夏川草介のレビュー一覧
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ネタバレ元々大学病院の医局で働いていた医師が現在は地域医療に携わっている。完治はしない回復の見込みがないまま静かに人生の終わりを待つ人の往診もあれば、病院での入院生活の高齢者の診療、その一方で内視鏡処置など積極的な治療も行なっている。ドラマで見るような、難しい症例への挑戦や医局内での争いではなく、病気というより人とどう向き合っていくのかに重点が置かれている。病院に所属する医師のそれぞれの信念も感じられるしキャラクターも良いし、自分が高齢になった時どのように終わりを迎えるのか。その時にこのように一緒に寄り添ってくれる医者に出会えたらいいなと心底思った。
今年の本屋大賞にランクインしたエピクロスの処方箋の前の話ということで読んだがエピクロスの処方箋もとても楽しみになった。 -
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シリーズの他の本とは異なる構成で、いくつかの四つの章が独立している。
「有明」は医師国家試験に向かって勉強中の一止を取り巻く人たちのことが描かれている。映画「ヒポクラテスたち」を思い出した。
「彼岸過ぎまで」では,病院の経営面のことがか垣間見れて面白い。漱石の有名な著書と同名であるが,その関係は漱石を読んだことがないので…。
「神様のカルテ」本シリーズのタイトルでもあるが、夏川が考えている神様のカルテの真意が語られている。なるほど,そうかぁ。
「冬山記」は榛名の冬山での超人的な行動が書かれている。これは夏川の作品としては異色で、山岳小説の趣あり。 -
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昨今、本という存在がいかに苦境に立たされているかが分かる。閉じ込める者、切り刻む者、売り捌く者との対峙を通して、本とは何か、読書とはどういうことか、林太郎はその意味について考えさせられる。
特に、最後の迷宮は一筋縄では行かない。2000年近い時の壁を越え、2000以上の言語の壁を超えてきた本自身でさえ、本が持つ力について疑問を持ってしまっている。そんな相手に対し、これまで夏木書店で数々の本を読み、祖父から本と人生について多くのことを学び、トラネコとの本を巡る冒険を経た林太郎が、考えに考え抜いて出した答えは「人を思う心」だった。
著者が林太郎とトラネコの物語を通して伝えたかったことこそ、時代を越えて読まれる名作に触れて欲しい、そして本の力を感じて欲しいという、読者を思う心に満ちたものだと感じた。 -
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二作目は,以前の同級生が,同じ病院にやってくる。
商品紹介を転載。
新年度、内科病棟に一止の旧友・進藤辰也が東京の病院から新任の医師としてやってくる。かつて進藤は“医学部の良心”と呼ばれていた。しかし、彼の医師としての行動は周囲を困惑させるものだった。そして、さらに大きな試練が一止たちを待ち受けていた――。
進藤辰也の豹変ぶりはどこから来たのか。その旧友が,この病院でどのように変わるのか。まだ,主人公の一止が旧友の言葉から何を学び,医者としての成長に繋げていくのか。
れいによって,理解のあるステキな妻・ハルさんに勇気づけられながら,物語は進んでいくのである。 -
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NHKの「朝いち」という番組で,作者の夏川草介さんという方をはじめて見た。彼のペンネーム・夏川草介が,彼が愛する明治の文豪の名前から取り入れたと言うこともはじめて知った。夏目漱石,川端康成,芥川龍之介,そして「草」は夏目漱石の『草枕』という作品からだそうだ。夏川さんは,番組の中で『草枕』の一節をスラスラと暗唱していた。「覚えようと思って覚えたのではなく,何度も読んでいる間に頭に入ってきてしまったんだ」とおっしゃっていた。なんということだ。
そして,本作品『神様のカルテ』の話になる。ご自身が医者であり,妻の勧めて何気なく書いた作品を妻がどこやらに応募して,それが賞を取ったらしい。なんという面白い話だ。
『神様のカルテ』の舞台は信州・松本。主人公・栗原一止は,著者と同じ医者。そして,やっぱり夏目漱石が大好きだという設定。ある程度は自伝小説的な部分もあるのだろうと想像する。
松本市の大学を出て,松本市に住んでいる娘を持っているわたしとしては,一度,読んでみる必要がある。松本城はもちろんのこと,深志神社や浅間温泉など,なかなか懐かしい名前が出てきて,それだけで,うれしくなる。
栗原一止は,これまた,漱石作『坊っちゃん』よろしく,同僚や先輩にあだ名をつけて呼ぶ。なるほど,これだけで,作品の登場人物に親しみを感じるから,面白い。
医者という仕事の重さとやりがい,家庭との両立なども興味深い。なによりも,主人公・一止の奥さんハルがステキだ。なんて理解のある女性なんだろうと思う。これも夏川さんの奥さんの姿なのかな。
続編も続々編も楽しみだ。
なんて,もう読んだけど。