夏川草介のレビュー一覧

  • スピノザの診察室

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    ネタバレ

    『スピノザの診察室』を読んで、人間は簡単に割り切れない存在だと感じた。医療で解決できる問題は限られており、正解や答えがはっきりしない場面も多い。たとえ病気が治らなくても、残された時間が短くても、幸せに生きる人がいることが描かれていた。そんな人を前にした医師がかける「本当にお疲れ様でした」という言葉に、治すことだけが医療ではないと気づかされた。

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    2026年01月10日
  • スピノザの診察室

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    マチ先生のような倫理観のある医師に出会えたら患者は幸せに触れられる時間が増えると思う

    哲学者と研究者の両面を極めようとしているマチ先生
    〝暗闇で凍える隣人に、外套をかけてあげることなんだよ〟なんて粋な台詞なのだろう…

    〝妙な言い方になりますが、がんばらなくても、良いのです。ただあまり急いでもいけません。〟
    風情のある言葉、と、患者の長男が言っていたが、本当にその通り

    粋で風情のある言葉を、会話の中に織り込めるような人になりたいなあ

    この本は日頃本を読む人ではないと、なかなか楽しめないような言葉選び、文体が多様されている印象であった
    でも、わたしはこういうお洒落さがとても好き!だった

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    2026年01月09日
  • エピクロスの処方箋

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    小さな病院で働く有能な医師。しかし彼は驕ることなく、医療の限界を知っている。ゆえにただ淡々と自分の出来ることに全力を注ぎ、後はそっと患者とその家族に寄り添う。知識や技術よりも哲学。人を救うのは人。心に染みる。

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    2026年01月09日
  • エピクロスの処方箋

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    スピノザを読み、続編をとても楽しみに、待ちに待ったエピクロス。期待通り、優しい気持ちと勇気をもらいました。
    マチ先生は医療の力には限界があると感じながらも、人の力を信じて、末期の患者の意識に関わらず人として接し、最後まで穏やかに過ごせるよう諦めない。花垣先生も上を目指しながらも患者第一で、ブレない。正反対なようで、信念は同じバディ。相変わらず素敵です。きっと、こんな人たちが存在すると思うだけで、自分も頑張れる気がする。まだまだ続編を期待してます。

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    2026年01月09日
  • 命の砦

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    先に刊行された文庫版『臨床の砦』の姉妹作品となる。
    令和4年のゴールデンウィークを迎え、コロナ診療もすっかり板についた感のある、本来は消化器内科医である・敷島寛治(しきしま かんじ)が、正体不明のウィルスの恐怖に震えた第一波の過酷さは群を抜いていたと振り返る。

    信濃山病院(しなのやまびょういん)は200床に満たないが、「感染症指定病院」となった。
    「公立病院としての当院の役割だと考えてもらいたい」と南郷院長。
    横浜にクルーズ船が入港したのが令和二年の二月。第一波の頃はすべて手探り。ワクチンはもとより治療薬もない。コロナ患者を受け入れる病院もわずか。発熱があるというだけで診察を拒否された多くの

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    2026年01月09日
  • スピノザの診察室

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    マチ先生が素敵すぎるし、登場する和菓子も全部美味しそうで京都に行きたくなった。原田病院の理念も素敵でした。そんな主治医にお世話になりたい。

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    2026年01月08日
  • エピクロスの処方箋

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    良いに決まっている。
    その上で更によかったのは、スピノザに次いでエピクロスという哲学者を微かに知れたこと…
    「エピクロスは、平穏で物静かな精神状態を快楽と定義し、これを乱すものは、不愉快なものだけでなく、愉快なものでも遠ざけるべきだと言っている。愉快も度が過ぎれば心の安定を壊すと考えていたらしい。もちろん彼は一般的な意味での楽しさや、身体的な快楽を否定しているわけじゃない。ただ、楽しいことよりも、苦痛がないことの方がはるかに大切で、心が落ち着いていることこそが最高の快楽だと説明しているんだ。つまり最初から『快楽』の定義が違うんだよ。

    「そうさ、だから自分は快楽主義者だと言う奴に出会ったら十分

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    2026年01月07日
  • エピクロスの処方箋

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    ネタバレ

    「スピノザの診察室」の続編。母を亡くし1人になった甥っ子のため大学病院を辞め地域の原田病院で働く雄町哲郎。マチ先生の哲学が心に響いた。「生きていくことの哀しみを知っている人間は、理由などなくても、誰かの力になりたいと思うもの」「歩く道のりさえ間違えなければ、人は暗い絶望の淵からでもきっと戻って来れる」「本当に大切なことは目の前にいる人が今を笑顔で過ごせるということ」「医療では人を救えないんだよ。治せない病気は山のようにあるが、癒せない哀しみはない」大黒屋の鎌餅ね。京の菓子とともに思想家シリーズになるかな。

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    2026年01月06日
  • エピクロスの処方箋

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    「病気を治す=医療の意義」ではないと考える主人公哲郎を中心に進む医療物語。
    医療の意味を語る主人公哲郎を通して、自分の仕事の意義についても考えさせられる。
    淡々とした中にも熱い思いもあり、実力もある魅力的な主人公と言葉選びから人を動かす力のある戦友花垣のやりとりが一見大人っぽくて内容は子どもっぽくて、とても魅力的。
    こんなふうに仕事と向き合いたい。

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    2026年01月05日
  • エピクロスの処方箋

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    医療では人を救えない。
    人を救うのは、医療ではない、人なんだ。
    我々のゴールは、病気を治すことじゃない。それでは、治らない病気を抱えた人はどこにいくんだ。限られた時間しか残されていない人たちに、我々は何もらできないのか?
    敢えて言う、
    すべての人がいずれ必ず死ぬだとすれば、医師は何のために患者を診るんだ。

    素晴らしい一冊。京都の和菓子もすごく気になりました。

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    2026年01月04日
  • エピクロスの処方箋

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    スピノザ〜の時も良い話だったけれど、続編のこちらも文句なしで素敵でした。
    技術だけではなく、患者とその命に真摯に向き合う姿は変わらず、こんな医師が地域にいてくれたら、本当に心強いと感じました。
    結局のところ、人は治りたい、良くなりたいと思って医療に頼っても、限界があり、それを悟った時に、限られた命の期限をどう生きるか、というところが大事なのだなと感じました。
    医療の現実を交えて人生や道徳、哲学を語るところが良かったです。
    哲学は自分にとっては難しいものだったけれど、こうやって何か具体例を引き合いに出してくれると、なるほどな、もっともだなと思います。
    雄町哲郎と一緒に暮らす龍之介は父の生き様を間

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    2026年01月04日
  • 命の砦

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    あのコロナの日々、コロナに対峙する先生達はこんな大変な思いをしていたのかと、頭が下がります。厳しい医療の現場の話なのに、切実ではあるが暗よりも温かさを感じるところが夏川さんらしい。あとがきで、(人間の悪の部分よりも)人間の善に関心を持っていると書いていた。ほんとにそれがよく伝わってきた。夏川さんのお話大好きだー。

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    2026年01月03日
  • スピノザの診察室

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    何度も涙が出ました。
    2026年最初に読んだ本がこれでよかった。
    あと数ヶ月で医療者になる自分にとって、心に留めておきたい考え方をいくつも含んだ本でした。

    薬を増やすことに責任を持ち、病気を治すことが幸福なのか問い、死を待つ患者へ声をかける。
    マチ先生の言葉はいつも温かい。
    こんな医療者になりたいと、私も思いました。

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    2026年01月03日
  • エピクロスの処方箋

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    医療がどうあるべきか、コロナもあり、作者には思うところがあるのだろうな

    「医師になろうとする人間には、自分の人生を、少なからず犠牲にするだけの覚悟が必要や」
    という飛良泉教授のことばは作者の代弁なのかなと映った

    作者は40代前半、まだ若手と言ってもいい歳だが、どんな経験をしてきたのか気になってしまった

    タイトルにあるエピクロスの快楽主義を引用した、現代の個人主義への批判が上記の部分以外にも全体を通して流れていて、難しい問いを扱っているなと思った

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    「人が、自分の権利ばかり口にするのは、自分ひとりで生きていけると思っているからです。でも人生はそんなに甘いものじゃない。生きてい

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    2026年01月02日
  • スピノザの診察室

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    『神様のカルテ』の栗原先生に負けず劣らず魅力的なマチ先生、思わず大ファンになりました。母親を亡くした甥を引き取るため大きな決断を下しますが、恨むでもなく自然に受け入れている姿勢がとても潔く、素敵だと思いました。
    京都の風情ある街並み、そしてマチ先生ご推薦の甘味の描写も絶妙で、本を片手に京都を訪れたくなりました。

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    2026年01月02日
  • エピクロスの処方箋

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    スピノザの続編。親しみの持てるさらりとした人間味のある登場人物達に変わりはなく、前作を思い出しながら読むことができました。

    やはり、夏川さんの「死」への向き合い方が、しんみりと心を揺さぶります。最先端の医療を突き詰めた人間が奢りを持つことなく、その無力さと人の死に対して向き合うことの難しさを語っている。

    ストーリーの背景となる京都の風景の描き方が、前作と異なり外国人観光客が多いことに触れています。やはり京都の現状、というか日本の「今」にも踏み込んでいる。

    日本の少子高齢化の波は否応なしに医療の分野にも押し寄せている。そして医療そのもの、人の生死に対する考え方そのものにも疑問を投げかける。

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    2026年01月01日
  • エピクロスの処方箋

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    「スピノザの診察室」の雄町先生のシリーズ。

    前作同様、京都を舞台に大病院ではない医療の日々が風情豊かに描かれている。
    今回のメインの問題に行くまで、訪問医療での対応など人の命とは、人生とは何かを考えさせられるような展開が続く。

    そして、雄町先生は「医療では、人は救えないんだよ」と言う。

    雄町先生と同じ医者を目指し始めた甥っ子の龍之介君のこれから、花垣さんが目指すところ、飛良泉教授のたくらみ、寅重さんはどこにかつ丼を食べに行くのか、南先生の4月から2年間原田病院でどう成長していくのか・・・次のシリーズがただただ楽しみだ。

    スピノザを読んでない方にはまずそちらから読むことをお勧めしたい。な

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    2026年01月01日
  • エピクロスの処方箋

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    医療というものは、必ずしも病気の治療をするだけのものではない。もう治る見込みがない病気を抱えている人達が、最後のときまで出来るだけ心穏やかに暮らせるようにするのも医者の仕事だ。マチ先生はいつも生と死に向き合っている。

    スピノザやエピクロスの様な難しい哲学書を愛読しながら、甘いものに目がないマチ先生。龍之介君や南先生の成長を楽しみながら、頼もしい仲間の信頼も得ている。次回作がとても楽しみ。

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    2025年12月31日
  • エピクロスの処方箋

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    ネタバレ

    研修医の南にとって、哲郎の言葉は目の前の世界を反転させてしまう。だから哲郎のそばで学びたいと思っている。
    私が夏川草介さんの作品を読みたいと思う気持ちとなんだか同じです。

    どの登場人物も魅力的でした。

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    2025年12月30日
  • エピクロスの処方箋

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    医療、家族、生き方、様々なテーマが織り混ざって話が進むけれど、どのテーマにも至る所に身に染みる言葉が散りばめられている。
    それを言葉にできるのは凄い事だなと思う。
    夏川さんの他の作品も読んでみたいと思った。

    「生きている間の時間を、どうやって寄り添いながら積み上げていくか、それが一番大事なんだと私は思っているんです」
    「本当に大切なのは、目の前にいる人が今を笑顔で過ごせるということだよ。それが私の言う第三の道だ」
    結果ではなく過程を大切に。
    こんなお医者さんに出会いたいものです。

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    2025年12月30日