吉村萬壱のレビュー一覧

  • 死者にこそふさわしいその場所
    どう考えても普通じゃない、でもあり得なくもない絶妙な狂い具合だなと思って読んでたら、最後の章で全部向こうに持っていかれた。
    起きた後にめちゃくちゃ疲れるタイプの夢のようでした
  • 臣女(おみおんな)
    不思議な話だった…歪みすぎた恋愛小説でした笑
    自分なら申し訳ないけどここまでの介抱は出来ないなあ。。
    うんこやら紫の液体やら汚い描写が多くて笑ってしまいました。
    登場人物が変な人多すぎて(主人公も)全く感情移入できない上に、何がしたいんだって人が多くて全体的に浅いな…って感じでした。
  • 前世は兎
    訳わからなかったけどおもしろかった!現代の何かを批判しているのかなーと思って読んでた、パルスは原発事故のことかなとか
    後味悪くなくて平和だったのは真空土練機。
  • 虚ろまんてぃっく
    よくこんなひどい話を次から次に考えつくもんだと感心する。書く方も書く方だが、読む方も読む方だ。あとがきから先に読むべき。んーだーぷっぷ。
  • 死者にこそふさわしいその場所
    植物園のある町を舞台に、世間が決めた型からどうしようもなくはみ出してしまう人々の日常を描く連作短編集。
    いやいや…連なるな連なるな!!
    歪んだ性癖を持つ男、裸踊りをする老夫婦、公開生活する男、世界の速さに取り残される女、精神病患者を演じる会員制倶楽部、ドM宗教家。

    そして表題作である最後の章で混ぜ...続きを読む
  • 回遊人
    途中分からなくなってしまう部分もあったが、後書きで作者自ら解説してくれるので理解出来た。

    勝手で言い訳がましい男のタイムリープ小説。

    失くして分かるものがある。手に入れないと分からないものがある。そんな物語。

    面白かったが、これって自分のことじゃね?という記述があったりしてドキッとした。この作...続きを読む
  • ボラード病
     著者は芥川賞作家の吉村萬壱さん。震災から復興した町の物語、ディストピア小説等の触れ込みがあり、怖いもの見たさで手にしました。

     物語は、主人公の恭子が小5の頃を回想する形で始まります。舞台はB県海塚市。長い避難生活から戻ってきた人々は、〝結び合い〟で繋がった人たちです。
     ところが、何ということ...続きを読む
  • CF
    SFかと思ったら、政治批判的な一面もあり、
    本当にあったらと思うリアリティさ。
    責任という言葉が、低レベルなもの(会社での責任)まで無下できたら、成長しない?現状維持?。CFのトップが責任を無くすことはしてなそうなのも良い。
  • 死者にこそふさわしいその場所
    「苦悩プレイ」「美しい二人」「堆肥男」「絶起女と精神病苑エッキス」
    「カカリュードの泥溜り」「死者にこそふさわしいその場所」
    6話収録の短編集。

    6話共に物語の舞台は折口山、駅前にあるスーパーマーケット「おりぐっちん」界隈で暮らすどうしようもない人々の日常が描かれる。

    シュールな装丁に負けず劣ら...続きを読む
  • ボラード病
    なんてこった。前評判も知らずに手に取ったらおったまげた。小学校女児の目線から語られる東日本震災復興を背景にした薄暗い家族小説かと思いきや、読み進めていくうちにどんどん訳がわからなくなり、最終的に実は限りなくリアルなファンタジー世界観の近未来ディストピア小説だったと理解した。
    大災害のようなものが起こ...続きを読む
  • CF
    CFという装置は 責任を物質化して無化する。加害者の責任の消失と被害者の苦しみの消滅がセットにおこることで、仕返しの応酬がなくなるのだから、CFという装置は肯定したくなる。しかし、どんな悪事も無化されるとなると、悪事に歯止めが利かなくなる。こんな装置 あったら迷惑である。
    アイデアとしては秀逸な作品...続きを読む
  • CF
    芥川賞作家によるディストピア×政治風刺小説。ディストピアものだと渇いた印象を受けるのだが本作はぐっちゃぐちゃな読み心地で筆力がないと読まれないレベルだった。CFという巨大な会社は「責任」を浄化する商品を作っている。というあらすじだけで惹かれるものがあり、自分は楽しく読めた。「責任」が浄化されれば加害...続きを読む
  • CF
    近未来のとんでも風味のSFなんだなと読み進め、登場人物たちのドス黒さ陰鬱さにうんざりして退屈していたら、予想外の終盤に背筋が寒くなった。色々と腑に落ちた。とても現実的なお話しだった。
    現実逃避。自己保身。自己欺瞞。。
    人間の心の弱さにつけ込んだ、総てがまやかしの詐欺商法、信じるものは救われるカルト商...続きを読む
  • 死者にこそふさわしいその場所
    悪い意味じゃないけど気持ち悪い、怖い。
    その辺のホラーよりも怖い。結構読んでて辛かった。
    文体は凄い好み、描写がみっちりぎゅうぎゅうになってて好き。
    けど内容が、なんか吐き気してくるぐらい気味悪い。ほんとに気持ち悪い、意味の分からなさに酔う。めまいした。
    あとめっちゃGが出てくる。わざわざGって言う...続きを読む
  • ひび割れた日常――人類学・文学・美学から考える
    人類学者、作家、障害についての研究者三人によるコロナ後の日常についての刺激的なリレーエッセイ。
    同じテーマを語っていても、各々の感じ方や表現の個性がとても興味深い。類似性と違いが同時に目に入ってくるのが楽しい。
  • ボラード病
    最終章はまるで鈍器で頭を殴られたような衝撃があった。全編を通して作中にずっと漂っていた不気味さ、海塚市の気味の悪さがこの最終章で一気に昇華されている。見事な結末。
    こんなに最後の一行で打ちのめされた小説は他に記憶にない。

    主人公の小学五年生の恭子の目を通して描かれた海塚市民の姿がとにかく不気味。得...続きを読む
  • 哲学の蠅
    自身をさらけ出すことを私小説的というならば、間違いなくこのエッセイはそういうものの仲間だろう。
    文章は平易で読みやすいのだけれど、内容が大層に濃いので読み進めるのに力がいる。その分、大変に面白い。
  • ハリガネムシ
    読書開始日:2022年2月6日
    読書終了日:2022年2月7日
    所感
    最悪の読後。
    引力がすごい。
    ずっと気持ち悪いところに強制されているよう。
    いつもの日々をこれほど愛おしく感じたのは久々かもしれない。
    はやく日常を営みたい。
    清潔で正常な愛情の中にいたい。
    水面に出て呼吸をしたい。
    そう感じる。...続きを読む
  • 回遊人
    あなたは10年前に戻れるなら、戻りたいと思いますか? わたしは戻りたくないです。過去を変えることは未来を変えることに繋がるから、この作品を読んで改めてそう感じました。この作品はいわゆるタイムリープがテーマになった作品で、主人公の専業作家江川が、夫婦生活といい作品が書けない、いわゆるスランプに陥って、...続きを読む
  • 臣女(おみおんな)
    正直、これは愛の話なのか?と疑問が残った。
    うーーーーーん。
    前半は主人公にとって愛=色欲っていう感じ
    でも後半は奈緒美への愛があったかな
    何かを吹っ切った感じがした

    主人公がひたすら利己的なのが目についた
    自分が周りに及ぼす影響も考えず悪臭を放ち
    周りに罵詈雑言を吐き
    敦子を、奈緒美を、鑑賞物と...続きを読む