夏川草介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
名作が手軽に読めるとうたうあらすじ集や、ファッション感覚な読書観に対する、作者なりのアンチテーゼが散りばめられていて、ともすれば、自分も楽な入門書やあらすじ的なものに逃げがちであることに思いが至ります。
たくさん本を読みたい、難解な一冊をじっくりと読みたい、お気に入りの本を何度も読み込んでみたい…本に対しては様々な思いがあります。
ただ、自分の姿勢を振り返ると、最近は本との向き合い方が雑になっていたなぁと感じてしまいます。
もともとは本の力を信じていたはず。でも、つらつとした思いはいつの間にか激しい時流に流されていました。
自分は本とどのように向き合っていきたいのか。
本書はそれを思い出 -
Posted by ブクログ
夏川草介さんという作家が気になり出して、最初に手に入れた本がこちらでした。
日本という国を愛する気持ちがひしひしと伝わってくるストーリー。その想いを民俗学という学問に乗せて語るというアイデアに心が揺さぶられます。
柳田國男は、日本の、日本人の、先行きを心配して、民俗学を立ち上げました。その民俗学はまだまだ日本人に必要かもしれない。そう思わせるに十分な美しい物語です。
そして、「自らが学ぶ学問を誇りに思いなさい」という一貫したメッセージ。
自分が心から学びたいと思った学問は、おそらく皆、社会を、日本人を、良い方向に導くものであると信じて学んでいるものであると思います。
それを忘れてはい -
Posted by ブクログ
内科医の敷島は全てが不足した地方医療機関の現場でコロナ第三波を迎え撃つ。医療崩壊の瀬戸際に立たされた臨床の現実を描く。
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夏川さんの医療小説ですが、いつものようにクセつよのキャラクターや飯テロや軽妙なやりとりが出てこず、コロナに追い詰められる医療現場が描かれるために余裕がなく、また、国や地域行政、他の医療機関への怒りを含んでいるであろう指摘などが続くので、読んでいてしんどく、途中でやめようかとも思ったほどでした。それもそのはずで、後書きを読むと、夏川さんご自身がコロナ対応の最前線に立ちながら並行して書かれた小説だとのことで、これはもはや半分ノン -
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Posted by ブクログ
順番が逆になってしまった気もするけれど。
『神様のカルテ』は『スピノザ』に比べて、よりキャラクターや出来事が立っている気がする。
小説として書きたいことが、浮かび上がってくるようにも感じる。
『草枕』を愛する、一風変わった言葉遣いをする主人公。だけど、仕事や患者に対する、ひたむきさは『スピノザ』と共通する。
いいなと思うのは、妻の存在かもしれない。
医療モノは、家族の立ち位置が難しい。
視点を変えると、仕事に没頭するパートナーの存在は、家族思いとは言えない見方もある。
けれど、妻自身の「やりたいこと」をしっかり見せているから、いつも一緒ではなくとも、通じ合っている夫婦なのだとよく分かる -
Posted by ブクログ
猫の恩返しのような世界観で、寂しい夜にはページをめくれのような、「読書」に対する価値観や自分の考え方を見直すきっかけになるような本で、哲学的な言葉があったりとても良かった。神様のカルテを書かれた方だと知って、そっちも読みたくなった〜!
作品の中に現れる、いわゆるボス?的な人たちはやってること自体は異様だけど、行動の裏側には現代社会の本に対する行動が現れていて何とも言えない気持ちになった。
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1冊の本を十回読む者より、十冊の本を読む者の方が敬意を集める世の中だ。社会で大切なことは、たくさんの本を読んだという事実だ。読んだという事実が人々を魅了し惹きつけるのではないか。違うかね?
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