吉村萬壱のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレCFという会社の経営方法と周縁の人々の話
日本国内に666社も建物を構えるCF。請け負っている業務内容は「責任の無化」、無化が行われると対象と被対象から責任が消える。人が生きやすくなるための手段や方法として用いられている。
人々はCFについてさざめき合う。。
CFという巨大な茶番に翻弄される人々が描かれている。ある人は両親を殺され貧相な身体と見た目で慣れない水商売を行う女性、ある人は不倫関係の女性、ある人はCFの世話になりCFに従事することになった男、ある人はCFに傷を与えようとする男。
彼らが周辺の人々とぐるぐる台風のようにうずまき合って、関わり合い触れ合い傷つけ合う。
ところどころ -
購入済み
書評等では、予言的な小説とのことでしたが、そのようには読めませんでした。ただ、今の時代というか、望まない日本の未来を映す小説と思います。その意味で、面白かった! ただ、何故か私は没入できませんでした。
評価としては、悩んだ結果、☆3つとしました。実態は、☆4つには届かないけど☆3つではないということです。
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Posted by ブクログ
生理的に嫌悪をもたらす表現、性的な表現、たくさん出てくる。わざわざ出てきて、読者の感情をグリグリ掻き回す。だがそこに囚われすぎないように、人間のしていることの一環だとサラリと流しながら読んでみた。裸の女が誰なのかわかったあたりからピントが定まってくる。「木村麻奈は自分の胸に手をやり、乳首を摘まんだ。すると若い女も同じように自分の乳首を摘まんだ。木村麻奈が股間に指を宛がうと、若い女も股間に指を宛がった。木村麻奈が自分の体を撫で回すと、若い女も自分の体を撫で回した。その間、二人は何かに取り憑かれたように、半眼になったり瞼を閉じたりした。二人は立ち昇る薄い露を鼻腔に吸い込み、朝の古義川の匂いを嗅いだ
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Posted by ブクログ
ネタバレ多和田葉子先生の『献灯使』と同じで、震災後の日本を彷彿とさせるような舞台設定。
明確に「ここが怖い」みたいなポイントがあるわけではないけど、最初からうっすらと漂う不気味な雰囲気が漂っていた。
こういう寓話ぽさがある文体、話の進み方をする物語は得意ではなくて読むのに少し時間がかかることが多かったけれど、終盤どんどん不穏さが増していく物語にページをめくる手が止まらなかった。
ディストピア小説だけどリアリティもあり、描かれている世界が全然大袈裟にも思えなかった。こういう大きな災害などで大人数が同じ感情を共有するような出来事があった時、「団結」を全面に打ち出されると弱さを出すのが難しくなったり、逆にお -
Posted by ブクログ
好意とか感謝の気持ちとか、言えるときに言って、伝えられるときに伝えた方が良いと改めて思った。
奈緒美との最後、何の会話もできなかったのが切ない。思い出や記憶の中の奈緒美としか会話というものができない最後だったのは寂しい。
最初はグロい表現に読めなくなりそうだったけど、主人公の心の変化が起きて、奈緒美に対して愛情を確認したあたりから苦じゃなく読み進められるようになった。
人間の下の世話ですら大変なのに、巨大化した妻の排泄物の処理なんて無理‥。珍しい愛の形を読んだ気がする‥。
これ‥映像化‥‥できないよねぇ〜。
巨大化した奈緒美を映像で見たいなぁ。