吉村萬壱のレビュー一覧

  • 虚ろまんてぃっく
    家族ゼリーがびっくりするくらい気持ち悪かったけど、どれもものすごく面白い短編集やった。
    人の頭の中とか、その頭の中と外の境界がよくわからないとか、そういうものがわたしは大好きです。
  • 臣女(おみおんな)
    切実なる恋愛小説。

    浮気がバレた日を境に巨大化、異形化が止まらない妻。途中目を覆いたくなるような凄まじい描写があるのだけど、それでも夫の心情と同じように、妻のことが愛おしくなってくる。
    妻との生活はどう考えても負担が大きく逃げ出したくなるのだけど、なぜだか決して離れたくはない感覚。たぶんこれは...続きを読む
  • 虚ろまんてぃっく
    現存する日本の作家で新刊が出たら矢も盾もたまらずみたいにがっつくのは吉村萬壱先生ただひとり。ほとんどは文芸誌掲載時に購入して読んでいたのだけど、再度こういう形で読むと一入。
    夏の友、大穴、大きな助け、が特にお気に入りで、大きな助けはすでに文芸誌のほうで何度も読み返している。読みやすい形状で手元に置い...続きを読む
  • ハリガネムシ
    面白かった。爆笑するとこあり、共感するとこありで、まあ満足。これからクチュクチュバーンもよんで判断します。
  • ハリガネムシ
    濃厚な描写 文章の推進力。
    素晴らしい。これぞ文学。
    でも2度と触れたくない。
    すでにリアル本棚からは処分しました。
    強烈です。芥川賞受賞作品。
  • ハリガネムシ
    未読であった事を後悔.身体を綺麗にする場で精神が汚れるってのが凄い良かった.だから墜ちたのか.本質が下にあったから墜ちたのか.面白かった.
  • ハリガネムシ
    「爆裂地区」の次に好き。読後、テンションが異常に落ち込む感じになる。この作品は中村文則に結構似ているかも。
  • 哲学の蠅



    創元社 吉村萬壱 「 哲学の蠅 」

    自伝的エッセイ。前半は幼少期の虐待や性癖などの告白、後半は作家活動から到達した文学論や人間観。圧倒的な暴力や排除に対して、文学の役割は何かを導き出している


    母への複雑な感情は理解困難。母子一体性が強すぎて、母から受ける虐待すら、著者にとっては、自由と保...続きを読む
  • 死者にこそふさわしいその場所
    最後の、表題の話が凄かった。
    読んでいてずっと不思議な気持ちになる。現実味がないからこそ彼らの世界に引き込まれた。
    「どうしようもない人たちね」が頭から離れなかった。正に。
  • 前世は兎
    海外SFを数冊読んだ後に、好きな日本の作家を読んだので、ものすごく、ひじょーーーーーに、読みやすいと思ってしまったんやけど吉村萬壱なんやけどめちゃくちゃ読みやすいよ。
    インフルエンザで篭ってたから二日で読み終わってしまった。面白かった。
    短編集やけど全体的にディストピア感のある世界で、ボラード病とか...続きを読む
  • ボラード病
    怖い。逃げる場所があるようでないのが本当に怖かった。同調圧力を感じずに過ごしたら、気持ちの良い達成感とかあるんだろう。それに乗っかって生きていけたら幸せに死ねるのかもと思う。でも本当に怖い話。
  • ボラード病
    これは本当に怖かった。
    ちょうど震災の数年後くらいに読んだのもあって、排他的な街の雰囲気や、異物を良しとしない不穏な感じが常にまとわりついてくる感じ。

    大人になった今、もう一回読んでみたい。
  • 哲学の蠅
    なんだか、変だけどすごいものを読んだように感じる。時たまキモい表現が出てくるから初めのうちは嫌だったのだが、最後はもうなんともなく、いやなんともなくはないけれど、それほどでもなくなっているのが…
    でも、完全にこの人の思いを理解する事はできないけれど、わからないではないこととかむしろ強く共感してしまう...続きを読む
  • 臣女(おみおんな)
    このところ4冊続けて吉村萬壱先生の本を読んだ。

    分冊のものを除くと、同じ作家の本をこんな風に読んだのは初めてで、それだけ惹かれるものがあったということだと思う。

    この小説は、途中までは老人介護についての隠喩なのかなと的外れなことを考えながら読んでいた。少し前に読んだ「うんこ文学」の影響もあった。...続きを読む
  • 臣女(おみおんな)
    愛、その中に自己愛、エゴ、、
    それが愛なのか
    愛、は時々間違える
    いつも、かもしれない


    異様な描写にも関わらず、彼女が可愛らしく、時々そう感じる。
    お互い、その異様な人生を放棄することはできた。しかし彼らは夫婦生活を選び続けた。
    「頼りになる人」
    主人公にとって、介護され悶えながら生き続ける彼女...続きを読む
  • ひび割れた日常――人類学・文学・美学から考える
    リレーエッセイという手法、面白いな。手紙のやりとりをこういう形でやってみたいかも。
    御三方それぞれの視点が交差する様、少しずつズレて発展していく様など非常に楽しい。
  • CF
    どんな罪や責任も無効化してくれるCFという企業を取り巻く人々の話。もちろんフィクションなのだが、責任問題を有耶無耶にできる存在があれば、生活がどれだけ楽になるだろうかと思いながら一気に読んでしまった。
    責任や罪悪感は物質として存在せず、我々が信じているからこそ存在している。サピエンス全史でも虚構を信...続きを読む
  • ボラード病
    ーー本当に病気なのはあなた方の方です。せいぜいそうやって、どこまでも仮想現実を生きていけばいいんだ。(p.182)

    世界が狂う時、正気でいることは、狂気に囚われていることと見做される。
    使い古されたモチーフかもしれないけれど、震災後の風景を念頭に読むと、また違った響きを帯びてくる。
    村田沙耶香さん...続きを読む
  • CF
    まず、理性的な小説であることに驚き。著者が理性的でないとは思わないけど、「そんなにも人間性を否定したいですか?」と叫びたくなるような小説が多かったもので。
    で。責任を無化できるか? ということについて。最後のどんでん返しには目をむいたが、納得は出来る。ことこの国に関しては、充分あり得るかも? と思え...続きを読む
  • CF
    「そもそもこの国自体が、詐欺なのだった。
    が、国民は低いレベルで概ね幸せである。」

    最後の2行ですべてを回収してしまう
    なんとも恐ろしい小説。
    さらに言えばこれが
    現在の日本を見事に言い当てている
    という事実。

    恐ろしい。
    苦しい。
    もやもやする。

    善とは何か?
    いや、悪とは?
    罪とは?
    償う...続きを読む