夏川草介のレビュー一覧
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季節感や情景の描写の語彙がとても鮮明で素敵だったので、そういった描写も流し読みせずに一文一文丁寧に読んでも、物語に没入してすいすい読めた。
作者ご本人がお医者さんということを知って読み始めたのもあって、医療現場はこんな感じなのかな?と想像したり、医療者の葛藤もリアルに感じられるような気がして面白かった。
日々病院で起こる出来事が淡々と進んでいく展開なのに、飽きずにむしろ京都の街の情景や登場人物の想像がどんどん膨らんでいって、とてもお気に入りの本になった。
マチ先生に会ってみたいなと思った。
続編のエピクロスの処方箋も、立て続けで読むことにした。 -
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「スピノザの診療室」の続編です。マチ先生をはじめとするおなじみの登場人物たちが以前と変わらない立ち位置と環境で出てきたので、すんなりと作品の世界に入り込むことができました(´vωv`*)
『長いようでわずかであったかもしれない。チェンバロが途切れたタイミングで「ただ」と寅重老人が思い出したように口を開いた。
「この年になって、好きな物が食えんというのは、ほんまに苦しいもんですわ」
…「カツ丼が好きだと聞きました」
老人の皺だらけの頬がふっとゆるんだ。いたずらが見つかった少年のような無邪気な表情であった。
-第三話 百鬼夜行-』
『清らかな檜の香り、厚みを感じさせないやわらかな餅皮、雑味のな -
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ネタバレ【きっかけ】
だいぶ前に、読みたい登録したが、死と向き合う内容であろうことから、読み始めるのが、躊躇われた。
お盆に入って朝晩少し涼しくなり、読むなら今と判断。
【読後】
魅力的な医師たち。
主人公の医師は、一際、魅力的である。
達観している感じもするが、決して冷たくなく、諦めているわけでもなければ、過度にがむしゃらというわけでもない。とても落ち着いている。
どうすれば、このように落ち着いた人間になれるのか。
命を救っても、その命が、永続するはずもない。
ドラマのように、奇跡のように、命が救われることばかり、続くこともない。
人は、死に向かう生き物なのだ。
龍之介と向き合う哲郎の、選ぶ言葉が -
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表題作「神様のカルテ」では若き研修医時代の栗原一止の話が入っているが、患者さんとの対話からさまざまなことに想いを巡らせてしまう。
病気との向き合い方、医療とは何か、生死の優先順位。
あまり普段の生活のなかでは目を向けない部分だが、私もこの作品が初めて世に出た頃よりは歳を重ねたこともあり深く考えていかなければいけないなと思う次第である。
この作品の魅力は話のテンポが良いのと何よりも出てくる登場人物たちの心意気や覚悟、キャラクター性に温かみがあるので読み心地が良い。
更に物語の随所に出てくる信州の大自然と、行きつけの居酒屋の描写になんだかとても癒される。
重苦しくなってしまいそうなテーマとは裏 -
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同著者の“神様のカルテ”が好きでこちらも読んでみた。自分自身、地域の高齢者医療に携る身であり、現場における課題がリアルに描かれていて親しみやすかったのと、フィクション小説だからと言ってそれらを丸く収めるわけでもなくこちらも考えさせられるような描き方に好感を持った。花屋の息子の医師というキャラクターと、次々に訪れる課題への彼なりの対処法や考え方がハートフルでとても良かった。こんな医師がたくさんいてほしいと思った。何気ない一場面で挨拶に対しての患者の返答が「はいこんにちは」であり、個人的にかなり嵌った。あるあるすぎて。こんな表現が思いつくなんて、現役医師である著者は、本当に患者に丁寧に接する医師な
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長野県安曇野を舞台に、研修医・桂先生と看護師・美琴さんの視点で描かれる医療小説。テーマは高齢者医療である。
延命治療をするか、それとも看取るか。正解のない問いが繰り返し登場し、読んでいて心がざわつく場面が多かった。
医療は今、ひとつの限界点にある。大量の高齢者たちをいかに生かすかではなく、いかに死なせるかという問題に直面している──作中のそうした指摘は重く、目を逸らしてはいけないことだと感じさせられた。
「どこで治療を引き揚げるべきかのガイドラインは存在しない」
この一行に、気持ちを全部持っていかれた。医療は昔より確実に進歩し、治療に関するガイドラインも無数にある。それでも、最期の線引きだけは