夏川草介のレビュー一覧
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ネタバレ今更俺が言うまでもないことだが、これはもう本当に凄く良い小説。まぁまぁの数の人が死んでいく本にこういう表現は似合わないと分かっているが、幸せな生き方についてすごく考えさせられる内容だった。
出世の道を断たれても、親が死んでも、不治の病であっても、認知症で自分の思考を制御できなくなっても、貧困で酒に溺れて生活保護に頼る段階に来ても…それでも人はその環境で幸せを求めていいんだという、なんという優しい思考。
人の努力ではなんともできないことなんて世の中にはなんぼでもあって、努力は無駄でしかないと絶望を感じることなんてなんぼでも経験することやけど、それでも努力…というか、一生懸命に丁寧に生きる姿勢 -
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理想と現実とは違うだろうが、全ての医師に読んで欲しいと思った。
「人は無力な存在だから、互いに手を取り合わないと、たちまち無慈悲な世界に飲み込まれてしまう。手を取り合っても、世界を変えられるわけではないけれど、少しだけ景色は変わる。真っ暗な闇の中につかの間、小さな明かりがともるんだ。その明かりは、きっと同じように暗闇で震えている誰かを勇気づけてくれる。そんな風にして生み出されたささやかな勇気と安心のことを、人は『幸せ』と呼ぶんじゃないだろうか」
いつもながらの名文であるが、少し難しくて何度も読み返した。こんなことをサラリと言ってのける医師がソコに存在したら、専門でなくてもかかりたくなるだろう。 -
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京都にある原田病院で働く内科医、雄町哲郎。
かつては大学病院の医局で働く、内視鏡のスペシャリストであったが、ある事情から様々な人とのふれあいを通じ、人の生と死に向き合い続けている。
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生と死。一人一人の生き様。
普段、病気もなく健康に過ごしていると当たり前に感じられる「生きること」。
だけど死はその地続きに必ずあって、誰もが避けては通れない。それを静かに痛感する物語。それなのに不思議と冷たい印象がなく、むしろ温かさすら感じられる。
医療は「命を助ける」「病気や怪我を治す」イメージだけれど、この物語で描かれているのは違う一面なんだと思う。
完 -
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次は長五郎餅を食べよう。
今年阿闍梨餅を長女に買ってきてもらったから、次の修学旅行は…長女のが早いな。京都かどうかは分からないけど。ふふ。
この本、1月に250番目くらいで予約してようやく手元に届きました。8ヶ月か。
400超番目の本は1年じゃ届かないかもしれないなぁ。
私のあとにもまだ沢山の人が待っているので早く読んで早く返します。貸出期間4日。偉いじゃん私。
淡々とした中に感じる冷静と情熱の間みたいな感じが心地いい。
もし私が病気になったらこんな先生に診てもらいたいなぁ。
ついでに胃瘻になるなら私はいらない。
普通に衰えていって苦しまずに静かに死にたい。
まだ死なないけど!
龍之介 -
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凛とした空気と静かな緊張感。京都特有の雰囲気の中の軽妙なやりとり。癖は強いが確かな技術を持つ原田病院の面々に、マチ先生に粋な計らいをする大学病院のドクター。花垣先生との強い信頼関係や南先生の成長がとても微笑ましい。人間は無力。医療も完全ではない。関わった様々な患者さんを通して感じさせられる。その中でも努力することが大事だとマチ先生は言う。スピノザの哲学と人間模様が絡み合い、京都の街のように深く深く心に染み込んでくる感覚になった。難症例でのスーパードクターぶりや、辻さんの「先生おおきに」では号泣してしまった。静かなタイトルや風景描写とは対照的に心が激しく揺さぶられる素晴らしい本でした。大好き度❤
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ネタバレ医療ドラマってかなり避けていたのですが(重すぎて耐えられないので)、これはそういう重苦しさを包含しつつ、ずっと爽やかな風が吹くような感じがして、一気読みしてしまいました。上からみたいになって恐縮ですが、本当にすばらしい本。
お医者さんになるくらい勉強をして、研究をして、たくさんの人間の人生に向き合ってもなお、世界って分からないことだらけだし、そういう態度こそ自然なのだと思わされた。読んだ直後に健康診断があったので、いつもより背筋を伸ばして診察を受けてしまった。ちょっと体重が引っ掛かりますね。軽い運動とかやってみましょうか。まだまだ若いので頑張れますよ。はい。すみません。わかってはいるのです… -
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医療の描写が詳しいから「医療現場や関係者に随分取材したんだな」と想像していたが著者が医学部出身で医療に従事経験ありという経歴に納得。
この本のテーマのひとつである死生観について深い洞察が感じられるのも著者が医療の世界にいた時の経験から来るものと考えると説得力がある。
哲学と医学に精通している主人公を通じて綴られる死生観にはこちらも深く考えさせられる。登場人物やストーリーが面白く引き込まれるのも没入感の一因ではなかろうか。
やたら実在のお菓子が登場するので食べてみたくて検索してしまった。
医療、死生観哲学、京都散歩、お菓子グルメ、などなど、多面的に楽しめるエンタメ小説。 -
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表題作「神様のカルテ」では若き研修医時代の栗原一止の話が入っているが、患者さんとの対話からさまざまなことに想いを巡らせてしまう。
病気との向き合い方、医療とは何か、生死の優先順位。
あまり普段の生活のなかでは目を向けない部分だが、私もこの作品が初めて世に出た頃よりは歳を重ねたこともあり深く考えていかなければいけないなと思う次第である。
この作品の魅力は話のテンポが良いのと何よりも出てくる登場人物たちの心意気や覚悟、キャラクター性に温かみがあるので読み心地が良い。
更に物語の随所に出てくる信州の大自然と、行きつけの居酒屋の描写になんだかとても癒される。
重苦しくなってしまいそうなテーマとは裏 -
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同著者の“神様のカルテ”が好きでこちらも読んでみた。自分自身、地域の高齢者医療に携る身であり、現場における課題がリアルに描かれていて親しみやすかったのと、フィクション小説だからと言ってそれらを丸く収めるわけでもなくこちらも考えさせられるような描き方に好感を持った。花屋の息子の医師というキャラクターと、次々に訪れる課題への彼なりの対処法や考え方がハートフルでとても良かった。こんな医師がたくさんいてほしいと思った。何気ない一場面で挨拶に対しての患者の返答が「はいこんにちは」であり、個人的にかなり嵌った。あるあるすぎて。こんな表現が思いつくなんて、現役医師である著者は、本当に患者に丁寧に接する医師な
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終末期医療の現場やそこに関わる人々の心理を淡々と、色鮮やかに描いた作品。
静かで流麗な文章が読んでいて心地よく、気づけば夢中で読み進めていた。
そして、続編があるとのこと。これは是非読んでみたい。
哲郎と秋鹿がシャルロッカを交わしながら語らうシーンが印象的で、必然的に死が絡む終末期医療において、医師が悩みながらも模索を続けている様、それでも日常の景色のように当たり前に患者が旅立っていく様は、哲郎が考える哲学の一端を垣間見た気分だった。
終末期医療の現場で、治せない患者とどう向き合うのか。正解は無いだろうが進むしかない。
答えを出すために模索しなくてはならない。
その哲学が導き出す「幸せ」は、 -
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Posted by ブクログ
長野県安曇野を舞台に、研修医・桂先生と看護師・美琴さんの視点で描かれる医療小説。テーマは高齢者医療である。
延命治療をするか、それとも看取るか。正解のない問いが繰り返し登場し、読んでいて心がざわつく場面が多かった。
医療は今、ひとつの限界点にある。大量の高齢者たちをいかに生かすかではなく、いかに死なせるかという問題に直面している──作中のそうした指摘は重く、目を逸らしてはいけないことだと感じさせられた。
「どこで治療を引き揚げるべきかのガイドラインは存在しない」
この一行に、気持ちを全部持っていかれた。医療は昔より確実に進歩し、治療に関するガイドラインも無数にある。それでも、最期の線引きだけは