谷村志穂のレビュー一覧

  • 海猫(下)

    Posted by ブクログ

    函館から漁師町の南茅部に二十歳で嫁いだ薫を中心とした、女三代の大河小説的物語。
    ロシアの血を引き、美しすぎるゆえ孤立してきた薫。邦一という漁師の男と出逢い結婚して子どもももうけるが、数年後、薫の運命の歯車が狂い出す。
    上巻は薫、下巻は薫の二人の娘が中心となった小説。

    解説で小池真理子さんが「色香に満ちた作品である」「ここまで色っぽい小説にはめったにお目にかかれない」と書いているのだけど、その意見にまず頷いた。
    性的なシーンもけっこう多めの小説ではあると思うけれど、色香が立ち上ってくるように感じるのはむしろ、薫や二人の娘の清廉さが描かれているシーンだったりする。
    無機的なまでに美しい女性の描写

    0
    2016年09月23日
  • 3センチヒールの靴

    Posted by ブクログ

    谷村志穂さん。読みやすい短編集。少し短いようにも感じたので次は長編小説を読もうと思う。
    パリの話が良かった。青い風船と白い犬の話です。

    0
    2015年10月10日
  • 海猫(上)

    Posted by ブクログ

    ロシア人とハーフの女性が南茅部の街に嫁いでという普通の滑り出しで始まった物語。函館の風景や昆布漁の描写で心和んでいたのも束の間、とんでもない展開が繰り広げられていく。
    添い遂げることの難しさであったり、心模様に蓋をして生きていくことの辛さであったり、葛藤を抱えている人が多すぎ。複雑に絡み合った糸がどうなっていくのか
    下巻を読むのが怖い気すらしてくる。
    これこそ、怖いもの見たさなんだろうね。

    0
    2015年04月11日
  • 尋ね人

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    恋人も仕事も失って故郷に戻ってきた李恵と
    末期ガンとなり、それでも普通に生活をしようとする母・美月の
    やりとりや、お互いを思い合う気持ちに胸がくるしくなる
    洞爺丸遭難事故が生々しく蘇り、関わり
    母の恋と自分の恋、感情のやりとりがやるせない感じ
    函館の街の美しさと閉塞感が手に取るよう
    夢中になってページをめくっていました

    0
    2015年04月05日
  • 余命

    Posted by ブクログ

    自分もそうなったら治療しないんだろなと思ったけど、どれが正しいのかはよくわからない。
    DVDも見た。涙が止まらなかった。

    0
    2015年04月05日
  • 尋ね人

    Posted by ブクログ

    物語の舞台になっている函館の街に行ってみたくなった。

    函館山や市電、消え去ろうとしている洋館などは勿論なのだが、佐藤泰志の作品とも共通するどこか他の都市とは違う時間の流れ方、田舎の長閑さとも微妙に異なる日本の近現代の歴史と連なりながらもゆっくりと時を咀嚼して噛みしめてきたような雰囲気がある。半世紀前の母親の過去と娘の現在が交錯して織りなす物語の舞台として函館の街はとても似合っている気がする。

    書店でこの文庫本を見かけたとき、正直いって手に取るのを少し躊躇った。今までこの書き手の作品は2冊読んでいて、最初に読んだ『黒髪』が「渾身の」といってよい大作だったのに、扇情的なといったら

    0
    2015年03月04日
  • 自殺倶楽部

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    中学のころ、ずっと死にたかった。
    でも死ぬのが怖かった。
    もし死ぬための部活があればいいなと思ってた。部活でみんなで死ぬなら、勢いがついていいかなと思った。
    でもみんなで死んでもやっぱり怖くて、生き残っても怖くて、
    生きてることも死ぬことも怖い、ってわかった。

    主人公に倣って、世の中、といっても手の届く範囲、のものを、ヒカルモノ、と、ヨドム、にわけたのが、懐かしい。

    0
    2014年04月08日
  • ベリーショート

    Posted by ブクログ

    谷村志穂さんの本自体初めて読みましたが、主人公の女の子達が何となく、山田詠美さんや、よしもとばななさんの書く女の子に似ている感じがしました(主人公の雰囲気や心理描写です。内容や、言葉の使い方、文学的要素は似てないと思います)。

    あまりにも短い短編なので、文学的な思考をめぐらせて読むような本ではないです。気楽に短時間で一編読むことができます。高校生の心情や出来事をとらえた、甘く切ない本です。恋愛系の話が多いです。私も高校生ですが、こういう恋愛してみたいと思い、キュンとしたり切なくなってしまったり一喜一憂してしまいました。今が高校生だからこそ、共感できる部分も多いな、と思います。

    案外こういう

    0
    2013年07月11日
  • 余命

    Posted by ブクログ

    冒頭にある通り、「ある夫婦の物語である」だな。
    闘病小説でも、出産小説でもない、ある夫婦がいかにして夫婦であり続けたか。
    そ~ゆ~物語だ。
    新たな命と、癌と。
    二つを同時に自らの体内で育てた、妻と
    その妻を妻たらしめた夫。
    究極だな~。究極。
    夫の不在。妻の永遠の不在さえ、「夫婦の物語」を損なうことがない。

    こんな風に、全てを受け止めて、あるがままであることを許してくれる人が
    側に居てくれること。
    女性にとっては、永遠の憧れだ~。

    またまたミルキーウェイ文庫♪
    いつも、ありがとう♪

    0
    2013年06月24日
  • ベリーショート

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    高校の文化祭の時に、経理の係りで図書室に缶詰だった時に1日で読み終わりました。短い短編集で読みやすかった。
    甘酸っぱい内容が盛りだくさん。

    0
    2013年06月27日
  • 余命

    Posted by ブクログ

    感動した。脳梗塞で私は二度倒れた。そのたびに家族に八つ当たりの毎日だった。滴の孤独に耐える姿に涙がこぼれた。小説で涙を拭うのは余命幾ばくもない私なのに、初めてだ。出産のシーン描写に、男に生まれてよかったと思うと同時に、そのエクスタシーも味わってみたい、とも思った

    0
    2013年05月24日
  • 海猫(下)

    Posted by ブクログ

    薫と広次にもう少し幸せな時間を与えて欲しかった。こんな展開になるんじゃないかとちょっと予想していたけどあまりに哀しい終わり方でちょっと淋しかったです。

    しかし物語自体はタミがすごくいい亡くなりかたをしたのがよかった。

    しかしこんなに繊細で、ダイナミックで、冷たくて、情熱的な作品に出会うことはなかなかないと思う。本当に素晴らしい作品でした。

    0
    2012年05月04日
  • 余命

    Posted by ブクログ

    最初は映画化されることを知っても、あまり興味がなかったのです。で
    も、今ごろ、この本を読んだ人のレビューを見て、読みたくなりました。

    外で読むものではありません。
    何度も涙がこみあげてきて、その都度、そっと息をついて気持ちを落ち着かせながら読みました。フィクションなのに、途中から何度もノンフィクションなのではという錯覚に陥ったのでした。

    夫にも友人にも誰にも言わないという選択をした滴。
    不安も絶望も自分の中に秘めて、誰にも何も話せない。
    いつの間にか主語が滴じゃなくなっていることもしばしば。
    いつかは誰もが迎えるものだけれど、日常でそれを意識し続けている人はきっと少ない。
    そんな中で、自分

    0
    2012年02月21日
  • 海猫(上)

    Posted by ブクログ

    女は強くて、男は弱い生き物、、、。
    そんな事を感じる上巻。

    久しぶりに引き込まれて一気読み♪

    下巻が楽しみぃ。

    0
    2012年02月06日
  • 余命

    Posted by ブクログ

    ようやく子どもを授かり、幸せの絶頂のはずだったのに同時に乳癌の発症を発見してしまう外科医の女性の話。
    自分の命を削り、誰にも乳癌のことを話さないで子どもを産む彼女の姿に涙が止まりませんでした。

    0
    2011年04月06日
  • 余命

    Posted by ブクログ

    外科医・百田滴は、結婚十年目に妊娠した。喜びも束の間、彼女はがんの再発を知る。その事実を胸に秘め、売れないカメラマンを続ける夫に苛立ちをぶつけた。深夜に心の深淵を覗き込んでは身を強ばらせた。だが、滴は独りで生きてきたわけではなかった。暖かな愛情が、震える魂をそっと包んでくれた。ひとりの女性の愛と覚悟を描き、生きることの意味をあなたに問いかける、傑作長篇。



    うーん
    考えさせられます。
    自分も子供を持って初めて感じる気持ちです。
    自分なら・・・・・
    どうする????

    0
    2010年03月12日
  • 海猫(上)

    Posted by ブクログ

    ロシア人の間の子と母タミとの間に生まれた 海猫のような目を持つ
    美しい女、薫が南茅部の漁師、邦一のもとへ嫁ぐところから物語は始まる。登場人物が何人も出てくるが、その一人ひとりが細かく、しっかりと描かれている。南茅部の寒い寒い漁村は行ったことのない私でも想像できるくらいの素晴らしい描写。
    映画を先に観たので「不倫」とか「禁断の愛」とか、わりと俗な感じの小説だと思っていたら全然違っていて、初めての作家だったが、言葉の遣い方もすごく好きだった。
    余談だが、邦一という男は、いかにも強引な感じがして、佐藤浩一というキャスティングはピッタリだと思った。

    0
    2009年12月06日
  • 海猫(下)

    Posted by ブクログ

    下巻は薫が二人目の子(邦一の子供として生んだが、実は広次の子)を出産し、美哉となずけたところから始まった。
    出産後、夫婦の仲はますますぎくしゃくし、薫は邦一の愛を恐れるようになり、離婚も考える。だが邦一の執着は益々ひどくなり、ついには柱にロープでしばられ監禁されるしまつ。
    それをしった広次は薫と二人の子(美輝と美哉)を連れて逃げようとするが、邦一につかまり結果、命を落としてしまう。
    後半は美輝と美哉の人生に焦点があたる。
    彼女らも母親に負けず劣らずの波乱万丈な人生を歩く。
    最後はタミを中心にした家族の絆。

    親子3代(暁生を入れたら4代)の壮絶な生き様と函館の海と教会など自然描写がまるで、映像

    0
    2009年12月06日
  • 海猫(下)

    Posted by ブクログ

    広次と薫の恋は、壮絶な結末を迎えた。それから十八年後、薫の愛したふたりの娘は、美しい姉妹へと成長していた。美輝は北海道大学に入学し、正義感の強い修介と出会う。函館で祖母と暮す美哉は、愛してはいけない男への片想いに苦しむ。母は許されぬ恋にすべてを懸けた。翳を胸に宿して成長した娘たちもまた、運命の男を探し求めるのだった。女三代の愛を描く大河小説、完結篇。島清恋愛文学賞受賞作。



    なんでしょうね。
    科学的にはそのことは証明できない・・・ってことになるのかもしれないところがあるような気がします。
    ただ、証明できないからいいんじゃない??
    それが人間らしいし。みたいにも思い、科学ってすごい!と考え

    0
    2009年11月20日
  • 海猫(上)

    Posted by ブクログ

    女は、冬の峠を越えて嫁いできた。華やかな函館から、昆布漁を営む南茅部へ。白雪のような美しさゆえ、周囲から孤立して生きてきた、薫。夫の邦一に身も心も包まれ、彼女は漁村に馴染んでゆく。だが、移ろう時の中で、荒ぶる夫とは対照的な義弟広次の、まっすぐな気持に惹かれてゆくのだった―。風雪に逆らうかのように、人びとは恋の炎にその身を焦がす。島清恋愛文学賞受賞作。



    勝手な思い込みですが、北国!
    漁師の生活・・・って感覚はすごく感じますね。
    寒い、つめたい環境の中の人間の温かさ・・・そんなものも見えるような。。。
    下巻に期待!!!

    0
    2009年11月19日