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Posted by ブクログ
最初タイトルだけを見て、大量殺人を行いつつも表では医者として振る舞っている人の話なんだろうな、と思っていた。
これは半分正解で、半分不正解だった。
あの医者は、医療行為は、ある意味”大量殺人”であることを否定しきれない。
既に人権を得ている人の為に作られた。
そしてこの作品の描写を読んでいるうちに、手に入りにくくなっているのは仕方ないな、とも思うようになった。
他のサイコサスペンス作品を読んでいても、グロい表現はいくらでもある。
ただ、この作品は、”グロい”という言葉一つで済まされないものがあったのだ。
本作ではある意味では1人の犠牲者、とでも表現しておこうか、から始まる。
そこから数十人飛ばして、唐突にその先を見ることができる。
けれど300ページの内容には、きちんと過去どのようなことを行ってきたのか、も簡略した形ではあるものの、記載されていた。
そして、とある医療行為のことについての歴史にも触れている。
主人公がよく微笑んでいる描写がある。
きっとそれは自分で自分を守るための、うまく社会に溶け込むための、所謂処世術ではないか、と思う。
それと同時に、何かを隠しているかのような。
自分自身の中に膨れ上がっている感情を抑えているような。
そんな印象を受けた。
最後はほぼほぼ誰か、というのが分かった。
けれど、その後どうなったか、なんてことは描かれておらず。
彼はあの物語の中で、自分が行った行為についていつか逮捕される、ということを確信に近い考えを持っていた。
そして、決して自分はヒーローではないことを。
自分のルーティーンに”殺人”が組み込まれているだけ、だということを。
その言葉に別の意味でいえば、間違いではないのだ。
たびたび、自分が逆にこの主人公と同じ立場だったら、と思う。
あの状況から頑張って脱出して、医者としての地位を持ち。
ただコンプレックスを抱き、常に誰かを憎む。
頭の中が壊れそうだ。
だからこそ、日常生活はゆったりとしたような描写なのかな、と思う。
常に何かを考え、次の殺人のことについて考え。
そんなことをずっと考えていたらきっと疲れてしまう。
そのためのこだわりなのか。
ゆったりとした、優雅な一日を描いている。
それとも、そんな主人公でも残虐なことをやっている、という対比なのか。
私は前者なのかな、と感じた。
そこは人それぞれだと思う。
これは決して人には薦められない。
得手不得手がはっきりとしすぎていて。
それでいて内容も人を選ぶだろう。
だけれども、サイコサスペンス小説が好きな人には少し手にとってみてもいいかもしれない。
そんな作品であると同時に、この著者である大石圭さんの他作品を読んでみたくもなった。
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