芹澤恵のレビュー一覧
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ネタバレ女王陛下は名探偵!
エリザベス2世の愛するウィンザー城で若いピアニストが変死した。心を痛める女王陛下を気遣いながら捜査が進められているはずだった——ナイジェリアにルーツを持つ秘書官補のロージーは上司にも秘密の任務に選ばれる。それは"ボス"女王陛下の推理を手伝うこと!
すごい。イメージするエリザベス2世がそこにいて、推理を働かせていく。もちろん女王陛下なので足を使って手がかりを集めるわけではない。バディとなるのは秘書官補のロージー。タフでクールなヒーロー。しかもこのバディ制度は前から続いていたものらしい。そんなのいくらでも過去に遡ってエピソードが書けてしまう。こんなに楽しい安楽椅子探偵の設定ができたなんて!
名探偵はただ事件を解決するだけではなく、皆が幸せに向かうように収めなくてはならないと思っている。女王陛下の推理は、この条件を見事にクリアしていく。そのような態度をとる理由が、長きに渡って国家君主としてあらゆる局面を乗り越えてきたことに、周囲の忠誠と尊敬を集めているところにあるように描かれているのがよい。憧れる「英国と女王陛下」の姿がここにある。
愛すべきフィリップ殿下の描かれ方がとても好き。2人の絆というか姿というか、やり取りがとてもよかった。 -
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エリザベス女王の若い頃の設定だと思って読んだら違っててびっくり。89歳のエリザベス女王が登場。物語の中で90歳を迎えるんだけど、わりと最近の設定。ロイヤルファミリーや各国のお偉いさんの名前がそのまま出てくるので、読んでて顔が頭に浮かんで、物語に入り込みやすかったかな。これ実際あったことではないか、と思ってしまう。
エリザベス女王のお気に入りのウィンザー城で事件が起きます。その事件解決のためにエリザベス女王が動きます。秘書官補のロージーがアシスタントしてます。安楽椅子探偵なのかな?と思ってだけど、違います。女王自ら現場を見に行ったりとなかなかの行動派。ロージーは女王が動きが取れないときに、秘密裏に動いて女王を助けます。この二人を読んでて、アガサ・クリスティの『パディントン発4時50分』のミスマープルとスーパー家政婦(名前は忘れちゃったけど)みたいと思いました。
物語を読み終え、エリザベス女王はどんな方だったんだろう?と考えてしまいました。私が知ってるのは、遠い異国の女王、国民に愛されている、それくらいしか知らない。これもTVの情報であって実際はどうなんだったんだろう?この物語では、女王としての顔を持ちながら、好奇心旺盛で行動派。優しくて、家族、城に仕えてる人たち、国民を愛している。そういう風に読み取れたけど、実際もこういう方だったらいいな。
1ページに文字がギッシリ詰まってて、目が疲れたけど、楽しく読めました。 -
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十一編収録されている短編集。タイトルに惹かれて読んでみたけれど、表題作はもちろん、他の作品もとても魅力的で楽しかった。孤独や不安を抱えてる主人公が多く、他者との違いに悩んでいたりもするのだけれどそれを徐々に認め受け入れていく過程がいい。代理祖父母を派遣する会社で働く女性を描く「替え玉」、クイズ大会のチームメイトでモテない男子二人の魔が差した瞬間からの関係性を描く「モータルコンバット」、転校先の高校でチアリーディングを始めたペニーが12歳の男の子と交流を描く「ゴー・ファイト・ウィン」。この三編がとくに印象的で読み終わった後もたくさんの場面が残り続けている。
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河出書房『はじめて読む!海外文学ブックガイド』(十四歳の世渡り術シリーズ)で、芹澤恵さんが紹介なさっていたので知り、読んだ。
九十八セントの買い物に一ドル紙幣を出したウィルマ伯母さんに対し、細かい釣り銭がないのでもう三セント出せないかと雑貨屋の主人が頼んだことを端緒とする世紀の一騎打ちを描いた「ウィルマ伯母さんの損得勘定」、ある市の名前が思い出せないことがどうしても気になって眠れないぼくが、夜中の三時に、寝ている父親にニュージャージー州の市の名前をとにかく挙げてくれと頼みに行く「今夜もまたまた大騒ぎ」など、少年時代の家族や地元の人々との思い出がベースになっている掌編たちがとても面白かった。思わず吹き出してしまう。
「ツグミの巣ごもり」は他とはちょっと毛色が違うように思われたが、これはこれで見事に、気に入らない女を“消す”話。「虹をつかむ男」は「Life!」というタイトルで映画化もされているらしく、これは日常の隙間時間についつい一人妄想に耽ってしまうあるある(?)で共感を覚える人も多いのでは。時々挿しはさまれるゆるいイラストも楽しい(サーバーは雑誌『ニューヨーカー』で漫画も描いていた)。
冒頭に書いた『〜ガイドブック』を再び読んでみたら、芹澤さんはコロナ禍での暮らしの変化を受け「今のわたしたちのおたおたぶりをサーバーならどんなふうに見て、どんなふうに描いただろう」と述べられていた。おたおた、どたばたして参ってしまいそうなとき、サーバーのことを思い出すのも良いかもしれない。 -
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イギリスの作家「R・D・ウィングフィールド」の長篇ミステリ作品『夜のフロスト(原題:Night Frost)』を読みました。
アンソロジー作品の『『ジャーロ』傑作短編アンソロジー3 夜明けのフロスト クリスマス・ストーリー』を読んで、久しぶりに「ジャック・フロスト警部」シリーズの長篇を読みたくなったんですよね。
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流感警報発令中。
続出する病気欠勤にデントン署も壊滅状態。
折悪しく、町には中傷の手紙がばらまかれ、連続老女切り裂き犯が暗躍を開始する。
記録破りの死体の山が築かれるなか、流感ウィルスにも見放された「フロスト警部」に打つ手はあるのか……?
さすがの名物警部も、今回ばかりは青息吐息。
『クリスマスのフロスト』『フロスト日和』につづく、人気の英国警察小説シリーズ第3弾。
解説=「霞流一」
*英国ITVで1992年よりTVドラマ・シリーズ化
*第1位「週刊文春」2001年傑作ミステリーベスト10/海外部門
*第1位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/評論家部門
*第2位「このミステリーがすごい! 2002年版」海外編ベスト10
*第7位『ミステリが読みたい!2011年版』ゼロ年代ミステリベスト・ランキング海外篇
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1992年(平成5年)に発表された作品で、イギリスの架空の地方都市デントン市を舞台にした警察小説、「ジャック・フロスト警部」シリーズの第3作目にあたる作品です、、、
久しぶりの、この厚さ… そして、登場人物や発生する事件の多さ… そして750ページ超のボリューム… 同時多発的に事件が発生し、次々と新たな被害者や関係者、容疑者が登場するので、序盤は全体像が掴みにくく、やや苦労しますが、意外とサクサクと読め、事件が解決に向かう終盤は一気読みでしたね。
新任部長刑事「フランク・ギルモア」が配属されたのは、しけた地方都市デントン市だった… まあ、ここは眼も眩む高みに昇りつめるための梯子の一段目にすぎない、、、
こき使われる心配がなさそうなのも幸いだった… だが、いざ出勤してみれば、猛威を振るう流感に、署は壊滅状態。
折悪しく、町には中傷の手紙がばらまかれ、老女ばかりを狙う連続切り裂き事件、新聞配達中に行方不明となった少女、ポルノビデオの押収、少女の自殺や老人の自殺未遂、果ては殺人・放火まで… なんたる不運、、、
そのうえ、だらしない風体に、悪夢のような下ねたジョークを連発する男「ジャック・フロスト警部」と組む羽目になろうとは… 数少ない同僚らと予想不可能の捜査を展開していく「フロスト警部」、、、
絶体絶命の人手不足の中、ウィルスにも見放された「フロスト警部」に打つ手はあるのか!?
よりシビアになる天敵「スタンレー・マレット署長」の追撃をかわしながら、この災いの包囲網を「フロスト警部」はどう突破するか!?
一貫した捜査方針などこれっぽっちもなく、ただ喚いて、走り回って、直感を頼りに強引な捜査を続ける「フロスト警部」は、運にも助けられ一つひとつの事件を解決していく、、、
クライマックスは、手に汗握る高層クレーンでの連続切り裂き犯とのアクションシーン… そして、その人物は真犯人ではなかったと思わせておいて、意外な結末が用意されているエンディング… 読み応え充分でした。
勤務態度は最低最悪、事務処理能力なし、お下劣極まりない悪口雑言… でも、不眠不休で日勤夜勤を繰り返し、現場百回、本当によく働く警察官… この相反する要素が奇跡的に同居した「フロスト警部」のキャラに、本作品でも惹きつけられましたねー 面白かった!
以下、主な登場人物です。
「ジャック・フロスト」
警部。主人公
「フランク・ギルモア」
部長刑事
「リズ・ギルモア」
フランクの妻
「アーサー・ハンロン」
部長刑事
「ビル・ウェルズ」
巡査部長
「ジョニー・ジョンスン」
巡査部長
「ジョー・バートン」
刑事
「ケン・ジョーダン」
巡査
「ジョン・コリアー」
巡査
「ジーン・ナイト」
巡査
「ヘレン・リドリー」
巡査
「スタンレー・マレット」
警視。デントン警察署長
「モルトビー」
医師
「サミュエル・ドライズデール」
検屍官
「ミス・グレイ」
ドライズデールの助手
「テッド・ロバーツ」
現場捜査担当官
「トニー・ハーディング」
鑑識チームの責任者
「メアリー・ヘインズ」
78歳の老婦人
「ディーン・ロナルド・ホスキンズ」
メアリーの隣人
「ポーラ・バートレット」
行方不明の少女
「マーク・コンプトン」
美術商
「ジル・コンプトン」
マークの妻
「エイダ・パーキンズ」
家政婦
「サイモン・ブラッドベリー」
防犯システムのセールスマン
「ウォードリー」
自殺を図った老人
「スーザン・ビックネル」
自殺した少女
「ジャネット・ビックネル」
スーザンの母
「ケネス・ダフィー」
スーザンの継父
「チャーリー・マスケル」
老夫婦
「メアリー・マスケル」
老夫婦
「アリス・ライダー」
81歳の寡婦
「ジョージ・F・リックマン」
新聞販売店の主
「バーナード・ヒックマン」
配管工
「エドワード・ベル」
牧師
「ハロルド・エドワード・グリーンウェイ」
ヴァン運転手
「ロナルド・ウィリアム・ゴールド」
バス運転手
「ベティ・ウィンターズ」
76歳の老婦人
「フレデリック・パーリー」
副牧師
「ウォーリー・マンスン」
前科者
「ベル・マンスン」
ウォーリーの妻
「ディードリー・マンスン」
ウォーリーとベルの娘
「ドリス・ワトスン」
76歳の老婦人
「ジョーン・イースト」
高級娼婦
「ノールズ」
市議会議員 -
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ネタバレ相変わらず、繰り広げられるフロストの下品な下ネタ、ジョーク、マレット所長との攻防などは、面白い。また、今回の新しいバディ相手であるギルモア部長刑事とのやりとりもたまらない!
正直、今回は事件が多すぎて、なかなか頭がついていかないこともあったが、なんだか全然わけわからん、という事にはならずに済んだ。
前回よりも、フロストの直感的捜査が失敗に終わることもあり、どうなることかとおもったが、いつものように偶然などご都合主義的なこともあり、解決はする。
ただ、最後のクレーンの上での犯人との対決場面は、犯人の後を追えばああなるよなぁと思った。
本当に連続老婆殺人事件の犯人なのか、ハラハラさせる。
本当にご都合主義だけど、これが面白いんだよな。
それにしても、いつも油断をしてると、事件発生、無線連絡、捜査に出かけるので、休まる暇がない。
いつになったら、フロストはもう少しゆっくりした時間を楽しむことができるのだろうか?
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Posted by ブクログ
イギリスで10万部、18か国で翻訳されているという人気シリーズの1冊目。
原題は”(Her Majesty The Queen Investigates) The Windsor Knot”。()内はシリーズ名でもあって、つまり『女王陛下は「ウィンザーノット」を捜査する』となる。原著の既刊は3冊、刊行予定が1冊で、いずれも『女王陛下は「〇〇」を捜査する』となる。なかなか気が利いた作り。
邦訳は2冊目の『バッキンガム宮殿の三匹の犬(The Three Dog Problem)』まで。
さて、本シリーズの探偵役は先ごろ亡くなった英国女王陛下その人である。
実のところ、巻末解説にある通り、女王陛下が登場するフィクションは少なくないという。行き過ぎたタブロイド紙などとの攻防はあるが、英王室は「コンテンツ化」されることに比較的鷹揚であるようにも感じる。愛され、親しまれ、それでいて隠されたミステリアスな部分もあり、想像を働かせるには格好の題材なのだろう。王室側もそれを許す懐の深さ(逆に言えばしたたかさ)を持っているということかもしれない。
本シリーズ、まだ1作目を読んだところであり、私は英王室に取り立てて詳しいわけではないが、王室内部の描写がある程度実態に近いのではないかと思われる。晩餐会や各国要人との面会などの行事、秘書官や近習ら、女王付きの人々の仕事、次々と公務をこなさねばならない女王のハードスケジュール。小柄でありながらエネルギッシュで魅力的なエリザベス女王や、口は悪いが磊落で悪気のない伴侶フィリップ王配の人柄も、人々がさもありなんと想像する通り。
そうした「舞台装置」がかっちりしているからこそ、投げ込まれるフィクション部分の「謎」が生きてくる。
2016年4月。
女王お気に入りのウィンザー城で、一人の若いロシア人ピアニストが遺体で発見される。前の晩、宿泊晩餐会に参加していた1人だった。
彼は当初、性的な快楽を得ようとして誤って事故死したと見られていた。だが、そうと断じるには不審な点が出てくる。
女王は、密かにこの事件を調べ始める。
本書の準主役はナイジェリア出身の若き女性秘書官補、ロージーである。この職について間もない。
女王が探偵といっても、表立って軍配を振り、犯人を追い詰めてとっちめるわけではない。手となり足となる存在が必要だ。実は女王は昔から謎解きがお得意だった。海千山千の各国政治家を相手にして渡り合ってきたのだ、その洞察力と政治力が凡庸なはずはない。女王の内緒の助手は代々、近しい部下が務めており、今回はロージーに白羽の矢が立ったというわけだった。
女王はあからさまでなくロージーに指示を与え、ロージーはその意を汲んで内密に捜査を進めていく。
さらには、警視庁やMI5にそれとなくヒントを与え、捜査を正しい方向に導いていく。
原題の「ウィンザーノット」はネクタイの結び方(knot)として知られているが、ウィンザー城の難局(knot)とも解釈できる。今回の事件では、紐の結びが事件の謎を解く1つのカギとなっており、なかなか洒落たタイトルである。
謎の出来もまずまずだが、やはり一番の魅力は女王の人柄だろう。
女王には手柄も名探偵の称号も不要である。そうしたものは欲しがる相手に与えてやればよいのだ。女王陛下ならではの慎ましさと寛容さ。人々は、一見優しい老婦人に見える女王に操られているのに、最後までそれに気づきもしない。
本書の事件、犠牲となったのは1人ではなかった。その人々の死を、女王は衷心から悼む。
そんな姿に胸を射抜かれて、この人を守りたい、この人に付いていきたいと思うのは、お付きのロージーだけではないだろう。
なかなかの快作。