夏川草介のレビュー一覧
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全体を流れる空気感が素敵すぎる。
本書の中で、秋鹿医師が主人公のマチ先生に対して、「あなたは私のトランキライザー(精神安定剤)」というシーンがあるが、まさに本書は私のトランキライザーだ。
このトランキライザーの優れている点は、症状を選ばないところと、摂り過ぎによる副作用もないところだろう。
自分が何かにのめり込みすぎてオーバーヒート気味の時も、逆に何にもやる気が出ずに気持ちが落ちてしまっている時も、本書を手に取り、どこでも良いので数ページを再読してみれば、にわかに気持ちは爽やかに晴れ渡り、自身の体の中に、心地よい風が染み入ってくるように感じる。
ニュートラルな自分のあるべき場所にきちんと戻っ -
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これが今年一番好きかな。
シリーズ2作目だけど、前作に負けず劣らずの素晴らしい作品でした。
友人、家族、仕事、人生、そして死。
誰もが通る全ての事象に正面から向き合って、
一緒に答えを考えてくれる稀有な作品。
作品中では敵対するキャラも出てきます。
主人公のマチ先生はもちろん、花垣先生も飛良泉教授も西島先生もそれぞれに信念があり、医者としての矜持と葛藤を見せてくれるから誰も憎めない。
繋がりって大事。
誰かのことを考えるって大事。
誰かのことを大切にするって大事。
語り部は穏やかだけど、秘めたものはめちゃくちゃ熱い素敵な小説でした!
誰かの役に立てるように仕事頑張ろう!! -
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マチ先生の卓越した内視鏡技術は患者や家族、医療スタッフからしたら、さぞや心強いだろう。でも何よりも、マチ先生の「人間には大したことができない」という諦観が、「医師と患者」ではなく、「一人の人どうし」として患者や家族と真摯に向き合わせているのだろう。そこがこの物語の最大の魅力だ。
一作目『スピノザの診察室』が映画化ということで、非常に楽しみ。2025/12時点で主演は未公表だけど、妻夫木聡さんだったら良いなぁと思いながら読んでいた。
30代半ばで大切な妹を見送った深い悲しみと医療への限界を味わったマチ先生を演じられる、深みのある役者さんだと思う。
内科医、外科医を目指す学生が減っているという -
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考えさせられました。
安曇さんの終末期の過ごし方を読むと少しの延命と人生の充実、どっちが大事かを。
もちろん生死がリアルではないときは、もちろん人生の充実という人が大半なのだろう。
それが妻だったら、子供だったら、親だったら、友人だったら・・・
自分が、終末期、特に命の期限を告げられた後の過ごし方をどうするか。自分だったら・・・
自分だったら・・・
最後何をしたいだろ、何を口にしたいだろ・・・
本当は自分は何をしたかったのだろか・・・
こんな重い命題、結論でません。ただでさえ年末でバタバタしてるのに。もう寝る。
と思いきや、しまった!
「妻だったら」を最初に書いてなかったーと気づき無事訂 -
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前作「スピノザの診察室」と合わせてこちらに感想を書かせていただく。
前作共々「幸せとは何か」を題材とした作品で、主人公の医師「マチ先生」と個性豊かな患者たちを通して、恐らく筆者自身が医療現場で働く中で至ったのであろう信念や価値観が伝わってくる作品だった。
自分は普段、人が死ぬミステリを好んで読みがちで、こういった所謂「感動の物語」的なものはあまり読まないのだが、今年の6月に母方の祖父を癌で亡くしたことをきっかけにこの本を手に取ってみた。
正月に会ったときはいつも通り元気で、まだまだ長生きするものだとばかり思っていた祖父だったが、ある時期から「ご飯が美味しくない」と訴え始めたらしく、4月には -
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お医者さまになられる方々は高校時代にとても優秀な学業成績を収めた方々です。
偏差値70前後やそれ以上の成績で医学部に入学し、信じられないほど膨大な医学の知識を学び、実験をこなし、実技を習得して、国家試験に合格し、さらに医局で研鑽を積んだ「科学の子」たちです。
しかし、ひとたび臨床の場に立てば、そこにいるのは、同程度の偏差値を収め医学に詳しい人たちではなく、病を患うひとりの患者(人間)です。
その時、医師に必要なのは、病巣に立ち向かう高度な医学力に加えて、人間に向き合うための人間力なのではないでしょうか。
患者の境遇は一人ひとり異なり、過ごしてきた人生も、培ってきた人生観(死生観)も異 -
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古都の街並みが豊かな彩りに包まれていた
素敵な出だしの文章、やっとマチ先生に会えました
原田病院で秋鹿先生との日常の会話
凄みのある飛良泉教授との緊迫した会話
母を病で亡くした甥龍之介との何気ない会話
それぞれの場面にマチ先生の人柄と哲学が溢れています
意思表示もできないまま、最期をマチ先生に委ねた患者さんの感謝の気持ちがじんわりと心にしみます
穏やかな空気に包まれた、人を安心させる雰囲気は今回も変わっていません
「哲学のない医師は危険 羅針盤のない舟のようなもの」
「幸福とはなんなのか」
「幸福と快楽のちがい」
ここで古代ギリシャ哲学者エピクロスが登場
マチ先生のぶれない考え方 -
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ネタバレ人は無力な存在で大きな世界の流れは人の意志では何も変えられない。しかし互いに手を取り合い生み出された勇気や安心によって、少しだけ明るくなった景色が幸せである。抜粋してまとめたこの言葉は自分の中で非常に腑に落ちて大事な事だと感じた。
医療は人を治す事が正義だと思いがちだが、人には事情、感情があり、何が正解なのか改めて考える必要もあるのかと思う。技術のある医者は優秀ではあるが、患者からするとそれだけではなく寄り添い、人間味のある人が求められるのだなと読んでいて暖かい気持ちになった。
町の喧騒から離れて静かで優しい場所で最後は生きていきたいと感じた。 -
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「スピノザ」とは著者の人生観に影響を与えた哲学者の名前だそうです。
これまで哲学から受け取ってきたヒントを物語として提示できれば、というのがこのシリーズの大きなテーマの一つとのことです。
主人公、雄町哲郎医師は作者の理想の医師像なのかなと思います。
そして、彼の働く京都の原田病院には、共に働く
医師たち、看護師たち、すべての人々が皆、
素晴らしいチームワークと人間関係を築く
理想的な病院なのです。
しかし、真摯に医療を行おうとすればする程、
医療従事者の方たちの個人的な負担に寄るところが大きすぎるのも問題なのでしょう。
手術の腕前は飛び抜けてすごいけれど、それだけではない大切なものは -
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この本は小説であり、物語という立て付けだが、
一般の人は、普段は患者としてしか医者に関わらないので、知ることのない、医者目線からみた医療の現場で起きている課題がよくわかった。
物語については、
とにかく登場人物の個性が話し方や過去なども含め、際立っているところが素晴らしく、みんなそれぞれの主人公との距離感ではあるが、やさしく信念を持って生きていると思った。
読み進めるごとに明かされる各々の登場人物の過去から、自身が主要な登場人物をみんな好きになっていくのを感じた。
とてもリアルなのに、ドラマがあり、人のあたたかさや、いのちについて思いを馳せることができた。
文体は、主人公(筆者自身を投影 -
Posted by ブクログ
なんですか?この終わり方は?
こういうのありなんですか?
はっきり言いますね
いつもいつもふわっふわしたレビューだと思ったら大間違いですからね
言うときは言うんです
最高か!
最高の終わり方か!
言い方変えると最高か!(変えてない)
視点を変えると最高か!(変えてない)
もう、次作が楽しみでしゃーない
明日出してほしい
いやすでに出てても許す
という訳でね
人の死を見つめるマチ先生の『エピクロスの処方箋』どすえ(急な京都)
哲学✕医療小説っていうね
どっちも好き!
恐らく夏川草介さんのターゲットはわいなんじゃなかろうか
ありうるな(ない)
そして今回はエピクロスですよ
古代ギリシャ