夏川草介のレビュー一覧
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『スピノザの診察室』を読み終え、心の中に涙をいっぱい吸い込んだスポンジを優しく詰め込まれたような、ずっしりとした重みと、それと同時に少しの救いを感じました。
緩和ケア病棟でカウントダウンを迎える命を前に、私たちはつい「頑張って」「きっと良くなるよ」という言葉で無力感をごまかしてしまいます。しかし、雄町医師はスピノザの哲学を通して教えてくれます。「泣くな、怒るな、ただ理解せよ」と。
命が消えゆくのは必然だと理解すること。患者の恐怖や心残りを理解すること。そして、一見治療を諦めたように見える選択の裏にある尊厳を理解すること。この本には奇跡的な治癒はありません。あるのは、人生の最終コーナーにおけ -
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オススメで見かけて気になって買った本。
初め、何となく世界観が古賀史健さんの『さみしい夜のページをめくれ』っぽいなぁと読みながら思いました。どちらも本の素晴らしさを教えてくれるお話です。
「難しい本に出会ったらそれはチャンスだよ」
「難しいってことは新しいことが書いてあるって証拠だよ」
この言葉に私は嬉しくなりました。
『百年の孤独』は2回読んでもわけが分からなかった。
カミュの『シーシュポスの神話』もコリンウィルソンの『アウトサイダー』も挫折して積読に。
私は読めた時の景色を見たいから、諦めずにトライしようと改めて決意しました。
ちなみに…『星の王子様』は学生の頃読んでちんぷんかんぷん -
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ネタバレ★4.5
胸熱くなったー。
ふと手に取った本だったのだけれど正解。大正解。大当たり。
先日父が心筋梗塞で倒れて、医療現場とか、ICUの雰囲気とか、いまでも生々しくて、忘れたくても忘れられない絶望感と緊張感が、蘇ってくるようで、それも含めて、なんか、刺さった本。
命を救う医者の話。
マチ先生がとにかく凄腕の医者で、でも若くして死んだ妹のため、甥のために、大学病院の医局長という立場を捨てて、小さな病院に転籍する。
生と死の狭間で生きる人々との出会いと別れ。生かすことが医者の役目だと言い切れない難しさがじんわり伝わってきた内容だった。
マチ先生と花垣先生(准教授)の凸凹コンビの信頼関係があつい。性 -
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『スピノザの診察室』『エピクロスの処方箋』を読み終わり、夏川草介作品を遡ってみた。今回もオーディブル。
「孤独を取り除く」というフレーズが印象的だった。
ナレーターさんの節回しの影響もあるかもしれなけど、なんとなく森見登美彦の「四畳半神話大系」な空気もチラリ感じた。それはそれで楽しい。
”電子カルテを入力……”というフレーズに「おっ」と小さく反応てしまう(『スピノザの診察室』『エピクロスの処方箋』のときも同じだった)そして。「あぁ、普及したんだなぁ」と妙な感慨を覚えた。ITベンダー社員時代「電子カルテ」の普及(まずは利用が認められる必要があった)はビジネス的に重要テーマだったのだ(特に公 -
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現代の医療における問題点を的確に表現しながらも、安曇野の雄大な自然や花、桂と美琴の爽やかな恋愛要素が彩りを添えることで、読みやすい一冊になっていました。
終末期の医療は、未だに発展途上の感があり、医療者の中でも悩みが尽きない分野です。御本人の意思が示されていれば、まだ救われるのですが、ない場合には御家族の決断が二転三転することは、よくあることです。死について話すことをタブー視するのではなく、家族や大切なひとと意思を共有できていたらいいのにと常々考えてしまいます。
この小説の中で最も共感した人物が、半崎です。半崎ほどの大事にはなっていませんが、私も看護師1年目にインシデントを起こしたことはあ -
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「スピノザの診察室」と「エピクロスの処方箋」を先に読んだので、当作も京都の雄町雄介シリーズだと思っていたら全然違った。文調もいささかギャグ路線で上記2作とのギャップに読み始めのうちは戸惑った。
しかし読み進めるうちに、雄町雄介シリーズと同じく味わいを感じるようになった。舞台は信州松本。さりげなく地酒が紹介されたり、豊かだが厳しい自然の空気感が伝わったりと、その風土の想像を楽しめた。当作も大学医局と地域の草の根医療の対峙という社会テーマをベースにしている。そのジレンマの中で描かれる人間と人間の関わりには深く感銘を受けた。読後の余韻も良かった。傑作に出会えて満足である。 -