あらすじ
神様を探す二人の旅が始まる。
「少しばかり不思議な話を書きました。
木と森と、空と大地と、ヒトの心の物語です」
--夏川草介
第一話 寄り道【主な舞台 青森県弘前市、嶽温泉、岩木山】
第二話 七色【主な舞台 京都府京都市(岩倉、鞍馬)、叡山電車】
第三話 始まりの木【主な舞台 長野県松本市、伊那谷】
第四話 同行二人【主な舞台 高知県宿毛市】
第五話 灯火【主な舞台 東京都文京区】
藤崎千佳は、東京にある国立東々大学の学生である。所属は文学部で、専攻は民俗学。指導教官である古屋神寺郎は、足が悪いことをものともせず日本国中にフィールドワークへ出かける、偏屈で優秀な民俗学者だ。古屋は北から南へ練り歩くフィールドワークを通して、“現代日本人の失ったもの”を藤崎に問いかけてゆく。学問と旅をめぐる、不思議な冒険が、始まる。
“藤崎、旅の準備をしたまえ”
※この作品は単行本版『始まりの木』として配信されていた作品の文庫本版です。
感情タグBEST3
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古屋先生の言葉をもっともっと聞いていたい
偏屈でも、揺るぎない信念をもっている彼のファンになる気持ちがよく分かる
ここ最近哲学や死について考えることが多かったわたしにとって、今読むべき本だったと感じる
死を目前にした住職の様子にもはっとさせられた
各章のラスト一文で感じる余韻がとても好きでした
千佳がどんな道を進むのか、また見れたらいいのに
Posted by ブクログ
日本の文化は多神教によって支えられてきた。神も仏もそこらにいる考えであるから、目に見えないこと理屈の通らないことを感じ、人間がいかに小さく、無力であると自覚する。これが、昔の日本人の謙虚で我慢強く美しい心を作っていたのではないか、と書いていた。
神様がいると信じることは、世の中に目に見えないものがあると感じることで、この感覚によって人間は少しでも他人への理解を深め、歩み寄ろうという気になるだそう。これらの夏川草介による一説は、巻末の膨大な参考文献により、真実味を帯びていた。
合理性という刃により神木が伐採されている今、日本人はいかにして古き良き日本人らしさを保っていけるのだろうか。日本の未来について少し考えたくなる、そんな本だった。
Posted by ブクログ
この本にもっと早く(できれば10代)に出会いたかった!!
その時自分がいる環境や立場で感じるものが違ってくると思うけれど、その違いを楽しみながら、繰り返し読みたいと思える作品です
Posted by ブクログ
夏川さんの本を最初に読んだのは、スピノザから。その本の何とも言えない優しさと強さに感動し、夏川さんの本を読みたいと手にする3冊目が「始まりの木」
第一話で、古屋先生がどうして片足が不自由になったかが分かることに、驚いた。下手したら後半に分かる流れでもおかしくないのに。でも読み進めていって、登場人物たちのことを書きたかったわけではないからなんだと。主役は民俗学。自然に宿る神様たち。
日本は豊かになったのか。お金にならない、仕事に役立たない、学問は何の意味があるのかと、純粋に知りたい学びたいという気持ちだけでは生きていけない、心の余裕がない気がする。
心を削ってしまったから、風通しも悪くなって息が詰まる。理屈じゃなく、大事なことをしっかり感じ取れるかどうか。素敵な言葉たちがたくさん詰まっていた。
もちろん登場人物も魅力的。古屋先生の偏屈な物言いは自分には心地良く、大事なことは言葉にしてくれる。偏屈に負けず学びに素直な千佳も素敵だし、仁先輩の飄々とした様も格好良い。1つのことを突き詰めて学ぶことは、何だか楽しそうに思う。
「旅の準備をしたまえ」
言われたい!旅したい!!
Posted by ブクログ
藤崎 旅の準備をしたまえ、このフレーズ好きだわ。ラストの所で出て来るのも粋だね、出だしから奇人扱いだけどちゃんと理由があるし余計な事を言わずに誤解されたまま。最初から最後まで読みたい欲求がある、なんでだろう波長かな、出だしの季節を表現する3〜4行がうま過ぎて、もちろん情景が浮かぶ。十一月の京都は黄と紅の町であるとか。柳田國男の名前は知っていたが語れる程読んでもいない。民俗学から農村の貧しさ和菓子知った所が始まりで使命感になる、神様も信じるじゃなくて感じる!それが民俗学!滅びる!はグッとくる。民俗学は知らないが思わぬ夏川草介さんで学べたこと嬉しく思います
Posted by ブクログ
やはり、夏川草介さんの紡ぐ文章はどこか温かい。情景も自分がその場にいるかの如く想像しやすい。
また、作品名となっている「始まりの木」は古屋先生にとっては第三話であると思うが、二人にとっては第五話だと思う。
Posted by ブクログ
夏川さんの言葉のチョイスと思い浮かぶ情景の美しさがやっぱり好き。夏川さんの本に出てくる人物はなぜこれほどまでに心が綺麗なのだろう。心が澄む、綺麗な情景という言葉の意味をスッと馴染ませてくれる。私はこういう感性を持って生きていたい、まっすぐと自分の進む道を見据えて、そこに至るために近道でも回り道でもなく王道を胸を張って進んでいきたい。結末にその先を知りたいものも残るけれど、残っているからこそこの作品だと思う。
Posted by ブクログ
民俗学の准教授古屋神寺郎と大学院生藤崎千佳の物語。民俗学とは何ぞや、と問いかけながら、日本人としての矜持を問いかける。
二人の五つの旅が五つの短編となる。
偏屈ものの古屋と、彼を尊敬しながら偏屈さに耐える千佳の会話が絶妙で面白い。
「観音様とは特別な仏ではない。心の中にある自然を慈しんだり、他人を尊敬する心の在り方を例えている言葉である」
仏も神も日本人としてのあり様であるという古屋の教えは、とても気持ちよく心に染み込んでくる。
自然を敬い、自然を畏れ、他者を大切にする。それが古来の日本人であり、その事を改めて学ぶのが民俗学である。
ネットで調べたり映像で見るのではなく、自分の足を運んで見たり感じたりすること。心がけなくてはいけない大切な事だと思う。
Posted by ブクログ
ここ最近で一番の本だった。
民俗学について研究する女学生と大学の先生の話で、何よりこの2人のやり取りがおもしろい。
民俗学って何なのか、まずそれが分からないと思うが、本を読んで思ったのは倫理に近いものだと感じた(正確には違う)。理屈ではない、神に対する信仰心とかそういった類のことである。
正直私は、神とかまったく信じていない。この本に出てくる例えば、樹齢何百年の木とかも新しく道路を作るために伐木するのに何も思わないし、どんどんしろとも思うタイプである。それが経済のためになるし。
ただそれに対してこの本では、そういう自らの幸福を求めている人だけの国は亡びていくとしている。目に映ることだけが全てだと考えるようになれば、すごいシンプルな世の中であるが、そういう世の中になっていくということは、自分より力の弱い者を倒すことは倫理に反するどころか、とても理にかなった生き方になると。
また、「どんな物事でも、金銭に置き換えることでしか判断できないような、品のない人たちばかり幅を利かせている世の中」など心にぐさっとくるセリフが多い。
ぜひみなさん一読してほしい。
Posted by ブクログ
私、この本に出会えてよかった。
民俗学を軸に、日本人の心のあり方を考えさせてくれる1冊。
大学院生藤崎千佳が、何とも個性的で偏屈な准教授古屋神寺郎とともに、日本各地を巡る旅の物語。
まず、古屋先生が濃い笑。
ここまで濃くはないけども、私が師事している教授も濃いなぁと、自分の世界と重なってしまった。
そして、学問に対する、人としての芯の強さ。
古屋先生にあるその強さ、かっこよさが、私の世界の登場人物とも繋がる。
それを受け取る素直さ、柔軟さがあるからこそ、千佳ちゃんは成長していけるんだと思う。
そして度々登場する、民俗学の礎、柳田國男。それこそ度々名前を聞いていながら、まだ読んでいない。これを機に読もうと思う。
心に残ったフレーズをいくつか。
「神も仏もそこらじゅうにいるんだよ。風が流れたときは阿弥陀様が通り過ぎたときだ。小鳥が鳴いた時は、観音様が声をかけてくれたときだ。そんな風に、目に見えないこと、理屈の通らない不思議なことは世の中にたくさんあってな。そういう不思議を感じることができると、人間がいかに小さくて無力な存在かってことがわかってくるんだ。だから昔の日本人ってのは、謙虚で、我慢強くて、美しいと言われていたんだ。」
「大切なのは理屈じゃない。大事なことをしっかり感じ取る心だ。人間なんてちっぽけな存在だってことを素直に感じ取る心なのさ。」
「この国には、この国特有の景色がある。その地に、足を運ばなければわからない、不可思議で理屈の通らぬ、怪しささえ秘めた景色だ。その景色と向き合い、何が起こっているのかをただ見るだけでなく感じ取らなければいけない。」
その道がどこに続くのかもわからぬまま、ただ木は切られ、道は広げられ、東京は巨大化していくことになる。
その流れを止めることはできない。
アスファルトとコンクリートの町の拡大を、押しとどめることはできないし、とどめることに意味はない。
大切なことは、どこに向かって道を切り開いていくべきかをしっかりと見定めることだ。無闇と前に進むことに警鐘を鳴らし、ここに至り来たった道筋を丹念に調べ、どこへ道をつなげていくべきかを考えていくことだ。
多くの人が闇の中を手探りで歩んでいる今、未来を見据え、先々にささやかでも灯火を灯していくことができるのだとすれば、それはずいぶんと愉快な仕事ではないだろうか。
Posted by ブクログ
本書を読んでまず感じたのは古屋の毒舌が最高に面白い。それをさらりと毒舌で受け流す主人公の藤崎との遣り取りはコントのようで思わず笑いが込み上げてくる。
この遣り取りは普通だったらムッとするか今のご時世ならハラスメントレベルなんだけど正論で皮肉さを感じさせないところが面白い。
物語は二人が各地の古い伝承や口承をフィールドワークで調べる民俗学のお話。民俗学って何?柳田国男の遠野物語のような話がテーマなんだけど正直、学問的なところは「ふむふむ何だか良く分からん!」ってなることが多かった。
だけどそんなかでも興味深かったのが、5話の『灯火』。
樹齢600年の垂れ桜が道路拡張で伐採される話。
私は良く神社詣りをするのだけど、樹齢を重ねた御神木を前にすると心が清められるというか不思議な力を感じる。
そういう神が宿ったような御神木が伐採されるのは寂しく悲しい気持ちになる。
また、地方へ行った時に山一面がソーラーパネルに埋め尽くされているのを見ると、もしかしたら昔神様と崇められていた山がそんな形になってしまったのかと思うと何とも言えない気持ちになった。
二話目の『七色』のトンネルのガンを患った若者の話や四話目の『同行二人』の山奥で出会った僧がまさかの○○様だった?といった不思議な出来事の数々。
そして5話目に起こる老木の桜に起こる奇跡など、そんな日本の八百の神様やちょっと不思議な話が心にじわっとくる。
もう少し河童や座敷童子でも出てきてくれればまた違ったんだけどなぁ。
柳田国男の遠野物語を読んでいれば民俗学に理解を得られたのだけど、本書では民俗学の研究内容なども抽象的で、わざと答えをボヤかしてまるで弟子の藤崎と一緒に読み手にも考えろ!と余白を与えているようにも感じた。
なので「あれ、結局何が正解なんだよ」と頭がフリーズしてモヤモヤが止まらない。
この難解さがボヤッとした印象にしてしまう。
この二人の遣り取りのなかにもグッとくるメッセージがたくさん散りばめられていた。
またその難解さが深く余韻を残し、民俗学を通して失われつつある各時代、土地の風土記や口承、伝承が現代人にどう影響するかを弟子の藤崎と共に読み手にも問いかけ考えさせられている。「自分ならこれからどうする?」現代人が忘れかけている大切な心の在り方、深く心に残る物語だった。
本を読んで難しいと思ったときは成長するチャンスと夏川さんは以前言っていた。
本書を読んで私も一歩前進できたかな?
Posted by ブクログ
夏川作品やっぱり好きだなぁー。
旅に出たくなるがこの本を読んでの一番の感想です。
まだ残っている日本の独自の風景をみたいという想いが強くなりました。
内容も夏川さんのメッセージがどっしりと詰まっています。
我々が忘れていったものをDNAレベルで気づかせてくれて、それを残すこと。形でなくても心でも。
大事だと思います。
Posted by ブクログ
夏川草介さんという作家が気になり出して、最初に手に入れた本がこちらでした。
日本という国を愛する気持ちがひしひしと伝わってくるストーリー。その想いを民俗学という学問に乗せて語るというアイデアに心が揺さぶられます。
柳田國男は、日本の、日本人の、先行きを心配して、民俗学を立ち上げました。その民俗学はまだまだ日本人に必要かもしれない。そう思わせるに十分な美しい物語です。
そして、「自らが学ぶ学問を誇りに思いなさい」という一貫したメッセージ。
自分が心から学びたいと思った学問は、おそらく皆、社会を、日本人を、良い方向に導くものであると信じて学んでいるものであると思います。
それを忘れてはいけない。
民俗学を通して、学問の尊さを改めて感じました。
高校時代に読みたかったなぁ。。(おそらく響かなかったけれども)
Posted by ブクログ
夏川草介さん このところ気になっている作家さんということで手に取った1冊
神様のカルテ スピノザの診察室とはまた別の世界
「七変化」という言葉がふっと浮かぶくらい…
読み進めていくうちに 物語の世界に…目の前に情景がうかぶくらい包み込まれていく感覚
ちょっと不思議で クスっと笑えるユーモアもある。そしてなんといっても温かい。 ほんとうにあったかい。
あたたかさが伝わって来て涙がこぼれた。
(人ってこんな時にも涙が出るんだ…と初めて知ったかもしれない)
5つの物語 それぞれに登場する「木」がある。
その木の前に実際に立ったらどんな感じがするのだろう…出会いに行ってみたくなった。
Posted by ブクログ
これの前に読んだのが、物理と数学とそれらの法則から世界のルールを読み解く倫理のお話だったから余計に、日本の民俗学というその土地の風習だったり、自然を感じることや人の心の部分にぐっと惹かれるものがあった。
“学問”というのは多岐にわたるけれど、後世に残そうとする姿勢や目的意識をもつことの大切を感じた。
目に見えて答えのあるものだけが真実じゃない。
Posted by ブクログ
お医者さんが書いてるとはびっくりしました。
自然を表現する文章が綺麗で、一緒に旅をしたようでした。
また文化学部で学生時代は哲学や宗教を学んでおりましたので興味をそそられる箇所がいくつかあり楽しかったです。
私自身は神や仏など超自然的なものは一切信じておりませんが、心の拠り所としてなかなか必要であるとは思います。
Posted by ブクログ
著者の作品は本当に文章や表現がきれい。
民俗学というこれまで全くかすっても来なかった分野だが、なるほどと思わせる展開はさすがだった。
日本と西洋との神に対する考え方については、とても理解しやすく納得のいくものだった。
参考文献の多さに驚愕。
それにしても解説は難しすぎて途中で挫折。
Posted by ブクログ
民俗学を学んでいる修士生とその指導教官の民俗学者がフィールドワークの中で師匠と弟子の問答をしながらエピソードが進んでいく。そこに登場する人物が伝えてくれる大切なこと。
それぞれのセリフを寄せ集めると老人の説教話みたいなところになりそうな内容だが、登場する魅力的な人物が絶妙なシチュエーションで語ることで素直に聞ける。そんな所感。
Posted by ブクログ
夏木宗介の医療以外の本があったことを知らんかった
医療でないだけで、ストーリーやキャラクター設定はいつも通り
単に医療ではないだけ
で、医療ものは大好きなんだけれども、これはイマイチ
ストーリーやキャラクターが同じなのになぜ
ホントなんでだろう
原田マハの絵画物以外は面白くないに通ずる
途中から古屋助教授のイメージがドクターハウスと重なってしまい
場面場面で頭の中はハウス先生だらけとなってしまった。
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神様は信じるものではなく、それぞれの場所にいる。
古屋先生と藤崎さんの旅の物語。
それぞれの地域の木を通じて、日本人の在り方も説いている気がした。
こんな風に物事をハッキリと言える人(皮肉要素もあったが)になりたいと思う。
なぜ民俗学があるのか、柳田國男のことにも言及していて興味深いものであった。
あと、夏川先生の遊び心だろうが、古屋が運ばれた病院が…
そして、対応したドクターが…
そのあたりは嬉しくなった!
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民俗学と聞くと、小難しいのかなと初めは思ってしまったが、各地に足を運びながらその土地で起こる事象や日本人の精神性に向き合う小説と考えれば、難しくなく読めた。
民俗学の要素を小説の中に混ぜ込ませて、登場人物の造形や風景描写も余す所なく伝えながら、話も展開させるのはこの作者だからこそ出来ることなのかもしれない。
今のような時代にこそ、大局を見据えるための学問の真価が発揮される、そういった学問の一つが民俗学。
文化や土地のルーツを辿る学問は(自分もそっち系だった)実社会ですぐに役立つものではないと思うが、一般的に見たら少し遠回りをしてでも進めた研究はいずれ社会への還元になるのだろうし、そういう研究を受け容れる社会であって欲しいとも思った。
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民俗学というほとんど接したことのない馴染みのない学問だっただけに読み進めるのに少し時間がかかってしまったが、夏川さんの秀悦な文章で心地よい空気と時間が流れるようでもあった。
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神は信じる前に感じるものだと言うこと。日本古来の八百万の神の感覚は、現代社会では失われつつありますが、人の心が豊かであったのだなと思いました。
Posted by ブクログ
多くの方がレビューを書かれているのを見て、昔読んで面白かった「神様のカルテ」の作者さんでもあり、買ってみることにした。
高名だが変わり者の民俗学者とその教え子がフィールドワークで日本各地を旅する物語。
二人は旅先で様々な風景に出会い、その美しさが描かれるとともに、あわせて、民俗学の意義、学問に対する姿勢、古来からある日本人の神や自然との付き合い方などが語られていく。
偏屈な先生と勝気な女子学生という組合せは、まあ、いいコンビだとは思うが、そのやり取りに新味はなく、そこにはあまり惹かれず。先生が自ら「障碍者」を連呼するのもいかがと思う。
民俗学について書かれた内容やそのあり様については知らないことも多くあり興味深かった。
『人生の岐路に立ったとき、その判断を助ける材料は提供してくれる学問だ』というのにはやや煙に巻かれた感じだが、『未来のために過去を調べる。それが民俗学である』には、主人公と同様になかなか惹かれるところがあり。
エリートだった柳田國男がその後半生を民俗学に費やした理由については、まったく無知だったので、ちょっとした驚きがあった。
古来からの日本における神を感じるという信仰のあり方や神の存在についての考察(『この国の人々にとって、神は心を照らす灯台だった』)、自然との付き合い方についての思いは理解できるし、そうした宗教観や倫理観が薄れてきた結果、権力や金の力が跋扈する今の世相に対する批判にも頷けるところは多かった(いささかお勉強臭かったが…)。
お話の中では第二話の鞍馬での出来事や最終話の桜が満開の風景などがとても印象深い。どちらのエピソードも色や絵柄が目に浮かぶよう。
ただ、それを何度も『理屈の通ることだけが真実ではない』などと言わなくても、普通にファンタジーとして描けば十分に伝わったようには思った。
最後の解説がこれまた難しくて、残念ながら十分に読み下せたとは言い難い。
これについて行けるようであれば、この物語の言わんとするところをもっときっちりと理解できたのであろうかと思わされた。
Posted by ブクログ
こちらも皆様の本棚から、評価が高かったので気になっていた一冊。神様のカルテの夏川先生。
大学の文学部で民俗学を学ぶ藤崎千佳は、指導教官の古屋についてフィールドワークへ出かける。
古屋は事故で脚に障碍がある為、千佳が荷物持ちなどをしながら旅をする。
偏屈な先生なのだが、どこか魅力的な存在。
先生との2人旅を通して、たくさんの気付きを得る千佳。
相変わらず夏川先生の作品は、上品で言葉の一つ一つが素敵で、本好きさんにはたまらないだろうなぁ。。。
私みたいな学のない物にはちょっと難しかったのだが、素敵なお話が一冊の中にギュッと詰め込まれていた。
日本の神様っていいな。。。
日本の八百万の神様、私の腰痛を治して下さいな。。。
↑こういう奴には奇跡は起きないな。
四国八十八ヶ所歩いて回るくらいの気合いが無いと。。。
あ゛ーーーーーー
腰痛い。゚(゚´ω`゚)゚。