夏川草介のレビュー一覧
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実は、夏川草介さんの大ヒットした『神様のカルテ』シリーズや『スピノザの診察室』『エピクロスの処方箋』はまだ読んだことがなくて。家族の本棚にあった本作を拝借して手に取ってみました。
家族などの身近な高齢者を見送った直後であれば、読むのは辛かっただろうなと思うけれど、比較的時間が経った今であれば、地方の医療現場の現状も、そこで働く医師や看護師たちの思いも、そして何より患者やその家族の「死」というものとの向き合い方も、比較的冷静に、我がことにも置き換えて考えながら、読み進めることができました。
延命措置にまつわる「根が切れてしまっている花」と「根は切れていない花」のエピソードはとても感慨深く、こ -
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夏川さんの「本を守ろうとする猫の話」の続編。
このシリーズはファンタジーの中に数々のメタファーを散りばめて語られていく。
あらゆる年代にとって読んでほしい、そして年代によって感じ方が異なるであろう作品であるところがふしぎ。
可能性に満ち溢れている反面苛烈な競争にさらされ始める青少年、「未熟な故の純粋無垢さ」を忘れてしまった大人、それぞれにとって大きな意味のあるメッセージを感じてもらえれば幸いです。
(でも、世界を混沌たらしめている「揺るぎない利己性をもつ」マジョリティに、本を読む人がマイノリティな現状に、このメッセージをどう届けていくべきだろうな…) -
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現代人に向けた寓話(≓おとぎ話)のような作品だった。
若干ファンタジー寄りだけど、現代の問題を突き付けてくる鋭い切れ味だった。
「他人を蹴落としてでも、自分の成功を求める人たち」
これは一つの手段として、決して悪ではない。そういう存在が登場する。
ただそのやり方が是か非かは、人によって考えが違うと思う。
この作品は幅広い年代に問題を投げかける非常によい作品。
おそらく読む世代や考え方によっても受け取り方が変わってくると思う。
そして前作よりも古典作品のクロスオーバーが強化されている。
作中に登場した作品を読んでいれば、展開をもっと楽しめると思う。
あっ、このセリフは...!とか、この人 -
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夏川さんの本を久しぶりに読みました。
日本の綺麗な風景を想像しながら読む時間は古屋先生と共に歩いているような、旅の時間でした。
つい先日、鞍馬を訪れた自分としては叡山鉄道の紅葉のトンネルがありありと想像できて嬉しかったです。
この国に生まれて育った自分には、作中にある自然から神を感じる信仰というものがどういうものか、言葉にはできないけれどまさしく「感じる」ことができます。
それは当たり前ではなく、尊いものだと歳をとってから思うようになりました。
民俗学は日本人を知る学問だなと、この本を読んでそんな風に感じました。元々興味のある分野ですがこれから先いろんな土地でその風土を感じられるものを探し -
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先に刊行された文庫版『臨床の砦』の姉妹作品となる。
令和4年のゴールデンウィークを迎え、コロナ診療もすっかり板についた感のある、本来は消化器内科医である・敷島寛治(しきしま かんじ)が、正体不明のウィルスの恐怖に震えた第一波の過酷さは群を抜いていたと振り返る。
信濃山病院(しなのやまびょういん)は200床に満たないが、「感染症指定病院」となった。
「公立病院としての当院の役割だと考えてもらいたい」と南郷院長。
横浜にクルーズ船が入港したのが令和二年の二月。第一波の頃はすべて手探り。ワクチンはもとより治療薬もない。コロナ患者を受け入れる病院もわずか。発熱があるというだけで診察を拒否された多くの