あらすじ
「あなたを愛するために、ここまで来たんだもの」
黒い海を越え、呪われた島にやってきた美しい少女、シュガーリア。今は滅びた死霊術師の忘れ形見である彼女が出会ったのは、大罪人の男、ヨクサルだった。彼は無数の罪をその身に刻み、背負う悪魔は、『孤独を力にかえる』という──。
「あんた、何様のつもりだ」
「わたしはシュガーリア。この世界で最後の……死霊術師の孫娘よ」
愛など知らない男と、愛しか知らない少女が出会った時、末路を迎えたはずの物語が動きはじめる。
水銀糖の少女の、命をかけた最後の恋は、滅びの運命に抗うことが出来るのか。
感情タグBEST3
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「さみしいヨ」
愛など知らない男と、愛しか知らない少女が出会った時折、末路を迎えたはずの物語が動きはじめる。水銀糖の少女の、命をかけた最後の恋は、滅びの運命に抗うことが出来るのか。ーーーーー
登場人物みんな、他人に心を寄せながら、自分勝手に生きている。背負う物語はそれぞれに凄惨なのに淡々としているのは、諦めにも似た覚悟なのかと感じた。そこにそうあった、それだけの。地の文は詩的でサラサラしているので深く読み込まずスルスル読める。宝石みたいな物語だった。冷たいけど覗くと温かい、キレイだけど冷え冷えしている、感じ。それぞれに孤独だったなぁ。
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ミステリーを読んでいるようで、紅玉さんの物語の匂いがとてもいい塩梅でした。
2人が出会い、生きる、ただそれだけなのに泣いてしまった。
感情移入しやすい方、過去作で涙ぐんだことがある方は後半読む場所注意かも
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二人が孤独であることに変わりはないけれど、シュガーリアとヨクサルが一緒にタルトを食べたり、世界の景色を眺めることができるならば穏やかな気持ちになれる。やっぱり紅玉いづき作品は好きだ…。
Posted by ブクログ
紅玉いづきさんのファンタジーが好きで嬉々として読みました。繊細な雰囲気などから受け取るイメージが概ね絵本のような方なので、死霊術師を題材にどんな話なのかと気軽に読み始めたら泣きました。
みんながみんな小さな願いを持つけどことごとく禁忌に触れてしまうし、禁忌という文字やイメージから大仰な想像をしてしまうだろうけど、きっかけは些細なことで、とても人間臭いところがとても良かったです。
実行できてしまう力とタイミングだったっていうだけなんだよなぁ、と。
これもひとつの愛の話で、繊細で苛烈なんだけど優しさに満ちた平凡な愛なところが好きです。
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最後の死霊術師(ネクロマンサー)の孫娘。孤独を力にかえる悪魔を背負う男。愛する者と愛される者。死者の住む島。
設定とセリフとキャラクターに魅了され物語に包囲される悦び。
ファンタジーを味わい尽くせます。
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愛する喜び。それを失う悲しみ。
突き詰めると、この感情の動きが全ての根源にある、という物語なのか?主人公二人に限って言うと。
ただ、愛という感情の高まりの結果が、復讐に収斂されるというのが、救われないなぁと思います。それを望む悪魔の存在もあってこそか。
愛できらめいていた過去に囚われたシュガーリア。
決して手に入らないきらめきを求め続けるヨクサル。
二人の出会いと結末は、終わりと救いのない物語の始まり、と感じました。
そんな中で、唯一の救いは小枝の彼。
想いは果たされた。
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孤独を好む悪魔に憑かれた男ヨクサルと、死霊術師の孫、シュガーリアの童話めいた物語。島を舞台に物語が展開していきます。話が進むうちに伏線が見事に解かれていくのは見事。
冒頭、孤独と閉鎖的な薄暗さがありましたが、終盤は白い羽と共に明るいものへと変わります。
続き書けそうです、あれば読みたいですね。
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最初、全然集中できなくて一度置いた。読み始めるまでにも少し置いたくらいなのに。結局買って2週間くらいあいてから読んだ。ようやく集中できて、がっと読めた。
半分を越えたあたりでだいぶ本の世界に入れて楽しかった。結末は全然考えてもなくて、そうだったのかー、と思いながら読んだ。
毒吐き姫から7年半経ったらしくて、もうそんなに時間が経つことにびっくりした。次はいつ読めるか、楽しみだなぁと思う。
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紅玉先生は、ちりちりと痛くてぐっと胸を締め付けられるような、そんな感情を描写するのが上手いなと毎回思う。今回の物語は背景描写が少なかったとは思うが、その分じりじりと熱い、キャラクターの想いを感じた。
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『毒吐姫と星の石』ぶりの、紅玉いづきの久しぶりのファンタジー作品。
『MAMA』で泣いた口で、それ以来紅玉先生の作品は発売のたびにチェックしている。
今作は久しぶりのファンタジーということで期待していたが、なんと言おうか…これはまだ『序章』と感じた。
何せ、表紙にも描かれている『男』と『少女』がきちんと出会うのは本も半ばに差し掛かってからだ。
少女と男の間にはまだ言葉が足らず、絆も薄く、『すべてはこれから始まっていく』というところで話は終わってしまう。
この一冊で物語として満足するなら、もう50ページは欲しかった、というのが本音。
久しぶりのファンタジーだったが、なんだか物足りないな、という印象で終わってしまったのが残念だったが、ファンタジー要素たっぷりの世界観はよかったと思う。
Posted by ブクログ
ネクロマンサーのじじさまばばさま達の忘れ形見である愛しか知らないシュガーリアが、孤独を力に変える悪魔を背負うヨクサルに出会う為、愛を与え愛を得る為、呪われた島にやって来る。魂の宿る小枝のラモが可愛い。ぶわぶわと広がる世界で焦点が合った瞬間、特にシュガーリアの生い立ちにハッとした。祈りのような殺戮達。