夏川草介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人と本、その繋がりを丁寧に説いた物語です。
読みやすく紡がれた文体に奥深い重なりを感じます。読書は私たちに何を与えてくれるのか?本の未来はこれからどうなる?全てが幸せに終わる訳ではない、その結末の塩梅に作者の誠実さを感じます。読書をする方であればふと、頭の何処かで考えるあの問題についてを論じており、それでも主人公はそれまでの人生の中で培った価値観を基に語ります。
何が正しくて何が間違っているのか。
そんな答えの無い問いに主人公は「読書とは、人に『他者を思いやる心』を与えてくれる」と答えます。
読んでいて思わずハッとしてしまう本でした。
お勧めです。 -
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Posted by ブクログ
この頃よく手に取る 夏川草介さんの本
入院しているのは高齢者がほとんどの安曇野の病院が舞台。
高齢者の医療…母が今そういう状態になっているのもあり気になって手に取った。
1年目の研修医と3年目の看護師を中心に物語は進む
それぞれ物語の中に エッセンスとして「花」の存在がある。
秋海棠・山茶花・ダリア・カタクリ… どの花もなくてはならない意味を持っているのだと思う
『死』が身近にある高齢者医療の現場
延命治療 どう看取るか… など 考えざるを得ない場面は多い
読んでいて
「どう生きるか...」ということを考えるのと「どう最期を迎えるか…」を考えることは同じなのではないかと… 言葉にす -
Posted by ブクログ
夏川草介さん このところ気になっている作家さんということで手に取った1冊
神様のカルテ スピノザの診察室とはまた別の世界
「七変化」という言葉がふっと浮かぶくらい…
読み進めていくうちに 物語の世界に…目の前に情景がうかぶくらい包み込まれていく感覚
ちょっと不思議で クスっと笑えるユーモアもある。そしてなんといっても温かい。 ほんとうにあったかい。
あたたかさが伝わって来て涙がこぼれた。
(人ってこんな時にも涙が出るんだ…と初めて知ったかもしれない)
5つの物語 それぞれに登場する「木」がある。
その木の前に実際に立ったらどんな感じがするのだろう…出会いに行ってみたくなった。 -
Posted by ブクログ
2020年、新型コロナウイルス第一波の医療現場を描いた本作。「レッドゾーン」を文庫化するにあたって、改題した、とのこと。
現役の医者でさえ、「今回、あとがきを書くにあたって原稿を再読した私は、その精神面における距離感に、なかば呆然とする思いであった。ここに描かれた恐怖、苛立ち、絶望感といったものに、それを記した私自身が実感を持つことが難しくなっているのである。」
一般人の私たちがコロナのときの恐怖感を忘れつつあるのは、もはや仕方のないことなのかもしれない。
そう考えると、当時「命がけの闘い」をした医療関係者の恐怖、焦燥、孤独、死の覚悟、を記した本作は、将来貴重な記録となるだろう。 -
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「花の命は短くて・・・」
というが、人の命は長すぎる?
安曇野の自然の中にある『梓川病院』が舞台。
地元生まれ地元育ちの、月岡美琴(つきおか みこと)は、看護師三年目。無我夢中の新人時代を抜けて、何か分かってきたつもりになりがちな時期?
信濃大学医学部を出た研修医、桂正太郎(かつら しょうたろう)の実家は、東京の花屋。彼の、花に関する知識が物語の彩りになっている。
夏川草介氏は、「白い医療物」担当だと思う。
しかし、生きているのか死んでいるのか分からない老人ばかりが病院を占拠している状況には強い危機感があるのだろう。
現役のお医者さんが書く小説は常に、医療の現実が抱える問題を大きく取り上げて -
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敷島寛治は長野県信濃山病院に勤務する四十二歳の消化器内科医である。 令和二年二月、院長の南郷は横浜港に停泊するクルーズ船内のコロナ患者を受け入れることを決めた。 呼吸器内科医も感染症専門医もいない地域病院の決断は、そこで働く人々と家族に大きな試練を与えることになる。
………
これはコロナ禍の病院のドキュメンタリーとして読むのがいいのだろうか。。
もう既にかなり昔の話となり、忘れたい事実ではあるのだけれど、実際の医療現場では、こんなことが日々起こっていたのかと思うと、いたたまれない気持ちになる。
マスクや消毒薬が配給になる
周りの病院がコロナ患者をみない
飲み屋で病院職員は、お断りされる
など