夏川草介のレビュー一覧

  • 命の砦

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    ネタバレ

    コロナ初期の医療現場が抱えた恐怖と使命感のアンビバレンツを、重い筆致で描いた作品だった。医療者は「家族にうつすかもしれない」という切実な恐怖を抱えながら、それでも「患者を見捨てられない」という倫理に突き動かされていた。その二つが同時に胸の中で軋み、揺れ、支え合う姿こそが“医師の使命”の正体なのだと思う。社会は時間とともにあの緊張を忘れていく。しかし、忘却の中でこそ、こうした記録は意味を持つ。人が忘れてしまう痛みや葛藤を、物語として残すことで、あの時を生きた人々の心の震えが静かに伝わってくる作品だった。④

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    2026年07月18日
  • 本を守ろうとする猫の話

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    一つ一つの問題解決は浅めの話だけど、終盤の猫とのやりとりが良き。
    古典を読みたくなって、モンテクリスト伯を全巻購入してしまった。
    猫好き的には好き。

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    2026年07月17日
  • スピノザの診察室

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    『スピノザの診察室』を読み終え、心の中に涙をいっぱい吸い込んだスポンジを優しく詰め込まれたような、ずっしりとした重みと、それと同時に少しの救いを感じました。

    緩和ケア病棟でカウントダウンを迎える命を前に、私たちはつい「頑張って」「きっと良くなるよ」という言葉で無力感をごまかしてしまいます。しかし、雄町医師はスピノザの哲学を通して教えてくれます。「泣くな、怒るな、ただ理解せよ」と。

    命が消えゆくのは必然だと理解すること。患者の恐怖や心残りを理解すること。そして、一見治療を諦めたように見える選択の裏にある尊厳を理解すること。この本には奇跡的な治癒はありません。あるのは、人生の最終コーナーにおけ

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    2026年07月15日
  • スピノザの診察室

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    自分も相手もこれでよかったのか?とか、
    これがよかったんだという選択に疑問や答えを求めない優しさを感じた。
    医療の現場の中で選択に迫られる場面は常にあると思っている。
    どの選択がよかったのか。ではなく、自分はどうして生きていくのか。続ける。止める。何もしない。別の道を探る。そのどれを選ぶのかは誰かではなく、自分であること。そのそばにいつでも頼れる人、仕組みがあることを忘れずにいようと思う。
    あと、京都っていいね。
    和菓子巡りをしたくもなる作品でした。

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    2026年07月15日
  • 神様のカルテ3

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    神様のカルテは、毎回、登場人物達の台詞や人間臭さが溢れていて、読む者の感情を揺さぶってくる小説です。
    理由は分かりませんが、自分の年齢、状況に関わらず、その時の自分の心情に刺さる言葉、場面が見つかるような気がします。

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    2026年07月11日
  • 本を守ろうとする猫の話

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    オススメで見かけて気になって買った本。
    初め、何となく世界観が古賀史健さんの『さみしい夜のページをめくれ』っぽいなぁと読みながら思いました。どちらも本の素晴らしさを教えてくれるお話です。

    「難しい本に出会ったらそれはチャンスだよ」
    「難しいってことは新しいことが書いてあるって証拠だよ」
    この言葉に私は嬉しくなりました。
    『百年の孤独』は2回読んでもわけが分からなかった。
    カミュの『シーシュポスの神話』もコリンウィルソンの『アウトサイダー』も挫折して積読に。

    私は読めた時の景色を見たいから、諦めずにトライしようと改めて決意しました。

    ちなみに…『星の王子様』は学生の頃読んでちんぷんかんぷん

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    2026年07月11日
  • スピノザの診察室

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    ネタバレ

    ★4.5
    胸熱くなったー。
    ふと手に取った本だったのだけれど正解。大正解。大当たり。
    先日父が心筋梗塞で倒れて、医療現場とか、ICUの雰囲気とか、いまでも生々しくて、忘れたくても忘れられない絶望感と緊張感が、蘇ってくるようで、それも含めて、なんか、刺さった本。

    命を救う医者の話。
    マチ先生がとにかく凄腕の医者で、でも若くして死んだ妹のため、甥のために、大学病院の医局長という立場を捨てて、小さな病院に転籍する。
    生と死の狭間で生きる人々との出会いと別れ。生かすことが医者の役目だと言い切れない難しさがじんわり伝わってきた内容だった。
    マチ先生と花垣先生(准教授)の凸凹コンビの信頼関係があつい。性

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    2026年07月08日
  • スピノザの診察室

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    ネタバレ

    神様のカルテ以来、医師としての日常を経て紡ぐ、患者の方々との繁忙の中で触れる機微のやり取り、医師としての仕事と日常の綱渡り、に惹かれ読ませて頂いてます。主人公が医師の設定の経糸に加えて、妹のお子様を引き取るという、難しい横糸を加えて進む物語。”野心はなくても矜持はある”の言葉の表面だけでは量れない想いが、ぎりぎりの日常と真摯に向き合う患者の方々への人生への処方が、日常に忙殺されている視点を変えるきっかけになるような作品。

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    2026年07月06日
  • 臨床の砦

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    再読した。

    病院での精密検査の待ち時間で読んだ。

    新型コロナの2021年1月

    医療関係者は本当に大変だ。
    映画「フロントライン」を思い出した。最前線の現場はいつも色々な矛盾や収まりきらない現実の厳しさや不合理の中で闘っている。

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    2026年07月04日
  • 臨床の砦

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    コロナのリアルを描いた本。
    あとがきがとても印象的で、夏川さんの人柄が伝わってくる。
    読めて良かった。

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    2026年06月27日
  • 君を守ろうとする猫の話

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    対話で伝えられるのは論理的な言葉の意味ではなく、伝えようとする意志である。
    冷え切った論理は一杯の温かな紅茶にも及ばない


    深い。。。

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    2026年06月25日
  • 本を守ろうとする猫の話

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    本、特に世界の名作と言われる重厚な作品への愛があふれる一冊。
    第二の迷宮「切りきざむ者」をなんか見たことあるな…と調べたら、8年ほど前に某女子中の入試問題で使われてた。
    ジュニア向けにやさしい言葉で書かれてるけど、文学史に残る名作を読む人が増えてほしいと著者自身が「解説に代えて−−猫が教えてくれたこと−−」で記している。

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    2026年06月22日
  • 神様のカルテ

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    『スピノザの診察室』『エピクロスの処方箋』を読み終わり、夏川草介作品を遡ってみた。今回もオーディブル。

    「孤独を取り除く」というフレーズが印象的だった。

    ナレーターさんの節回しの影響もあるかもしれなけど、なんとなく森見登美彦の「四畳半神話大系」な空気もチラリ感じた。それはそれで楽しい。

    ”電子カルテを入力……”というフレーズに「おっ」と小さく反応てしまう(『スピノザの診察室』『エピクロスの処方箋』のときも同じだった)そして。「あぁ、普及したんだなぁ」と妙な感慨を覚えた。ITベンダー社員時代「電子カルテ」の普及(まずは利用が認められる必要があった)はビジネス的に重要テーマだったのだ(特に公

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    2026年06月21日
  • 勿忘草の咲く町で 安曇野診療記

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    現代の医療における問題点を的確に表現しながらも、安曇野の雄大な自然や花、桂と美琴の爽やかな恋愛要素が彩りを添えることで、読みやすい一冊になっていました。

    終末期の医療は、未だに発展途上の感があり、医療者の中でも悩みが尽きない分野です。御本人の意思が示されていれば、まだ救われるのですが、ない場合には御家族の決断が二転三転することは、よくあることです。死について話すことをタブー視するのではなく、家族や大切なひとと意思を共有できていたらいいのにと常々考えてしまいます。

    この小説の中で最も共感した人物が、半崎です。半崎ほどの大事にはなっていませんが、私も看護師1年目にインシデントを起こしたことはあ

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    2026年06月15日
  • 神様のカルテ0

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    神様のカルテのスピンオフ作品。
    一つひとつの作品は繋がってはいないが、シリーズを読んできた者にとってはたまらないプレゼントになる。
    最後の「冬山記」がいい。それぞれの人がそれぞれの悲しみを抱えながら、悲しみに耐えて生きている。だから、人間は素晴らしい。

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    2026年06月11日
  • 本を守ろうとする猫の話

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    ちょっと星の王子さまっぽい所はあるかな。
    童話チックだが、最後の作者のあとがきが全てを表していて、心に残る文章だった。

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    2026年06月08日
  • 本を守ろうとする猫の話

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    ファンタジーなんだけど、ちゃんと本のことを考える切っ掛けを与えてくれる哲学書でもあったような気がします。
    作品に他の小説のオマージュやパロディが散りばめられているらしいのですが、私には気づくほどの知識がありませんでした。ネットで調べてやっと分かったのが、主人公 夏木林太郎 は夏目漱石+森鴎外(森林太郎) だと推理できるでした。ふむふむなるほど〜でした。

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    2026年06月08日
  • 臨床の砦

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    コロナ禍の日々を振り返ると、社会全体が見えない脅威に翻弄されていたことを思い出す。その最前線で奮闘した医療従事者たちの現実が生々しく描かれていて考えさせられた。

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    2026年06月08日
  • 神様のカルテ

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    「スピノザの診察室」と「エピクロスの処方箋」を先に読んだので、当作も京都の雄町雄介シリーズだと思っていたら全然違った。文調もいささかギャグ路線で上記2作とのギャップに読み始めのうちは戸惑った。
    しかし読み進めるうちに、雄町雄介シリーズと同じく味わいを感じるようになった。舞台は信州松本。さりげなく地酒が紹介されたり、豊かだが厳しい自然の空気感が伝わったりと、その風土の想像を楽しめた。当作も大学医局と地域の草の根医療の対峙という社会テーマをベースにしている。そのジレンマの中で描かれる人間と人間の関わりには深く感銘を受けた。読後の余韻も良かった。傑作に出会えて満足である。

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    2026年06月07日
  • 本を守ろうとする猫の話

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    本が抱える現代的な問題に向き合う言葉は理想論かもしれないが心意気は感じた

    本の持つ力はなんだろうか
    名著の持つ力は普遍的な、忘れてはならない心という
    心の指針になる高い山にも登ってみようか

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    2026年06月05日