夏川草介のレビュー一覧
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オーディブルで聴了
やはり今回も登場人物の能力の高さが光る内容だった。思わずガッツポーズするくらい熱くなるシーンや、グッと込み上げる泣けてしまうシーンがあって、物語として、とても読み応えのある作品だった。
そして、もう一つ。作中で登場人物達が語るいくつかの場面では、現在の医療における権利と責務、倫理観(と言うのだろうか?)・哲学的な観点での問題や複雑さがとてもしっかりと書かれていて、現在の、これからの医療現場(医療サービス)のあり方について、しっかり問題提起してくれている、とても素晴らしい作品だった。
これは紙媒体で、もう一度読もうと思った。 -
Posted by ブクログ
言うことなし。星5。
読み始めた途端から、ただよう優しさに溢れた雰囲気。
悪い人、ずるい人出てこない。
医者は、病気を治すことが第一使命であるものの、
患者がどうやって病と折り合いをつけていくか、または立ち向かうのか。
それは、医者の独断ではいけない。
サジを投げてもいけないし、煽ってもいけない。
科学の最先端に従事している彼らではあるが、むしろ、そんな彼らだからこそ、
非科学的な思想にも気づける。
物語は、そのほとんどが後期高齢者の患者が相手であり、哲郎は、そのたびに絶妙な言葉掛けで患者の心に寄り添っていく。積極的治療を了承せず、楽に逝きたいと訴える、患者に対して、肯定もしないし否定もしない。
自分も、「もう納得して逝けばそれでよし」と思って読んでいた。
おだやかな流れの中、正反対の9歳の少年の治療。
絶対に死なせてはならない相手。
そんな穏急のある展開にページを捲る手が止まらなかった。
また随所で登場する、京都の銘菓。機会があったらぜひ食べてみたい。
話のいいスパイスになっていた。
いい本を読んでいるいう自覚があった。とても上質な読書時間だった。 -
Posted by ブクログ
『スピノザの診察室』の続編。
相変わらず心に響く言葉、そして考えさせられる場面が次々と。
特に、最後のスピノザの世界観について甥に語る言葉
「人が歴史を切り開いていくんじゃない。人はいわば、大きな歴史という大河に浮かぶ流木のような存在だ」
「人の力を信じるには、世界には哀しいことが多すぎる」
「だけど誤解してはいけないよ、龍之介。無力であることは不幸を意味しない。」
「スピノザは、人間の無力は描いても絶望は描かなかった。どうにもならない世界で、それでも人間にできることは何かと考え続けたんだ。こいつはなかなか魅力的な思想じゃないか」
私も自分の無力さに、すべてを投げ出してしまいたい気持ちになることがよくありますが、小さなことでも自分にできることを考えて行動していきたいと思います。
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Posted by ブクログ
前作に引き続きオーディブルにて。
単純に医療を技術だと考えれば、それだけでは人の命は救えなくて、医療を施す側も人間だからこそできる処置や心づかいがあって、それによって患者さんの心を救うことはできるかもしれないなと思いました。
医師不足の根底にある時代の流れについて書かれていたのも印象的でした。近年の働き方改革のようなマインドが世間に広がっていっている結果として、本当に腹括って医者としての使命を全うするタイプの人間が減って、内科や外科のような人の生き死にと隣り合わせのコアな現場がどんどん人手不足になってしまっているらしい。
こういった、自分ひとりでは普段考えないような問題について自分なりに意見を持つ機会をくれるパワーがある小説!小説としても物語をしっかり楽しめるのに、こういうパワーを持ってるから"なんかいい感じの小説"だったなーっていう感想では終わらないのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
(スピノザの診察室とまとめた感想です)
長文失礼します。
「哲学」という言葉にこの本で初めて触れました。自分の人生には関係ないものだと思っていたくらい遠い存在でした。
医療と哲学、私は医者でもなく医療従事者でないので詳しいことは分かりませんが、、この本を読んで哲学は医療だけでなくあらゆる分野に必要なもののように感じました。
きっと、いざ哲学書を読むとなると、理解できない難しいことが書いてあるのだと思います。。この本ではそれを分かりやすくかみ砕いて、医療の目線からそれを伝えてくれているので少しは理解できた気がしています!
それでも、哲学というものを知ることができ、大きなきっかけを与えてくれる本でした。
もう1つ印象に残ったものは、雄町先生の言葉で「ドラマとかで亡くなる瞬間にベットサイドで手を握った場面があるけど、それが1番大切なことではないと思う。生きている時間にどうやって寄り添って積み上げていくかが大切。」。(こんなニュアンスのセリフでした)
この本を読む前のできことですが、私は母から以下のような話を聞きました。
先日親戚の方(90代)が亡くなり、私の両親は、私の叔母(私の父の妹)にその連絡をしていなかったそうです。理由は普段から付き合いがある話も聞いていなかったので、また会う機会に話そうと思っていたら忘れており、叔母が人づてに聞いたことで発覚しました。
その時に叔母は「小さいころにすごくかわいがってもらったから、会いたかった~。悲しいな~」とひどく悲しんでいたそうです。
ただ、母からすれば、叔母は50代で自分で運転もできる身なので、「そんなに会いたかったなら生きているうちに会いに行けば良かったのでは」と思う反面、「悪いことしたかな」とも思い、ずっと心に残っていたようです。
そこでこの本で先ほどのセリフに出会い、すごく納得できて母に伝えてあげようと思いました。(母に自分を責めてほしくないので・・・)
セリフの意味と今回の出来事は少し違いますが、、生きている時間にその人とどう向き合うか、時間を過ごすか、そこが大切だと私は解釈しました。
その人を気にかけているなら、生きている今、声をかけようと思いました。 -
Posted by ブクログ
物語のピークと思われる手術への介入の仕方が恐ろしくささやかで地味。
映像化しても映えないこと請け合い!
なのに効果テキメンでその影響を多くの医者が称賛。
その結果大量の甘味が勤務先に届くという、未読の方は良く分からないだろうけど、読んだ方は共感いただけるのではないかと思うのだが、本書の主人公のキャラを目一杯生かした超絶カッコイイエピソードだと自分は考えている。
著者が現役医師の方でスピノザが引用されるけど小難しい話はほとんど無い。
哲学や宗教の匂いはほとんどしないのに生きることや死ぬことへの深い考察が伝わってくる。
逆にストリートファイターⅡのプレイ描写があったり
アーケードのインベーダーゲームができる実在のバーに行ったり、
難手術であることの会話の中で手塚治虫のブラックジャックが引用されたり(内臓逆位!)と堅苦しくないエピソードも多い。
そういえば手塚治虫は大阪大学医学部だったな、関西の方が多少人気あるのかな、昔京都駅に「手塚治虫ワールド」あったなとかちょっと思った。
『あの本、読みました?』で著者が出演していてこの本に興味を持った。
Wikipediaによると本書と「長五郎餅」とのコラボレーション商品が、2026年3月22日より期間限定で販売されたそうだ。
影響力大きい! -
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ネタバレー第一の迷宮ー
仕事がテレビ、ラジオ、講演も...
と言われていた男。
知識を放出することを常に求められていて
本は愛しているけど、ほんの少しだけ最初に純粋に本が好きだった頃とズレてしまったのかなと思いました。
楽しんでいたものが、ノルマになってしまうと
どうしても面白くないですよね。
ー第2の迷宮ー
あらすじ、要約 読書の効率化
要約や結果で物語を知るのもいいかもしれない。
でも、要約されていないものは、結果に至るまでの過程まで知ることができる。
その過程に自分が心を動かされたり、考えさせられることがあるのでは...
ー第3の迷宮ー
自分だったら、本を解放することができない位
真実を言っていると思いました。
何百年前の名著を分かりやすくした現代語訳で読む。
形を変えないと読まれない...
安価でないと読まれない...
売りさばき続けた先に余裕ができれば、本当にしたかったことができたりも...
とかを考えてしまいました。
ー解説・あとがきー
何百年前の名著も、現代人が読んでも心に響くものがある。
ちょっと難しいかもしれないけど、分からないものは分からないなりに読んでみようと思えました
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Posted by ブクログ
2026年本屋大賞4位。
大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望されながらも、母を亡くし一人になった甥のために地域病院で働く内科医の雄町哲郎。
ある日、哲郎の力量に惚れ込む大学准教授の花垣から、難しい症例が持ち込まれた。
患者は82歳の老人。
それは、かつて哲郎が激怒させた大学病院の絶対権力者・飛良泉寅彦教授の父親だったーー。
『スピノザの診察室』の続編。
前作同様に優しい文章で読みやすくサクサクと読めてしまいますね。
今回も患者さんが亡くなることがあるが悲しいと言うよりその人の生き様や死を受け入れてからどう生きるのか、患者さんとの向き合い方、人を救うとはどう言うことなのか考えさせられることも多くありました。
それだけなら前作と同じになってしまうのですが、今回は医療にかける先生たちの熱い思いがほとばしっててもう胸熱で最高でした。
新しい和菓子も出たので京都に観光に行きたいですね(笑) -
Posted by ブクログ
読み終わった後、じわぁーっと来る満足感。
医療系小説であって医療系小説ではない。
助かる見込みの少ない患者が延命する奇跡も起こらない。権力を振り翳す教授も出てこない。
某◯い巨塔がダメな訳ではないが、夏川草介さんの医療小説は一線を画す。
響いたポイントはP137-141のやりとり。
生きて欲しいと願う一方、大変な事も多い。
その渦中に居る患者の夫に向かって放つ言葉。
急に何かを変えても仕方ない。
そんな無碍な言葉を心の籠った話口調で伝えるマチ先生。
何度か出てくる『私は医療というものを根本的に信頼していないんだ』と言うキラーワード。
スピノザもそうだが、文庫になったら常に持っていたい本に出逢った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『神様のカルテ』で一躍有名になった消化器内科医小説家、夏川草介の小説。私は氏の小説は初読み。
内視鏡手術で凄腕を発揮する名医が、妹の死に伴い、甥の世話をするために大学病院を離れ、地域の病院で働くことになるが、そこで死と向き合う医療にやりがいを感じる。そんな中、大学病院時代の先輩医師から大手術の協力依頼を受け、その能力を存分に発揮する、みたいな王道医療ストーリー。
物語の展開も非常にいいが、とにかく登場する人物たちが、医者だけでなく患者も、そして中学生の甥も、それぞれの立場の違いはあれど、揃いも揃ってスマートで人情があって信頼し合っていて、素敵な人達ばかり。
ちょっとした爽やかな恋愛要素もあり、映像化スタッフが泣いて喜びそうな作品である。とにかく読んでいて全く嫌な気持ちにならない、素敵な作品。