夏川草介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
息子へ)
最近、このブログで、君には、本屋大賞の過去受賞作品をたびたび薦めている。本書は、こんなにいい本なのに、大賞ではなく、第2位の作品。
ちなみに、本屋大賞関連の本は、ことごとく映画化・ドラマ化されていて、本作品も映画化。映画のほうも見たが、やっぱり原作がおもしろい。原作がおもしろかったから映画化する訳だが、さすがに、時間や映像化に制約がでるので、原作を超えることは難しいようだ。
地方の救急病院医の物語。
主人公の医者が特別すごい訳でもなく、患者の病気が特別難病であったり、シチュエーションが特殊なわけではない。
命の数だけ、死があるわけで、そのいくつかを取り上げた医者と患者の物語。ひ -
Posted by ブクログ
夏川さんの「本を守ろうとする猫の話」の続編。
このシリーズはファンタジーの中に数々のメタファーを散りばめて語られていく。
あらゆる年代にとって読んでほしい、そして年代によって感じ方が異なるであろう作品であるところがふしぎ。
可能性に満ち溢れている反面苛烈な競争にさらされ始める青少年、「未熟な故の純粋無垢さ」を忘れてしまった大人、それぞれにとって大きな意味のあるメッセージを感じてもらえれば幸いです。
(でも、世界を混沌たらしめている「揺るぎない利己性をもつ」マジョリティに、本を読む人がマイノリティな現状に、このメッセージをどう届けていくべきだろうな…) -
Posted by ブクログ
現代人に向けた寓話(≓おとぎ話)のような作品だった。
若干ファンタジー寄りだけど、現代の問題を突き付けてくる鋭い切れ味だった。
「他人を蹴落としてでも、自分の成功を求める人たち」
これは一つの手段として、決して悪ではない。そういう存在が登場する。
ただそのやり方が是か非かは、人によって考えが違うと思う。
この作品は幅広い年代に問題を投げかける非常によい作品。
おそらく読む世代や考え方によっても受け取り方が変わってくると思う。
そして前作よりも古典作品のクロスオーバーが強化されている。
作中に登場した作品を読んでいれば、展開をもっと楽しめると思う。
あっ、このセリフは...!とか、この人 -
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Posted by ブクログ
ネタバレずっと気になっていた一冊。2026年の本屋大賞に夏川先生の本がノミネートされたことをきっかけに手に取りました。
劣悪な勤務状況の病院に勤める主人公・栗原一止。夏目漱石のような独特の話し方で変わり者として周囲に見られているが、実は優しく誠実。患者に親身になって対応している姿勢が胸を打つ。最後の安曇さんからの手紙にはグッときた。
迷った時には立ち止まろう、という筆者からのメッセージは、日々何かを目指さなければいけないような雰囲気の私達をホッとさせてくれる。
一止と看護師・東西とのやり取りが面白い。一止が私には妻がいるから‥のくだりで、東西が呆れる場面があるが、本当は東西は一止が気になっているのでは -
Posted by ブクログ
「学問をするのに必要なのは、気概であって学歴ではない。」
これがこの小説に通底するメッセージではないかと思う。高度医療だけでは救えない命があるし、看取れない命がある。大きな歯車だけではカラクリは精緻に動かない。小さな歯車と大きな歯車がうまく組み合ってこそのカラクリだろうし、社会もそうあるべきなのだろう。この小説には決して大きな歯車ではないが魅力的な人たちがたくさん登場する。主人公の一止先生も大学病院で高度医療を極めることより街場の医者として患者と向き合う道を選ぶ。どちらが優れてるとかどちらが良いということではないけれど、私自身も目の前の患者さんと真摯に向き合うような生き方をしたいと思う。