吉村萬壱のレビュー一覧

  • みんなのお墓

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    ネタバレ

    一を読んだ時点でダメかもと、私にしては珍しいことなのだが読むのをやめようと思ったんだけど、帯の伊坂幸太郎さんの記述を見て思い直して最後まで読んだ。それぞれの物語が繋がっていく様は面白く、伊坂幸太郎さんの作品を彷彿とさせるところがあったが、そもそも糞尿があまり頻繁に出てくるのがダメなのかもしれないという自分を発見したように思う。

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    2024年07月09日
  • ハリガネムシ

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    ネタバレ

    倫理の高校教師が風俗店で働く女性と出会い、色々あって堕ちに堕ちていく、お話。エロ!暴力!グロ!胸糞悪い!がずっと続く。
    特に救いがあるわけでもなく、顔をしかめてしまう描写もあるんだけど一気に読んじゃう。堕ちる勢いがすごい。うわぁ……うわぁ……ってなりながら読みました。

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    2024年06月06日
  • クチュクチュバーン

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    ネタバレ

    ぐちゃぐちゃな滅びでした。
    地球外からの謎生物(?)だったり、体内からの急激な変化だったりで為すすべもなく、すべてがぐちゃぐちゃになっていく…。
    人間離れした行動をとったり、人間離れした形態になっても、それでも人であることを諦めるのは難しい。自意識は捨てられない。
    読んでいると心が消耗していってしんどいけれど、どことなく淡々と読めるので不思議でした。

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    2024年05月13日
  • みんなのお墓

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    なんだったのかな?
    読み終えて、混乱が残った。

    お墓は出てくる。
    いろいろな人が出てくる。
    細かな話は不思議だけど、まあ読める。
    でも、全体を通して意味がよくわからない。

    トンボの複眼でモノを見ると、ひとつには見えないんだと思う、たぶん。
    私の頭では、トンボが見てるものは理解できない。

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    2024年05月07日
  • 死者にこそふさわしいその場所

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    どう考えても普通じゃない、でもあり得なくもない絶妙な狂い具合だなと思って読んでたら、最後の章で全部向こうに持っていかれた。
    起きた後にめちゃくちゃ疲れるタイプの夢のようでした

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    2024年04月21日
  • 前世は兎

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    訳わからなかったけどおもしろかった!現代の何かを批判しているのかなーと思って読んでた、パルスは原発事故のことかなとか
    後味悪くなくて平和だったのは真空土練機。

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    2023年11月26日
  • 虚ろまんてぃっく

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    よくこんなひどい話を次から次に考えつくもんだと感心する。書く方も書く方だが、読む方も読む方だ。あとがきから先に読むべき。んーだーぷっぷ。

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    2023年10月19日
  • 死者にこそふさわしいその場所

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    植物園のある町を舞台に、世間が決めた型からどうしようもなくはみ出してしまう人々の日常を描く連作短編集。
    いやいや…連なるな連なるな!!
    歪んだ性癖を持つ男、裸踊りをする老夫婦、公開生活する男、世界の速さに取り残される女、精神病患者を演じる会員制倶楽部、ドM宗教家。

    そして表題作である最後の章で混ぜるな危険が大集結するのである。悍ましや。
    世間のスピードにはついていけなかったのに狂うスピードでは勝っていた女が「また追い抜かれました」とつぶやいたのには笑った。それほどの疾走感のある狂い方が描かれている。爽快。
    圧倒的自由を求めて狂いたくなる、そんな作品であった。

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    2023年09月21日
  • 回遊人

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    途中分からなくなってしまう部分もあったが、後書きで作者自ら解説してくれるので理解出来た。

    勝手で言い訳がましい男のタイムリープ小説。

    失くして分かるものがある。手に入れないと分からないものがある。そんな物語。

    面白かったが、これって自分のことじゃね?という記述があったりしてドキッとした。この作家の小説にはいつもそういう部分がある。

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    2023年08月16日
  • ボラード病

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     著者は芥川賞作家の吉村萬壱さん。震災から復興した町の物語、ディストピア小説等の触れ込みがあり、怖いもの見たさで手にしました。

     物語は、主人公の恭子が小5の頃を回想する形で始まります。舞台はB県海塚市。長い避難生活から戻ってきた人々は、〝結び合い〟で繋がった人たちです。
     ところが、何ということでしょう! 少しずつ不穏な様子が描かれていきます。同級生がぽろぽろ死に、葬儀や学校での授業での異様な光景、海塚讃歌、食の安心・安全の同調圧力等々、不穏を通り越して、宗教がかった怖さと危うさを感じます。盲信する人にとっては理想郷、外から見たら暗黒社会です。

     因みに、「ボラード」とは、船を繋ぎとめる

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    2023年03月10日
  • 死者にこそふさわしいその場所

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    「苦悩プレイ」「美しい二人」「堆肥男」「絶起女と精神病苑エッキス」
    「カカリュードの泥溜り」「死者にこそふさわしいその場所」
    6話収録の短編集。

    6話共に物語の舞台は折口山、駅前にあるスーパーマーケット「おりぐっちん」界隈で暮らすどうしようもない人々の日常が描かれる。

    シュールな装丁に負けず劣らず、登場人物は皆、奇妙で独特。身近には絶対いなさそうでリアリティは皆無。

    でも何故か読み進むに連れ、ひょっとして、これって有り得るかもと思えて来るから不思議。

    淡々と描かれる日常は、奇快な中に切なさとおかしみと愛が満ちている。

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    2023年02月17日
  • 死者にこそふさわしいその場所

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    悪い意味じゃないけど気持ち悪い、怖い。
    その辺のホラーよりも怖い。結構読んでて辛かった。
    文体は凄い好み、描写がみっちりぎゅうぎゅうになってて好き。
    けど内容が、なんか吐き気してくるぐらい気味悪い。ほんとに気持ち悪い、意味の分からなさに酔う。めまいした。
    あとめっちゃGが出てくる。わざわざGって言うんじゃなくてちゃばねって言うの、ほんと気持ち悪い。
    とにかく気持ち悪かったけど、気持ち悪い雰囲気大好きな人には一度読んで欲しいかも。

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    2022年09月10日
  • ひび割れた日常――人類学・文学・美学から考える

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    人類学者、作家、障害についての研究者三人によるコロナ後の日常についての刺激的なリレーエッセイ。
    同じテーマを語っていても、各々の感じ方や表現の個性がとても興味深い。類似性と違いが同時に目に入ってくるのが楽しい。

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    2022年07月03日
  • ボラード病

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    最終章はまるで鈍器で頭を殴られたような衝撃があった。全編を通して作中にずっと漂っていた不気味さ、海塚市の気味の悪さがこの最終章で一気に昇華されている。見事な結末。
    こんなに最後の一行で打ちのめされた小説は他に記憶にない。

    主人公の小学五年生の恭子の目を通して描かれた海塚市民の姿がとにかく不気味。得体の知れない悍ましさが漂っている。大人の欺瞞に疑問を持ち斜に構えてしまう子供ならではの感性の裏に、「本当にこの街の人々はどこかおかしい」と思わせる確かな淡々とした描写。直接的なビッグブラザーが存在しない、よりグロテスクな日本的管理社会。“世間”という言葉の持つ異様性、異常性。

    出版時期から間違いな

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    2022年06月12日
  • 哲学の蠅

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    自身をさらけ出すことを私小説的というならば、間違いなくこのエッセイはそういうものの仲間だろう。
    文章は平易で読みやすいのだけれど、内容が大層に濃いので読み進めるのに力がいる。その分、大変に面白い。

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    2022年04月10日
  • ハリガネムシ

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    読書開始日:2022年2月6日
    読書終了日:2022年2月7日
    所感
    最悪の読後。
    引力がすごい。
    ずっと気持ち悪いところに強制されているよう。
    いつもの日々をこれほど愛おしく感じたのは久々かもしれない。
    はやく日常を営みたい。
    清潔で正常な愛情の中にいたい。
    水面に出て呼吸をしたい。
    そう感じる。
    堕ちることをこれほどまでにリアルに書いた作品を読んだのは初めて。
    この一文が一番怖かった。
    決して終わることがないだろうと思えるような、さめざめときた泣き方だった

    すでにサチコの顔が思い出せなかった
    それがどんな毒であっても、ちょっとだけ舐めてみたい
    飢え、かつえ
    闖入者
    われわれはその「はい」

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    2022年02月07日
  • 回遊人

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    あなたは10年前に戻れるなら、戻りたいと思いますか? わたしは戻りたくないです。過去を変えることは未来を変えることに繋がるから、この作品を読んで改めてそう感じました。この作品はいわゆるタイムリープがテーマになった作品で、主人公の専業作家江川が、夫婦生活といい作品が書けない、いわゆるスランプに陥って、過去に戻りたいと思う所から始まります。タイムリープを繰り返すうちにある事に気付く江川の心情を読んでいったら悲しくなりました。でも読み応えが良く文章のテンポもよくて、読んでみて良かったと思いました。ぜひタイムリープに興味がある方読んでみてください。

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    2021年08月21日
  • 臣女(おみおんな)

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    ネタバレ

    正直、これは愛の話なのか?と疑問が残った。
    うーーーーーん。
    前半は主人公にとって愛=色欲っていう感じ
    でも後半は奈緒美への愛があったかな
    何かを吹っ切った感じがした

    主人公がひたすら利己的なのが目についた
    自分が周りに及ぼす影響も考えず悪臭を放ち
    周りに罵詈雑言を吐き
    敦子を、奈緒美を、鑑賞物として見做している
    奈緒美が死ねば自殺すると言いながら、
    原稿のことばかり考えている

    でも人間は、食べて排泄して生きていく生き物
    奈緒美は巨大になっていくため
    主人公は生活を営むために
    そう考えると…仕方ないかなぁ
    奈緒美を介護するのは二人が共に生きるためなのだとすればそれは愛だな。うん。

    最後の

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    2021年07月28日
  • 臣女(おみおんな)

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    本屋で読書芸人で紹介されてた本。 ストーリーも興味深くなかなか面白かった。 只、あまりにも糞尿の話が多く描写が細かいのでそれだけでお腹が一杯になってしまい、途中から話の本筋がすーっと入ってき難い。 そこまで糞尿のことを書く意味があるのか、あるとすればそれが愛する人を生涯守り抜くという覚悟を我々読者に問いかけているのか。 後々、自分や自分の愛する人にもやってくるかもしれない現実であり、その時どう振舞えるのかで自分自身の人間としての価値に気づかされるのか。 色々考えさせられる本だった。

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    2020年10月22日
  • クチュクチュバーン

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    「クチュクチュバーン」「国営巨大浴場の午後」「人間離れ」の三作を収録しています。

    「クチュクチュバーン」は、人びとが異形へとすがたを変えていく世界のなかで、生きる意味を求めるなどということがまったくうしなわれてしまった状況をえがいています。他の二作も同様の趣向で、「国営巨大浴場の午後」ではナッパン星人の襲来以後の世界がえがかれ、「人間離れ」は緑と藍色の奇妙な生物が人間たちを襲うなかで「人間離れ」を試みて助かろうとする人びとがおこなう「直腸出し」などの奇妙なふるまいをえがいています。

    「解説」を担当している椹木野衣は、「クチュクチュバーン」に登場するシマウマ男が体現している「見る」ことを、本

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    2020年09月02日