芹澤恵のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大好きな英国警察ミステリーシリーズの第5作目。
主人公のフロストは、架空都市デントンで勤務する中年の下品な警部。このシリーズは、デントン署で立て続けに発生する事件を、フロストが当てずっぽうに解決してゆく顛末を描きます。
我々が目にする多くの警察モノは、ある特定の事件を追う刑事を描きますが、このシリーズでは、大小複数の事件が同時に発生します。設定としては異色ですが、その方が現実に近いと思います。ちょうど、我々、サラリーマンが扱う色々な懸案事項を同時に対応しなければならないことに似ています。
今回、発生する事件は、少女行方不明、売春婦連続殺人、ショットガン強盗、「怪盗枕カヴァー」事件などなど。さらに性欲だけが強い無能な部下と、出世と保身しか考えない上司。どこの会社でもありそうな中間管理職の悲喜劇が厚めの文庫2冊にぎっしり詰まっています。
パワハラやセクハラの一線を超えてしまうフロストの言動、お互いに軽蔑し合っている上司とのやり取り、新しい事件の発生するタイミングの悪さ、フロストの非効率的な捜査活動には笑えます。しかし、本書は非常に練られたプロットが詰め込まれた傑作警察ミステリーです。その証拠に2013年のこのミスで3位、文春ミステリーでは6位を獲得しています。
フロストを反面教師としたビジネス小説としても楽しく読めるかもしれません。お勧めの★★★★。 -
Posted by ブクログ
気になったので読んでみた次第なのだが、笑いに満ちた一冊だった。
「家族の絆」パートはエッセー集。どの物語も「なんでそうなるの!www」ってツッコミまくりだった。でも、ダム決壊の話は冗談抜き、いつだってありそうだから自戒自戒。
「傍迷惑な人々」パートはありそうな変な人シリーズ。少しホラーなところもあったり、周りがかわいそうだと思ったり。今でもいませんか、こういう人。
「暴走妄想族」パートはどこまでが事実か分からなくなるものばかり。マクベスは推理小説じゃないので!
「そういうぼくが実はいちばん……」パートもエッセーパート。実は鉄面皮なのかもとか穿った見方をしてみる。 -
Posted by ブクログ
なんといったって、60人ものアーティストが参加したというイラストがすばらしい。完全にリアリズムタッチの絵もあれば、デザイン的なものも、美しい色使いで描かれたエレガントなものも、動きを大胆に描いたものもある。すごくバラバラなのに、全体が「型にはまらないこと」というコンセプトで束ねられているから統一感がある。
人選はときおり微妙だったりもするけど、むかしから偉人伝に入ってきたような人もいれば、今現在を生きている市井の人や、ふつうの小学生(!)もいたりして、とてもユニーク。ページを繰るたびにつぎはどんな人が来るだろうという楽しみがある。
文章もよく練られていて読みやすい。大人から子どもまでオススメです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ相変わらず、ドタバタしながら直感を頼りに捜査を進め、運が良ければ犯人逮捕、悪ければ訴えられないようぎりぎりの交換条件をちらつかせ釈放という垂れ流しの捜査絵巻であるのだが、何故かおもしろい。
フロストの根は真面目で正義感が強いところ、でもとにかく下品で皮肉を言わせたら天下一品であるところ、周囲の部下からはとにかく親しまれているところがじわじわと滲み出ているところ、などなど、あったかストーリーで肩肘張らずに読めるところが良いのだと思う。
タフィーが何かどでかい仕事をしてくれるのかと思っていたが最後までただのぼんくらだったのが、残念なような、これがフロストシリーズだと思うような。