夏川草介のレビュー一覧
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地域医療の厳しい現場。不眠不休の大変な状況なのに言葉の一つ一つがユニークで、文章の緩急が素晴らしい。栗原一止先生の堅物ぶりが際立つが、周りを固める人々も個性が光り、楽しい。今回も大いに笑い、泣かせてもらいました。
木曽節の老夫婦の話が心に残った。
〈良心に恥じぬということだけが、我々の確かな報酬である。〉
父の言葉を胸に過酷な状況下で地域医療に尽くす栗原一止。上司である古狐先生、東京から帰って来た同期の進藤との関係の中で医師とはどうあるべきかを考えさせられる。
〈医師である前に人間です。〉
全ての患者を救いたい医師の気持ちと人手不足で回らぬ救急医療の実情。この問題はどうしたら解消できるのか。本作シリーズと共に向き合い、考えていく。 -
Posted by ブクログ
夏川草介さん作品の初読み。いつも初めて読む時は期待とがっかりのどっちになるのかドキドキしてページを捲るのだが、本作品は星4つを付けさせていただいた。町の病院を舞台に消化器内科医者目線で患者とのふれ合いを描く。特にこの病院は治る見込みのない、余命少ない高齢者を診ることがほとんどの病院で、そこに赴任した中堅の、おおらかな人柄の主人公。しかもこの主人公はさる大学病院の最先端技術を牽引していく将来嘱望されていた天才医師というのがまた面白い。飄々と手術を行いながら的確で確かな判断、しかも患者にも優しい。そんな人でありながら、治療の意味なし、努力は意味なしと言い切る殺伐とした考えを持ち、でもそれでも人は努力しないといけない、という。それがよかった。やはり人は努力することが好きなんだな、無駄ではないんだなと救われた。
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Posted by ブクログ
説教臭さといっては筆者には気の毒かもしれないが、メッセージが鼻につき、後半はしつこさを感じるところも正直あった。しかし、本がファスト教養、情報媒体としてのみ消費される、集めることが目的かのような利用のされ方をする、本を自分で読まずともあらすじだけ分かればよいとする考え方や速読法といったものがもてはやされる、お金儲けのための本がどんどん売り出されていく…といった、現代の読書に関わる問題点、違和感を題材に、ファンタジックに読みやすい物語が展開していく。正直耳が痛いと感じるところが多くありました(笑)
筆者の言う、険しい山に登るかのような本を読む、というのは僕にはなかなか頭のレベルが足りないがために難しい。本書のなかで取り上げられている「百年の孤独」なんてのは、ページぎっちりに埋められた文字が乱舞しているのみで、何が書いてあったかよく分からんかったというのが正直な感想だ。
話が本書のレビューというところからは少しそれてきてしまったので、強引にもとに戻したい。
本書はファンタジックな息抜き小説として非常に面白かった。しゃべる猫とともに古書店の奥から異世界に進んでいくなんてむちゃくちゃそそるじゃないですか。
また、本書に散りばめられた作品名、筆者名、メッセージから、もう少し険しい読書へのキッカケを与えてくれる気がせんでもない(いやーやっぱ僕には文字を舐めるだけかな)、「教養」を得るための、本の山を生むための読書ではなく、それそのものの魅力と向き合い、改めて読書を楽しんでいきたいという気持ちになる、単なるファンタジーに留まらない面白さのある作品でした。 -
Posted by ブクログ
シリーズの他の本とは異なる構成で、いくつかの四つの章が独立している。
「有明」は医師国家試験に向かって勉強中の一止を取り巻く人たちのことが描かれている。映画「ヒポクラテスたち」を思い出した。
「彼岸過ぎまで」では,病院の経営面のことがか垣間見れて面白い。漱石の有名な著書と同名であるが,その関係は漱石を読んだことがないので…。
「神様のカルテ」本シリーズのタイトルでもあるが、夏川が考えている神様のカルテの真意が語られている。なるほど,そうかぁ。
「冬山記」は榛名の冬山での超人的な行動が書かれている。これは夏川の作品としては異色で、山岳小説の趣あり。