夏川草介のレビュー一覧
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ネタバレあの頃のことを思い出しながら読み進めたけど、辛かった...。確かに人の善意の限界を初めて見た時期だったように思う。
未知の病に命をかけて挑むって生半可な気持ちでは出来ないことなのに、その覚悟を決める間もなく患者は増えていく一方で毎日を乗り切るしかなくて。
エッセンシャルワーカーの人たちに感謝なんて当たり前も当たり前で、感謝という言葉で片付けるのも烏滸がましいような、形容できないもどかしさみたいなものが心に残った。
でも人間の記憶なんて曖昧なものだから、時間と共にあの頃の感情も経験も記憶も薄れていってしまう。本という形で残してくれてありがとう、と伝えたい。 -
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ネタバレ敷島先生の中庸なものの見方と、決めきれないからこそのじっくり考える姿勢は、本を読んでいても、落ち着きと安心感を覚える。夏川先生の本は、いつも主人公に「落ち着き」があるので、ホッとさせられるし、短い言葉で端的に綴られる想いや状況はスッと頭に入ってきて、とても読みやすく、刺さる。
当時、重症化リスクの少ない私は普通に活動したほうが経済面で良いと思っていた。ただ、基本引きこもりなので、双子をベビーカーで土手に連れて行く以外はほぼ外出せず。そんな私の行動も医療従事者にとっては恐怖を感じさせていたのかと気づかされた。都内で過ごす人と、医療現場の人とで、見え方が全く違うのだなぁ(ついでに言えばトップの人も -
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今回の一止もよかったなぁ。
本作では一止の大学時代の同期進藤辰也の赴任と、古狐先生こと内藤の難病罹患が描かれている。
辰也は一止の同期であり、大学時代は恋敵であった。しかし一止の想いも虚しく辰也と結婚した彼女は、東京は幸せに暮らしていたはずだが、何故か辰也は信州に赴任してきたのだった。そして赴任して早々定時に帰ったり緊急時に電話に出ないなど、病院スタッフからの反感を買ってしまう。その仲裁役に一止は抜擢されるのだが…
さらに長年一緒に働いてきた古狐先生の難病が発覚。古狐先生を皆で治そうと必死になったり、彼の願いを叶えようとする姿に胸を打たれた。
果たして辰也は、古狐先生の行く末とはー。
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ネタバレ上巻はワクワク、スイスイ読んだが、下巻になると胸が苦しくなるシーンが多かった。
とくにクリスティンの気持ちを考えるとこちらまで辛かった。
翻訳が素晴らしく、自分のような医療素人でも違和感なく読み進めることができた。しみじみ出会えてよかったと思える作品だった。
人名を覚えるのが大変なので、登場人物のメモがあったらよかった。
以下印象に残ったところをメモ
・看護師さんには気をつけて
・本人が覆い隠したい事実の指摘は自尊心を大きく傷つける
・自尊心を傷つけられた人は復讐する場合がある
・傷ついた心の回復には適切な運動とそれに伴う睡眠と食事
・志を同じくする友の大切さ -
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藤崎 旅の準備をしたまえ、このフレーズ好きだわ。ラストの所で出て来るのも粋だね、出だしから奇人扱いだけどちゃんと理由があるし余計な事を言わずに誤解されたまま。最初から最後まで読みたい欲求がある、なんでだろう波長かな、出だしの季節を表現する3〜4行がうま過ぎて、もちろん情景が浮かぶ。十一月の京都は黄と紅の町であるとか。柳田國男の名前は知っていたが語れる程読んでもいない。民俗学から農村の貧しさ和菓子知った所が始まりで使命感になる、神様も信じるじゃなくて感じる!それが民俗学!滅びる!はグッとくる。民俗学は知らないが思わぬ夏川草介さんで学べたこと嬉しく思います