大石圭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
謎の手紙の命令により、全く縁のない人々を殺していく主人公。
手紙の主は誰なのか、なぜ彼なのか、ターゲットはどうやって選ばれたのかなどなど疑問を抱えて話はすすむ。
「殺人」というスリル(というとかなり誤解を生む表現になるが)や、主人公の犯行が露呈するかもしれないというドキドキ感はまったく持たせない。
ただ単に殺人を犯し続けるだけではなく、本当に「手紙の主はいるのか」や、頻繁に入る回想などにより長さがある話の割りに飽きない。
各章の冒頭にある、人により絶滅させられた動物たちの小話が悲しく、またはっきり本筋との関係を示されないからこそ考えさせられるものがある。
文章は非常に読み -
Posted by ブクログ
貴方は60秒だけ世界を停止させることができます。
その間、貴方は誰に止めらることなく、したい事ができます。
さぁ、貴方はいつ、どこで何をしますか?
と言うお話し。
私の中で『不条理な悪意』を書かせたら天下一品!と評判の大石圭作品。
今回もあくまで救いなく、人の根源は悪だと言い切ってくれました。
救いはない。人は本当に開放された時、悪意を人にぶつける。
不条理で、自分勝手で、倫理のない行動。
ちなみにこの方、一番売れたのは『呪怨』のノベライズ。
その他純文学系などもあるちょっと変わった作家さんです。
好きなのは『履き忘れたもう片方の靴』と『処刑列車』。
人を傷つけたい、意地悪な気分の方 -
Posted by ブクログ
大石圭的「ミザリー」
作家のファンだといって近づいてきた美貌の女性は、作家を監禁して自分のために小説をかくように強要する。
そーいや、男が女性を監禁する話があったよね、大石圭。
その「飼育する男」との大きな差は、監禁するものの生活に対する姿勢なのだろう。
「飼育する男」は、衣食住、特に食に対して真摯だ。が、「地下牢の女王」は食べることに全く無頓着というか、無造作なのだ。
食は、イコール生き方だと思う。
結局のところ「地下牢の女王」は他人はもちろん、自分自身も、何もかもを愛せない、否定し続けて崩壊していく。
もっとも、「飼育する男」は自己愛を極めすぎて壊れているのだけど。
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