夏川草介のレビュー一覧

  • 命の砦

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    言うまでもなく,著者は医師でもある。著者が経験したあのコロナ第1波の医療現場の混乱や葛藤を,設定はフィクションながら描いたもの。記録文学とは言えないだろうが、当時の記憶を留めるものとして、貴重だ。時を余り経ずに,書かれたことの意義は深い。当時のことを思い出しながら読み上げたが、わずか6年前のことながら,自分の記憶はすでにあやふやになりつつあることに気付いた。本書が長く記憶されることを祈る。

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    2026年08月31日
  • エピクロスの処方箋

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     前作『スピノザの診察室』から続く、京のとある町の小さな病院で日々医療に向き合っている内科医のシリーズです。

     主人公は病に倒れた妹の遺した少年を引き取るために大学病院を退いた京都の町医者。病床数も少ない小さな町の病院に勤めている内科医の彼は、今日も外来、訪問診療、緊急オペと多忙な日々を過ごしている。そんなある日、大学病院の先輩医師より、複雑な症例の患者のオペを打診される。82歳の高齢患者で、既に3回の内視鏡手術を試みていずれも失敗に終わっているという。4回目の内視鏡手術。しかもその患者は大学病院の現教授、飛良泉寅彦の父親と聞いて、治療を進めるべきか断るべきか思案に暮れる彼だったが——。

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    2026年08月30日
  • スピノザの診察室

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    ネタバレ

    スピノザの哲学にある以下の文章は印象的。

    全てが決まっているのなら、努力なんて意味がないはずなのに、彼はいうんだ。だからこそ努力が必要だと

    ストーリーも構成も心地よい。映画化も楽しみだと思う。

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    2026年08月30日
  • エピクロスの処方箋

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    医療従事者として患者さんに向き合う時の
    スタンス、心持ち。
    前作もそうだが今作も深くうなずき、感銘を受ける瞬間がたくさんあった。

    大きな流れとしては
    主人公が困難と思われる処置に立ち向かうってことなんだろうけど
    そこに向かう行動の裏にある哲学がすごいなと思う。

    私にとって、ものすごく得るものがある作品

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    2026年08月30日
  • スピノザの診察室

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    人生と終わりに向き合う仕事、その向き合い方、心の動き、色んな情景、手に取るように伝わる作品。
    こんな先生に最後は出会いたいと思う作品

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    2026年08月29日
  • エピクロスの処方箋

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    前作が良かったので期待して読み始めたが、ハードルが上がってるのに、さらに上回る良さ!これは手元に置いておきたい本。マチ先生が哲学と呼ぶ、人生の理念のようなもの。軸が常にぶれない。医療が人を治すのでなく人が人を治す。努力で、何事もできるようになるなどとは傲慢というのに同意。ある程度、そもそも、その事柄には優位性を持って生まれているのだという事を手先の器用さを遺伝と伝えつつ、努力したから手に入れたと思えるほど世の中甘くないと…本当にその通り。ままならない事だらけ、人間無力さばかり。あらがえない、誰のせいでもない。そういうことを語りかけてくれる。人の生き死にだけはどうにもならないと、父の死やナカナカ

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    2026年08月29日
  • 勿忘草の咲く町で 安曇野診療記

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    とても面白かった。
    読み応えある作品でしたね。
    桂先生と琴美の微妙な距離感が心地よく。
    病院の高齢問題の難しさと現実はこうなのかなと
    余韻を感じながら読み終えました。
    おすすです。

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    2026年08月29日
  • スピノザの診察室

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    この本、好き。
    何だろうなあ、あったかい?安心?心が穏やかでいられる。

    秋鹿先生にとってのトランキライザーのマチ先生。読後の感覚は、それに似たものなのか?

    心の在り方、認知や思考、幸せとは…
    自分の追い続けているテーマがそこにあったので、ぴたっとハマった感じがある。

    哲郎に解説してもらいながら、登場する菓子を食したい欲求が生まれた。
    京都の街並みをこの本を手掛かりに楽しんでみたい。そんな人生の楽しみも生まれた。

    スピノザのエチカも読んでみたい。

    人間の力ではどうこうできない宇宙に生きるちっぽけな私が、そんな望みを持つことが「幸せ」の一つなのかも。

    「少しだけ景色は変わる」
    誰かにと

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    2026年08月29日
  • エピクロスの処方箋

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    雄町哲郎は京都の街で働く内科医である。京都の街を自転車で巡り、治療を中断し、自宅療養を選択した人々の診療を行っている。マチ先生には、大学病院で准教授を務める花垣という友人がいる。というのも、マチ先生は昔は一線で腕を振るっていたが、姉の子どもを引き取って育てるために、大学病院を辞めたのだった。その花垣から、重症患者の難しい手術を頼まれる。その患者は大学病院の飛良泉教授の父親だった。

    前回に引き続き、素晴らしい内容だった。哲学と医療が組み合わさって、生と死について深く考えさせられる。中でも印象にのこった会話が、最後のマチ先生と西島先生の会話。「人を救うのは医療ではない。人なんだ。」医療技術が素晴

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    2026年08月28日
  • エピクロスの処方箋

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    医者としての生き方を考えさせられた。平林教授や、西島講師を含め、それぞれ個性は違えど全身全霊で医療と向き合っていて、引き込まれた

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    2026年08月28日
  • スピノザの診察室

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    医療とは、命とは。筆者の実体験から得たであろう言葉が胸を打つ。
    医療処置の描写、登場人物の造形、舞台となる土地の描写のいすれも秀逸。現役医師による命の大切さを伝える傑作。

    医師による小説は多々あれどその中でも屈指の作品だろう。ワケありで大学病院を辞めごくごく普通の医院にて往診て診療をする実は凄腕の医師。最先端の医療も大切だが、医師と患者の顔の見える関係そして終末、在宅の看取りが描かれる。
    ほぼほぼ悪人の出てこない展開。筆者の人間を見つめる視点の温かさを感じる。

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    2026年08月28日
  • 神様のカルテ0

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    夏川草介氏の『神様のカルテ0』を読んだ。

    「神様がそれぞれの人間に書いたカルテってもんがある。医者は、その神様のカルテをなぞっているだけだ」――大狸先生のこの言葉が、本書のタイトル『神様のカルテ』の意味を象徴しているように感じた。これまでシリーズを読んできたが、本書を読んでようやく、そのタイトルに込められた意味が少しわかった気がする。

    特に心に残ったのが、元国語教師である患者・國枝さんの言葉だ。

    「人は、一生のうちで一個の人生しか生きられないが、本は別の人生があることを教えてくれる。そうすると、たくさんの人の気持ちがわかるようになる。そういう人々の気持ちがわかるようになると、優しい人間に

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    2026年08月27日
  • スピノザの診察室

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    ネタバレ

    著者から読者へのメッセージにある通り、医療系にありがちな派手さがない。感動を誘うような奇跡は起きない。ただ直向きに病気と向き合う患者と医師の姿があるのみ。言葉を選ばずに書くと、胡散臭さがないので受け入れやすい。小説の中だけではなく、現実世界のどこかで存在しているような気さえする。

    治らないと言われている病気を患う患者の家族だが、この小説はそんな人の心にも寄り添ってくれるとてもあたたかい内容だった。

    心に留めておきたい言葉をいくつか抜粋

    P150〜
    医者にできることは、患者の病気を治すことに決まっているだろうってね。病気が治れば患者は幸せになるんだから、そこに力を尽くせば良い。でもね、病気

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    2026年08月26日
  • 君を守ろうとする猫の話

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    語彙力がないので、どう表現したら。。。となっていますが、純粋に物語として面白かったですし、考えさせられるt箇所や心打たれる箇所もありました。
    Audibleで並走したのですが、惜しむらくはかなり内容や台詞などが端折られていたり、表現が変えられていたりしたところですね。。。何のための朗読かと。。。
    まあ、Audibleではたまにありますが、この作品に関してはかなり多かったという印象でした。

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    2026年08月24日
  • 神様のカルテ3

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    シリーズ第3作にして主人公が直面する大きな壁。医療トラブルは表面的な契機に過ぎず、本質は地域医療で奮闘して5年、手応えを感じ始めていた彼が突きつけられる「このままで良いのか」という葛藤こそが本作の真の壁だろう。

    30歳という節目(誕生日のエピソードもニクい伏線だ)を迎え、働く人間なら誰もがぶつかるキャリアの普遍的なテーマを描いている。信州松本や安曇野の情景に、本作では「冬」や「年末」という変化と思索の季節をうまく取り入れているのも秀逸だ。

    前二作で彼の奮闘に寄り添ってきた私たち読者だからこそ、ともに心が打ち砕かれる体験はシリーズの特性を最大限に活かした見事な構成。これだけ苦しい展開でも、人

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    2026年08月24日
  • 命の砦

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    臨床の砦 の姉妹本。
    この最高の2作品はぜひ読んでほしい。
    あの悲劇をバネに、人類と世界がちょっと良くなるために。

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    2026年08月23日
  • 君を守ろうとする猫の話

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    本を守ろうとする猫の話と続けて一気に読み切ってしまいました。

    書きたい思いはたくさんあるんだけど、三部作の2作目と知り、次の作品を心待ちにする気持ちがはち切れそうに膨らんでいます。

    第三部を読んで、読み返して、ゆっくり書こうと思います。

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    2026年08月23日
  • エピクロスの処方箋

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    ネタバレ

    【きっかけ】
    『スピノザの診察室』に完全にハマってしまいまして、速やかに続編に着手。

    【読後】
    今回も、やられてしまいました。良かった。終わり方もGood!!

    前作では、悪役ポジション?といった印象ながら、詳しい背景が分からなかった飛良泉と西島についても語られる。アプローチは異なるものの、二人の医療に対する真摯な姿が見え、「なんだ、結局、全キャラ魅力的かよー」とニヤニヤしてしまった。

    医療ドラマにありがちな、劇的なオペ展開でドキドキさせるのとは全然違う。気づけばオペが終わっていて、いつもどおり、死に向き合う日常が描かれ、回想によってオペを振り返ったりする。

    登場する医師たちは、それぞれ

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    2026年08月22日
  • スピノザの診察室

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    おおきに、先生。

    一番心に残ったことば。
    いいな、こういうの。


    マチ先生は、哲学者のような達観したところがあり、人格者で周りから信頼されている、理想的な人物。
    京都の美しい風景や病を抱えながらも精一杯生きる人たちを、美しい文章で綴っていて実に心地よい。

    そして、たびたび出てくる美味しそうな甘味。読み終わってすぐ次の日、京都伊勢丹で矢来餅と阿闍梨餅を買ってきたよね(笑)
    矢来餅美味し〜。長五郎餅は売り切れ(泣)
    小丸松露も絶対食べる!

    終末期、マチ先生みたいに死に真摯に向き合う医師に寄り添ってもらえたら、生を全うできそうだ。

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    2026年08月20日
  • エピクロスの処方箋

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    医療の選択肢というものについて考えることが多かったです。
    胃瘻をつくるか、つくらないか。
    抗がん剤治療を受けるか、受けないか等。
    どちらが最善というわけではなく、患者個人の意見を尊重するべきだとこの本を読んで感じました。私は医療従事者ではありませんが、マチ先生のような上司がいてほしいと感じました。
    マチ先生が好きな実在する京都の銘菓にも、とても興味が湧きました。

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    2026年08月21日