夏川草介のレビュー一覧
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夏川さんは医師であり小説家。年齢も近いですが、正直、次元の違いを感じます。物事をここまで深く考えられる方なのだと、強く感じました。
医師が優秀である理由の一つに、学びの段階から「死」を強く意識している点があるのではないかと、ふと思いました。人は死を強く意識したとき、はじめて自分の人生を意識するのではないでしょうか。もちろん、すべての医師がそうとは限りませんが。
本作は前作の続編ですが、情景描写が非常に豊かで、哀しみや喜びが鮮明に伝わってきます。特に哲郎の言葉には心に響くものがあり、自分自身の生き方を見つめ直すきっかけになりました。 -
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ネタバレここ最近で読んだ本の中で、いちばん好きかも。
登場人物がみんな個性強くて愛らしいし、何より哲郎先生が素敵すぎる。私も哲郎先生みたいに、穏やかで、周りをほっこり安心させられる人になりたい。
でも、ああいう穏やかさって、ただ優しいだけじゃなくて、「この人なら大丈夫」と思ってもらえる確かな技術や実績、まっすぐさがあってこそなんだろうな。日々勉強頑張ります。
すごく感動した部分ではあるんだけど、辻さんは、自ら死を選ばされたともいえないのかな……とも思った。もちろん、選択権があるのは本人なわけで、その意思を尊重したい気持ちもある。
でも一方で、運ばれてきた患者さんは医師として看ないといけないし、そこで -
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前作を読んだだけでは理解しきれなかったマチ先生の哲学により深く触れることができた。マチ先生の哲学はすでに完成しているものと捉えてしまっていたけれど、実際には医療の現場で日々患者と対峙し逡巡しながら、自身の内側と向き合っている。哲学とは考え続けることなのだな、と改めてわかった気がする。
幸福と快楽の違いや、哲学者エピクロスが説く精神の安定を本質とした快楽と世の中に浸透している快楽の違い。本作を読みかじっただけで理解するにはあまりに難解である。ただし思うことは、欲に塗れた卑劣な「快楽」に走って本質を見失わないように、そして、マチ先生の理論に置き換えるならば、「雑多な物事とともに我々の足元に埋もれて -
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人生を歩んでいく上での指針にしたい作品。
何十回も繰り返し読んで、自分の血肉にしたい。
以前、本屋大賞ノミネート作品の『エピクロスの処方箋』を読み感動して、夏川草介さんの作品に手を伸ばす。
人間の意志や努力でできることは限られているというの深く共感する。
なにかしらの問題は、現在の構造である場合が多い。そのような構造を変えるのは、かなり難易度が高い。そして、そういった不条理ともいえる構造の中で生きていくにはやはり人と人が手を取り合うことが大切なんだよ、ということを本から受け取った。
読んでいて、哲学や物事の考え方など勉強になる部分がかなり多い。
また、京都の街の見方、人の性格の表現の仕方 -
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スピノザの診察室の続編で循環器内科医マチ先生事、雄町哲郎の医療に対する姿勢を綴る内容でマチ先生の医療に対する言霊が刺さる。有能な医師である一方で万能で無い医療を心に留めて患者第一主義で置かれた状況、環境により患者に寄り添う医療の大切さも説く内容。生死を預かる医師は哲学的な考え方も非常に大事で今回は哲学者エピクロス(苦痛を避けて穏やかな快楽を追求)を題材とし語りかける。
哲郎は、亡くなった姉の息子龍之介と暮らしながら京都の原田病院で日直/当直ならび訪問診療を通して患者に寄り添い暮らす。そんな中、洛都大学附属病院を辞めた事で確執が生まれた飛良泉教授の父が膵臓の病で数度の手術で完治出来ず、哲郎の先 -
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スピノザの診察室もすごく良かったけど、こちらもさらにパワーアップして良かった。
教授のご父君のERCPを、花垣、雄町、西島、南の総出で挑むのがアツい展開だった。
今川さんの最後が素敵すぎる。スピノザからでているキャラクターだから思い入れがあって、長生きしてくれと思いながら読んでいた。普段見取りで泣かない哲郎がぐっときてしまっている所もよかった。
南先生との関係が微笑ましすぎる。少しでも進展があると、本筋が入ってこないくらい嬉しくなってしまう。
スピノザ、エピクロスと連続で読んでしまい、続きがないのが悲しい。まだ続編が書けそうな展開なので、ぜひ出てほしい。 -
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ネタバレ大学の友達にオススメされて読みました。
本を大切にするってどういうことだろうという事を考えさせられました。
⚠️これより下の文はネタバレを含みます⚠️
私は本をどれだけ早く読むかという事に共感してしまいました。あらすじは大切ですし本を選ぶ時に見たりします。それだけで本の内容が理解できたら、確かにどれだけ良いことでしょう。私は小説を書きます。その視点から考えるならあらすじの文章だけで本を理解することは不可能に近いと思います。決して無理とは言えませんが…。この本のこのページ、このセリフはここに、このシーンがあるから、その他色々、書く人はその本の構成などを大切にしています。無理とは言えないと書い -
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何度か旅行したことのある京都の情景がふと蘇ったり、いかにも美味しそうなお菓子を一度食べてみたいと思ったり、魅力的な登場人物たちの軽口に笑みがこぼれたり。
だけど描かれてるのは医療と、そして生と死だ。電車や職場での休み時間に読んで、思わず涙ぐんでしまって困った。
難しい手術や医局のあれこれなどもありつつ、それをエンタメにしすぎず、読んでいて緩やかで温かい気持ちになれる。
マチ先生は40手前でそんなに人生達観できる?30代ってまだまだじゃない?なんて思うけれど、まだまだなことを自分でわかっていることが、その経験が、マチ先生という魅力的な主人公を作ってる。 -
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マチ先生の生き様が美しくてただ尊敬の念が湧くばかりだった。一人の人間として、このように生きられたらとここまで素直に思ったのははじめてかもしれない。
花垣先生が「一流の科学者でありながら、哲学者としても凡庸ではない」と評していたように、なりたいと思って到底なれるような人ではないことは明らかなのだが。
最先端医療を極める大学病院と終末医療が中心となる地域医療という対比からもたらされる「命」や「幸せ」についての哲学的な問い。それらに携わる人々の有り様も含めて医療の形は様々なのだと実感した。
正直、マチ先生が高い技量や人望をもちながら大学病院に戻らないことを勿体無く感じる部分もあった。しかし、妹の死 -
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実は、夏川草介さんの大ヒットした『神様のカルテ』シリーズや『スピノザの診察室』『エピクロスの処方箋』はまだ読んだことがなくて。家族の本棚にあった本作を拝借して手に取ってみました。
家族などの身近な高齢者を見送った直後であれば、読むのは辛かっただろうなと思うけれど、比較的時間が経った今であれば、地方の医療現場の現状も、そこで働く医師や看護師たちの思いも、そして何より患者やその家族の「死」というものとの向き合い方も、比較的冷静に、我がことにも置き換えて考えながら、読み進めることができました。
延命措置にまつわる「根が切れてしまっている花」と「根は切れていない花」のエピソードはとても感慨深く、こ -
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この続編も素晴らしかった。何かと忙しく毎日が過ぎ去ってしまう日々を送っていた自分にとっても、冗談抜きでこの時期生きる支えとなった一冊だった。
前作同様キャラクター設定がブレずにとても良い。話の途中途中に入るエピソードも普通ならメインの話の邪魔になりそうなところを、敢えてするするっと吹き込むような感じで(だからといって断じて軽くはない。伝えたい芯がある)、どの話も全てつながっているようになる構成は素晴らしい。
読んだ人の心を浄化してくれるような爽やかさがありながら、心の奥にズンッと重く、忘れてはいけない置き土産をもらうような不思議な小説だった。