夏川草介のレビュー一覧
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「神様のカルテ」のファンでしたので、久しぶりに夏川草介さんのこちらの本を読みました。
舞台は京都ですが、「カルテ」同様にゆったりと描写される街並みと季節が心地良かったです。ご本人もおしゃられているように悪人はでておらず、個性溢れる人々が生きることと死を迎える事をテーマに物語は進んでいきます。
後半の盛り上がりもワクワクしましたが、やはり全般に綴られる文章と表現力、さらには重いテーマを言葉にしてくれる事が私にとって、とっても心地よいと感じます。
映画化も決まっているようです。キャストも楽しみです。また、続編も読みたいと思いました。
大好きな一冊になりました。、 -
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医大を辞して、街の原田病院に勤める医師哲郎の滋味深いお言葉たち。
「多分私は医療というものに、たいした期待をしていないんです。...懸命に生きたいという人の願いに、医療は応えてはくれない。世界は理不尽ですよ。...」84頁
エピクロスの発言について、「快楽の本質は、何よりも『精神の安定』のことなんだ。心の安定こそが人間にとっての快楽であり、泣いたり怒ったりすることは、心の安定を損なうから避けるべきだと述べている。...」
「楽しいことよりも、苦痛がないことの方がはるかに大切で、心が落ち着いていることこそが最高の快楽だと説明しているんだ。..」176頁〜
「希望というものは急に出てきた -
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『エピクロスの処方箋』は、『スピノザの診察室』の続編。前作に続き、医療の現場を舞台にしながら、「医師として人を救うとはどういうことなのか」「医療とは何のためにあるのか」を静かに問いかける作品だった。
数々の難手術を成功させてきた外科医・雄町哲郎は、亡くなった妹の子どもを引き取るため大学病院を辞め、京都の小さな病院で地域医療と向き合っている。そんな哲郎のもとに、かつて勤めていた大学病院の准教授・花垣から難しい手術の依頼が舞い込む。しかし、その患者は哲郎にとって因縁のある人物の父親だった。果たして哲郎は、その手術を引き受けるのか。物語はこの難しい選択を軸に、医師としての責任と、一人の人間として抱 -
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猫と冒険する心温まるファンタジーかと思いきや、なぜ本を読むのか?という読書への姿勢、観念を問われているような本だった。
「ただただ高く本を積み上げれば、遠くが見えると思っている」
読み終えた本の数だけ、自分の空虚な部分を埋めて成長したような気になっていた自分にとっては、この言葉には刺さるどころか抉ってくるような痛みを覚えた。
けれど、本の力は人を思う力だというひとつの答えが出たように、自分にとっての「本の力」を模索するきっかけも得られた。
三章までは正直、浅くて青臭いなと少しがっかりしていたところもあったが、四章がまさに集大成。
このカタルシスを得るためのあえての軽さだったのか?と思わされた。 -
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ネタバレ経済と物語と哲学の話。
大人になると感性を、想像力を、共感を忘れてしまいがちだと思います。
それらを忘れないで生きていたいと思っていても、現代社会では難しくて、つまらない大人になってしまうんだと。
前作は大切なものを思い出させてくれる話だとすると、今作はなぜ忘れてしまうのか?という問いの話だったと思いました。
富とは相対的なもの。
だけど、持つものの方が自由に生きられる?勝者は幸せなのか?私もじっくり考えたいと思わされる本でした。
灰色の無表情の世界に色をつけるのは本だと感じます。
読書することで世界が鮮やかになる……こともあります。
信じることが大切なんだとも思いました。
猫が彼女を守ったの -
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ネタバレ医療技術が発達し、科学が万能に見える現代において、私たちはどこかで医師に「神」のような全能さを求めてしまうことがあるのかもしれない。
しかし本作が静かに伝えてくるのは、「医者もまた、限られた力しか持たない一人の人間である」という、少しほろ苦くも温かな現実だった。
大学病院で高度な技術を駆使し、少年の命を救おうとする姿も、街の診察室でアルコール性肝硬変の患者の意志と向き合い、治療の限界に悩む姿も、主人公・雄町哲郎にとっては、どちらも目の前にいる患者と向き合うという同じ仕事なのだろう。
スピノザが黙々とレンズを磨き、世界をありのままに理解しようとしたように、雄町もまた「救える命には限界がある -
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間違いが許されない。それが、医師という職業の何よりも過酷なところ。
患者は一人として同じ人はいない。それぞれ体質も症状も違う中で、過去の症例や経験をもとに最善と思われる答えを導き出していく。それでも、ほんの少し判断を誤れば「医療ミス」と厳しく責められることもある。
一方で、もし自分や家族がその立場だったら、簡単には割り切れないのも事実。風邪だと思っていたものが、実は命に関わる病気だったり。年齢を重ねるにつれ、そんな話を身近で耳にする機会も増えてきた。
だからこそ、この作品を読んで改めて感じたのは、医師という仕事の凄さと、その責任の重さ。
この作品から、『スピノザ』『エピクロス』へと繋がっていっ -
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ネタバレ一人の医師が、長野の地方病院という過酷な環境の中で、医者のあるべき姿や、友人や家族との向き合い方、そして生と死について、等身大に悩み続ける姿を描いた物語。
作中で、
「『良い医者』にはなりたい。だが何をもって『良い医者』とするのか。これは我が脳中にする至上の難題である。」
という言葉が登場する。
この一節には、本作の姿勢がよく表れているように思う。
「あるべき姿」はあるのか。あるとして、それは何なのか。そもそも正解など存在するのか。
病気や死をはじめ、人生には理不尽な出来事が数多く降りかかる。
本作は、そんな「ままならないもの」を解決しようとする物語ではない。答えのないものに対し -
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ネタバレ本屋大賞ノミネート作品を読み、その前日譚にあたるこちらを読みました。
医者というより哲学者。マチ先生の話、たくさん読みたいです!
以下は気になった文の引用です。
「「野心はなくても矜持はある。そうだろ?」含蓄のある言葉であった。」
「度が過ぎると、心の器にヒビが入ることがあります。ヒビだけなら涙がこぼれるのみですが、割れてしまえば簡単には元に戻りません。それを、精神科の世界では発病と定義づけるのです」
「がんばらなくて良いのです。(略)がんばらなくても良いのです。ただ、あまり急いでもいけません」
「俺はもう酒をやめることはできまへん。こないな寂しい世の中を素面ではおれんのや。」
「すべてが決