あらすじ
ある日突然、世界のすべてが変わる。
蜘蛛女、巨女、シマウマ男に犬人間……地球規模で新たな「進化」が始まる。
小説界を震撼させた、芥川賞作家の驚異のデビュー作。
解説・椹木野衣
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
グロテスクで気持ち悪い描写が多い、でも面白い。表題のクチュクチュバーンに関しては今後忘れることはできないと思うほどインパクトのある小説だった。
完全に読む人を選ぶ作品だが、一度読んで欲しい。
Posted by ブクログ
再読。
『クチュクチュバーン』『国営巨大浴場の午後』『人間離れ』の3作を収録。人類全体を襲う急激な身体の変化(進化?)や、または、宇宙人(と思われるもの)などの到来によって、あっという間に絶滅へと突き進む人間たちを描く小説集。
表題作もダイナミックで面白いけれど、他2作の方が、滅びゆく経過にある世界の壮絶さや人間存在というものの悲しさを感じさせて印象深い。
成すすべもなく無為に死ぬことを、「虫のように死ぬ」という言葉があるけれど、ドライでシニカルに続く地獄絵図の中で、人間は虫のように死ぬことすら許されない。どうやっても人間は、自らが人間であるという自意識から逃れられず、そしてそれを(「人間は考える葦である」というような)高潔な精神と結びつける余裕もないまま、激烈な苦痛と屈辱を絶えず意識し続けながら、しかし傍目には淡々と無意味に死んでいく。
突飛な設定ながら異様な説得力のある小説集。消耗させられるので、心に余裕があるときに読みたい本。
Posted by ブクログ
人に勧められねぇ〜!!!!!
強くそう思います。エロとグロ。三作の短編、そのどれもが地球の末期を舞台にして描かれた物語です。突然に、準備も出来ず殺戮と混沌が覆い被さる世界。そこに暮らす人間は余りにも無力です。殺され、犯され、引き摺り出される。もはや強いエンタメ性すら感じるこれらの物語を読むうちに、脅かされることの少ない自分達の日常の輪郭をぞりぞりとなぞられる様な、不愉快にも似た感覚を胸の中で感じます。ここまで圧倒的な退廃の世界では確かに見ることしか出来ません。いや、見ることすら…。『クチュクチュバーン』『国営巨大浴場の午後』『人間離れ』、どれにもウォッチャーが存在します。その彼らも最後には見ることすら出来なくなる展開にはむしろ爽快感すら感じました。
人には勧められませんが、たま〜にはこういう物語も読んでみるのもいいのかな。うーん、きっとそう。
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悪趣味な話です。
読んでいると指先とか耳の奥の辺りとかがムズムズしました。
20世紀末の頃ってこういう破滅に向かう世界で生きる人を描いた漫画が多かった印象があります。
ただ、そういう漫画との大きな違いは、登場人物たちが破滅に抗おうとしていないところでしょうか。
いやーな読後感を味わえる作品でした。
Posted by ブクログ
全ての有機体も無機物も一つになってクチュクチュしてバーンするだなんて、わくわくが止まらない。気持ち悪さを通り越しての痛快さに脳裏が刺激される。人類補完計画の悪趣味バージョンだと思っている。
Posted by ブクログ
恐怖によっても快感を与えられるのかと気付いた作品。
あと、わたしこーいうの好きなんか、て気付いた作品。でも多分、この人の文章じゃないと読めんかったと思う。設定自体はありきたりだし、言ってることはあざとい。破壊力半端ない文章でぐいぐいキてるから読めた。
めっちゃ体力使う。
Posted by ブクログ
ぐちゃぐちゃな滅びでした。
地球外からの謎生物(?)だったり、体内からの急激な変化だったりで為すすべもなく、すべてがぐちゃぐちゃになっていく…。
人間離れした行動をとったり、人間離れした形態になっても、それでも人であることを諦めるのは難しい。自意識は捨てられない。
読んでいると心が消耗していってしんどいけれど、どことなく淡々と読めるので不思議でした。
Posted by ブクログ
「クチュクチュバーン」「国営巨大浴場の午後」「人間離れ」の三作を収録しています。
「クチュクチュバーン」は、人びとが異形へとすがたを変えていく世界のなかで、生きる意味を求めるなどということがまったくうしなわれてしまった状況をえがいています。他の二作も同様の趣向で、「国営巨大浴場の午後」ではナッパン星人の襲来以後の世界がえがかれ、「人間離れ」は緑と藍色の奇妙な生物が人間たちを襲うなかで「人間離れ」を試みて助かろうとする人びとがおこなう「直腸出し」などの奇妙なふるまいをえがいています。
「解説」を担当している椹木野衣は、「クチュクチュバーン」に登場するシマウマ男が体現している「見る」ことを、本作の重要なモティーフとしてとりあげています。こうした見かたに悪乗りしていえば、世界がその法則性を崩壊させてしまったなかで、なんらかの理論的背景にもとづいておこなわれるはずの「見る」ことが、もはや実践的なふるまいと見分けがつかなくなってしまうような臨界点を示しているところに、本作のひとつの読みかたを見いだすこともできるのではないかと思います。
Posted by ブクログ
「ボラード病」で開眼し、「ハリガネムシ」で病みつきになったこの作者。
もとから「ボラード病」に潜む、畸形や変形や集団への違和などがあった、ことが本書でまざまざとわかった。
それが原発事故を経てああいう形で噴出したのだ。
さて本書は、はっきりいってぐっちゃぐちゃ。
漫画や映像から影響を受けた趣味や衝動がぶち込まれたごたまぜの鍋。
僕は大好きなのだけれど、どうして新人賞を獲れたのかが理解できない。
むしろ「ハリガネムシ」は(藤沢周に寄せて)芥川賞を狙っていったのだとわかる。
でも、いいね。
Posted by ブクログ
トラウマになりかけた、ある意味ホラーとしては逸品。
コレを読んで『純文学』の定義が分からなくなりました。
実は母と妹は吉村萬一先生ご本人と面識アリ。
頭のバンダナを取ると地球が爆発するんだとか。。。
Posted by ブクログ
好き嫌いがはっきり分かれそうな作品。
これでもかってくらいバイオレンスですが、ぶっとんでるんである意味爽やか。
宇宙の何を信じればいいのかわからなくなる、素敵なおはなし。
Posted by ブクログ
肯定的な意味で無茶苦茶だ。こればかりは流石に筆者の感性を疑った。表題作だけなら分かるが、同収録の2作も同じような世界で、確実に作者がどこかしらこういった世界に興味を持っていることが推測されて好感を持った。面白くはないが、なるほどと思った。