芹澤恵のレビュー一覧
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芹澤恵さんの美しい訳に導かれるように、久しぶりに夢中になって読んだ。
最後まで自分のことしか考えないヴィクター・フランケンシュタインと、ただ愛されることだけを望む「怪物」。
怪物のような愛への渇望が、他者への興味が、ほんの少しでもヴィクターにあったなら、結末は変わっていたと思う。
姿かたちで人の内面を判断する軽薄さが最後まで悲劇をもたらすところも秀逸。
「人を見た目で判断してはいけません」なんていうつまらない教訓ではなく、そうした軽薄さがどれほど深く人の心に巣食っているかを描き切る冷徹さがかっこよかった。
さまざまな作品の下敷きになるのも納得の、不朽の名作。
前人未到の場所への好奇心、名誉欲 -
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ネタバレフランケンシュタイン博士という科学者が、外見が醜く、身体能力が高く、感情と知性を持つ「怪物」をつくる。しかし、博士は、その外見を見て恐ろしくなり、逃げてしまう。怪物は、人間と関わろうとするが、その外見からひどい目に合う。そこで、自分と同じような醜い伴侶がいれば、自分の孤独も癒えるだろうと思い、博士につくってくれと頼むが、博士は二人が協力して人類に危害を加えるのではと考え断る。博士の周りの人間から始まり、最終的に怪物も含め全員死んでしまう。
フランケンシュタイン=怪物のことだと思い込んでいたが、つくった博士の名前だったとは驚いた。
博士は無責任だと思った。自分がつくったものを放り出し、噛みつ -
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ネタバレ
世相へのシニカルな視点を保ちつつ、温かみを決して失わない語り口が絶妙。どの作品も面白く、オチの付け方が天才的だった。
南部に生まれ、中米での逃亡生活やニューヨークでの都会暮らし等、様々な経験をして「人生の滋味」を会得した作者の作品は見事。アメリカ文学の新境地を切り開いたといっても過言ではない。
個人的には、「献立表の春」「甦った改心」「幻の混合酒」「靴」「警官と賛美歌」「賢者の贈り物」が好き。(「賢者の贈り物」がダントツだが、、)
以下、それぞれの作品に対するメモ書き。
・多忙な株式仲買人のロマンス
忙しすぎる金融街で働くサラリーマンを、コミカルに描く作品。ウルフ・オブ・ウォールストリー -
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おもしろかった。
発火する特異体質の双子・ベッシーとローランドと、そのお世話をすることになったリリアンが繰り広げる物語。
最初、敵意を剥き出しにして反発していた双子。リリアンとの関係性が変わり、次第に信頼感が生まれていく様子がいい。
双子の父は身勝手で不快でしたが、だからこそリリアンのちょっとした毒舌が光ってました。
子どもたちは反抗的な態度も含め、だんだん可愛く思えてきた。何度も同じ質問をするシーンはちょっと切なかったなぁ…。
お世話係は仕事だけど、子どもたちと一緒に過ごす時間は心地いいものへ、そしてベッシーとローランドは守ってあげたい大切な存在へと変わっていくーー。
終盤、一体どん -
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とうとう、フロストシリーズの最終話を読んでしまった。存分に堪能した満足感と、もうこれでフロストやウェルズやモーガンはじめテントン署のお馴染みメンバーに会えなくなる寂しさで胸がいっぱいになる。
本書でも、いつもの通り次から次へと事件が発生し、フロストは食事や睡眠をとる時間もなく、慌ただしく同時進行で複数の事件の捜査をする羽目になる。それでも、いつものくだらない冗談など飛ばしながらちょっぴり間抜けなモーガンとのコンビの活躍する姿に、夢中になってしまう。
今回の悪役担当(?)は、転任して来たスキナー主任警部。スキナーと、署長のマレットは共謀してフロストをデントン署からの追い出し作戦を仕掛ける。フロ -
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ネタバレ青ざめた四角い顔に目の上のコブ、醜い図体、というのがフランケンシュタインのイメージで漫画のキャラクターぐらいの印象しかなかった。 ところが英語の本の愛読書のランキングに必ず出てくる。 ??ということで本を読んでみることにした。
結果、誤解していたことが一つ、フランケンシュタインは怪物の名前ではなく、怪物を創造した科学者の名前だった。 そして意図してつくった人工人間が意図せず怪物となったことによる、とんでもない悲劇が展開していくことになる。 悲劇と言ってしまえば一言で終わってしまうけれど、愛と憎しみ、欲と虚栄心、など深いテーマが隠されている。 そして、何よりもAIブームの入り口にいる現代人に、 -
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上巻から一気に読みました。
登場人物一覧に、けっこうな重要人物の名前が抜けているんだが…?
スキナー主任警部とマレット署長の差し金により、デントン署から異動することになってしまったフロスト。
デントン署を去る日が近づく中、連日ほとんど寝ないで捜査にあたる。
妻をめった刺しに殺したと自首してきた元食肉店主のルイスだが、家の中は潔癖すぎるほどに消毒されている。
残虐に殺されたデビーとトマスの殺害現場を探し当てるも、なかなか捜査が進まない中、凄惨な殺害場面を映したビデオが送られてくる。
ビーズリーからは早く脅迫犯人を捕まえろという矢の催促。
行方不明となった少女は未だ見つからず。。。
割ける人員は -
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原題も"Frankenstein"、初出は1818年。
フロストシリーズで毎度テンポの良さとユーモアに富んだ訳で唸らせてくれる芹澤恵さんによる新訳。芹澤恵さん、こんな古典ものの翻訳もされているのねー、これからも色々と読みたい訳者さん。
書かれたのが200年前というのがまず驚くし、作者は執筆当時、20歳の女性だったということにまた驚く。ちなみにメアリーは17歳のときに妻のいる男性と駆け落ちし、駆け落ちの旅行中で本書を執筆した。その妻が自殺して20日後に結婚したらしい。スキャンダラスすぎるし、今の時代からみても倫理的にどうなんだと思う。しかし本書の序文には、「筆者の主な関心は -
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ネタバレ今回のバディは、スケベでドジなモーガン。
いくらなんでも、こんな刑事はいないよなあ。
でも、それを言えば、そもそも主人公のフロストみたいな警部自体がありえないのだけれど。
今回も、いつものフロストや、同僚達、マレットなどのデントン署の面々に会えて、嬉しくてにんまりしてしまった。
いままでの作品同様、何件もの事件が同時多発し、どう解決していくのか、期待しながら読んだ。
リズが拉致されてしまった事件はちょっとショックだった。リズは本当に堕胎したのか?(と思うけど)退院早々に、こんな目に遭ってしまったが、もっとリズの活躍ぶりを見たかった!
最後の終わり方は、エラリー・クイーンの小説のようでかっ -
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ネタバレなんとも奇妙な短編集を味わった!
主人公が「代理祖母」だったり「スクラブルのQのパーツ集め」だったり「おもちゃの音入れ屋」だったり謎で奇妙でファンタジーな職業についていたりするのに、細部がリアルに書かれているので本当にそんな職業ありそうって思ってしまう。
主人公はみんなどこか陰の雰囲気を纏った人々で、言ってしまえば変わり者。でもみんな愛を抱えながら複雑に生きてる人々なので、奇妙なのに温かい。
「今は亡き姉ハンドブック」は淡々と「姉あるある」を単語ごと解説していっているのにえらく切ない。シスコンには全然萌えないけど、なんでだろう、この短編が一番頭から離れない。
走り去っていく姉の背中という存在し