紅玉いづきのレビュー一覧
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そっと心の中に物語世界が残り続ける、そんな、しっくりくるとしか云えないようなおはなしが、たまにある。
前作『ミミズク』からまとめて読んだのは、良かったのもあるし少し勿体無いことをしたかな、とも思った。それくらい心地良い、物語の、世界。
テーマ的にも前作を踏襲した部分はありつつ、けれど主人公である少年少女は、その生い立ちは別として前作よりも人間らしい繋がりかた、ぶつかりかたをしているので、よりそれが鮮明になってるのかもしれません。
あとがきに「ボーイミーツガールを書こう、と思いました」とあるとおり、とてもストレート。搦め手無しの御伽噺はさすがでした。
なんだか皆の成長 -
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SNSのコミュニティ「現代詩人卵の会」のオフ会に集まった9人。10年後の再会を約束し集まった時に、その半数が既に亡くなっていることを知る。
彼らは何故死ぬことになったのか。詩は彼らの死に関与するのか。そして何故詩を書くのか。
詩を書くことに疑問を抱くようなっていた僕は、彼らの死について調べることにした。
全編に「何故」という思いが満ちた物語。その「何故」がミステリとしての骨格を持ちながら、詩に対峙する僕の心情に影響を与える。
詩人の死は自死、変死が重なり、遺された親しい人たちに話を伺い真実をさらけ出すことは、新たなキズを生み出すことにもなる。それでも僕は知りたいと思う。
何故そこまで知りたい -
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紅玉いづきの「ミミズクと夜の王」のコミカライズ。
ミミズクってこんなに可愛らしかったっけ。読んだときは、可愛らしさよりも精神の危うさの印象が先に来て、不安定な気持ちになっていた覚えがあります。
ビジュアルが与えるものってすごい。
純粋ゆえの危うさと可愛さなんだろうな、これは。その純粋さは、歪んでしまった歪まされてしまった結果ということがわかるから、不安定な気持ちだったのだけど。
一方で、夜の王はビジュアルが確定してしまったことで、神秘と恐怖を感じていた印象が薄まってしまっている。それもビジュアルがあるからのこと。
得体の知れないものに対する恐怖と、それから逃れるための崇敬が神秘さにつながっ -
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ネタバレ「ミミズクと夜の王」の続きの話。
まさか続きが出るとは思ってもみなかったので、とても驚きました。
そして、尊いと思う本ほど、大事に保存したがりな私なので、大事に大事に保存しすぎて、読むのが今に至ってしまった。
物語は、占により捨てられ、占により隣国へ嫁ぐことになった、呪いを吐く「毒吐姫」の話。
彼女が嫁ぐ先がディア。(ミミズク読んだことのある人が読めばいい)
国に振り回された彼女はなにものも信じず、すべてに毒を吐くことで自分の居場所を得ていたため、押し付けられた状況の変化をうまく受け入れられずにいた。
嫁いだ先にいたのは、与えられた道を自分の道として受け入れた人たちで――
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ネタバレ読後にまず思ったのは「小説の神様」であって「小説家の神様」じゃないんだ、ということ。小説に関わる人――書く人、読む人、売る人、評する人――すべての人の神様なんですね。だから、小説家以外の人達にも「小説の神様」と関わる物語があって、それぞれの人たちが小説と真摯に向き合って……というお話が生まれ、小説好きな私はそうしたところで本作が気にいったんだろうな、と思いました。
個別の作品で言えば、収録作群の中では異色に映りますが「モモちゃん」が一番気に入りました。ラノベテイストに最初は違和感を覚えましたが、自作の世界に入り込んで自分の描写力の無さや知識の浅さを身をもって痛感するところなど、それこそ宮沢賢 -
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ファンタジックで心優しいお話を読んだ。お天気がいい休日にふさわしい、現実離れをしたお伽噺ふうの世界が広がっていた。
電撃大賞受賞作、電撃文庫と言うのは、門戸の広い印象を受けた。
人間の世界で奴隷でも最下層の仕事をしていた少女は、手足に鎖をつけたまま森に逃げてくる。そこは魔王が治めていた。彼女は自分をミミズクだと言って、魔王に食べてもらいたいと思っていた。懇願してみても魔王は人間は食べないと言って断る。少女はなぜか魔王が恐ろしくない、できれば食べて欲しいと思いながら、次第に馴染んでいく。
森のある国を収めている王様は魔王を捕まえて、殺してしまいたいと思っていた。聖なる剣士と呪術師たちは -
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ネタバレ跳ねっ返り少女と過去に闇を抱えていそうなおじさん、上司と部下、身分差、父と娘の葛藤、中央と前線、事件は会議室で起こってるんじゃない!現場で起こってんだ!を地でいく主人公、と萌えそうな設定がてんこ盛りです。嫌いじゃない。
原作だと駐屯兵団ってなかなか日常の業務にスポットが当たらないけど、このスピンオフでは壁の中の彼らがどんな思いでどんな暮らしをしていたのかがしっかりと描写されているため、原作を楽しむ視点が増えると思います。冷酷なジャックスが段々と賢いロザリーに絆されていく過程は少女漫画かよ〜って思いましたが萌えるからよし?続きに期待。 -
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時間がなくて、積んでた本を読む。
いや、正しくは感想を書いてなかっただけで、本当に積んでいたわけではない……
それはさておき。
今日もう一回読んだので書こう。
物語は、新聞記者見習いと箱娘のお話。
「箱娘……?」と、なりましたが、「箱娘」とはなんなのか、はこの巻だけでは語られていなくて、きっとこの先に語られる話。今はただ、箱にまつわる出来事をどうやこうやできる少女――くらいの認識でいいのだと思います。
そして話は短編形式で、一冊の文庫本の中に4つくらいの話が入っています。
すべてが女の話で、「生きてこそ」であって、「死んではいけない」のでした。
何を言っ