紅玉いづきのレビュー一覧
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ネタバレ・サルバドールの落ちこぼれ、トト
・「兄さんと妹と死ぬまで一緒にいなくちゃいけないらしいわ」
■1章
pp1-73
サルバドール一派の愚かなる劣等生トト。彼女は生来の才能の無さからそうした恥辱に甘んじていた。ついにはサルバドールから追放される、という話も持ち上がる。
「もう魔法などできなくてもいいのよ」と言って欲しかった母にも、望む言葉はかけてらえず癇癪を起こしてトトは走り出す。
行く先には一族に伝わる禁書の棚。その最奥、封印された鍵を壊し、敢えて扉を開いてしまうトト。暗闇に確かに息づく魔物が彼女の耳だけを攫っていく。倒れる直前に彼女は水色の玉を見る。それは魔物の瞳なのである。
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Posted by ブクログ
ネタバレ自殺した詩人たちのことを調べる「探偵くん」。なぜ死んだのか、死なないと詩人になれないのか、生きて詩を書くことはできないのか。調べたからといって答えはないし、「謎を解いて遺された人を救う」なんてことにもならない。遺されたひとの「どうして」は永遠に解消されない。
どうしてそこまで拘るのだろうと、途中からちょっと思い始めてしまったけれど、最後で腑に落ちた。
「生きて、書いて、いいんだよ」
棗のようにそう言ってしまいたくなるし、そう言うしかないと思う。
その、棗。
健康的で、なんでも持っていて、いつだって日の当たる場所をなんの疑問もなく歩いていける、だいきらいな親友。
棗の執着は、本当に草間の思った -
Posted by ブクログ
ネタバレとても美しいお伽噺。
何も持たないミミズクの世界に色がつき、名前がつき、自分で自分を選びとるまで。無駄なところがなく清々しい。
周りのひとたちがみんないい人すぎるけど!
王様はもっと悪いかんじで終わるのかと思ったら、ふつうにいい人だったよ。まあそれでいい話なのだろうなあ。
あとがきで、大人になったら忘れられてしまってもいい、一瞬だけ心を動かすものがあれば、そういうはなしが書きたい、と作者が書いていて、何かとても、色んな気持ちを思い出した。すごく心を揺さぶられるとか、ヒリヒリするとか、そういう感覚。長いこと蓋をしていたんだなあと思った。
子どものころに出会っていたら、人生の1冊になっていたか -
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Posted by ブクログ
この作者さんの本読むの初。
CDで言えばジャケ買いです。表紙かわいい
『箱娘』『今際女優』
『放蕩子爵』『悪食警部』
の4編で構成された一冊。ライトノベルですね。
タイトル通り、大正が舞台です。
大正モノ結構好きなんですが、時代考証がびみょうかな……要素を「挟んでる」って感じで、時代背景を感じるようではなかったかな
描きたいものの周辺事情だけ拾ったみたいな?
具体的には、女性の立場は何度も描かれてるけど、家長制度はふんわり、といったような。
あと、こだわった表現で埋め尽くされてる感じが……普通の文の中にひとつ、ぽろっとあると輝くような表現が、ぞろぞろ出てきててぎらぎらしてるとでも言います -