夏川草介のレビュー一覧
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『神様のカルテ』を読んでまず感じたのは、これは地方病院で奮闘する医師の物語ではなく、「人を救う」とは何を意味するのかを静かに問い続ける作品だということだった。
舞台は、深刻な医師不足に悩む地方病院。主人公の栗原一止は、昼夜を問わず患者と向き合い続ける内科医である。過酷な勤務の中で、末期がん患者との出会いと別れ、大学病院への転職という選択、そして家族や仲間との日常を通して、自分がどんな医師でありたいのかを模索していく。命の危機が次々と訪れる医療ドラマではなく、一人の医師が患者の人生と向き合いながら、自らの生き方を見つめ直していく物語である。
この作品が描いているのは、医療の最前線ではない。命 -
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『エピクロスの処方箋』や『スピノザの診察室』など、作者の描く温かく深い物語に惹かれていて、NHKでドラマ化されると知って読んでみた。
期待通り、今作も地域医療の日常や終末期の現実が淡々と丁寧に描かれており、じわじわとリアルさが染みてくる作品だった。
特に深く考えさせられたのは、終末期医療における「最善とは何か」というテーマ。
作中で「死神」と揶揄される谷崎医師。
読み進めるうちに、彼こそが誰よりも患者のことを一番に考えているのではないか、と感じるようになる。過酷な延命治療の限界を見極め、患者が人間としての尊厳を保ったまま穏やかに旅立てるよう、あえて泥をかぶっている。その真摯な向き合い方は、これ -
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ネタバレインスタのフォロワーさんのレビューを読み興味が湧いたので読んでみました。
古書店を営む祖父が亡くなり呆然とする主人公の前に、人の言葉を話す猫が現れます。そして、本を守るために力になってほしいとお願いされるところから物語は始まります。
本を守るために主人公とヒロインが奮闘する温かいお話でした。。
・・・温かいお話ではあるけれど、速読する人や、ビジネス書やベストセラーしか読まない人などを否定しているようにも受け取れてしまい、世界の名作を読まないと本が好きという資格がないような、そんな印象が少なからずあって、そこがちょっと引っかかりました。
著者の、名作への思い入れが強いんでしょうね。
どん -
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NHK 福本莉子さん主演 プレミアムドラマ「勿忘草の咲く町で ~安曇野診療記~」制作開始
生きることと死んでいることはどう違う?現役医師が描く高齢者医療のリアル
美琴は松本市郊外の梓川病院に勤めて3年目の看護師。風変わりな研修医・桂と、地域医療ならではの患者との関わりを通じて、悩みながらも進む毎日だ。口から物が食べられなくなったら寿命という常識を変えた「胃瘻」の登場、「できることは全部やってほしい」という患者の家族……老人医療とは何か、生きることと死んでいることの差は何か? 真摯に向き合う姿に涙必至、現役医師が描く高齢者医療のリアル! 解説・佐藤賢一 -
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ファンタジーの体裁を取りながらも、現代の読書のあり方に対する鋭い問いを投げかける作品だった。
物語に登場する“狂人たち”はそれぞれ極端な価値観を象徴していて、「たくさん読むこと」「早く読むこと」「売れること」「価値が不変であること」といった一側面に囚われた読書の危うさを描いている。
しかしこの作品は「正しい読書」を提示するのではなく、むしろ読書における価値観の偏りそのものを問うてるのだと思う。
個人的に、途中で読むのをやめることや、要約から入ることなどは一概に否定できない。
本来の作品が持つ豊かさのほんの一部しか受け取らないまま満足してしまうことには、なんて勿体無い…と感じるけれど。
が -
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夏川草介さんの医療モノではない本は初めて。祖父を亡くした夏木林太郎が、不思議なしゃべるトラネコに導かれて迷宮に行き、本に関係する人と話す。「閉じ込める」「切りきざむ」「売りさばく」「最後」の四つの迷宮で、自分の考えを話すことで相手が変わっていく。特に最後の話で、「本は人を思う心を教えてくれる。たくさんの人たちの物語や言葉に触れ、一緒になって感じることで、自分以外の人の心を知ることができる。身近な人だけでなく全然違う世界を生きている人の心さえ本を通して感じることができる」という部分、とても心に残った。本に対する思いは熱いが、静かな本という印象。