夏川草介のレビュー一覧
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前作『スピノザの診察室』から続く、京のとある町の小さな病院で日々医療に向き合っている内科医のシリーズです。
主人公は病に倒れた妹の遺した少年を引き取るために大学病院を退いた京都の町医者。病床数も少ない小さな町の病院に勤めている内科医の彼は、今日も外来、訪問診療、緊急オペと多忙な日々を過ごしている。そんなある日、大学病院の先輩医師より、複雑な症例の患者のオペを打診される。82歳の高齢患者で、既に3回の内視鏡手術を試みていずれも失敗に終わっているという。4回目の内視鏡手術。しかもその患者は大学病院の現教授、飛良泉寅彦の父親と聞いて、治療を進めるべきか断るべきか思案に暮れる彼だったが——。
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前作が良かったので期待して読み始めたが、ハードルが上がってるのに、さらに上回る良さ!これは手元に置いておきたい本。マチ先生が哲学と呼ぶ、人生の理念のようなもの。軸が常にぶれない。医療が人を治すのでなく人が人を治す。努力で、何事もできるようになるなどとは傲慢というのに同意。ある程度、そもそも、その事柄には優位性を持って生まれているのだという事を手先の器用さを遺伝と伝えつつ、努力したから手に入れたと思えるほど世の中甘くないと…本当にその通り。ままならない事だらけ、人間無力さばかり。あらがえない、誰のせいでもない。そういうことを語りかけてくれる。人の生き死にだけはどうにもならないと、父の死やナカナカ
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この本、好き。
何だろうなあ、あったかい?安心?心が穏やかでいられる。
秋鹿先生にとってのトランキライザーのマチ先生。読後の感覚は、それに似たものなのか?
心の在り方、認知や思考、幸せとは…
自分の追い続けているテーマがそこにあったので、ぴたっとハマった感じがある。
哲郎に解説してもらいながら、登場する菓子を食したい欲求が生まれた。
京都の街並みをこの本を手掛かりに楽しんでみたい。そんな人生の楽しみも生まれた。
スピノザのエチカも読んでみたい。
人間の力ではどうこうできない宇宙に生きるちっぽけな私が、そんな望みを持つことが「幸せ」の一つなのかも。
「少しだけ景色は変わる」
誰かにと -
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夏川草介氏の『神様のカルテ0』を読んだ。
「神様がそれぞれの人間に書いたカルテってもんがある。医者は、その神様のカルテをなぞっているだけだ」――大狸先生のこの言葉が、本書のタイトル『神様のカルテ』の意味を象徴しているように感じた。これまでシリーズを読んできたが、本書を読んでようやく、そのタイトルに込められた意味が少しわかった気がする。
特に心に残ったのが、元国語教師である患者・國枝さんの言葉だ。
「人は、一生のうちで一個の人生しか生きられないが、本は別の人生があることを教えてくれる。そうすると、たくさんの人の気持ちがわかるようになる。そういう人々の気持ちがわかるようになると、優しい人間に -
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ネタバレ著者から読者へのメッセージにある通り、医療系にありがちな派手さがない。感動を誘うような奇跡は起きない。ただ直向きに病気と向き合う患者と医師の姿があるのみ。言葉を選ばずに書くと、胡散臭さがないので受け入れやすい。小説の中だけではなく、現実世界のどこかで存在しているような気さえする。
治らないと言われている病気を患う患者の家族だが、この小説はそんな人の心にも寄り添ってくれるとてもあたたかい内容だった。
心に留めておきたい言葉をいくつか抜粋
P150〜
医者にできることは、患者の病気を治すことに決まっているだろうってね。病気が治れば患者は幸せになるんだから、そこに力を尽くせば良い。でもね、病気 -
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シリーズ第3作にして主人公が直面する大きな壁。医療トラブルは表面的な契機に過ぎず、本質は地域医療で奮闘して5年、手応えを感じ始めていた彼が突きつけられる「このままで良いのか」という葛藤こそが本作の真の壁だろう。
30歳という節目(誕生日のエピソードもニクい伏線だ)を迎え、働く人間なら誰もがぶつかるキャリアの普遍的なテーマを描いている。信州松本や安曇野の情景に、本作では「冬」や「年末」という変化と思索の季節をうまく取り入れているのも秀逸だ。
前二作で彼の奮闘に寄り添ってきた私たち読者だからこそ、ともに心が打ち砕かれる体験はシリーズの特性を最大限に活かした見事な構成。これだけ苦しい展開でも、人