夏川草介のレビュー一覧
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『エピクロスの処方箋』(夏川草介)を読み終えた。前作『スピノザの診察室』も非常に心に残る傑作だったが、今作はその感動を何倍も大きく超えてきた。
何度も目頭が熱くなり、静かに涙を拭う瞬間があった。今年読んだ小説の中で、間違いなくナンバーワンの一冊だ。読み終えた今も、この物語の世界観にずっと浸っていたいという余韻が抜けない。
主人公の「マチ先生」こと雄町哲郎は、かつて大学病院で将来を嘱望された優秀な内科医だ。特に内視鏡の操作技術は「神技」と称されるほどピカイチ。しかし日常生活の身の回りのこととなると途端にとんと疎くなる、愛すべきギャップを持った人物である。彼が輝かしいキャリアを捨て、京都の小さな地 -
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雄町哲郎先生は、腕は一流で、医師として、そして一人の人間としての確かな哲学を持っている。患者にとって何が一番いいのかを考えながら向き合う姿がとても印象的だった。こんな医師に診てもらえたら、穏やかな最後を迎えられるのではないかと思う。そんな哲郎の生き方が周囲の人たちにも影響を与えていくところもよかった。
エピクロスの哲学と絡めながら物語が進むところも面白い。エピクロスのいう「快楽」とは、激しい喜怒哀楽ではなく、「いつも平穏で、心が穏やかでいられること」なのだという。そんな毎日を過ごせることが幸せだという考え方にとても共感した。心が穏やかになるような、素晴らしい本だった。 -
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P54
世界はすさまじい速度で変化している。古びた本から得られるものなど何もない。それどころか間違ったことが書かれている。それなのに、いまだに一部の人間は、はるか過去に書かれたくだらない作品に執着している。ここに並べた書物をみたまえ。どれも過去の醜い陋習にとらわれた、頑迷にして時代遅れの作品ではないか。そんなものにとらわれてはいけない。人間は、もっと自由で、もっと豊かな存在なんだ。
P89
人は年を重ねた分だけ、視野が広がるとは限らない。大切なものは心で見なければいけないのに、心の目はあっという間に曇ってしまう。子供のころはあんなに大切にしていた本を、時とともに忘れてしまうように、気づかない -
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向き合わなければいけない、医療現場の現実。
物語は長野県安曇野市にある梓川病院。
研修医の桂と看護師の美琴、そして様々な個性を持つ医師たちの奮闘記。
理想論を述べるなんて考えられない高齢者が大多数の医療現場。
高齢者の命の灯が消えるまで患者の家族と共に見守っていく。
高齢者は特に身体機能が覚束ない状態になっていく様をみて家族・親族は、そんな彼らをどんな視点で見ているのだろうか。
親族のことを病院に任せっきりの人もいれば、最期まで一緒に過ごしたい人。
私たちは「一体病院に何を求めているのだろう」と考える。
生きて欲しいと願うか、早くいなくなって欲しいと願うか。
そんな中で出てくる命の灯が無 -
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妹が遺した甥っ子を引き取ることになり、大学病院を辞めて原田病院に勤務するマチ先生。普段は甘い物に目がなくてマイペースな感じなのに、内視鏡を握るとスーパードクターになるマチ先生の魅力もさることながら、同じく原田病院勤務の先生達が個性的だけど魅力的。マチ先生はイメージ通りの自転車通勤なのに対して、他の先生達は外車で通勤。そんな先生達ですが、腕は確かでお互い助け合い信頼しあってる姿がカッコよすぎて。でも、度々クスッと笑せてくれる会話も魅力的。
もちろん、患者さんとのシーンもしっかり描かれていて、辻さんの最後の場面はジーンときました。
南先生が変わっていく姿も素敵でした。
高齢者や余命短い人達に対 -
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遅まきながら、本作を読み始めるきっかけはNHKのあさイチに夏川草介先生が出演していたのを見たから。夏目漱石などの文学オタクで現役医師。優しそうなお人柄に、作品を是非読みたい!となった。
地域医療のど真ん中で激務に忙殺される医師栗原一止(いちと)。
信州を舞台に地域医療現場の大変さをリアルだけどコミカルに描き、笑いあり泣きありの素晴らしい作品だった。
医師として人として患者の最期に向き合う一止。第三章、安曇さんのお話では号泣した。
こんな先生に診てもらいたい。
大学病院と中核病院の役割の違いや、医師の勤務地の選択、深夜の救急外来の過酷さなど初めて知る事が多く、とてと勉強になった。医療従事者