夏川草介のレビュー一覧

  • エピクロスの処方箋

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    『エピクロスの処方箋』(夏川草介)を読み終えた。前作『スピノザの診察室』も非常に心に残る傑作だったが、今作はその感動を何倍も大きく超えてきた。
    何度も目頭が熱くなり、静かに涙を拭う瞬間があった。今年読んだ小説の中で、間違いなくナンバーワンの一冊だ。読み終えた今も、この物語の世界観にずっと浸っていたいという余韻が抜けない。
    主人公の「マチ先生」こと雄町哲郎は、かつて大学病院で将来を嘱望された優秀な内科医だ。特に内視鏡の操作技術は「神技」と称されるほどピカイチ。しかし日常生活の身の回りのこととなると途端にとんと疎くなる、愛すべきギャップを持った人物である。彼が輝かしいキャリアを捨て、京都の小さな地

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    2026年09月21日
  • エピクロスの処方箋

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    雄町哲郎先生は、腕は一流で、医師として、そして一人の人間としての確かな哲学を持っている。患者にとって何が一番いいのかを考えながら向き合う姿がとても印象的だった。こんな医師に診てもらえたら、穏やかな最後を迎えられるのではないかと思う。そんな哲郎の生き方が周囲の人たちにも影響を与えていくところもよかった。
    エピクロスの哲学と絡めながら物語が進むところも面白い。エピクロスのいう「快楽」とは、激しい喜怒哀楽ではなく、「いつも平穏で、心が穏やかでいられること」なのだという。そんな毎日を過ごせることが幸せだという考え方にとても共感した。心が穏やかになるような、素晴らしい本だった。

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    2026年09月21日
  • 神様のカルテ2

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    人命とは儚いもので、季節が巡るように人はやがて死んでどこかでまた新しい命が生まれる。日々に忙殺される中で、気がつけば病気に蝕まれていて、大事な人との別れはほんの一瞬の時間しか待ってくれないという現実。人の「死」を実感できることが容易でないように、人の「生」も実感するのが難しい。どうしようもない「死」というものを受け入れなければならない時、やりようのない感情で胸がいっぱいになる感覚。1の時もそうだったが、やはり人が死ぬということは辛い。古狐先生の死も読んでいて心が苦しく涙が止まらなかった。

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    2026年09月20日
  • 神様のカルテ

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    コミカルで思わずふっと笑ってしまうような会話がすごく魅力的。また、一転して、高齢者医療についての「死」を引き延ばすという医療行為自体がエゴであるという、正解のない苦悩に対する心情や、優しく最後まで他人を思う安曇さんの死。人間の寿命に対しては、どうすることもできないと分かってはいるものの、どうしたら良かったのだろうと考えてしまう。
    読みやすく、気軽に読める上に色々な感情にさせられる一冊。

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    2026年09月20日
  • 君を守ろうとする猫の話

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    P54
    世界はすさまじい速度で変化している。古びた本から得られるものなど何もない。それどころか間違ったことが書かれている。それなのに、いまだに一部の人間は、はるか過去に書かれたくだらない作品に執着している。ここに並べた書物をみたまえ。どれも過去の醜い陋習にとらわれた、頑迷にして時代遅れの作品ではないか。そんなものにとらわれてはいけない。人間は、もっと自由で、もっと豊かな存在なんだ。

    P89
    人は年を重ねた分だけ、視野が広がるとは限らない。大切なものは心で見なければいけないのに、心の目はあっという間に曇ってしまう。子供のころはあんなに大切にしていた本を、時とともに忘れてしまうように、気づかない

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    2026年09月20日
  • エピクロスの処方箋

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    ネタバレ

    『スピノザの診療室』の続編。客観的というか俯瞰して書かれている文章からマチ先生の達観した雰囲気が伝わり、すぐに世界観に入り込めた。南先生が関わることで、新たな繋がりや見えなかった一面が広がり、マチ先生の思想を深掘りできたように感じられた。また、医療現場の過酷さなどが描かれているが、前作同様、それぞれの患者さんのキャラクターや、龍之介くんの優しさや謙虚なところや、原田病院の人たちの温かな雰囲気が物語を支えていて、最後まで気持ち良く読めた。

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    2026年09月20日
  • エピクロスの処方箋

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    とても共感できる本。
    働き方とか、人生をどう生きるべきかとか、夫婦の仕事の分担の考え方とか。
    でも結局根本的に、自分が関わっている人には真心を持って、仕事には信念を持って向き合うことが大切だと言うこと。大事なことを見失いそうになったらマチ先生の言葉を思い出したい。

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    2026年09月19日
  • 勿忘草の咲く町で 安曇野診療記

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    読みやすくていいお話でした。
    高齢者の医療の中で外せない死。
    私の考えは谷崎先生の考え方に近いけど、
    家族のことを考えると臨機応変になると思う。
    日本の抱える医療の問題は、いずれは私も
    お世話になるかもしれないがなるべく健康を
    目指して行きたい。

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    2026年09月19日
  • エピクロスの処方箋

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    図書室本。信念が強い医師、雄町哲郎は良い医師だなあ。周りの人に優しく、患者には時間をかけて向きあう。自分の立ち位置を理解してる所が凄い。

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    2026年09月18日
  • エピクロスの処方箋

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    マチ先生に再び会えたー。
    高い技術を持ちながらも町医者としての道を選んだマチ先生。でも熱い気持ちは変わらず。
    1作目に比べて他の登場人物の気持ちも書かれていて、みんな信念がある医学に純粋な気持ちの医師達だった。だから衝突もあり得る、そして発展していく。

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    2026年09月18日
  • 勿忘草の咲く町で 安曇野診療記

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    向き合わなければいけない、医療現場の現実。

    物語は長野県安曇野市にある梓川病院。
    研修医の桂と看護師の美琴、そして様々な個性を持つ医師たちの奮闘記。
    理想論を述べるなんて考えられない高齢者が大多数の医療現場。
    高齢者の命の灯が消えるまで患者の家族と共に見守っていく。

    高齢者は特に身体機能が覚束ない状態になっていく様をみて家族・親族は、そんな彼らをどんな視点で見ているのだろうか。
    親族のことを病院に任せっきりの人もいれば、最期まで一緒に過ごしたい人。
    私たちは「一体病院に何を求めているのだろう」と考える。

    生きて欲しいと願うか、早くいなくなって欲しいと願うか。
    そんな中で出てくる命の灯が無

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    2026年09月17日
  • スピノザの診察室

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    優れた医療技術を持ちながら、病気を治すことだけに埋没せず、患者が幸せに過ごすために何かできるかを常に考えている医師雄町哲郎。
    彼と同僚や患者とのやり取りに心が温まる。基本的に「いい話」なので安心して読める。
    観光都市の側面ではなく、人が暮らす街としての京都が魅力的に描かれる。名店の和菓子など、甘党情報もアクセントになっていていい。

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    2026年09月15日
  • エピクロスの処方箋

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    マチ先生の人間味あふれる医師はなかなかそういないよね。小さな病院で自信をもって働く姿は甥っ子の龍之介くんにもしっかり伝わってて素晴らしいです。人は必ず死んでいくけど死ぬ間際までそこにしっかり信頼できる医師がそばにいてくれることはうらやましい限り。医師である作者だからこそ、医学の要素もめっちゃ入ってそこも好きでした。読み終わったあと、じーんとあたたかくなりました。こういう本を待っていた!!濃茶の金平糖と阿闍梨餅を食べながら、浸ったいい時間でした。続編出ないかなー。

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    2026年09月15日
  • 勿忘草の咲く町で 安曇野診療記

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    長野県の地域医療、高齢者医療がテーマ。舞台となる安曇野の美しい景色と花に関する小ネタがストーリーに色を添える。
    医療に関するテーマは重いが主人公の恋愛がちょっと月並みか。

    2026年NHKでドラマ化。

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    2026年09月13日
  • スピノザの診察室

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    妹が遺した甥っ子を引き取ることになり、大学病院を辞めて原田病院に勤務するマチ先生。普段は甘い物に目がなくてマイペースな感じなのに、内視鏡を握るとスーパードクターになるマチ先生の魅力もさることながら、同じく原田病院勤務の先生達が個性的だけど魅力的。マチ先生はイメージ通りの自転車通勤なのに対して、他の先生達は外車で通勤。そんな先生達ですが、腕は確かでお互い助け合い信頼しあってる姿がカッコよすぎて。でも、度々クスッと笑せてくれる会話も魅力的。

    もちろん、患者さんとのシーンもしっかり描かれていて、辻さんの最後の場面はジーンときました。
    南先生が変わっていく姿も素敵でした。

    高齢者や余命短い人達に対

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    2026年09月13日
  • 神様のカルテ

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    遅まきながら、本作を読み始めるきっかけはNHKのあさイチに夏川草介先生が出演していたのを見たから。夏目漱石などの文学オタクで現役医師。優しそうなお人柄に、作品を是非読みたい!となった。

    地域医療のど真ん中で激務に忙殺される医師栗原一止(いちと)。
    信州を舞台に地域医療現場の大変さをリアルだけどコミカルに描き、笑いあり泣きありの素晴らしい作品だった。
    医師として人として患者の最期に向き合う一止。第三章、安曇さんのお話では号泣した。

    こんな先生に診てもらいたい。

    大学病院と中核病院の役割の違いや、医師の勤務地の選択、深夜の救急外来の過酷さなど初めて知る事が多く、とてと勉強になった。医療従事者

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    2026年09月13日
  • エピクロスの処方箋

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    京都巡りしたいなぁ、お菓子付きで。
    マチ先生は中村倫也のイメージで、映像が浮かぶ小説。
    映像になっても、原作の良さはそのままのはず!

    心の在り方、思考の在り方、生と死、幸せとは…
    これまでも問いながら生きてきたけど、
    マチ先生との出会いで新たな視点をもらえた気がする。

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    2026年09月13日
  • 神様のカルテ

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    スピノザの診察室で夏川作品にはまり、そこからの流れで神様のカルテ123をまとめて一気読み。まとめての感想とします。
    やはり夏川作品好き!人間模様が温かい!風景や季節の描写も秀逸。
    同じ医療者としてこういうことあるよなぁと共感もしつつ、栗原先生を応援しながら読み切った。
    登場人物みんな愛おしい。砂山先生も東西さんも外村さんもみんな魅力あふれるキャラクターだった。
    読み切ってもしばらく余韻が残る良い作品ばかり。読書初心者の人で何から読んだら良いかわからない、温かいものに触れたい人におすすめかなと思いました。

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    2026年09月12日
  • 神様のカルテ0

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    この作品だけを読んでも楽しめないであろうし、この作品“から”読み始めても楽しめない。「神様のカルテ・3部作」を読んだ者だけが味わえる、ご褒美のような前生譚。

    短編4編を通して「彼らはこんな過去を背負い、裏にこんな出来事があったのか」と知る。すでに読んだ3部作の味わいが何倍にも深まるのである。

    作者は、これほどのエピソードを裏に控えさせながらあの物語を紡いでいたのか。文体の素晴らしさのみならず、構成の妙にも感心するばかりである。

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    2026年09月11日
  • 勿忘草の咲く町で 安曇野診療記

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    高齢者医療への対応が否応なしに増えていく時代。

    そこに向き合う
    医療従事者、患者、家族

    それぞれの想いや考えに触れられるお話。

    施せる処置を全て行うことが
    果たして"正解"なのか。

    恋愛要素もあり、色々な側面で楽しめる

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    2026年09月11日