谷村志穂のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
何から伝えたら良いかわからないから、作者にありがとうを言おうと思う。
医療の本を読むのは、その時の自分の気持ちに左右されるから、とっておいて何かあったら繰り返し読むようにしている。
前の私は、受け入れられなかったのかな。今も、もちろん逃げたくなることあるけど。
自己犠牲の究極の先に、いかに効率よく必要なエネルギーを取るかってことになってきて、缶詰に辿り着くのわかる。缶詰収集が趣味なんて話聞いたことないし、自宅でお茶を立てるのも面白い。すごい緊張感のある職場では、いちごキャンディのような一粒の癒しが必要なんだよね。
佐竹山のようなエネルギッシュさ、王道をいく感じ、古賀のようにとにかく効率よくイケ -
Posted by ブクログ
体外受精による受精卵の取り違えがあったと、自らDNA鑑定して気付いてしまった菜々子。自分の存在自体が根本から崩れ落ちる感覚。読んでいて、苦しくなった。最後まで息がつけなくてドキドキしながら読み終えた。
尊くんが言った言葉、病気がわかったとき知ったのは自分の強さだって、逆説的ですごく力強い。
想像を絶する困難を乗り越えて、人は強く魅力的になる。運命を受け入れる覚悟のようなものか。満たされなくていいんだよ。ありのまま受け止めたい。
私の過怠をお許し願いたい、という言葉を初めて知った。謝って済む問題ではないけれど、許す許さない含めて、人類が乗り越えていかなければならない課題なのかもしれない。
-
Posted by ブクログ
ネタバレプロローグで、どうなるのか⁇という不穏な思いを心の隅に残して読む。
ラストには、淡々とした普通の親子の会話…なのに涙した。
これが家族なんだと。
これは、日本と韓国のふたつの家族が、子を欲しいと願い飛びついた医療の結末である。
医大生の菜々子は、自分の血液型が両親からは生まれてくるはずのないことに気づく。
母は、当たり前のように家族全員O型であることを信じていた。
法医学教授に頼み家族全員のDNA型親子判定をする。
その結果、二人ともが親ではなく、日本人としても稀な結果が出ていた。
母子手帳を持って当時の医院へ行く。そこは、昔はまだ未承認だった凍結卵子による顕微授精もしていたとブログや -
Posted by ブクログ
ネタバレ2022/10/20リクエスト 3
久しぶりにこれ程没頭できる本を読んだ。
ぶっ続けで5時間ほど。
なんとレビューを書くべきなのか、わからない。
血縁とは、親子とは、家族とは…
かつて子どもの取り違えは現実にあったと本で読んだことがある。授精卵の胚移植なら、お腹の中ですでに成長していて、この段階で、すでに我が子だと母親は感じるだろう。
生みの親より育ての親、というように、遺伝子だけの繋がりよりも育てるということのほうが、親子であり家族だと感じるのではと思う。
でも、国籍まで変わっていたら?
それでも、今更愛情を注ぐことを止めることは、できないだろう。
医大生の菜々子は、自分の血液型が両 -
Posted by ブクログ
北海道ならではの文学があると思う。そしてそれは女性作家によって紡がれる系譜のような気がする。たとえば、三浦綾子、桜木紫乃といった作家たち。そして谷村志穂もその系譜に連なる人物ではないだろうか。北国を舞台にしたどこか現実と隔絶したように(関東生まれ関東育ちには)感じられる物語。上下巻からなる『海猫』もそうした魅力を十分に含んだ長編小説。
物語は漁師町に嫁入りする薫から始まる。ロシア人を父にもつ美貌の薫はそれを疎ましく思いながら生きてきた控えめな人。でも心の芯に熱いものをもっていて義弟と心から愛し合う仲になり、物語の中盤で二人は心中するかのように同時に命を投げる。後半は薫が残した二人の娘、美輝と美 -
Posted by ブクログ
北海道ならではの文学があると思う。そしてそれは女性作家によって紡がれる系譜のような気がする。たとえば、三浦綾子、桜木紫乃といった作家たち。そして谷村志穂もその系譜に連なる人物ではないだろうか。北国を舞台にしたどこか現実と隔絶したように(関東生まれ関東育ちには)感じられる物語。上下巻からなる『海猫』もそうした魅力を十分に含んだ長編小説。
物語は漁師町に嫁入りする薫から始まる。ロシア人を父にもつ美貌の薫はそれを疎ましく思いながら生きてきた控えめな人。でも心の芯に熱いものをもっていて義弟と心から愛し合う仲になり、物語の中盤で二人は心中するかのように同時に命を投げる。後半は薫が残した二人の娘、美輝と美 -
Posted by ブクログ
久しく恋愛小説から離れていたので肩慣らしのように選んで読んだ一冊。好きだった作家の作品ばかりなので、読後感はいい。恋愛小説を読むと自分の日常すら物語のように言語化されていく感覚を思い出した。でも長いこと離れていたので恋愛小説特有の「におい」に鈍感になっていた。寂しいにおい、切ないにおい…。読みすすめる中で少しは鼻がきく状態に戻っているといいが。
ミーヨンさんの作品は私には少し理解に時間がかかったので、また読み返すと思う。全体的に「次読んだとき、前とは違う感想を抱くだろうな」と思わせられる作品ばかりだった。
ただ最近「百合」の作品も読むようになったせいか、作中の女友達との関係が百合的な関係に思わ