夏川草介のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
夏川草介さんという作家が気になり出して、最初に手に入れた本がこちらでした。
日本という国を愛する気持ちがひしひしと伝わってくるストーリー。その想いを民俗学という学問に乗せて語るというアイデアに心が揺さぶられます。
柳田國男は、日本の、日本人の、先行きを心配して、民俗学を立ち上げました。その民俗学はまだまだ日本人に必要かもしれない。そう思わせるに十分な美しい物語です。
そして、「自らが学ぶ学問を誇りに思いなさい」という一貫したメッセージ。
自分が心から学びたいと思った学問は、おそらく皆、社会を、日本人を、良い方向に導くものであると信じて学んでいるものであると思います。
それを忘れてはい -
Posted by ブクログ
内科医の敷島は全てが不足した地方医療機関の現場でコロナ第三波を迎え撃つ。医療崩壊の瀬戸際に立たされた臨床の現実を描く。
-------------------------
夏川さんの医療小説ですが、いつものようにクセつよのキャラクターや飯テロや軽妙なやりとりが出てこず、コロナに追い詰められる医療現場が描かれるために余裕がなく、また、国や地域行政、他の医療機関への怒りを含んでいるであろう指摘などが続くので、読んでいてしんどく、途中でやめようかとも思ったほどでした。それもそのはずで、後書きを読むと、夏川さんご自身がコロナ対応の最前線に立ちながら並行して書かれた小説だとのことで、これはもはや半分ノン -
Posted by ブクログ
順番が逆になってしまった気もするけれど。
『神様のカルテ』は『スピノザ』に比べて、よりキャラクターや出来事が立っている気がする。
小説として書きたいことが、浮かび上がってくるようにも感じる。
『草枕』を愛する、一風変わった言葉遣いをする主人公。だけど、仕事や患者に対する、ひたむきさは『スピノザ』と共通する。
いいなと思うのは、妻の存在かもしれない。
医療モノは、家族の立ち位置が難しい。
視点を変えると、仕事に没頭するパートナーの存在は、家族思いとは言えない見方もある。
けれど、妻自身の「やりたいこと」をしっかり見せているから、いつも一緒ではなくとも、通じ合っている夫婦なのだとよく分かる -
Posted by ブクログ
どんな仕事をしていても、忙しい時に人の本性が出てしまう。
忙しい医師は、人の死に慣れていかないとやり切れないのだと思うけれど、こんなに心優しい自分を保てる栗原先生みたいなお医者さんも、きっとどこかにいるんだと思う。
昔の医療だったら、
できる限りのことをして!
というのがちょうどよかったけど、
今では医療が発達したので、
身体を痛めつけるだけの延命
になってしまうことがあるという話には、心から同感。
私の祖母は、脳梗塞で倒れてから、大好きなお喋りもできず、美味しいものも食べられず、テレビさえ見れなくなって、ただ病院の白い壁を見ながら3年寝たきり。
歩き回るのが大好きで、いつも笑っていて、明 -
Posted by ブクログ
今までの栗原一止を否定する内容であった。
神様のカルテ1,2で、栗原一止は周りの迷っている人に光をかざしてきたが、今作で、栗原一止は悩むことでワンランク上の人間に成長する葛藤が描かれている。
地域医療365日24時間緊急外来の病院に勤め、目の前の患者と全力で向き合えば良いと考えていた。しかし栗原は誤診をしてしまう。それは最新の医療知識がないと仕方のない事だった。栗原は毎日の忙しい診療を理由に最新の医療の勉強を怠っていたと痛感。
患者の診療に追われるのか、それとも日進月歩発展する医療の勉強に力を入れるのか。この両立できない問いに答えはないと思う。悩んで答えを出すために行動に移す事自体が大事だ -
Posted by ブクログ
ネタバレシリーズの1から3までは読んだことがあったが、なぜかそれ以降触れてこなかったため今回読むことにした。
内容はこれまでシリーズに登場してきた人々たちのサイドストーリー。このシリーズの良さはキャラの立ち具合だと思っているので、彼らの過去が描かれるのは素直に嬉しい。
このシリーズには様々な名著が登場するが、3話目において説明される「本の良さ」は、薄っぺらいようで、作者が本の中で別の本を紹介する形を採っている意味を登場人物に語らせているようにも思え、その視点で過去のシリーズを読み返してみるとまた興味深そうである。
4話目は榛名のキャラが明らかにされたとは言い切れず、その点が少し不満ではあるが、全体的に -