あらすじ
21歳の優也は、幼なじみの啓太と共に派遣従業員として工場で働いている。異様な愛情を注いでくる母を拒絶しきれない優也。金持ちに敵愾心を抱く父に育てられた啓太。鬱屈した思いを抱えた2人は、裕福な院長夫妻と美しい娘が暮らす「山下医院」の豪邸に、強盗に入ることを計画。だがはずみで家政婦を殺してしまったことから、2人の行動は徐々に歯止めがきかなくなっていく……! あの夜何が起こったのか。戦慄のサスペンス。
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Posted by ブクログ
なにはともあれ、帯見てびっくり。
「甘い鞭、映画化決定」ですってよ。
わ。よりにもよってあれか。すんごい悪い予感がひしひしするんですけどね。なんつ-か、大石氏の魅力ってある意味現実感のなさ、生活感の希薄さなんだと思うんだよね。が、邦画ってこれでもかって、リアリティとか生活感出すもんなぁ。
…外国を舞台に移して、っていうならいいような気がするんだけどな。
とはいえ、大石氏がメジャーになるのは嬉しいような、こそばゆいような…。
私としては、ニッチなマニアックな作家のままでいてほしかったが、まぁそれじゃ、生活がたいへんだろうと思うしね。ふむ。
で、本作。
派遣で働いてる青年が強盗にはいって、って話なんだけど、強盗に行くまでが長い。
本人を始め、周りの人間の、強盗に入られる家の者のことまでも、描いている。
そして、その閉塞感。
もうどうしようもなく閉塞しているのだ。軽率なことをする彼らを、ただ<軽率>だと責めることを拒絶するぐらいに閉塞している。が、だからといって同情もできない。
被害者になる家族に対してもそうだ。
同情ができない。
…うーん。
個の責任、ということを問いなおしている作品なんだろうかと、ぼんやり思う。
にしても、このやりきれなさときたら…。
上手すぎて、つらいですよ。