紅玉いづきのレビュー一覧

  • MAMA

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    ・サルバドールの落ちこぼれ、トト
    ・「兄さんと妹と死ぬまで一緒にいなくちゃいけないらしいわ」




    ■1章
    pp1-73
    サルバドール一派の愚かなる劣等生トト。彼女は生来の才能の無さからそうした恥辱に甘んじていた。ついにはサルバドールから追放される、という話も持ち上がる。
    「もう魔法などできなくてもいいのよ」と言って欲しかった母にも、望む言葉はかけてらえず癇癪を起こしてトトは走り出す。

    行く先には一族に伝わる禁書の棚。その最奥、封印された鍵を壊し、敢えて扉を開いてしまうトト。暗闇に確かに息づく魔物が彼女の耳だけを攫っていく。倒れる直前に彼女は水色の玉を見る。それは魔物の瞳なのである。


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    2019年07月09日
  • 現代詩人探偵

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    自殺した詩人たちのことを調べる「探偵くん」。なぜ死んだのか、死なないと詩人になれないのか、生きて詩を書くことはできないのか。調べたからといって答えはないし、「謎を解いて遺された人を救う」なんてことにもならない。遺されたひとの「どうして」は永遠に解消されない。
    どうしてそこまで拘るのだろうと、途中からちょっと思い始めてしまったけれど、最後で腑に落ちた。
    「生きて、書いて、いいんだよ」
    棗のようにそう言ってしまいたくなるし、そう言うしかないと思う。

    その、棗。
    健康的で、なんでも持っていて、いつだって日の当たる場所をなんの疑問もなく歩いていける、だいきらいな親友。
    棗の執着は、本当に草間の思った

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    2019年07月06日
  • ミミズクと夜の王

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    とても美しいお伽噺。

    何も持たないミミズクの世界に色がつき、名前がつき、自分で自分を選びとるまで。無駄なところがなく清々しい。
    周りのひとたちがみんないい人すぎるけど!
    王様はもっと悪いかんじで終わるのかと思ったら、ふつうにいい人だったよ。まあそれでいい話なのだろうなあ。

    あとがきで、大人になったら忘れられてしまってもいい、一瞬だけ心を動かすものがあれば、そういうはなしが書きたい、と作者が書いていて、何かとても、色んな気持ちを思い出した。すごく心を揺さぶられるとか、ヒリヒリするとか、そういう感覚。長いこと蓋をしていたんだなあと思った。
    子どものころに出会っていたら、人生の1冊になっていたか

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    2019年05月28日
  • 悪魔の孤独と水銀糖の少女

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    愛する喜び。それを失う悲しみ。
    突き詰めると、この感情の動きが全ての根源にある、という物語なのか?主人公二人に限って言うと。
    ただ、愛という感情の高まりの結果が、復讐に収斂されるというのが、救われないなぁと思います。それを望む悪魔の存在もあってこそか。

    愛できらめいていた過去に囚われたシュガーリア。
    決して手に入らないきらめきを求め続けるヨクサル。
    二人の出会いと結末は、終わりと救いのない物語の始まり、と感じました。

    そんな中で、唯一の救いは小枝の彼。
    想いは果たされた。

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    2018年10月13日
  • 悪魔の孤独と水銀糖の少女

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    孤独を好む悪魔に憑かれた男ヨクサルと、死霊術師の孫、シュガーリアの童話めいた物語。島を舞台に物語が展開していきます。話が進むうちに伏線が見事に解かれていくのは見事。
    冒頭、孤独と閉鎖的な薄暗さがありましたが、終盤は白い羽と共に明るいものへと変わります。
    続き書けそうです、あれば読みたいですね。

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    2018年06月17日
  • 現代詩人探偵

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    6月から秋にかけての物語なのですが、物語全体に纏わりつくような雨の気配が金沢らしい。金沢駅から香林坊まで歩いたことがある人は、思いあたる場所がたくさんあって楽しいと思います。犯人が追い詰められる崖の上や、2時間ドラマの殺害現場以外の石川県が読みたい人に。

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    2018年06月14日
  • 悪魔の孤独と水銀糖の少女

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    最初、全然集中できなくて一度置いた。読み始めるまでにも少し置いたくらいなのに。結局買って2週間くらいあいてから読んだ。ようやく集中できて、がっと読めた。
    半分を越えたあたりでだいぶ本の世界に入れて楽しかった。結末は全然考えてもなくて、そうだったのかー、と思いながら読んだ。
    毒吐き姫から7年半経ったらしくて、もうそんなに時間が経つことにびっくりした。次はいつ読めるか、楽しみだなぁと思う。

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    2018年05月30日
  • 悪魔の孤独と水銀糖の少女

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    なんとなく結末は見えるものの、シュガーリアが可愛かったので問題なし。二人が1日でも永く共にいられますように。

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    2018年05月24日
  • 悪魔の孤独と水銀糖の少女

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    紅玉先生は、ちりちりと痛くてぐっと胸を締め付けられるような、そんな感情を描写するのが上手いなと毎回思う。今回の物語は背景描写が少なかったとは思うが、その分じりじりと熱い、キャラクターの想いを感じた。

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    2018年06月07日
  • 現代詩人探偵

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    ネタバレ

    私もミステリーに対してホワイダニットに重きをおく。その悲劇性か人間の心理が好きだし、なんだったらトリックやアリバイは二の次でいい。それは物語の探偵が解いてくれるものだ。
    主人公「僕」の異様なまでの探究心の正体を知った時、あぁ、と私は物悲しくなった。

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    2018年05月05日
  • ガーデン・ロスト

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    いつもはぬるま湯で時々冷水や熱水の弾けるような学生時代。子供ではいられず、大人には届かず、小さな世界で笑い悶え苦しむ。話す側から忘れてしまうような会話のなんと愛おしいことか。
    あぁ、懐かしい。

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    2018年02月07日
  • 大正箱娘 怪人カシオペイヤ

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    怪人カシオペイヤに絡んだ事件が3編の構成。結局「怪人カシオペイヤ」はある特定の個人ではなく、日本を変えようとする組織なのかもしれないと本文を見て思った。そして、その権力を握る「帝京」の存在とその中を自由に行き来することが出来る「箱娘」うららとは何者なのか?。読むたびに謎は深まるばかり。ともかく、続きが出ることがあれば、読みたいと思う。感想はこんなところです。

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    2017年09月15日
  • 大正箱娘 見習い記者と謎解き姫

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    【収録作品】箱娘/今際女優/放蕩子爵/悪食警部 
     大正時代の一見自由ながら息苦しい空気感が伝わってくる。今も変わらないのかもしれない。

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    2017年05月18日
  • 大正箱娘 見習い記者と謎解き姫

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    この作者さんの本読むの初。
    CDで言えばジャケ買いです。表紙かわいい

    『箱娘』『今際女優』
    『放蕩子爵』『悪食警部』
    の4編で構成された一冊。ライトノベルですね。
    タイトル通り、大正が舞台です。

    大正モノ結構好きなんですが、時代考証がびみょうかな……要素を「挟んでる」って感じで、時代背景を感じるようではなかったかな
    描きたいものの周辺事情だけ拾ったみたいな?
    具体的には、女性の立場は何度も描かれてるけど、家長制度はふんわり、といったような。

    あと、こだわった表現で埋め尽くされてる感じが……普通の文の中にひとつ、ぽろっとあると輝くような表現が、ぞろぞろ出てきててぎらぎらしてるとでも言います

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    2017年04月18日
  • 雪蟷螂

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    人喰い三部作の最終章。
    言われないと気付かなかったけれど、確かにそういうお話でした。
    愛しているから貴方を食べたい。
    激情にかられ狂おしいほどの愛。
    男性はどうなのか分からないけど、女性にとってそんな愛に出会えるのって幸せなことだと思いました。

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    2017年04月18日
  • MAMA

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     確かに感動的ではあるのだが、突き抜けていないせいでハマりきれなかった名作。
     前半部分は話のテンションが低過ぎて感情移入できなかったのが残念。内容的には強大な魔物の母親になろうとして孤軍奮闘する印象的な話であるのだが…。後半は呪われた石を手にしてしまった泥棒と偽妹との話。良い話ではあるが何分にも短すぎるのと本編のおまけ的要素として書かれていたことで物足りなかく感じてしまう。

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    2016年09月10日
  • ガーデン・ロスト

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    四人の女子高生の春夏秋冬のお話。
    女の子の友情大好きです。
    痛々しかったあの頃を思い出して胸が苦しくなった。
    特にエカとシバはまだ私の中にいる。
    マルとは趣味が一緒。
    オズが一番共感しづらかったかな。
    話の中で皆少しずつ成長していったように、変わらないものなんてない。から、失われたものはもう戻って来ない。
    花園に同じ花はもう咲かない。
    けどまた別の花が綺麗に咲くのだと思う。

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    2017年04月16日
  • 大正箱娘 見習い記者と謎解き姫

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    箱娘の存在、謎解き、キャラ、文体も含め作品全体が好み。箱や手紙に限らず、閉じた蓋を開けるのはちょっと怖い気持ちはわかる。資料としてあたったのが横溝正史だそうで納得。続編が楽しみ!

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    2016年05月31日
  • あやかし飴屋の神隠し

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    視えるだけの人と、創るだけの人。
    久しぶりに紅玉さんの本を読んで、少女漫画のようだなと思った。悪い意味ではなく。男性が主な登場人物だけれど、女性が思う綺麗な男性像というかサラサラしたキャラクターだと思った。語彙ぃ……。救っていく物語だけれど根にある仄暗さはやはり紅玉さんの文章の雰囲気を強く感じました。とても句読点が多いように感じたのですが前からこうでしたか…ちょっと読み返したい。
    主要キャラが救われたような雰囲気を出しつつ、スタートに立ったところで終わっている気がするので続いていくことを期待します。

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    2016年05月19日
  • 大正箱娘 見習い記者と謎解き姫

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    散文詩のような文体が心地良い。
    箱入り娘ではなく箱娘。箱とは自由を奪うもの束縛するもの象徴なのかな。大正時代の女性の社会的な立場や因習に縛られた扱われ方を批判的に描いている。
    上野千鶴子や笙野頼子の著作に近い雰囲気を感じるが、最も近いのは“大正野球娘。”じゃないかな。
    “今際”は物語としてとても面白かったし“放蕩”では出来事よりも紺の人物像に肉付けすることが中心になっていてかなり面白かった。

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    2016年04月27日