夏川草介のレビュー一覧
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ネタバレ本作では、主人公栗原一止が先輩女医小幡の存在や患者とのやりとりを通じて本荘病院を辞し、大学病院に旅立つ話。本作でも、作者夏川草介氏の情緒あふれる情景描写は言わずもがなであるが、それに勝るとも劣らない登場人物たちのセリフや引用などが作品に彩を添える。
解説で姜尚中氏も挙げていた「利便とは時間を測定する働きであり、風情とは時間の測定をやめる働きである」の一文も作者ならではだ。その他にも「〝あせってはいけません。ただ、牛のように、図々しく進んでいくのが大事です″」や「〝人生という冒険を勇敢に闘うよりも、薄暗い思索の沼に浸かっている方が価値があるというつもりかね″」といったセリフたちに心をつかまれ -
Posted by ブクログ
ネタバレ前作を読んだ際、「是非続編が読みたい」と感じ、書店へ足を運ぶ度に文庫化されていないか注視していた作品。
本編は三話構成であり、第一話では肝臓内科医の視点、第二話では外科医の視点、そして第三話では前作の主人公でもあった消化器内科医の視点で物語が綴られる。
我々人間は、職業人として社会的な立場に身を置くと、どうにも「その職業をしている自分」のフィルターを通して物事にあたるようで、それは職務中であれば至極当然であり、職務以外であってもなお適用されやすい。そんな日常の中で、学校生活で教わってきたはずの「人間としてどうするべきか、どうあるべきか」のフィルターは、時に内包され重要視されにくい。本作はこのこ -
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Posted by ブクログ
2021年1月。新型コロナウイルス感染症第3波が…
長野県の地域医療の中核を担う信濃山病院。他の大学病院などが患者の受け入れを拒む中、まさに『砦』として、初期から患者を受け入れてきた。
孤軍奮闘する、敷島を中心とする信濃山病院の医師、看護師たち。
そして、院内感染が…
もう3年も経つのか…
今や5類となった新型コロナ。
当時の大変さはもはや忘れられつつある…
医療従事者の方々が、こんなに過酷な状況で新型コロナと闘ってこられたのだと思うと、身につまされる…
医療関係者の方々の頑張りには感謝しかない。
医師たちの名前はバルチック艦隊を破った連合艦隊からなのか。
三笠、千歳、敷島、日進、龍 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ○有明
学生時代のいちゃついている話はあんまり興味がなかった笑
あの2人(3人か)がどう再生していく方が興味があったなとそう感じた。学生時代に進藤たちのような王道を行けなかった僻みなのかもしれないが。
○彼岸過ぎまで
熱い話だった。どうして研修医が来るようになったのか、そしてその最初の研修医が一止。金山さんは金山さんでコンピューターのように思えるが熱くてプライドがある人だったことがわかった。病院はやはり各々の分野でのプロフェッショナルが集まる場所なんだと思った。
○神様のカルテ
章題を読んだ時に読み違えかと思った。本の題名がまさか短編集に入っているとは思わなかったから。後書き読んで映画との -
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ネタバレ翻訳者・夏川草介さんの熱い解説文が良い。
普段の小説のやわらかな空気感とは違い、鋭く力強い言葉で原著を分析・解説していて、原著の描かれた背景のみならず今回夏川さんが翻訳書を出す意義までわかり胸が熱くなった。
この夏川さんの使命感のようなものは、この本の中で主人公アンドルーが持っていた医師としての使命感に通づる。
「本書を読めば、我々と異なる時代、異なる環境で、我々と同じように悩みながら、懸命に生き抜いた人間がいたことが力強く伝わってくる。どれほど社会が変わっても、人間が何に悩み、何に立ち向かおうとしたかは変わらない。そのことがはっきり理解できるのである。」(解説より)
クリスティンとの