大石圭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネット社会の落とし穴に、落ちていく女。
一人は、固い高校教師で自撮りした欲情的な写真をばらまくと脅される。
一人は、恋人だと思った男によってリベンジポルノを落とされる。
大石圭なので、女は知性も教養もあるのに、歪んで、危うい。
歪みの根源は、結局のところ育った環境というか家庭にある。
が、それは理解されない。
「女の子だから」
その一言で、どれほど自我を削られてきたのだろうか。
不思議と、「女の子」であることの息苦しさをちゃんとわかっている感じがするのである。
高校教師の視点で描かれているので、強迫されている立場と、生徒を支えようとする姿勢とのせめぎ合いになる。
というのが、ちょっと目新しかった。
にしても、ネットの恐ろしさをもっときっちり理解してないよね。
と、つくづく思うのである。
いや、ネットに限らず、自分を守る術というものを、きちんと身に着けないといけないんじゃないかと思う。
それって、回りまわって世の中をよくしていくんじゃないかとさえ思うのだけど。
最後のシーンがとても象徴的だった。
何かを分かち合うって、愛情の根源だよな。 -
Posted by ブクログ
古物商を営むニーナは、ビスクドール、ブリュ・ジュンを買い付ける。
が、それは「持ち主を死へをいざなう」といわれるいわくつきのものだった。
ブリュ・ジュンって何?
って便利な世の中でぐぐれば見られる。
確かに、普通のビスクドールとは違って表情がとってもアンニュイ。こんな表情でいわくつきって、もうこの設定だけで怖い。
が、その雰囲気で煙にまいているけど、ステレオの王道です。
とはいえ、少女をかたどられた人形を通して、女性のありかたまで、語らせたあたりが上手い。職人技です。
なんか彼女のシリーズは続きそうなのだけど、こんな風に悲しみを積み重ねていくシリーズだったら、彼女がかわいそうだなと思います。
うん。大石圭にしては主人公の性格がよくて、知的なんだもの。
が、またそういう彼女が堕ちていくのを読んでみたいとも思うのである。
にしても最近の大石圭を読むと、ものすごくワインが飲みたくなるので、困りますww -
Posted by ブクログ
予想を大きく裏切り、とても面白かった。大石圭作品は大昔に読んだきり、なぜか良い印象がなかったのだが、間違った認識を改めたい。そして本作を読んだ人は必ず想像するだろう、自分は60秒で何をするのかを。
あらすじ(背表紙より)
「あなたに特別な力を授けます」。天使か悪魔か―謎めいた美少女が人々に授けたのは、たった1度だけ時間を1分間止める能力だった。世界のすべてが静止する60秒。誰にも知られず、邪魔されることもなく、思うがままにどんなことでもできるのだ。大金を強奪する。憧れの女性を恣にする。憎い男を抹殺する…。欲望と妄念に翻弄される男女の姿を描く、異色連作集。 -
Posted by ブクログ
タイトル通りです。
32歳の自己愛だけで生きてる女性の半生と結末(?)かな。
まあ、彼女が歪んでいくのは、結局のところ両親であり家庭のせいなんだろうけどね。
「家族は愛憎を煮詰める大釜」ってジョナサン・ケラーマンの小説の一説がずっとぐるぐるしていたよ。
スポイルする父と祖父母ときっちりしようとする母親の間で歪んでいくのだけど、これって根本は父親と母親の不仲だよねと思う。もしかすると嫁姑の確執もあったのかもね。
ともあれ、中途半端に芸能事務所に所属いたせいで、外見だけに全力を注ぐ、注ぎすぎてほぼ拒食症になっているのだけど、本人はそれがダメだと気づけない。
うーん。
もしかすると、人は考えること、考えて自分の状況を変えること、が一番負担なのかもね。
なので、彼女はある意味一番楽な方向に流れていく。
自分の何がダメなのか、考えることはしない。
で、流れ着いた先は…。
なんか悲惨な結末だったけれど、もしかしたらこれは彼女が変わることができる機会になるのかもしれないと、微妙に光がある感じでした。
にしても、大石センセの好みのタイプはぶれないっすなぁww -
Posted by ブクログ
ネタバレ読みながら自分の中の「邪な囁き」を何度も考えていた。
昔、駅のホームで電車を待っている時、液体を積んだタンンクのみの重厚な列車が轟音で通り過ぎるのを眺めながら、ホームから一歩踏み出せばそこには明確な死が待っており、生と死がとても身近にあるものだと一種の恍惚感のようなものをよく感じていたものである。その感情は他人に向けたものではなかったが。
あとがきにもあるように、子供の風船を割って回るような小さなものであれ、他人の不幸を喜ぶような邪な気持ちを持っている事は自分自身否定できない。それが実際に行動に移され表に出てくることは非常に稀であるが。
あの感情はなんだろうかと本を読みながら考えていたが、一種の全能感への憧れのようなものではないかと思う。
パイロットという特殊な職業、イケメンで高収入、高層マンションに住み好きな酒はウィスキーのオン・ザ・ロックという中二的な大人の男像にやれやれと思ったり、正田が引き起こす数々の事件に「そんな何回もバレずに事が運ぶ訳ねーだろ」と思いつつも、墜落のシーンで死の恐怖と愛に目覚める、邪悪さと人間らしさの対比には戦慄を持って読む事ができた。
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