夏川草介のレビュー一覧
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「花の命は短くて・・・」
というが、人の命は長すぎる?
安曇野の自然の中にある『梓川病院』が舞台。
地元生まれ地元育ちの、月岡美琴(つきおか みこと)は、看護師三年目。無我夢中の新人時代を抜けて、何か分かってきたつもりになりがちな時期?
信濃大学医学部を出た研修医、桂正太郎(かつら しょうたろう)の実家は、東京の花屋。彼の、花に関する知識が物語の彩りになっている。
夏川草介氏は、「白い医療物」担当だと思う。
しかし、生きているのか死んでいるのか分からない老人ばかりが病院を占拠している状況には強い危機感があるのだろう。
現役のお医者さんが書く小説は常に、医療の現実が抱える問題を大きく取り上げて -
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Posted by ブクログ
民俗学と聞くと、小難しいのかなと初めは思ってしまったが、各地に足を運びながらその土地で起こる事象や日本人の精神性に向き合う小説と考えれば、難しくなく読めた。
民俗学の要素を小説の中に混ぜ込ませて、登場人物の造形や風景描写も余す所なく伝えながら、話も展開させるのはこの作者だからこそ出来ることなのかもしれない。
今のような時代にこそ、大局を見据えるための学問の真価が発揮される、そういった学問の一つが民俗学。
文化や土地のルーツを辿る学問は(自分もそっち系だった)実社会ですぐに役立つものではないと思うが、一般的に見たら少し遠回りをしてでも進めた研究はいずれ社会への還元になるのだろうし、そういう研究 -
Posted by ブクログ
「本を守ろうとする猫の話」の続編。喘息の持病がある13歳の女子中学生が主人公。
「言葉は望遠鏡のようなものだ。見たいものはよく見えるようになるが、それ以外はかえって見えなくなる」世界は、言葉で置き換えられるほど単純にはできていない
「どんなものにも、心は宿るの。あなたが大切にしたものには心が宿って、必ずあなたを守ってくれる。だからこそ気をつけないといけない。歪んだ心に触れ続けたものには、歪んだ心が宿る」
「一番怖いのは、心を失うことじゃない。失った時に、誰もそれを教えてくれないこと。誰かを蹴落とした時に、それはダメだと教えてくれる友達がいないこと。つまりひとりぼっちだってこと」
自分ら -
Posted by ブクログ
引きの栗原一止。
懐かしく読み終えた。
変わらずに優しく見守るハルさんと無邪気な小春には癒されるし、栗原をとりまく一見放置にみえるが実は情熱をもち周りをよくみてさっと助けてくれる北脇班長、純粋に突き進む利休など栗原の周囲にいる人物も個性的でありながら魅力的だった。
大学病院内の一筋縄ではいかない事情のなかで患者を第一に考えるのはなかなかできることではない。さらに大学院生という立場で薄給なうえに休みもほとんどない医者には頭が上がらない。
今回は若くして膵癌となった二木さんを中心として話がすすむが、今回の患者は穏やかながら意思強く病気をうけいれ向き合う強い姿が印象的であった。
病院で働く方々に改め -