夏川草介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
サクッと読めました。猫の話ではなかった。
古書店を営む祖父と二人暮らししていた読書好きの高校男子。祖父が亡くなり学校をサボって店に引きこもっていると不思議な猫が本にまつわる迷宮へと彼を誘う。曰く、「本を助けてくれ」と。不思議な世界で本の世界を垣間見て自分の心も前をむき出す少年のお話。猫は出てくる、が「猫の話」ではない。
本と読み手との向き合い方、本とそれを取り巻く環境、それらを擬人化して表現している感じ。厚い本ではないので一つ一つのシーンはさらっとしているし、正直深みのようなものはない。ただそれくらいの軽さで現実は向き合えると良いのかもしれないとは思う。小学生から中学生向け。
心の奥の奥に行か -
Posted by ブクログ
祖父を亡くした高校生、夏木林太郎が残された古書店「夏木書店」で立派なトラネコと出会い
刺客から本を守るお話。
題名から想像していたほのぼのとした話ではなく
読書家なら一度は問いかけられたことがあるような疑問と、投げ掛けたことのあるような言葉に心がギリっとする。
私にはファンタジー小説に思えたけど
作者が解説で述べられているように、ライトノベルであるのか、風刺か、社会派か、青春小説か、読者によって何でも良くて、考えるきっかけとなり本書に出てくる名作に手を伸ばすきっかけとなれば良いようだ。
昨今、歌では前奏が長いと曲を聞いてもらえないだとか、ドラマも展開が分かれば良いので倍速で視聴するという。 -
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Posted by ブクログ
民俗学と聞くと、小難しいのかなと初めは思ってしまったが、各地に足を運びながらその土地で起こる事象や日本人の精神性に向き合う小説と考えれば、難しくなく読めた。
民俗学の要素を小説の中に混ぜ込ませて、登場人物の造形や風景描写も余す所なく伝えながら、話も展開させるのはこの作者だからこそ出来ることなのかもしれない。
今のような時代にこそ、大局を見据えるための学問の真価が発揮される、そういった学問の一つが民俗学。
文化や土地のルーツを辿る学問は(自分もそっち系だった)実社会ですぐに役立つものではないと思うが、一般的に見たら少し遠回りをしてでも進めた研究はいずれ社会への還元になるのだろうし、そういう研究 -
Posted by ブクログ
「本を守ろうとする猫の話」の続編。喘息の持病がある13歳の女子中学生が主人公。
「言葉は望遠鏡のようなものだ。見たいものはよく見えるようになるが、それ以外はかえって見えなくなる」世界は、言葉で置き換えられるほど単純にはできていない
「どんなものにも、心は宿るの。あなたが大切にしたものには心が宿って、必ずあなたを守ってくれる。だからこそ気をつけないといけない。歪んだ心に触れ続けたものには、歪んだ心が宿る」
「一番怖いのは、心を失うことじゃない。失った時に、誰もそれを教えてくれないこと。誰かを蹴落とした時に、それはダメだと教えてくれる友達がいないこと。つまりひとりぼっちだってこと」
自分ら -
Posted by ブクログ
引きの栗原一止。
懐かしく読み終えた。
変わらずに優しく見守るハルさんと無邪気な小春には癒されるし、栗原をとりまく一見放置にみえるが実は情熱をもち周りをよくみてさっと助けてくれる北脇班長、純粋に突き進む利休など栗原の周囲にいる人物も個性的でありながら魅力的だった。
大学病院内の一筋縄ではいかない事情のなかで患者を第一に考えるのはなかなかできることではない。さらに大学院生という立場で薄給なうえに休みもほとんどない医者には頭が上がらない。
今回は若くして膵癌となった二木さんを中心として話がすすむが、今回の患者は穏やかながら意思強く病気をうけいれ向き合う強い姿が印象的であった。
病院で働く方々に改め -
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