芹澤恵のレビュー一覧
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クリスマスが近いということで読んだ本。
私は皆さんにお詫びしなければなりません。
今から20年以上も前にこれほどの傑作が刊行されていたにも関わらず、今日までご紹介することをできませんでした。(だってさっき読み終えたんだもん!)
自らの不明を恥じております。書店員として失格です!
読んでいないのに知ったかぶって、ああ、フロストね、いいよね、あれ、なんて顔もできなくもないのです。それなりの読書修行も積んだつもりです。
が!しかし、この作品だけはごまかせません!
にやりと不敵な笑みを浮かべることは、この本を読み終えないとできないのです。
一体どんな主人公なんだと疑問も浮かぶでしょう。
表紙をご覧下さい。
デスクの上をとっちらかし、くわえ煙草のむさくるしい風袋のおっさんが名刑事フロイトです。
どれくらいの名刑事か。例えるなら、刑事コロンボとリーサルウェポンのリッグスと、フーテンの寅さんを足して3で割って中途半端にしたような刑事です。
いいですねぇ、キャラがとっても際立ってますねぇ。
ヘタこくこともたびたびですが、勘の鋭さはピカイチです。誰もが賛同しかねる迷推理も、すべてすりっとまるっとお見通しだったことが最後にはわかります。
事件の内容には一切触れません。
でも太鼓判を押します -
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ネタバレフロスト警部シリーズの最終巻.「完結」というわけではないが,作者のウィングフィールドが10年前に亡くなってしまっているので,本当に最終巻.いや,自分の先が長くないことは分かってたはずなので,「完結」を意識して書いたかもしれないけどね.
フロストは相変わらず下品で行き当たりばったりで運頼みなんだけど,上下巻構成となった第4弾の「夜のフロスト」あたりから徐々に作品に枯れた雰囲気も漂いはじめ(十分下品なんだが),同僚からも忌み嫌われていたはずが,いつの間にか人気者になってしまい,まあ,この辺が完結の潮時だったのかもしれない.読んでいて先が見えてしまうこともしばしばだし.とはいえ,本書も面白い.面白いのは,訳者の芹澤恵さんの功績も大きいように思う. -
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「フロストと連立方程式」
みなさんは「フロスト病」という病をご記憶でしょうか?
そう、英国の小説家、R・D・ウィングフィールドの「フロスト警部」シリーズを読みふけることによって、
夜昼関係なくこの本から目が離せなくなり、途中、奇声を発する方
はたまた突然、一人でげらげらと大笑いするといった症状がではじめ、
翌朝には、ぼぉ~っとしたかと思うと、思い出し笑いするなどいろいろな兆候がみられる病なのです。
その「フロスト」シリーズの遺作、「フロスト始末」がこの度出版されました。
で、私はこの上下2冊を一気に読み上げましたが、何故かこの度は多少ニンマリすることはあっても、
声を出して笑うといことはありませんでした。
これまで読んだ5作品に中身は勿論記憶にあるわけではありませんが、
これまでとは少し違っておかしみの部分が減りちっと変化があるような気がしております。
しかし、何故かこの本が一番読みやすかった感じも否めません。
さて、このフロスト警部の出立ちは刑事コロンボを想像していただいたほうがちかいでしょうか、
しかしこの上なく下品で、上司やお偉方、悪者には悪態のつき放題、
それでいて部下や市民に口は悪いがなんともやさしい。
これが部下に慕われ、読者を惹きつける要因なのかもしれません。
出されたコーヒーカップに鉛筆を入れ、砂糖をかき混ぜるなんて人、そんなにはいないでしょう(o^。^o)
このシリーズでは毎回、いろいろな事件が重なって発生します。
でも小さい田舎の警察署のこと、フロストにそのお鉢が回ってくるのです。
行方不明、殺人、スーパーマーケットへの脅迫etc.
そして読んでいる途中、ある事に気が付きました。
未知数が4、5とある連立方程式の解をもとめる数学に似ているなと?
ご存知のように連立方程式は未知数の数ほど関係式がないと解はえられません。
この上下2巻のお話に中で、X、Y、そしてZ等の関係式を描いているのです。
ヤツがホシだと言った彼の第六感も調べが進行していくうち、
第2,第3と状況が変化し、方程式の係数も変わってきます。
そして何かの拍子に未知数Xの解がえられると、YやZの答えも引き出されてくるのです。
今、本屋さんにゆくと第1作の「クリスマスのフロスト」から全作が置かれています。
まだ一度も読まれたことの無い方、あなたはしあわせものです。
無作法で口の悪く、お下劣なフロスト様にお会い出来るのですから!!!
でも、この作品が最後になるとはほんとうに残念至極であります。 -
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ネタバレ「賢者の贈り物」 2016/2/16
日々の暮らしにも事欠くほどの貧しい家庭の夫婦が、お互いにクリスマスプレゼントをするために自分の一番大事で高価な代物を犠牲に、愛するパートナーへの贈り物を買った。その贈り物はお互いの犠牲によって何の意味も価値もないものになってしまったが、本当にそうなのだろうか。その価値のない贈り物をし合った二人を筆者は、聖書に出てくる3人の東方の賢者に例えるほど、彼らを「賢者」であると言っている。彼は何故彼らを「賢者」であるといったのか。「賢者」とはいったい何なのだろうか。
物語中に「年100万ドルの収入のものと週20ドルの収入の違いとは何であろうか」という問題提起がある。収入や生活環境でいえば、明らかに前者のほうが豊かな生活であることは誰にでもわかる。しかし、主人公夫婦が貧乏だからといって不幸であるようには思えない。つまり、収入の差による物の豊かさや出来ることの多さは幸不幸にはそれほど影響を及ぼさないということである。
では、この物語がお互い価値がなくなることなく贈り物をすることができたら、彼らは「賢者」ではないのだろうか。この賢者であると言わしめた要素はおそらく相手を想う「愛」ゆえに自分の大切なものを犠牲にしたことである。そのため、贈り物の価値がなくなってしまったこと自体にはそれほど大きな意味はないのかもしれない。
二人はお互いのプレゼントがお互いの犠牲によって価値をなくしてしまったがために、お互いの本当にプレゼントしたかったもの、「愛」を与え合うことができたのではないだろうか。それは筆者が聖書に出てくる賢者を引用してきたことと非常に合う。豊かな生活を送る者も愛なくして贈り物はできない。いや、クリスマスだから何かものをあげないといけないという義務感から物を与えられても、「愛」があるとは言いづらいし、感じにくい。心も満たされない。そのようなことを儀礼的にい合う仲の二人だったら、筆者は「賢者」とは決して表現しなかっただろう。筆者が一番言いたかったことは、贈り物の本質は「愛」であり、「愛」があれば、例えその贈り物の価値が無くなってしまっていても、心は十分すぎるほど満ちることができるということかもしれない。彼らは贈り物自体には大きな意味はなく、「愛」を贈ることに成功しているから賢者なのだろう。たとえ収入が少なく、高価な贈り物ができなくても大した問題ではなく、「愛」を贈ることこそ大事だということだろう。 -
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何年ぶりか、というほど待ったフロスト警部シリーズ第4弾(かな)。
作者のウィングフィールド氏はすでにこの世を去っているので、あと2作あるという作品でこのシリーズは強制的に終わってしまうのが悲しい。
けれど、フロストにはたくさん、早く会いたいので、早く翻訳してほしい。
相変わらず、下品、お下劣、不潔、がさつ、セクハラ満載な男、フロスト警部。けれどどこか憎めない。そんな彼に今回もさまざまな事件が怒涛のごとく押し寄せる。幼い子供が誘拐、殺害されるという事件を皮切りに、若い娘が誘拐されるわ、ちんけな犯罪者が汚水の中から死体で見つかるわ、それはもうえらいことになっている。
そしてやっぱり相変わらずデントン署は人手不足。
署長の高級葉巻をくすねるために署を訪れた、休暇中のフロストの手を借りなければいけないほどなのだ。まさしく猫の手も借りたいというところだろう。(フロストと犬猿の仲のマレット署長なら猫のほうがいいというに違いない)
上下巻であることを感じさせないほどの圧倒的なスピード感、物語の面白さも相変わらず。
小さな小さなことを見逃さずにいるフロスト(たいてい、単なるあてにならないカンだったりするのだが)が、寝る間も惜しんで働いた結果、最後にはすべての糸がほぐれていく。
今までと少し違うのは、過去の作品ではワーカホリックで人使いが荒いと署内の鼻つまみ者だったはずのフロスト警部が、今回はどうも他の刑事たちから慕われているらしいということ。
いったい彼に何があったんだ!?
シリーズではありますが、この作品だけでも十分楽しめます(なんせ7年ぶりの新作なので、わたしも前の作品は覚えてません)。
が、愛すべきセクハラ親父であるフロストを気に入ったら、ぜひ、前の作品も読んでください。
アメリカの警察小説とはまた違って、イギリスの暗くじめっとした空気が伝わってきます。そういう読み方をしてみるのも、おもしろいですよ。 -
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「クリスマスのフロスト」「フロスト日和」に続くフロスト警部シリーズ第3弾。過去2作はそれぞれ「週間文春」、「このミステリーがすごい」のランキングで1位を獲得した作品である。
不屈の仕事中毒(プライベートの時間が描かれたことがない)、下品きわまる田舎町デントンの名物警部フロスト。
次々と降りかかる事件、ついでに掘り出してくる事件、などいくつもの事件が同時進行して、それをあっちへいったりこっちへいったり、ひっくりかえしながら最後にはきっちり解決するフロスト警部。
口を開けば下品なオヤジギャグの連発、気を抜いてる奴には浣腸攻撃、上司の命令もおかまいなし。上司や清潔感溢れ野心をみなぎらせた部下には嫌われつつ、しかし不眠不休で現場百回、直感をもとに捜査を行うフロストの魅力満載。
この文章を読んで、「下品なやつはな」と二の足を踏んでいるのであれば、それは損をしていること間違いなし(あたしが下品なジョークが好きだからというわけではないはず)。
なんせいくつもの事件が同時進行する上にフロストの迷走ぶりをあますことなく書いているため、分厚い(文庫なのに760ページもある)のだが、そんなことは気にならない面白さ。
下品なオヤジの姿の中に、妻に先立たれた仕事中毒の中年男の哀愁が感じられる(に違いない…?)。 -
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やっと読み終わりました。750ページは若干骨が折れました。
フロストシリーズ第3作目。
よれよれの服装で、頭もさえず、下品な冗談を時と場所構わず連発し、常に煙草をふかしているフロスト警部。彼は一方で驚異のワーカホリック。とにかく現場と関係者の聞き込みが命。
デントン署は、インフルの影響で署員は半分しか出勤してない状況。でも、そこに起こるのは老女連続殺人、少女失踪殺害、放火殺人、そして闇ポルノ…。
これらの事件に対する彼の捜査手法は、「勘」と「思い込み」と「運」。自白を引き出すためにはハッタリも厭わない。1週間ぶっ通しで仮眠のみで捜査を続けるフロスト。署員も巻き込み大騒動です。
最後は全部の事件がなぜか解決してしまうんだけど、その終わり方は決してハッピーではありません。でも、フロストはへこたれないんだなぁ。
でも、警察の実際の捜査ってこんな感じかもよ。違ってたらごめんなさい。
原書名:NIGHT FROST(Wingfield,R.D.)
著者:R.D.ウィングフィールド(Wingfield, R. D, 1928-2007、イングランド・ロンドン、小説家)
訳者:芹澤恵(東京都、翻訳家)
解説:霞流一(1959-、岡山県、小説家)