夏川草介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
地方の救命救急病院で働く若い内科医が、過酷な毎日に辟易し自分の進む道に迷いながらも、友人や患者との触れ合いを通して未来を見定めていく。
読み易く、低年齢向けに配慮されていると思われる一方で、あえて難解な言い回しを多用して文体を古風に近づけているように感じるのは「難読漢字に慣れてもらいたい」という作者から子供たちへのメッセージだろうか。
キャッチコピーは『神の手を持つ医者はいなくても、この病院では奇跡が起こる』だが、作中では難病患者が劇的に回復するような奇跡は何も起こらない。当たり前の日常として、当たり前に患者の死を看取ること、それも一つの奇跡ということかもしれない。医者の本分は何か?という主人 -
Posted by ブクログ
夏川草介さん、3冊目。
今回は恋愛色強し。テーマは高齢者医療。
病院は治すところから、どう終わりを迎えるかを考えるところにもなったのか。地域によって異なるのだろうけど、心臓が動いていれば生きてるのかどうか問題。何が正しいのかは誰にも分からないし、誤解を生む可能性もある中で、この話を書いた勇気を感じた。
「死に無関心な人々が突然、身近な人の死に直面すれば当然のごとく混乱する。驚き、慌て、ときには医療者に対して理不尽な怒りをぶつけてくる。そうかと思えば、思考を停止し、すべてを医師に押し付けて見て見ぬふりをする。どちらにしても困った事態だが・・・ただ死というものに対して無知であるだけなのだから。 -
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Posted by ブクログ
『臨床の砦』へと続く『命の砦』。
2020年2月、コロナ患者の受け入れを決めた信濃山病院。
『コロナ患者を助けるために』。
敷島たちコロナ診療チームは奔走する。
まだ新型コロナについて、まったく情報にもがかわらず、治療にあたった医療従事者たちがいたことを忘れてはいけない。
本当に頭が下がる。
そんな日進に対して、コロナ診療を断るように言う、日進の妻と息子。
自分の生命が大事なのは理解できる。が、誰かがやらなくてはならない、新型コロナ診療は。
個人病院ならともかく、日進は勤務医。
それを断るということは、クビになってもいいのか。
よっぽど、敷島の娘・桐子の方がわかっている。
『コロナで困