夏川草介のレビュー一覧
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向き合わなければいけない、医療現場の現実。
物語は長野県安曇野市にある梓川病院。
研修医の桂と看護師の美琴、そして様々な個性を持つ医師たちの奮闘記。
理想論を述べるなんて考えられない高齢者が大多数の医療現場。
高齢者の命の灯が消えるまで患者の家族と共に見守っていく。
高齢者は特に身体機能が覚束ない状態になっていく様をみて家族・親族は、そんな彼らをどんな視点で見ているのだろうか。
親族のことを病院に任せっきりの人もいれば、最期まで一緒に過ごしたい人。
私たちは「一体病院に何を求めているのだろう」と考える。
生きて欲しいと願うか、早くいなくなって欲しいと願うか。
そんな中で出てくる命の灯が無くなる前の決断に迫る中で巻き起こる様々な感情。
医療現場にいる彼らはそういった『命』の圧力に押され続けている。
私たちも人任せにせずに、患者との『命』と向き合っていかなければいけないのではと思います。
一緒に命を全うするまでサポートすることを。
つい先日、100歳以上の高齢者が10万人を突破したというニュースがあった。
100歳になるまで長く生きるには、今の医療の発展があるからこそであり表向きは良いニュースに聞こえてくる。
だけど実際の現場は理想論を述べるとは程遠く、毎日のように患者の命と向き合っている。
生きる時間、命を守るために。 -
Posted by ブクログ
妹が遺した甥っ子を引き取ることになり、大学病院を辞めて原田病院に勤務するマチ先生。普段は甘い物に目がなくてマイペースな感じなのに、内視鏡を握るとスーパードクターになるマチ先生の魅力もさることながら、同じく原田病院勤務の先生達が個性的だけど魅力的。マチ先生はイメージ通りの自転車通勤なのに対して、他の先生達は外車で通勤。そんな先生達ですが、腕は確かでお互い助け合い信頼しあってる姿がカッコよすぎて。でも、度々クスッと笑せてくれる会話も魅力的。
もちろん、患者さんとのシーンもしっかり描かれていて、辻さんの最後の場面はジーンときました。
南先生が変わっていく姿も素敵でした。
高齢者や余命短い人達に対して、どう向き合っていくかなど、考えさせられる事も多かったです。
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Posted by ブクログ
遅まきながら、本作を読み始めるきっかけはNHKのあさイチに夏川草介先生が出演していたのを見たから。夏目漱石などの文学オタクで現役医師。優しそうなお人柄に、作品を是非読みたい!となった。
地域医療のど真ん中で激務に忙殺される医師栗原一止(いちと)。
信州を舞台に地域医療現場の大変さをリアルだけどコミカルに描き、笑いあり泣きありの素晴らしい作品だった。
医師として人として患者の最期に向き合う一止。第三章、安曇さんのお話では号泣した。
こんな先生に診てもらいたい。
大学病院と中核病院の役割の違いや、医師の勤務地の選択、深夜の救急外来の過酷さなど初めて知る事が多く、とてと勉強になった。医療従事者の方々のご尽力があるからこそ私達の健康が守られているのだなぁ、と再認識させられた。
医療従事者の皆様、ありがとうございます。
一止が今後どのように成長していくのか、見守るために、続編を読んでいこうと思います。 -
Posted by ブクログ
コロナ第3波にみまわれた2021年1月の地方の病院のコロナ診療の現状が描かれている。著者は実際にコロナ診療に携わり、肉体的にも精神的にも極限状態にあり、寸暇を使って書くことで正常を保てたようだ。リアルタイムで、切迫する現場の状況が書かれたことになる。医療崩壊の現場がどんなものであったか、初めて知った。いろいろな立場の医師が,コロナ診療の状況にどう考えたのかも知ることができた。コロナ罹患患者の病院への受入れの難しさも,触れられている。地域での感染症患者への対応体制が整っていないことが,医療崩壊をおし進めた要因の一つだったが,このときの教訓は生かされているのだろうか。
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Posted by ブクログ
ほんの少し前にスピノザとエピクロスを一気読みしてその後別作者達の本を読んでいたけど、どうにも読み応えが物足りず、夏川さんの文章に浸りたい、、!となりまた夏川作品に戻ってしまった1冊。笑
やはり情景描写の表現がとにかく深く、初めて聞く言葉がいくつか出てきても、「難しい表現が多くて読みにくい」ではなく、「どんな意味なんだろう」と思わず調べたくなって、一つ一つの文章を丁寧に読みたくなるしその読み応えがとても心地よいし、病みつきになる。
今回は高齢者医療(看取り)が中心だった。医療作品なので基本的には他の作品と似通っている雰囲気もあるけど、だからこそ夏川作品を読み重ねるうちに医療の現場の過酷さがひしひしと伝わってくる気がする。
そして本作でも、医療者としての「哲学」について主人公が悩み考える姿が描かれており、医者である夏川さん本人が本当に大切にしているものなんだろうなと言う点が印象的だった。
高齢患者の看取りを「寿命」と割り切って淡々と進めていく谷崎先生の理論は冷酷なのに論理的で読後強く頭に残っているのが我ながら意外だった。
ただ、いざ自分が当事者となる場合には、きっとそんな風に割り切れないんだろう、と考えさせられた。
スピノザ・エピクロスの後に本作を読むのが個人的にはおすすめ。