芹澤恵のレビュー一覧

  • クリスマスのフロスト

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    ネタバレ

    1984年に発表された作品ですから、社会状況(スマホやネットなど、現代社会では当たり前になった道具はない)も異なりますし、捜査方法も未熟な部分がありますから、「警察小説」としてミステリの要素のみに注目すると、やや物足りない部分があるかもしれません。
    しかし、この作品の一番の魅力は、なによりも主人公「フロスト警部」のダメ人間っぷりです。
    上司(署長)の指示には全く従わず、事務処理能力は皆無、指示される捜査方針よりも自らの直感を優先させ、その場を逃れるためのウソを平気でつき、下品な冗談や無駄口がとめられない。しかも、「自分なりの生き様を貫く」という強い意志があるわけでもなく、行き当たりばったりにふ

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    2021年09月12日
  • フランケンシュタイン

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    ネタバレ

    フランケンシュタインは、怪物を造った科学者の名前である。常軌を逸した熱情に駆り立てられて墓場から掘り出された死体をつなぎ合わせ、電気ショックによって生命を与え怪物を誕生させてしまう。怪物は姿は醜いが思慮深い。しかし最後まで名前もない。可哀想なのだ。言うなればこの科学者は、誕生させた赤ちゃんをネグレクトしたのではないか。などと次々と本書のテーマがあるように考えられる。

    旅行記のようにヨーロッパ中を壮麗な光景が眼に浮かぶように描写してあることも読み応えたっぷりである。文学的であり芸術的である。

    もしかして心優しいエリザベスが怪物のよき理解者、友、母親的になったかもと思うのだ。ヴィクターの対処が

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    2021年08月31日
  • 世界を変えた100人の女の子の物語

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    昔からいたんだね。勇敢な女の子たち。ちいさなことから大きなことまで、自分で考えて自分で行動に移せる勇気が、みんなにありますように。

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    2021年06月14日
  • フランケンシュタイン

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    フランケンシュタイン博士が生み出した醜悪な怪物は、聡明な頭脳と知性を持ち合わせている寂しがり屋。自己憐憫に浸って都合のいい理屈をひねり出す博士より、よほど「人間」として魅力的だ。

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    2021年05月23日
  • 世界を変えた100人の女の子の物語

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    少女のための絵本。世界を変えた100人の女の子の紹介です。勇敢で、好きなことを突き詰めて、そして努力を重ねてきた先輩たちの物語です。行動することは、外に表現すること。

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    2021年04月23日
  • フロスト気質 下

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    ハロウィンの晩にゴミの山から見つかった少年の死体。更に15歳の少女が誘拐され、謎の腐乱死体まで見つかる。加えて少年の失踪は誘拐事件に変わり身代金受け渡し場所へ向かうフロスト警部は事件山積みでダウン寸前。当時、文春やこのミスで毎年1位を取っていた人気シリーズ第4弾。この下品で汚いフロスト警部が毎作見せるラストの爽快感は何なのだろう。本当に良く出来ている

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    2021年03月09日
  • フロスト日和

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    連続婦女暴行魔、浮浪者殺し…立て続けに起こる事件を押し付けられてフロスト警部は不眠不休で捜査する。気の毒なほどにツキがなくて、それでいてマイペースで悪態をつきながら仕事を処理していくフロストには笑える。山積の難事件を押し付けられて悪態をつくのは一つのパターンなのだが、ひとつ一つの難事件が記憶に残らないほど日常化して書かれている。だから、事件の特別感は感じられず、まさに処理されるルーティンワークとして描かれ、見事に最後にはバラバラの事件と手がかりがひとつになって解決に至る。安定して面白いシリーズ第2段。

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    2021年03月09日
  • クリスマスのフロスト

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    フロスト警部は格好悪いうえに下品だ。しかしこれほど人間味があってこれほど親近感を覚える探偵役もあまりいない。田舎町デントンでは、もうすぐクリスマスだというのに、日曜学校帰りに突然姿を消した8歳の少女、深夜に銀行の玄関をこじ開けようとする者…いくつも起こる事件を一手に引き受け同時に並行して対処していく。仕事中毒でありながら整理できないから一見話はぐちゃぐちゃに進むが、それが後半一気に繋がっていく。この作家の構成力の高さには驚く。フロスト警部の魅力って何だろう。彼の言動には笑えてスカッとする。傑作シリーズの第一弾。

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    2021年03月07日
  • 冬のフロスト 下

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    自分にとってイギリスの正統派ミステリはなじみが薄いが、この作品は別格で世界を代表する警察小説の金字塔だと勝手に思っている。
    主人公のフロスト警部は風采が上がらない、行き当たりばったりのいい加減なオヤジ。
    更にセクハラたっぷりの下品なトークの連発となれば、ユーモアを通り越して引いてしまう場面も多い。
    しかし、知らないうちにこの人物の魅力にぐいぐい引き込まれてしまうのが不思議だ。
    気づいたときには上下巻1000頁を一気に読まされてしまうのだ。
    本国イギリスでは1984年の『クリスマスのフロスト』からシリーズが始まり、現在2008年に発表された『A Killing Frost』までが出ている。
    シリ

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    2021年01月26日
  • 冬のフロスト 上

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    自分にとってイギリスの正統派ミステリはなじみが薄いが、この作品は別格で世界を代表する警察小説の金字塔だと勝手に思っている。
    主人公のフロスト警部は風采が上がらない、行き当たりばったりのいい加減なオヤジ。
    更にセクハラたっぷりの下品なトークの連発となれば、ユーモアを通り越して引いてしまう場面も多い。
    しかし、知らないうちにこの人物の魅力にぐいぐい引き込まれてしまうのが不思議だ。
    気づいたときには上下巻1000頁を一気に読まされてしまうのだ。
    本国イギリスでは1984年の『クリスマスのフロスト』からシリーズが始まり、現在2008年に発表された『A Killing Frost』までが出ている。
    シリ

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    2021年01月26日
  • 1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編

    購入済み

    賢者の贈り物

    12月、Xmasの季節になるとこの「賢者の贈り物」が読みたくなります。
    映像が浮かぶような描写も好きですし、ここに描かれている
    思いやり、愛情に心うたれます。

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    2020年12月12日
  • フランケンシュタイン

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    ネタバレ

    怪物がどんなに「愛されたい」と望んでも、誰にも愛してもらえないということが胸に突き刺さった。
    何も悪いことをしていなくても、そのおぞましい見た目のせいで憎まれてしまう。
    もし博士に仲間を作って貰ったとしても、やっぱり人間に復讐しようと思う可能性は否定できない。

    生まれた時から憎まれる運命にあった怪物。
    人間の愚かさを突き付けられた。

    怪物が博士の死を見届けた後、最後は自分で炎に身を投げてやっと苦しみから逃れられるのだと思うと本当に切ない…。

    人に勧めたい本。

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    2024年05月03日
  • 1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編

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    味わい深い人間模様を綴る短編集。
    ラストのオチが秀逸で、一辺倒ではなく意外性をはらみ楽しい。お気に入りは、途中まで読んでオチが解りつつも巧みな明かし方で感動を呼ぶ「水車のある教会」、やはり外せない名作「最後の一葉」、罪の重さと良心の天秤に思いを馳せる「甦った改心」、真に思い合う夫婦の皮肉で心温まる「賢者の贈り物」あたりかな。あとがきで作者の小説になりそうな身の上を知り、その経験が多彩な作品を紡ぐ事になることに納得。
    貧乏とお金持ち、恋人、罪人と正直者といった立場をうまく短編に仕上げる作品集、機会があれば再読したい。

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    2020年01月13日
  • フロスト始末 上

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    「フロスト始末」(上・下)R.D.ウィングフィールド。芹澤恵訳。創元推理文庫。原著は2008年英国で発表されたようです。

    2019年1月に読み終えているようです。
    フロスト・シリーズ最終作。作者のウィングフィールドさんが2007年に死去。遺作です。でも未完ではありません。
    死病の床で完成されていたそうです。拍手。パチパチ。
    病床で弱りながらとりあえず最後まで書いた、とか。
    ほぼ未完だったけど編集者が手を入れてなんとか完成させた、とか。
    そういう感じは読んだところまったくしません。堂々たる傑作。
    まあ、ほんとのところどうなのかは分かりませんが。



    相変わらず、混沌とスピード感と緻密さのエ

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    2019年12月05日
  • 冬のフロスト 下

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    このミス海外編2014年版3位。フロスト警部シリーズ5作目。このシリーズめっちゃ好きだわ。とても長いのだけど全編ユーモアに溢れており、フロストの発言の9割ぐらいは冗談ばかりだし地の文も笑わせる。ずっと面白いコントを見続けてるようで無尽蔵のネタが圧巻。次々に発生する事件と行き当たりバッタリで失敗ばかりの捜査もスピード感が溢れていて、どこをとっても無駄で退屈な部分がなく一気読みした。何年かぶりかで本に夢中になって電車乗り過ごした。後半は物語もクライマックスになって読んでいて鳥肌が立つぐらい興奮して話しに没頭した。感動するところもあり、最高のエンタテーメントでした。

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    2019年11月30日
  • 冬のフロスト 上

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    2018年の12月に読んだようです。
    「ああ、もうすぐフロストシリーズを読破してしまう」と思ったら涙が止まらないのに、読むのも止まらない。
    そんな葛藤にココロを千々に乱されながら、でもフロストを読む快楽があるから目が回りそうな労働をなんとか乗り切れる、そんな切なく寒い季節に読んでいました。



    「冬のフロスト」(上・下)R.D.ウィングフィールド、芹澤恵訳。創元推理文庫。原書は1999年。

    相変わらず「全て忘れてしまっているけれど、最高に面白かった」というだけなのですが、
    たしかこの作品から、フロストの部下としてとんでもない若い刑事が配置されていたはず。
    その若い刑事というのが、実に感動

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    2019年11月28日
  • フロスト気質 上

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    2018年春くらいからこっち、常に3~5くらいの案件をかけもちしている状態が続いて、毎日3つ以上のお手玉をしている気分でした。
    そんな頃にひとにすすめられてどっぷりはまったのが「フロスト警部シリーズ」。
    どれも最高でした。だけど、最早、どの作品がどういう内容だったか、細部は失念。



    「フロスト気質」(上・下)R.D.ウィングフィールド、芹澤恵訳。創元推理文庫。原書は1995年。

    相変わらずイギリスの架空の都市・デントンを舞台に、ベテランで小汚くてルーズで卑猥でミスの多いフロスト警部が活躍します。
    どうやら「気質」は「女性の上司がやってくる」という内容だったようですが、はっきりいって覚え

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    2019年11月28日
  • フロスト日和

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    フロスト警部シリーズ2作目
    これでもかと大小さまざまな事件が
    巻き起こり、人手不足の警察署を(そしてフロストの未解決事件の書類の山は増え)苦しめる。
    主人公はおっさんで、下品で行き当たりばったりな操作をする不眠不休のハードワーカー

    なかなか一つの事件に集中出来ないし
    やる気もなかなか湧かないのに犯人や真実を追うことには情熱が消えない。

    だけど、そのつまみ食いのような捜査が徐々にパズルのようにはまっていく感じはやっぱり面白い。
    何よりフロストは人の見た目を見るのではなく「人の弱み、痛み」が見えてる人情派刑事というギャップがいい。(特大の胸と尻は別)

    読んでるうちにだんだんフロストが道化の

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    2019年06月12日
  • 夜のフロスト

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    フロスト警部シリーズ第3作。もうとにかくこのシリーズは本当に大好きで、この一冊も激賞したいのだけど、ほとんどあらすじは失念。
    確か、出世のことしか考えていないような部下が出てくるのでは無かったか。そして、このシリーズの持ち味として、その部下が徐々にフロスト警部に愛情を抱き始めたり、は、全くしない。
    ラストは連続殺人犯を説得しに高所に登っていくフロスト警部。そして説得するけれど、犯人は落下してしまうフロスト警部。もはや孤独と喪失感から逃げ出すように、くそったれな仕事に時間を捧げるフロスト警部。大変にわかりにくいフロスト警部の人間性を、実に生き生きとわかりやすく描き出すウィングフィールドさん。脱帽

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    2019年01月03日
  • フロスト日和

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    2018年最大の読書快楽は間違いなくフロスト警部シリーズ。個人的には絶賛絶叫全面肯定感謝感激なのですが、もはやため息をつくしか無い犯罪小説シリーズの多くがそうであるように、フロスト警部シリーズも、あらすじを備忘録にしておこうと思っても、読み終わって2分もすると記憶からすり落ちてしまいます。寝起きの素敵な夢のようですね。ああ、良い夢みたな、と思っても、起き上がって水でも飲む頃にはすっかり忘れてしまう。

    「フロスト日和」はシリーズ第2作。だいたいいつも通り女性や子供などの弱者を狙った犯罪が相次ぎ、フロスト警部は寝る間も無く複数の事件と現場への理解や愛の無い上昇志向の上司に怒られ続け、下品極まりな

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    2019年01月03日