【感想・ネタバレ】フランケンシュタインのレビュー

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Posted by ブクログ 2024年03月16日

青ざめた四角い顔に目の上のコブ、醜い図体、というのがフランケンシュタインのイメージで漫画のキャラクターぐらいの印象しかなかった。 ところが英語の本の愛読書のランキングに必ず出てくる。 ??ということで本を読んでみることにした。

結果、誤解していたことが一つ、フランケンシュタインは怪物の名前ではなく...続きを読む、怪物を創造した科学者の名前だった。 そして意図してつくった人工人間が意図せず怪物となったことによる、とんでもない悲劇が展開していくことになる。 悲劇と言ってしまえば一言で終わってしまうけれど、愛と憎しみ、欲と虚栄心、など深いテーマが隠されている。 そして、何よりもAIブームの入り口にいる現代人に、自分で制御できないものを作ってしまった結末みたいなことも警鐘されていると感じた。 二百年前に書かれたとはいえ、普遍のテーマを扱っているので全く色褪せた感じがしなかった。 ハイティーンの若者にも、大人になってしまった人にもおすすめです。

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Posted by ブクログ 2024年03月09日

原題も"Frankenstein"、初出は1818年。
フロストシリーズで毎度テンポの良さとユーモアに富んだ訳で唸らせてくれる芹澤恵さんによる新訳。芹澤恵さん、こんな古典ものの翻訳もされているのねー、これからも色々と読みたい訳者さん。

書かれたのが200年前というのがまず驚くし...続きを読む、作者は執筆当時、20歳の女性だったということにまた驚く。ちなみにメアリーは17歳のときに妻のいる男性と駆け落ちし、駆け落ちの旅行中で本書を執筆した。その妻が自殺して20日後に結婚したらしい。スキャンダラスすぎるし、今の時代からみても倫理的にどうなんだと思う。しかし本書の序文には、「筆者の主な関心は…(略)、家族の愛情の尊さと普遍的な徳の素晴らしさを示すことにある」なんてあったりもする。前妻が聞いたらキレそう。
そういえば確か、ミドルマーチやジェイン・エアの女性作家たちもなかなかの経歴だった。当時の女性作家たちが、常識の枠にとらわれず、想像の翼を広げる人たちだったからこそ世に出た作品群なのかもしれない。

メアリーのことはおいといて、フランケンシュタインである。これが、驚く完成度の高さ。古さを全く感じさせない。めちゃくちゃ面白くてびっくりする。人造の怪物として名前は知られているけど、実は怪物に名前はなく、フランケンシュタインは、この怪物を生み出した科学者の名前である。

北極点到達のため、船で探検の旅に出ていたロバートは、北極海で瀕死の青年を救出する。その青年がフランケンシュタイン。彼は何故北極海を彷徨っていたのか、その理由を語るのだ。
彼は生命の謎を解き明かし、人間のように複雑で素晴らしい生き物を作り出すという研究にのめり込む。しかし自ら作り出した人工の肉体に生命を吹き込み完成させたい結果、あまりにも醜い異形の怪物だった。
恐れをなしたフランケンシュタインは体調を崩す。怪物がいつのまにか研究室から抜け出ていたのを野放しにしたまま、故郷のスイスに逃げ帰る。
しかし、故郷では愛しい弟が何者かに殺される事件が起きていた。さらには、家族のように接してきた善良な娘が捕まっていた。あの怪物の仕業だと思うフランケンシュタインだが、恐ろしい研究のことを言い出すことができず、無実の娘が死刑になることに苦悩する。
そしてついに邂逅することとなったフランケンシュタインと怪物。創造主から見捨てられた怪物は、苦難の旅を続けながら、ある一家の暮らしをつぶさに観察して言語や愛情を学ぶものの、その容姿ゆえに人間には受け入れられず、孤独感を募らせていた。怪物は、フランケンシュタインに、自分の伴侶となる異性をもう一人作って欲しい、この願いが叶えばもう二度と人前には現れないと約束する。
もう一人の怪物を作る手筈を整えるフランケンシュタインだが、土壇場で、人類に禍をなすことを恐れて破壊する。怒った怪物は、フランケンシュタインの大切な者を殺していく。
怪物を退治するために追っていたフランケンシュタインは、ついに北極海に辿り着いたのだが…。

色々なところで見聞きしたことのある怪物の恐ろしげな容姿が脳裏にあるのだが、私が一番感じたのは、この名もなき怪物が可哀想だなということ。
生まれたての子供のように純粋で、知性もあり、愛情を欲しているのに、誰からも受け入れてもらえない怪物の孤独感、「自分は何者か」という苦悩、唯一の理解者たり得るはずの創造主からすら見捨てられたという絶望感。
大切な者たちを殺されたフランケンシュタインの怒りはもっともでもあるけれど、怪物を創造したことで彼が感じているのは人類に禍を引き起こすことの責任だけで、怪物の未来への責任などではない。禍々しいと断じ、死しか望んでいない。これでは本来的には怪物でなかったとしても怪物になってしまうよね。
最後まで息つかせぬ展開。はっきりとした描写ではなく、読者の想像に委ねられている部分もあるラストだった。

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Posted by ブクログ 2023年11月13日

見た目、才能、コミュ力、収入、学歴、親ガチャ、、

本来なら他人を傷付けることなんてないはずの優しい人でも、社会からの孤立や孤独、貧しさ、わびしさ、絶望を感じ続けた結果、恐ろしい怪物になる。

昨今の「無敵の人」を連想せずにはいられない。

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Posted by ブクログ 2023年05月19日

恐ろしくも美しく、身勝手で哀しい物語。
最期の怪物のセリフは、心からの叫びとして胸に突き刺さる。

俗っぽい言い方をするなら…、
「ただし、イケメン(≒容姿普通以上)に限る」。
作中幾度となく人間のもつ性善説的な描写に出くわすけれも、それも相手の容姿ひとつで簡単に翻ってしまう。
心地よい登場人物たち...続きを読むの交流が、怪物の存在から途端に軽薄なものにも見えてしまう。
ここまで性善説的な美徳と、偽善的な見方と、迫害される側の哀しみが同居しているのはある意味面白い。

風景描写はとにかく美しい。それがまた怪物の容姿や恐怖、悲哀を際立たせる。…この手法、むごい。

それにしても…。
怪物に対して「フンガー!」(cv.兼本新吾)と、西洋妖怪軍団の脳筋キャラを植え付けてしまった日本アニメの罪は大きい…。
(藤子先生、水木先生のせいばかりじゃないけどさ)
これほどかわいそうで、かなしくて、時に優しくて、魅力的なキャラはいないのに~。

さて、こうして読破して原作勢となった今。
原作準拠の怪物を日本アニメでも出すことを強く要望する!
根は優しくて、力持ち。
さらに西洋文学にも通じた、読書家で勉強家。
戦えば強いけど、物事を論理的に考えられる。
でも自暴自棄になると手がつけられない、過激な寂しがり屋。毒親を憎みつつも、彼から親としての愛情をほしいと思っている…。
ん?主人公キャラ?
なんにせよ、彼ならば、西洋妖怪軍団のよき参謀役となるでしょう。
そして、奇妙キテレツな容姿の日本妖怪に馴染みのある日本の子供達とは、きっと仲良くなれるでしょう…。
…という、夢想をついしてまうくらい、いいキャラです。

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Posted by ブクログ 2023年04月27日

ヘンリーにお気楽さを感じてしまう
メアリーシェリーも夫パーシーの詩人たるロマンティシズムに同じものを感じてたのかも、とか

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Posted by ブクログ 2022年11月30日

怪物誕生は何を意味するか。『フランケンシュタイン』は、子供を産むことに対する母親の不安を描いた「出産神話」であるとする考察がある。確かに、作者メアリは、自身の誕生により母親を亡くし、彼女自身も度重なる流産を経験していることから、出産に対するトラウマを怪物誕生のドラマとして具現化したと考えることも十分...続きを読む可能であろう。そのような観点から見ると、他の小説には無い独創性を持つ作品だと感じられる。

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Posted by ブクログ 2022年10月15日

世界初のSF作品で、「こんなにSFやったんだな」と感じる作品。
科学技術の発展に対する不安心あるいは好奇心が伝わってくる感じが如何にもSF。

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Posted by ブクログ 2022年02月17日

外見はともかく、内面の醜さは圧倒的にフランケンシュタイン本人が勝ってた。

悪意なくただ純粋に繋がりを求めたバケモノが荒んでいく回想は胸が締め付けられた。
交渉するための対話も、終始バケモノの言い分が筋が通っているように感じる。

関係ないけど、Fate Apocryphaのフランケンシュタインは原...続きを読む型を留めていない程に美化されているなあと。

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Posted by ブクログ 2021年08月31日

フランケンシュタインは、怪物を造った科学者の名前である。常軌を逸した熱情に駆り立てられて墓場から掘り出された死体をつなぎ合わせ、電気ショックによって生命を与え怪物を誕生させてしまう。怪物は姿は醜いが思慮深い。しかし最後まで名前もない。可哀想なのだ。言うなればこの科学者は、誕生させた赤ちゃんをネグレク...続きを読むトしたのではないか。などと次々と本書のテーマがあるように考えられる。

旅行記のようにヨーロッパ中を壮麗な光景が眼に浮かぶように描写してあることも読み応えたっぷりである。文学的であり芸術的である。

もしかして心優しいエリザベスが怪物のよき理解者、友、母親的になったかもと思うのだ。ヴィクターの対処がよければ。

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Posted by ブクログ 2021年05月23日

フランケンシュタイン博士が生み出した醜悪な怪物は、聡明な頭脳と知性を持ち合わせている寂しがり屋。自己憐憫に浸って都合のいい理屈をひねり出す博士より、よほど「人間」として魅力的だ。

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Posted by ブクログ 2021年04月14日

フランケンシュタインを読んで、犯罪を犯してしまう人の心情に寄り添えた
フランケンシュタイン(怪物)は元々、人の美徳や善行などに関心をもち尊敬や敬愛の念を持ち合わせていた。しかし、人間とは異なる姿見をしているだけで本心や信念を尽く無視し、ひたすら心身共にボロボロにされてしまった
もしかすると犯罪を犯し...続きを読むてしまう人も、フランケンシュタイン同様に希望や良心があり誰よりも人のことを思えてたのかもしれない。しかし、酷な経験を繰り返したために本来の姿を忘れ去り墜ちてしまったのだろう。その人たちを救うのに必要なのは、やはり「無償の愛」なのではないのか?
孤独さと満たされない想いを誰か一人でもいれば、悪辣な行為に手を出さず幸福な人生に進めたのかもしれない・・・

この物語で忘れられないセリフが201ページの
「おれにも優しさや善良さは備わっていた。みじめさがおれを悪魔に変えたのだ」

人間の道徳心に問いかける最高の海外古典小説だった。

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Posted by ブクログ 2019年02月02日

読書会の課題として読んだのだが、とても面白かった。400ページ強をすらすら読めた。
解説にもある通りいろんな読解ができる本だと思うけど、わたしが強く感じたのは、ヴィクター家(とくにエリザベスや父親、ジュスティーユ)の高貴さや気高さ、強さだった。どんな苦境でも、けっして否定に陥らずに現実と向き合う姿に...続きを読む、ぐっときた。

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Posted by ブクログ 2024年03月20日

フランケンシュタインとは、怪物のことではなかったのか。

怪物を生み出したのだから、人間であり、怪物でもあるのか。

周りはこうなのに自分はどうだ、
それは不幸の道に足をかけてしまっている証だ。

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Posted by ブクログ 2023年05月21日

フランケンシュタインや怪物が登場するたびに読書スピードが上がり、止められなくなる。

怪物の、「理解されたい」「愛されたい」という感情は本当に切実に胸に迫る。マイノリティどころではなく、ただ一人、生み出された怪物なのだから。

フランケンシュタインの、どうしようもなく利己的なところに憎しみと共感を覚...続きを読むえる。自分のしでかした罪の深さと、自分の愛する人たちの死は別物に思え、自分のしたことは棚に上げて、悪魔を葬り去ることこそ使命だと復讐に燃える。

自分が「命さえ創造することが出来るのではないか」と思った時、自分で自分を止められるだろうか。
取り返しのつかない失敗をしてしまった時、自分も現実逃避してしまうだろう。
「相手を殺して自分も死ぬ」と他人事のように言えばしない。

怪物は最後、愛されているわけではないと知りながらも、どこまでも追いかけてくるフランケンシュタインに愛情を感じたのではないか。

フランケンシュタインが失敗したのは実は外見だけだった。ということに気が付かないのか。


全体的にリーダビリティが高くグングン読まされる話だったが、新訳にしては訳文が少々古臭い。華燭の典とか、伝わるか?中学生にも読ませたいけど、そこだけが難点。

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Posted by ブクログ 2023年05月07日

映画未見。断片映像でちょっとみたことあったくらいだから読んだときにこんなに怪物に知能があるのかと驚いた。
愛されない怪物かわいそ…勝手に映画の映像でB級ホラーかと思っていたが全然違う

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Posted by ブクログ 2023年04月01日

廣野由美子著『批評理論入門』を読むために、まずテクスト『フランケンシュタイン』を。創造者フランケンシュタインの身勝手によって、不幸な生を生きることを強いられた怪物の姿が哀切。北の氷原を犬橇を操りながらフランケンシュタインの追跡から逃れている日々こそ、誰からも愛されず関心を持たれなかった怪物にとって幸...続きを読むせな日々だったのではあるまいか、と思わされた。こんな傑作を弱冠二十歳の女性が書いたのか! さあ『批評理論入門』読むか。

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Posted by ブクログ 2023年03月15日

「知識を得るのがいかに危険なことかを知っていただきたい。人間として許された以上の存在になろうという大それた野心を抱くよりも、生まれた町が全世界だと信じて暮らしている者のほうが、はるかに幸せだということを理解してほしいのです。」

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Posted by ブクログ 2022年10月22日

読んだらガラッと印象が変わりました。こんな話だったんだ!と結構な衝撃。少しの愛情さえあれば全然違った方向に進んでいたのではないか。救われる方法が何かあったのではないか。モヤモヤが拭えなくて心揺さぶられる。読んだそばから再読したくなる素敵な一冊。

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Posted by ブクログ 2020年09月09日

創造主と被創造者の悲しき関係の行き先は、お互いの破滅しかない。

これを読んだ時、世の中に様々な宗教があるが、神と人間との関係はどうなのだろうかという事を考えた。
神は人間に、人間は神に、何を望んでいるのだろうか?
そして社会に深く蔓延っている、人種や見た目、環境による差別。

その先にあるのは、同...続きを読むじ悲しく救いのない結末しかないかもしれないという、やり切れない思いが残る。

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Posted by ブクログ 2020年08月10日

メアリーの総てという映画を見る前に読んでおこうと思って読み始めた。時間がかかり過ぎて映画に間に合わなかったけれど。
読み応えあったが、フランケンシュタインがお騒がせな人で最後まで好きになれなかった。
怪物とジャスティーヌがかわいそうで、エリザベスとクラーヴァルが素敵だった。
本編よりまえがきの方が面...続きを読む白かったように思う。
作者の他の作品も読んでみたい。

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Posted by ブクログ 2020年07月21日

『批評理論』で取り上げられていたので、興味が出て読んだ。フランケンシュタインにも怪物にも全く共感できなかった。フランケンシュタインは、怪物を自ら作りながら、その存在を真っ向から否認し、怪物を作った自分自身を受け入れようとはしない。彼にとって、怪物と怪物を作ってしまった自分は悪であり、否定されるべきも...続きを読むのでしかない。怪物については、たしかに、彼は相当不幸な境遇にある。人間の言葉を理解し、豊かな感情がある。その身の毛もよだつような恐ろしい外見以外は、何一つ人間と変わるところはない。しかし、その容貌のためだけに人から恐れられ、疎まれる。だから、人を悲劇の縁に追いやることによって自らの存在を確認するようになる。確かに、フランケンシュタインも怪物も不幸だろうが、そのあり方を肯定することはできない。フランケンシュタインのように自分から逃げていても、怪物のように自分が不幸だからといって人を痛めつけてみても、幸福にはなれない。

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Posted by ブクログ 2020年07月19日

筆者の旅行体験を元に描いた背景描写が細かく壮大で読み応えがあった。博士と怪物の相入れないジレンマが心苦しかったけれど、どちらも“人間性”を感じるところが多々あって200年前に書かれたとはいえ(翻訳済みですが)読みやすかった。周りの登場人物たちの慈愛が怪物の孤独を更に強調され切なかった。。

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Posted by ブクログ 2020年04月11日

とにかく怪物がかわいそうすぎる。
そしてフランケンシュタインは、自身が犯した罪には震え上がっているものの、本気で反省はしてないように思える。怪物に対してひどすぎるから。
ただ、物語を生み出した作家の方はものすごい力で狂気を信憑性感じさせて描いている。
ストーリーが気になりすぎて途中の手紙が続く構成が...続きを読むちょっと辛くなり読み飛ばしてしまった部分もあるので、またいつの日かゆっくりと読み返してみたい。命の創造は、人間が踏み込んでいい部分ではないとやはり感じた。

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Posted by ブクログ 2020年03月20日

本当に面白い作品は、読み始めがどんなに冗長に思えてもある瞬間から胸ぐらを掴まれるように惹き付けられ、あっという間にラストまで魂を持っていかれる。物語から目が離せなくなる。『フランケンシュタイン』はまさにそういう作品だった。ヴィクターの科学者としての驕りと、倫理の箍が外れた無責任な情熱が作り出した生命...続きを読むには、一時は善良な心根が芽生えたものの、度重なる人間からの蔑みと暴力で遂には本物の怪物となってしまった。無垢の生命を怪物に育て上げたのは人間であった。憎悪は憎悪しか生み出さない。この当然の因果をあらためて思い知らされる作品だった。

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Posted by ブクログ 2019年06月25日

映画は何度か作られてますが、
原作はなかなか読む機会が無く初めて読みました。
フランケンシュタインが完成前から醜いと言いながら、
命を与え、恐怖と嫌悪感では好き好んで醜く生まれたわけではない怪物が哀れ。
また、仲間(伴侶)を作る約束をしておきながら完成直前に破壊。
フランケンシュタインの身勝手さはこ...続きを読むちらの方が怪物。
殺人を犯してからは怪物にも同情出来なくなりましたが、
怪物よりフランケンシュタインの方が怪物に思えます。
200年前の作品なので表現には古さを感じました。

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Posted by ブクログ 2018年10月13日

映画なら見なかったと思いますが、18世紀末に生まれ、19世紀初頭
20歳の美女が書いたという小説ならば興味ひかないわけはありません

ところが、暑さも忘れるほどゾッとする怪奇な恐怖話ではないこと
むしろ、これは現代にも当てはまる事情ではないかと、そこに背筋が凍りましたね


フランケンシュタイ...続きを読むン青年科学者が人間に似た生命体を完成させる
それが怪物くん、フランケンシュタインが作った名無しの権兵衛

解説にある通り、わたしも怪物の名前がフランケンシュタインと思っておりました
でも、フランケンシュタインが生んだようなもんだから、フランケンシュタインでいいんじゃないか

それはさておき、作品の生命体があまりにもおぞましいので
(そこは詳しくは描写されていないので、想像で各自イメージする)
製作者は拒否してしまう、つまり、捨ててしまう

ちょっと待って!仮にも人間に似た生命体だよ
書き損じの小説や、作りかけの工作じゃないんだから・・・

怪物くん見た目はひどい(おそましい)が
掘り起こせば感性に溢れ、知性と情けを知る御仁
あるきっかけで人間としての教養を積んでしまう

それではと
人間社会で受け入れてもらいたいのがあだとなり
本人の意向とは裏腹に恐れられ
ますます孤立してしまう悲しさ
生みの親にも嫌われ、誰も振り向かない、認めてもらえない

そうなったときどうなるか?
失意のどん底、復讐の魔物となるのか

少々饒舌なところもありますが、三重構造の良さ
語りて
フランケンシュタイン
怪物くん

それぞれの真に迫ったモノローグがグイグイと迫ってきます
怪物とは「超現代科学技術のもう取り返しがつかない行方か!」
との思いを強くしました

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Posted by ブクログ 2016年10月16日

なんとなくぼんやりとは知っているつもりだったフランケンシュタインが、実は全然知らなかった。だいたい著作が女性だったとは。

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Posted by ブクログ 2016年02月16日

ドラマ『ペニー・ドレッドフル』のロリー・キニア演じる癒されることのない哀しみの運命を背負った怪物に惹かれ、今まで映画やドラマでしか知らなかった「フランケンシュタイン」を手に取りました。なんとも素晴らしい作品で、今まで読んでなかったことを悔やまれるほど。これが18世紀に著者が20歳そこそこで書かれたと...続きを読むいうんだから驚き以外の何物でもない。しかし、しかしですね、これは怪物が可哀想。創造者は勝手だよ!人間って勝手だよ!息を吹き込む前にもう少し考えられなかったのかい!

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Posted by ブクログ 2024年02月11日

1818年出版ってことにまず驚いた、そんなに昔の作品なんだ。翻訳がいいのかそこまで古さは感じないで読めた。

古典モンスターホラーのイメージだったけど、それは映画版のイメージのようで、原作は怪物に同情しかできない悲劇だった。

怪物を作ったフランケンシュタインがメンタル弱弱のくせに無駄に行動力はあっ...続きを読むて、でも自分の事しか考えていないから周りに不幸を振り撒くのが最悪。

むしろ怪物の方が冷静でフランケンシュタインに正論を吐いて説教し、更には建設的な提案もする。それでも見た目の醜さから全てを否定され結果として誰もが損をする展開に至る。

生命を創造することの責任、差別と偏見の愚かさなど現代でも通じるテーマを描いてるから、古典として残っているのも納得。

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Posted by ブクログ 2017年10月06日

恐らく多くの人が、本書のタイトルと、フランケンシュタイン博士が作り出した怪物のイメージは持っていると思う。
しかしそれは、フランケンシュタイン原作から得たイメージでは無く、人間によって作り出された、継ぎ接ぎだらけの怪物というイメージなのではないだろうか。
少なくとも私は、そうだった。

改めて本書を...続きを読む読んでわかったことは、フランケンシュタインとは藤子不二雄先生が書いたユーモラスな怪物ではない。
古典的な怪奇物語であるということ。
決して明るい物語でもない。
でも、そういえばフランケンシュタインって何だ?と思ってしまった人は、一度は読んでおくべきだと思いました。

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