大石圭のレビュー一覧
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いろいろな夫婦を題材にした短編集。
っても大石圭なので、一筋縄ではいきませんが。
ともあれ、夫婦は互いを映す鏡っていうが、どの夫婦もその相手じゃなかったらもうちょっと違った人生だったかもと思うのである。いや、そのパートナーであったとしても、そこにあるぬかるみに足をつっこみさえしなければ「物語」にはならないかもしれないが、平穏な幸せが続いていたのだろう。
そういうこともひっくつるめて、<相性>というのだろう。
つか、ひっくるめられてしまう<相性>が、ものすごく恐ろしい。
「愛されすぎた夫」が一番やばいと思った。
いわば、共依存の夫婦の話なのだが、それを第三者をして語っている主人公もまた共依存の罠に落ちいているのに全く気付いていない。
そして、一番の共依存の妻は、夫をスポイルし続ける。でも、それは愛じゃないよね。
この妻も、語り手の主人公も、結局は自分を、というか自分だけを愛しているのだ。家族に虐げられている自分を悲劇のヒロインであるかのように愛でている。
語り手は、自分より強力な共依存の妻の存在をきっかけにもしかしたらそこから脱することが出来てのかもしれない。
が、歪んだ自己愛は、解決を求めない。
そう。誰もそこからの脱出を望まず、ただ愚痴を言っているだけという状況がたまらなく、醜悪でつらかった。
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Posted by ブクログ
女子大生が、オッサンにいいようにされてMになってしまう話。
と、書くと身も蓋もないが、本当にそうなんだものww
とはいえ、間に彼女の生い立ちをはさみこむことで、人の<業>はどこからくるのか、なにから発生するのか、みたいなことを考えさせれるから、さすがに大石圭なのである。
が、最近ステレオ化が激しいのはいなめないですよ。やれやれ。
結局、自我に乏しいうえに、その自覚がないものが、こういう罠に落ちてしまうんだろうな。
欲と愛情は違うのに、求められていることでそれが愛だと思いこんでしまう。その精神の未熟さにつけこまれたのに、多分彼女は一生それがわからないままなのだろう。
一応、美しく終わってるんだけど、それがさらにやるせない気持ちにさせるのである。 -
Posted by ブクログ
離婚後訪れたホテルで、彼女は新しい出会いをする。
大石圭にしちゃ、エロ度は低いですww
ま、ちょっとエグいけど。つか、○が苦手な人は、逃げた方がいいよ(表紙で危険を察してください)
なんか、気負いがあるなって思ったら、デビュー2作目を書きなおしたそうな。
…2作目にして、すでに作家としての方向性が決まってるというか、その後も軸がぶれないところが、すごいなと思うんですけど、大石氏。
なぜ彼女は、そのホテルにいくことになったのか。そもそも、そのホテルの経営ってどうなってるのとか、つっこみどころは満載なんだけど、それを無理矢理ねじふせていくようなパワーがすごいです。
つか、そのねじふせれられるところが、むしろ快感かも。
今回かきなおすにあたって結末をかえたそうです。
うーん。
残酷さは、時には<救い>になりえるっていうのは、あのカップルにはなしってことなんでしょうかね。 -
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なにはともあれ、帯見てびっくり。
「甘い鞭、映画化決定」ですってよ。
わ。よりにもよってあれか。すんごい悪い予感がひしひしするんですけどね。なんつ-か、大石氏の魅力ってある意味現実感のなさ、生活感の希薄さなんだと思うんだよね。が、邦画ってこれでもかって、リアリティとか生活感出すもんなぁ。
…外国を舞台に移して、っていうならいいような気がするんだけどな。
とはいえ、大石氏がメジャーになるのは嬉しいような、こそばゆいような…。
私としては、ニッチなマニアックな作家のままでいてほしかったが、まぁそれじゃ、生活がたいへんだろうと思うしね。ふむ。
で、本作。
派遣で働いてる青年が強盗にはいって、って話なんだけど、強盗に行くまでが長い。
本人を始め、周りの人間の、強盗に入られる家の者のことまでも、描いている。
そして、その閉塞感。
もうどうしようもなく閉塞しているのだ。軽率なことをする彼らを、ただ<軽率>だと責めることを拒絶するぐらいに閉塞している。が、だからといって同情もできない。
被害者になる家族に対してもそうだ。
同情ができない。
…うーん。
個の責任、ということを問いなおしている作品なんだろうかと、ぼんやり思う。
にしても、このやりきれなさときたら…。
上手すぎて、つらいですよ。 -
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あるクリスマス・イヴの日を境に「隣人愛」という言葉は消えた。
サイコパスの殺人鬼が起こす事件というのではなく、ごく普通に
生活している人々がアタッシュケース(大きな力)を受け取ることにより、
悪魔の心宿す。
ヒロイン(主人公)の葉子の強さに 圧巻されました。
マラソンという競技自体、精神的な部分が大きいスポーツだとは
思いますが、肉体を超えて、精神だけで走るというのは
いささか、無理難題に思えます。
彼女もその力を一度は得た人物ですが、何の迷いもなく
警察に届け出ます。
その後の展開は葉子の精神力が事件とも深く関わっています。
というか、アタッシュケースをクリスマス・プレゼントとして
配った、愉快犯とでもいいましょうか・・
かなり、葉子に執着してて、正直理解不能です。(笑)
ヒロインが魅力的だなぁというのが印象深いのと
その他にも力を得た人物が多数出てきますが、
戦争を経験し、日本に帰国後、妻と細々と暮らしていたが
妻を失って一人暮らしをしていたおじいさんのエピソードが
良かったと思います。
今の日本と、昔国のために死んでいった若者達、何が良くて
何がいいのかわからないけど、このおじいさんのように
思うご老人の方々もきっと現実にいることでしょう。
話としては、スピード感もあり、共感できる部分もあり
面白かったです。いいお話でした。 -
Posted by ブクログ
サーカスで空中ブランコ乗りとして活躍する両親。
キラキラした世界の中で、父親が違えども仲良く生きてきた姉弟。
だが、母が事故に遭ったことで…家族はバラバラになってしまう。
仕事が続かない父と暮らし苦労する弟。
冷たい母に虐待され、視力を失い、結婚相手にも暴力をふるわれ捨てられた姉。
姉弟が一緒に暮らし始め、そこには穏やかな幸せがあるように思えたが・・・。
過去の場面が出てくる度、今現在姉弟二人がどれだけ幸せなのか、どれだけ今の生活を大事にしているのかが痛いほど伝わってきます。
お互いがお互いを深く思い合ってるのが、至るところに垣間見えて…だからこそ隠しごとをしている辛さも。
優しさと悲しさが溢れてる話でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの世はというかここ日本では
今のところ金さえあれば何でも買える、
そう…こんなものもな!
銭ゲバ大好き43zoomです。
原作も大好きですがドラマ化されたときに松ケンが
「お前たち金持ちはこういうのが好きなんだよなあ?」
とつぶやくところが大変につぼで
うん!わかるわかる!と心震えた次第。
それはさておき運命のいたずらか
無作為的に(実は作為的に)複数人に届けられたアタッシュケース。
付記された手紙によると半径50mは木っ端微塵にする
爆弾が入っているとのこと。
リストラされ家族には無視される中年、
第2次大戦で友人たちを全員亡くし生き残ってしまった老人、
恋人もなく職場でバカにされる30代フリーター、
ダメンズにばかりひっかかるシングルマザーSM嬢、
オリンピック選考で1位を獲ったものの
悪天候だったため再選考で落ちた元マラソンランナーなどなど
爆弾を手に入れた人物の共通点はズバリ!『不幸』!
ほぼ全員が手紙を信用しなかったが
そのうちの1つが偶然爆発したことがニュースで流れ
本物であると知ったときに市井の一般人はどうするのか。
警察に届けるかそれとも…という作品。
まあそれとも…部分がないと小説にならないのだけど
個人的には犯人が葉子に固執することなく
「マジ一般人怖いっすよねwwwwww」くらいの
殺人ゲームを楽しむお気楽犯だともっと良かった。
結局葉子のこと好きなんやんか!この40代が!
後、葉子の「わたしの努力はきょうも報われなかった」
と割と冒頭で出てくるこの心情が重すぎるんだぜ。 -
Posted by ブクログ
大石圭さんは「呪怨」の作家さんとして知られているかな。
「呪怨」も発売禁止寸前までいったんだけど…。
この「邪な囁き」もよくR指定にならなかったなと思ったくらいに…底暗い。
まぁ、R指定っていうのは映倫が指定するものなわけで、書物に対してどうなのかは分かんないけど、あの「スワロウ・テイル」ですらR指定になってるのに…。
この本はあまりにも刺激が強すぎる。
非現実的ならそうは思わなかったかも。
どこか現実に近くて、危険すぎる。
けど、人間の真理を問うような類は結構好きで、思わず読み進めちゃった。
誰しも心の中に闇の部分を持っていて、それは些細なことを発端にすることが多いんだけど、たとえば運転してて渋滞にはまった時に、『今アクセルを全力で踏んだらどうなるんだろ」みたいな。
その一線を踏み越えるか留まるか。その一線が犯罪に至るところなのかな。
明るくオススメ!
とは言えないけど、この手の話を書かせたら大石さんは一級品。
★★★★★ -
Posted by ブクログ
タレント崩れの女が、結婚相談所で紹介されたのは、4度の離婚歴はあるものの年収は1億を超える男だった。
とっても、大石圭らしい作品です。
なんで、痛いの苦手、って方はちょっとやめといたほうがいいかもww
にしても、この夫婦の人物造形が怖い。
タイトルに「愛」があるものの、虐待を繰り返す夫も、金に目がくらんでる妻も、まったく愛がわかってない。
そこにあるのは、お互いの欲望だけだ。
人の堕落を救うのは教養、だったか知性だったか、何かで読んだ記憶があるんだが、二人にかけているのはそれで、教養や知性は育まれるものなのだろう。そして、二人にはそれを育んでもらえる人も、環境もなかった。
…これは、悲劇なのだろう。
が、おそろしく同情できない。
同情を拒否する悲劇は、痛い。
とはいえ、やっぱり女はたくましかった。
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