夏川草介のレビュー一覧
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今回の一止もよかったなぁ。
本作では一止の大学時代の同期進藤辰也の赴任と、古狐先生こと内藤の難病罹患が描かれている。
辰也は一止の同期であり、大学時代は恋敵であった。しかし一止の想いも虚しく辰也と結婚した彼女は、東京は幸せに暮らしていたはずだが、何故か辰也は信州に赴任してきたのだった。そして赴任して早々定時に帰ったり緊急時に電話に出ないなど、病院スタッフからの反感を買ってしまう。その仲裁役に一止は抜擢されるのだが…
さらに長年一緒に働いてきた古狐先生の難病が発覚。古狐先生を皆で治そうと必死になったり、彼の願いを叶えようとする姿に胸を打たれた。
果たして辰也は、古狐先生の行く末とはー。
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Posted by ブクログ
ネタバレ上巻はワクワク、スイスイ読んだが、下巻になると胸が苦しくなるシーンが多かった。
とくにクリスティンの気持ちを考えるとこちらまで辛かった。
翻訳が素晴らしく、自分のような医療素人でも違和感なく読み進めることができた。しみじみ出会えてよかったと思える作品だった。
人名を覚えるのが大変なので、登場人物のメモがあったらよかった。
以下印象に残ったところをメモ
・看護師さんには気をつけて
・本人が覆い隠したい事実の指摘は自尊心を大きく傷つける
・自尊心を傷つけられた人は復讐する場合がある
・傷ついた心の回復には適切な運動とそれに伴う睡眠と食事
・志を同じくする友の大切さ -
Posted by ブクログ
藤崎 旅の準備をしたまえ、このフレーズ好きだわ。ラストの所で出て来るのも粋だね、出だしから奇人扱いだけどちゃんと理由があるし余計な事を言わずに誤解されたまま。最初から最後まで読みたい欲求がある、なんでだろう波長かな、出だしの季節を表現する3〜4行がうま過ぎて、もちろん情景が浮かぶ。十一月の京都は黄と紅の町であるとか。柳田國男の名前は知っていたが語れる程読んでもいない。民俗学から農村の貧しさ和菓子知った所が始まりで使命感になる、神様も信じるじゃなくて感じる!それが民俗学!滅びる!はグッとくる。民俗学は知らないが思わぬ夏川草介さんで学べたこと嬉しく思います
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Posted by ブクログ
ネタバレ地域医療といわれるものに携わるすべての医療関係者に刺さるのではないか。
そろそろ冬が始まろうとする気配の感じる信濃川上の駅で読み耽り、小海線の中で読み終わった。
進路に悩むいま、神様のカルテを読むと患者さんとの距離が近く長く携われる科に行くべきなのかと思う。
ただ、今日I先生と話す中で人生長いので回り道をした上で慢性期に携わるのもいいのかなと思った。
大狸先生と古狐先生のお見送りのシーンは、電車の中でも涙なしには読めなかった。
「だから、栗ちゃん、俺が言えることはただ一つだ。医者にとって大事なことは"続けることだ"ってな。」
私にとってこの言葉が救いの言葉にな -
購入済み
大学病院で最先端医療をバリバリ勉強して難しい症例をこなすことだけが医師の仕事ではない。雄町先生のように少数の患者と向き合っていく医療っていいなあと感じた。 あと京都のお餅が美味しそう。
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Posted by ブクログ
夏川草介さんは「医学」のみならず、「花」「山」にも精通していて「信州行きてぇ」と思っちゃた。そんな情景を表現し、人情熱さがジーンと伝わる読みやすい文章「文学」には天晴れだ。ファンになっちゃいそう。
今回のテーマは「家族と患者どちらをとるか」だと感じた。36時間家に帰らないのはザラだ。家に帰っても寝てすぐ出勤、家族とゆっくり過ごしいても携帯がなったら病院に直行。
この「家族をとるか仕事をとるか」は、我々も悩むのではないだろうか。
登場人物達は、「良心に恥じぬということだけが、我々の確かな報酬である。」という言葉をキーワードにして悩んだいく。
私もいつか悩む時がくるのかなー。 -