    人類学、文学、美学それぞの観点が交錯するリレーエッセイ。
    「三人寄れば文殊の~」というが、同じ災厄を経験した世界中の人々から、コロナと共存する智恵はきっと出てくるはず。
  • ボラード病
    三角をみて、みんなが丸というとだんだん丸になっていく、と書かれていた言葉が印象的。

    同調とか洗脳って自分の考えがなく生きていけるから楽だし、周りからの圧力を感じず生きていけるので、
    ある意味究極の幸せなのかもしれない。

    まぁ気づいた時の喪失感とか虚無感がすごいだろうから、そうはなりたくない。

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  • 流しの下のうーちゃん
    何か人を不安にさせるような絵、ストーリーでしたが…割と退屈せずに読めましたね! 著者の小説はまだ一冊も読んだことがないのですが、これを機に一つくらい読んでみましょうかね…。

    ヽ(・ω・)/ズコー
  • ボラード病
    主人公の少女時代の回想として語られる海辺の復興の町。統制された町。幻想のディストピア。病気なのはどちらなのか?狂っているのは誰なのか?苦しくってぎゅうぎゅうする。薄気味悪くってぞわぞわする。どう生きるのが正しくって、どう生きるのが幸せなのか?エンディングも読後感も悪い。作者の術中に嵌っている。
  • 前世は兎
    弱くて愚かで狂ったひとびと。
    狂ってたのはどちらなのか?正解は何なのか?
    自分の感性さえ分からなくなってしまうほど、その術中にはまってしまう。
    作者の世界観にのまれ、するすると読み進め、吐き気がするくらいの自己嫌悪と闘う、そんな作品。
  • 回遊人
    タイムリープものを単なるタイムリープのSFとして終わらせないところが流石の吉村萬壱氏だ。
    繰り返すうちに貧しさは増し、荒んでゆく人生のなかでも女性に対する愛欲だけは枯れることのない不条理。
    後半の怒涛の展開は一気読み必至で、ぐるぐると目が回ってしまうような感覚だった。
  • ハリガネムシ
    自分より頭の弱い者を虐める心理かなあ。虐め(残酷な扱い)はどんどんエスカレートする。小石を詰められて指で掻き出すシーンは、女には痛みを伴う描写だと思う。読み終えて1ヶ月以上経っているが強烈に残っている場面。
  • 臣女(おみおんな)
    エグい内容だけど夫婦の愛情を感じる話だった。
    旦那は間違いをおかしてしまったけど、妻のことを愛し続ける。
    どんどん人間ではなくなってゆく妻の醜く汚い部分を受け止めながらも昔の妻を思いだし自分の限界を奮い立たせてる旦那も、全てを受け止めてもらってる妻の心情もなんだか切なくなった。グロくて汚い話盛りだく...続きを読む
  • 回遊人
    あとがきで、整理して書いてくれたので物語がより分かりやすかった、、

    乃木坂46の橋本奈々未が「人は必要なときに必要な人に出会う」の言葉が分かる小説でした

    面白かったです!また読んでみたいと思います
  • ヤイトスエッド
    文庫化おめでとうおめでとう。
    本編は以前単行本で読んでるので、出てすぐ文庫を買っておいてそのままになってたんだけど、書き下ろしの三つ編み腋毛を読みました。
    本文は案の定気持ち悪かったし、選評がめちゃくちゃ面白かった。イナセ一戸建てを読み返そうかな。あと独居45の文庫化早よ。
  • ハリガネムシ
    グロデスクな描写と登場人物達の気持ち悪さが際立っていた。面白そうなタイトルだったので読んでみたが、後悔した。もう読まない
  • ヤイトスエッド
    この作者の書いた文章を読んでいると、自分が一週間以上風呂に入っていないような、垢と泥で皮膚がべたべたとしていて頭からは皮脂の臭いがいるような感覚を味わうことができて、シャワーを浴びたくなる。
    どの作品も面白いから皆に薦めたいけれど、村八分にあうかもしれないので職場の人とかには言えない。

    表題作の『...続きを読む