【感想・ネタバレ】移植医たち(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

目の前で失われてゆく命を救いたい。臓器移植を学ぶために渡米した男女三人の医師を待ち受けていたのは、過酷きわまりない現場だった。時間との闘い、そして拒絶反応。幾つもの笑顔と出会い、数え切れぬ苦さを噛みしめ、彼らは帰国。北海道で専門外科を立ち上げる。だが、日本に移植医療を根付かせるのは想像以上に困難だった。徹底取材の上に築かれた、圧巻の人間ドラマ。(解説・海堂尊)

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Posted by ブクログ

最後まで、興味を持って読み進んだ物語だった。
アメリカでの奮闘、日本へ帰ってきてからの質の違う難しさ、どちらもよかった。サワダ先生が魅力的で、その存在が物語の厚みを増してるなと思う。

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2024年12月20日

Posted by ブクログ

何から伝えたら良いかわからないから、作者にありがとうを言おうと思う。
医療の本を読むのは、その時の自分の気持ちに左右されるから、とっておいて何かあったら繰り返し読むようにしている。
前の私は、受け入れられなかったのかな。今も、もちろん逃げたくなることあるけど。
自己犠牲の究極の先に、いかに効率よく必要なエネルギーを取るかってことになってきて、缶詰に辿り着くのわかる。缶詰収集が趣味なんて話聞いたことないし、自宅でお茶を立てるのも面白い。すごい緊張感のある職場では、いちごキャンディのような一粒の癒しが必要なんだよね。
佐竹山のようなエネルギッシュさ、王道をいく感じ、古賀のようにとにかく効率よくイケメンでモテるタイプは自分とは違うからかな。やっぱりサポートに回るサワダや、裏方に回される凌子先生に対して感情移入してしまう。

"Keep on enjoying what you do, my maverick Dr."
「おそらくそれを誰にも言えなかったはずですよ。それが先頭をゆく者の宿命なのです。」「新しい扉を開く人に必要なものって、たぶん何があっても戦い抜く覚悟なんでしょうね。」
「セイゲルから教わったことは、究極なまでにシンプルだった。一つの命に執着し続けること。」

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2024年04月29日

Posted by ブクログ

ずっと読みたいと思っていて、いつも利用する書店とは別の書店で発見して購入。通勤・退勤時間に夢中になって読んだ。
医師では無い人がここまで、医師の心情はもとより手術の手技の仔細、日本やアメリカの医療体制事情、移植の歴史や日本の法律・世論・悪しき慣習に至るまで緻密に描き切ることができるということに驚いた
そしてやはり著者の作品の説得力に心を打たれた。「余命」を初めて読んだときと同じような感情が湧いてきた。

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2023年09月10日

Posted by ブクログ

読み終わって何年経っても忘れられない1冊。
日本で移植され始めたのは最近。
移植が始まるまでどれだけ大変だったかすごくよく分かる。

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2022年11月13日

Posted by ブクログ

臓器移植に挑む医師たちの物語。移植外科医として有名なDr.セイゲルの元に集まった日本人医師たちがアメリカで臓器移植について研鑽し移植治療がまだ定着していない日本において移植を進めていく。アメリカでの佐竹山や古賀、加藤らの働き方は自分じゃ到底できないと思った。でもそこまでしないと得られない技術なんだろうな。
古賀の彼女が阪神淡路大震災で肝破裂しアメリカで治療しようとヘリに乗せるも間に合わないシーンはそれまでの2人の関係性もあってグッときた。

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2024年02月07日

Posted by ブクログ

臓器移植先進国アメリカに渡り、移植医療を学ぶことを決意した三人の移植医たち。
生活の全てを捧げるような過酷な現場で、三者三様に、救えなかった命、研究のために失われた命、多くの葛藤を乗り越えてゆく。
やがて、日本で移植を待つ患者を救うためにアメリカでの成功を投げ打って帰国した三人の前に立ちはだかる、理不尽な厚い壁…


目の前に臓器移植でしか命を繋げない患者がいて、二度と目覚めることのない人の健康な臓器があったら、何故使わないのか。
健康な人の臓器にわざわざメスを入れる生体移植の方がナンセンス。
アメリカで臓器移植の経験を十分に積んでいても、国内ではその経験が認められない。
…などなど、ハッとさせられるような、知らなかった事が多く、全体に重く苦しい物語ながら、ぐいぐいと読まされた。
面白かった。

………今の日本は、この物語の時代から、どこまで進んでいるんだろう?もし自分が、家族が、移植にしか救いの道がない状況になったとしたら…?

うむむ、不健康で経年劣化もある内臓ですが…臓器提供カード、書こうかなあ……

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2023年09月10日

Posted by ブクログ

移植黎明期から本邦での移植医療へのつながりが非常に興味深かった。また、脳死ドナーが少なく生体ドナーに頼っている本邦の移植医療に対して、Dr.セイゲルの「亡くなったものの臓器が使えるのに、なぜ生きたものの肉体にわざわざ苦痛とリスクを与えるのか。」というセリフには考えさせられた。

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2022年04月17日

Posted by ブクログ

一気に読まされました。彼らがあれほどの過酷な生き方を選んでいるのは使命感なのだろうか?カネや名誉などの欲では決して出来ないことだと思う。圧倒されました。

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2021年07月19日

Posted by ブクログ

ボリューム、といってもページ数ではなく、内容の濃さと重さから読むのにとても時間がかかってしまった。
移植医療の内容と現状がよくわかる。
あと、その医師たちの内面の葛藤や関係など、壮大な人間ドラマで、読み終わったあと、マラソンを走った後の疲労感に近いものがあった。

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2020年10月20日

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米国ピッツバーグ大で、臓器移植を学び、初期の日本の臓器移植之先駆けとなった医師たちの苦闘を描く。フィクションだそうだが、かなりの部分が本当にあった事ではないかと、思ってしまう。物凄く面白かった。

いつ脳死が発生するか分からず、常に待機していなければならないとか、10時間にも及ぶ手術に耐えられる気力体力が必要だったりする激務。医者なんて高い給料もらいやがってと思っていたけれど、登場する医者たちはそれだけの仕事をしていた。

他にも免疫抑制剤の開発や移植コーディネーターの活躍など読みどころ多し。

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2020年11月24日

Posted by ブクログ

近年、病院に通う事が多かった身としては深い感慨を覚える。
命、と言うには大き過ぎるかも知れないが目に見える見えないは別として人は確かに受け継がれてれいくものなのだと感じる。
移植と言う目に見えるわかりやすい形で生命のリレーと日々闘っている人達のそれぞれの物語がピッツバーグや北海道の大自然の中で繰り広げられる。
帰国の日、たまたま出会した恩師から貰った「何処にいても、ベストを尽くしなさい」と言う言葉は普遍だろう。人は与えられた場所でベストを尽くす事しか出来ないしそれに集中すべきだと。

佐竹山先生は鈴木亮平さん、古賀先生は真剣佑さんで。凌子先生は竹内結子さんか蒼井優さんあたりで。映画化希望します。

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2020年07月04日

Posted by ブクログ

長編。前半はピッツバーグでの修行時代をノンフィクション的に綴っていて、あまりワクワク感はなかった。後半。日本に戻って人間ドラマが展開され、俄然前のめりになった。移植に対する日本の古い考え方、責任逃れ、マスコミの陰湿さ。その環境で、可能性をひたする追求する強さをひしひしと感じた。2020.6.27

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2020年06月27日

Posted by ブクログ

脳死の概念が浸透せず、臓器移植が広がらなかった日本。そこに移植医療を持ち込む医師たちの実話をもとにしたフィクション。どんな逆境に立たされても困難に立ち向かい続ける彼らの姿勢に胸を打たれる。彼らのような人たちがいるから今日の日本の医療がある。

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2020年05月26日

Posted by ブクログ

日本の臓器移植医療の黎明期を駆け抜けた医師たちの物語。医学とは、このようにして進歩して行くんでしょうね。5人の医師の個性が光ります。その中でも個人的にはサワダ先生が一番カッコいいかな。

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2020年03月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

移植医療に関して、日本に移植の道を切り拓いた医師たちの話。
ピッツバーグの移植の権威セイゲルの元に移植を学びに行く日本人医師。一年で学び日本に帰る予定だったが、十年以上もアメリカで過ごし、北海道で移植医療を立ち上げることになる。
アメリカでは、脳死した人から臓器移植を行い、次の人に命をつないでいく。いかに移植やその後の拒絶反応も前向きなチャレンジとして、描かれている。激務ではありながら、一つ一つ課題を乗り越えていくポジティブさがある。異種間の移植を試みることになった患者は、人類の発展のために貢献したくなったと言う。
後半日本に帰って日本に移植医療を根付かせようとしていくが、倫理的な面や新しい変化を拒む古くからの体勢、責任を取りたくない病院諸々があり、命を救うことに向き合うことができないでいる。その中でも少しづつ体勢や理解ある人を増やしていく。
移植は単なるお金の問題だけではない多くの困難と支える多くの人々がいるということを理解させる。

話は面白かったし、知らない世界にも触れることができてよかった。長い話ではあるが、どんどん読み進める。壮大すぎて、一つ一つばらばらかなあという気もする。もう少し個々のエピソードとか深く知りたかったと思う。

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2025年08月31日

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