吉村萬壱のレビュー一覧
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「クチュクチュバーン」「国営巨大浴場の午後」「人間離れ」の三作を収録しています。
「クチュクチュバーン」は、人びとが異形へとすがたを変えていく世界のなかで、生きる意味を求めるなどということがまったくうしなわれてしまった状況をえがいています。他の二作も同様の趣向で、「国営巨大浴場の午後」ではナッパン星人の襲来以後の世界がえがかれ、「人間離れ」は緑と藍色の奇妙な生物が人間たちを襲うなかで「人間離れ」を試みて助かろうとする人びとがおこなう「直腸出し」などの奇妙なふるまいをえがいています。
「解説」を担当している椹木野衣は、「クチュクチュバーン」に登場するシマウマ男が体現している「見る」ことを、本 -
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ネタバレアニオタにとってループものは特別な意味合いを持つ。
さらにまた、ボクとキミの関係が世界全体へというセカイ系も。
そのふたつに、そのナイーブさや作法を(おそらく)あまり知らない吉村氏が蛮勇を振るって参入してきた、というものだ。
岩井俊二が「打ち上げ花火、上から見るか? 下から見るか?」でアニメに関わってきたときには、結構複雑に感じたが、さすがに吉村氏の参入に対して目くじら立てるほど餓鬼ではない。
中華料理屋の床に落ちていた錠剤7粒という、それありきの設定を、本気参入なら、根拠不明瞭と批判するだろう。
が、本作はあくまで思考実験なのだろうて。
たぶん作者も、たとえば「シュタインズ・ゲート」を勉強す -
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裏表紙の紹介文「淫靡な芳香を放つ狂気」は伊達ではなく、結構強烈な描写が多くて耐性がないとまともに読めないであろう本。というか多分まともに読めてない。
どいつもこいつも考え(思い込み?)が極端で、その極端な考えが、例えば不浄なものに聖性を見出したりするのでわからない。汚くてもいいじゃん、ならまだ分かるのだが、汚いものを貴ぶのは何だかよくわからない。「絶対にあり得ない」(p.154)。
それでも、当の本人からすればそれが正常なわけで、その切実さを前にどうすればよいのかもさっぱり分からない。人は人、自分は自分ではあるけど、活動の幅が重なってきたらそんな正論を言っている場合ではない。この小説に -
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ネタバレ私は一体何を読んだのか…不思議な気持ち。
旦那さん、自分の不倫に対する罪滅ぼしの為に奥さんを介護していくのだ…と思いきや、人間とは呼べない姿になっていっても、それでも献身的に介護をする。
世間的には、周りの反応の方が普通なんでしょうが、そっとしといてあげて…とイライラした。
奥さんの気持ちはどうだったんだろう…不倫に対する罰で、介護させることで自分に付きっきりになってくれるので良い気味だと思っていたのか…それとも申し訳ないと思っていたのか…。身体の巨大化の原因が、前者だとしたら恐ろしい…。でも旦那さんの理想になりたかっただけなんだな、と最後に分かるのでまぁまぁスッキリ。 -
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ネタバレアメトークで光浦靖子が紹介していて、ちょっと面白そうだったので買ってみた!
アメトークや帯で、妻への壮絶な愛が描かれているようなことが書かれていて、この流れをどう恋愛小説としてラストへ向かっていくのかなと思いながら読んでいたのだけれど、うーん、わたしはこれを、愛とは名付けられない。もちろん、全部を愛と呼べないわけではなくって。
依存と抑圧と、絶望と。この状況を受け入れることができてしまうという彼の心は、強いのか、あるいは諦観か。
自分の愛する人が異形化した時、わたしはそれを受け入れられるだろうか。そして、自分以外に愛する人を救ってあげる人はいると思うだろうか。わたしは、前者に対しての答えは