夏川草介のレビュー一覧
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○『命の砦』
※「レッドゾーン」(文庫本)を改題したもの
○著者名 夏川草介(なつかわそうすけ)
○カバーデザイン 山田満明
○カバーイラスト 石居麻耶
○小学館
○医療小説
○Audible にて。
◯どんな本?
著者の実体験をもとに、コロナ禍の中で懸命に闘う医療従事者たちの勇気と苦悩がリアルに描かれた物語。
私たちの命を守るために尽力する医療従事者の姿から、命の重みを改めて考えさせられる、心に響く一冊!
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(あらすじ)
長野県の信濃山病院が舞台で、消化器内科医の敷島寛治は、コロナウイルスの感染拡大が始まる中、病院での闘いに身を投じる。
令和二年二月、南郷院長の -
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日本の文化は多神教によって支えられてきた。神も仏もそこらにいる考えであるから、目に見えないこと理屈の通らないことを感じ、人間がいかに小さく、無力であると自覚する。これが、昔の日本人の謙虚で我慢強く美しい心を作っていたのではないか、と書いていた。
神様がいると信じることは、世の中に目に見えないものがあると感じることで、この感覚によって人間は少しでも他人への理解を深め、歩み寄ろうという気になるだそう。これらの夏川草介による一説は、巻末の膨大な参考文献により、真実味を帯びていた。
合理性という刃により神木が伐採されている今、日本人はいかにして古き良き日本人らしさを保っていけるのだろうか。日本の未来に -
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表紙の手触りがいい本です。装画も爽やかな色合いで、自転車に乗る一人の男性が描かれています。裏表紙には美味しそうな和菓子も。京都の文化的な面の裏側に、普通の暮らしがある当たり前のことを感じさせてくれます。
矢来餅、阿闍梨餅、長五郎餅をこの世で味わうべき3つの食べ物という原田病院の医師、雄町哲郎。通称マチ先生。甥の龍一郎くんと暮らし、毎日大忙しのなかでも穏やかな空気をまとっている人でした。そしてとても魅力的な人でした。医師としての技術の高さと周囲の医師や看護師、そして患者を安心させる術の両方を兼ね備えていました。
小説では、患者も病気もそれぞれで、その一つ一つに対応している医師達の大変さも伝わ -
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1・2・3巻まで読み終えた。まだまだこの先が気になる。
現役医師が描く、病院の世界観が本当にリアルで、身につまされる。
実際にこの3巻に登場する、誤診の話は、偶然ながらにも我が母と似ている状況で
その時の気持ちがにわかに湧き上がる衝動を覚えた。
そして、今の今まで医師を恨む気持ちを多少持ち続けてきたのだが、この本を読んで
医師側の気持ちも少なからずわかる自分になれた。今までのわだかまりが少し溶けてきた気分になれたこと、この本を読んだ価値があったとういうものだ。
次巻は0巻(なぜか0なのだw)詳しくは書けないけど、新たな旅立ちということで栗原先生が、どういう気持で医師として生活していくのか、と -
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長野県の信濃山病院(しなのやまびょういん)は200床に満たないが、「感染症指定病院」となり、発熱外来が設置された。
コロナ禍という災害を最前線で食い止めるための砦となったのだった。
ドキュメンタリーのような小説。
実際、ほぼドキュメンタリーであるが、実際はもっと過酷、関係者に迷惑をかけないように小説の形をとったようだ。
人は、喉元過ぎれば忘れてしまう。
けれど、忘れてはいけない日々が永久保存されているような小説である。
周辺の病院は、発熱しているというだけで治療を拒否し、信濃山病院の入り口には車の中での診療を待つ長蛇の列ができた。
高齢者施設ではクラスターが発生し、介護が必要な患者が大勢押 -
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栗原一止は夏目漱石を敬愛し、信州の「24時間、365日対応」の本庄病院で働く内科医である。写真家の妻・ハルの献身的な支えや、頼りになる同僚、下宿先「御嶽荘」の愉快な住人たちに力をもらい、日々を乗り切っている。
そんな一止に、母校の医局からの誘いがかかる。医師が慢性的に不足しているこの病院で一人でも多くの患者と向き合うか、母校・信濃大学の大学病院で最先端の医療を学ぶか。一止が選択したのは、本庄病院での続投だった(『神様のカルテ』)。新年度、本庄病院の内科病棟に新任の医師・進藤辰也が東京の病院から着任してきた。彼は一止、そして外科の砂山次郎と信濃大学の同窓であった。かつて“医学部の良心”と呼ばれた -
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主人公・栗原一止(くりはらいちと)は、信州松本にある本庄病院に勤務する内科医である。彼が勤務している病院は、地域医療の一端を担うそれなりに規模の大きい病院。24時間365日などという看板を出しているせいで、3日寝ないことも日常茶飯事。自分が専門でない範囲の診療まで行うのも普通。そんな病院に勤める一止には最近、大学病院の医局から熱心な誘いがある。医局行きを勧める腐れ縁の友人・砂山次郎。自分も先端医療に興味がないわけではない。医局に行くか行かないかで一止の心は大きく揺れる。
そんな中、兼ねてから入院していた安曇さんという癌患者がいた。優しいおばあちゃんという様相で、看護師たちには人気者だが、彼女は