夏川草介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
劇的なドラマが起こり、難病の患者を救う話ではない。医療は生かすための道具なだけではない、その道具通じない人にどう寄り添うことができるのかという主題について、私に新しい視点を与えてくれる。闘病中の親が都心の大学附属病院に通院している身として、神様のカルテに描かれている地域の救急病院と環境は違うからこそ、家族としてどうやって死ぬかという問いを考えねばならないと思った。栗原先生のような医者は現実にはいないと思う。過酷な医療環境で潰れざるを得ないだろう。だからこそ家族として親と死について向き合っていこうと思えた素晴らしい作品である。再読したい。
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Posted by ブクログ
ネタバレすごく綺麗な文章で読みやすかったです!
郊外での高齢者医療。
現実的な判断や親族との関わり方等、よくある医療系小説とは少し違った部分も より色濃く描かれています。
リアルですが人間の脆さも強く印象に残りました。
実際の医療現場を見てきた人間にしか描けない物語だと感じます。
とある先生の特性上 患者さんを看取るシーンも多く、人間の最後ってこんなに呆気ないんだなと思う瞬間も。
主人公は看護師と研修医の2人。
看護師ちゃんはさっぱりした性格でいいですね!!
研修医さんは少し風変わりですが、優しくて強い。
2人とも強さと優しさ、そして物事に立ち向かう勇気を持っていて、読んでいる私まで元気づけられま -
Posted by ブクログ
ネタバレあの頃のことを思い出しながら読み進めたけど、辛かった...。確かに人の善意の限界を初めて見た時期だったように思う。
未知の病に命をかけて挑むって生半可な気持ちでは出来ないことなのに、その覚悟を決める間もなく患者は増えていく一方で毎日を乗り切るしかなくて。
エッセンシャルワーカーの人たちに感謝なんて当たり前も当たり前で、感謝という言葉で片付けるのも烏滸がましいような、形容できないもどかしさみたいなものが心に残った。
でも人間の記憶なんて曖昧なものだから、時間と共にあの頃の感情も経験も記憶も薄れていってしまう。本という形で残してくれてありがとう、と伝えたい。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ敷島先生の中庸なものの見方と、決めきれないからこそのじっくり考える姿勢は、本を読んでいても、落ち着きと安心感を覚える。夏川先生の本は、いつも主人公に「落ち着き」があるので、ホッとさせられるし、短い言葉で端的に綴られる想いや状況はスッと頭に入ってきて、とても読みやすく、刺さる。
当時、重症化リスクの少ない私は普通に活動したほうが経済面で良いと思っていた。ただ、基本引きこもりなので、双子をベビーカーで土手に連れて行く以外はほぼ外出せず。そんな私の行動も医療従事者にとっては恐怖を感じさせていたのかと気づかされた。都内で過ごす人と、医療現場の人とで、見え方が全く違うのだなぁ(ついでに言えばトップの人も