あらすじ
「あなたを愛するために、ここまで来たんだもの」
黒い海を越え、呪われた島にやってきた美しい少女、シュガーリア。今は滅びた死霊術師の忘れ形見である彼女が出会ったのは、大罪人の男、ヨクサルだった。彼は無数の罪をその身に刻み、背負う悪魔は、『孤独を力にかえる』という──。
「あんた、何様のつもりだ」
「わたしはシュガーリア。この世界で最後の……死霊術師の孫娘よ」
愛など知らない男と、愛しか知らない少女が出会った時、末路を迎えたはずの物語が動きはじめる。
水銀糖の少女の、命をかけた最後の恋は、滅びの運命に抗うことが出来るのか。
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Posted by ブクログ
二人が孤独であることに変わりはないけれど、シュガーリアとヨクサルが一緒にタルトを食べたり、世界の景色を眺めることができるならば穏やかな気持ちになれる。やっぱり紅玉いづき作品は好きだ…。
Posted by ブクログ
紅玉いづきさんのファンタジーが好きで嬉々として読みました。繊細な雰囲気などから受け取るイメージが概ね絵本のような方なので、死霊術師を題材にどんな話なのかと気軽に読み始めたら泣きました。
みんながみんな小さな願いを持つけどことごとく禁忌に触れてしまうし、禁忌という文字やイメージから大仰な想像をしてしまうだろうけど、きっかけは些細なことで、とても人間臭いところがとても良かったです。
実行できてしまう力とタイミングだったっていうだけなんだよなぁ、と。
これもひとつの愛の話で、繊細で苛烈なんだけど優しさに満ちた平凡な愛なところが好きです。
Posted by ブクログ
『毒吐姫と星の石』ぶりの、紅玉いづきの久しぶりのファンタジー作品。
『MAMA』で泣いた口で、それ以来紅玉先生の作品は発売のたびにチェックしている。
今作は久しぶりのファンタジーということで期待していたが、なんと言おうか…これはまだ『序章』と感じた。
何せ、表紙にも描かれている『男』と『少女』がきちんと出会うのは本も半ばに差し掛かってからだ。
少女と男の間にはまだ言葉が足らず、絆も薄く、『すべてはこれから始まっていく』というところで話は終わってしまう。
この一冊で物語として満足するなら、もう50ページは欲しかった、というのが本音。
久しぶりのファンタジーだったが、なんだか物足りないな、という印象で終わってしまったのが残念だったが、ファンタジー要素たっぷりの世界観はよかったと思う。