夏川草介のレビュー一覧
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ほっこりするけどやっぱり泣ける。
人は必ず家族の誰かを看取らねばならないし、自らの死からも逃れられない。人生、出会いの数だけ別れがあり、関係が深くなればなるほど別れは辛くなる。どう自分らしく生きるかに重きが置かれる昨今、どう死ぬか、どう別れるかは見落とされがちではないかと思う。
神様のカルテはそんな事実に目を向けさせると共に医療が患者の死とどう向き合っているのかということに気付かせてくれる。当たり前だけど医者をはじめとする医療従事者が全ての病気を治せるわけではない。死は公平に訪れるけれど、それは辛いし不条理でもある。だからこそしっかり生きたいし家族や友人を大切にしたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ3作品目も非常に面白かった。
物語の中には結局温かみのある良い人たちが多く登場するので、毎回読み終わった後の満足感が大きい。
島内さんの話の、
「生きる努力をしてみてもよいのではありませんか?」
という場面のやり取りが特に印象に残った。相手を思うからこそ生きる道を選ぶべきだという考え方には重みがあり、栗原先生が言うからこそより響く言葉なのだと思った。
また、男爵の
「生きるってことは、学歴とか肩書きとかを掻き集めていくことじゃない。今自分にできることを、少しずつ積み上げていくことだ」
という言葉も心に残った。日々の積み重ねが大切で、誰が見ていようと見ていまいと、自分にできることを地道に続けることが大切なのだと感じた。最後に学士が登場したのも嬉しかった。
新しく登場した先生については、天海祐希や米倉涼子を思い浮かべながら読んでいた。実写版はまた違うキャストらしいが、勝手に想像しながら読むのも楽しかった。
また、その先生や前作から登場している辰人に対して、周囲が「不真面目」と感じる場面でも、一止は頭ごなしに否定せず、
「人は、自分の敬服している人物が、理解できない行動をとった場合、その背景にある哲学を知りたく思うものではありませんか」
という言葉で返していて、また好きな言葉が増えた。相手を表面的に判断せず、その人の背景や考え方を理解しようとする姿勢が伝わってきて、とてもいい考え方だなと思った。
登場人物たちは、忙しい医療現場の中でも、相手の立場や気持ちを考えながら言葉を選んで接していて、今回も見習うべき部分が多かった。 -
Posted by ブクログ
夏川さんの「本を守ろうとする猫の話」の続編。
このシリーズはファンタジーの中に数々のメタファーを散りばめて語られていく。
あらゆる年代にとって読んでほしい、そして年代によって感じ方が異なるであろう作品であるところがふしぎ。
可能性に満ち溢れている反面苛烈な競争にさらされ始める青少年、「未熟な故の純粋無垢さ」を忘れてしまった大人、それぞれにとって大きな意味のあるメッセージを感じてもらえれば幸いです。
(でも、世界を混沌たらしめている「揺るぎない利己性をもつ」マジョリティに、本を読む人がマイノリティな現状に、このメッセージをどう届けていくべきだろうな…)