夏川草介のレビュー一覧

  • スピノザの診察室

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    マチ先生は問う。
    幸せとは何か。
    医師として、病を治すことは患者にとって幸せであるはずだ。しかし、治らない病を得た人でも幸せに過ごすことはできないのか?
    できるはずだ。そしてそのために自分ができることは何かと。

    マチ先生は優しく、思慮深く冷静でそれでいて大きな人である。

    彼は言う
    人は無力である。しかし、互いに手を取り合わないと無慈悲な世界に飲み込まれてしまう。
    手を取り合っても世界はかわらないかもしれないけど、少しだけ景色は変わる。
    真っ暗な中に小さな明かりが灯る。
    その明かりが真っ暗な中にいる人を勇気づけると。
    そのように生み出された勇気と安心のことを
    「幸せ」と呼ぶのではないかと。

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    2026年07月09日
  • 勿忘草の咲く町で 安曇野診療記

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    ネタバレ

    本当によかった。ここ最近読んだ本で1番好き。読書初心者の方や普段医療ものをあまり読まない人こそお勧めできると思います。非常に読みやすく、そこまで普段本を読まず、読むのが遅い私でも3日ほどで読み切ることができた。
    地方の高齢者医療を巡る医療の在り方という重いテーマに対して、重くなりすぎずそれでいて多様な考え方を示している点が印象的であった。特に、死神と呼ばれる谷崎医師の考え方は物語が進んでいくにつれて真剣に考えるべき意見であると思うようになった。私自身まだ身近な家族の死というものを経験してきていないが、そのような時にどのように身内の死を受け入れるのか考える一助になると思った。あとは、月岡美琴と桂

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    2026年07月08日
  • 本を守ろうとする猫の話

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    ネタバレ

    本の在り方と、目に見えないものの大切さとその複雑さが語られている。それらをファンタジーな試練を通して主人公は気付いていくのだが…そんなお話。
    少しばかり古風な話し方をする相棒の猫がとても好みだ。多分後半は、というより最初からずっと夏川草介さん自身が思っていることを喋っているのではないかと、そう感じるくらいには何故だかとても情緒を感じさせてくれる猫。
    作中本を一度しか読まない、読み返すことはもうない、読む量こそが全てだと。そんな人が登場する。
    本というものは人の伝えたい思いや考え、世界観が書き記されていてそういった難解なものをただの一読で読み解いたつもりになりもう読んでも得られるものはないと同じ

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    2026年07月07日
  • 新章 神様のカルテ

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    『神様のカルテ』シリーズ5作目。

    主人公の栗原一止、大学病院へ。

    いつも通り、細やかな表現でジワジワと感動に引き込んでくれる。そして、今回はシリーズを跨いだ伏線回収などの大技も繰り広げてくれた。
    5作目にしてさらに面白くなっている。このシリーズはどんどん面白さが深まるところが恐ろしい。

    そして、泣けた。

    居酒屋「九兵衛(きゅうべえ)」で、筋肉質のマスターの料理と日本酒を堪能したい。

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    2026年07月05日
  • 命の砦

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    『臨床の砦』の続編
    世の中を恐怖に包んだコロナ禍を医療現場から見たストーリー。病院や医師、地域によってコロナへの対応が異なり、コロナ患者の受け入れをした病院だけが割を食うようなやるせなさも描かれている。どうやっても協力がないと立ち行かない状況なのに、孤闘する病院、その何人かの医師が未知のウイルスに対峙していた。まさに砦だった。
    心情を表す言葉や、情景描写が豊かな言葉で描かれており、登場人物の心の微細な動きが伝わってくる。
    コロナ治療最前線に立っている時でしか書き残せなかったもので、現代版『ペスト』カミュのようにも思える。

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    2026年07月05日
  • スピノザの診察室

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    ネタバレ

    爽やかな読後感。こういう医者にかかりたい。暗闇で凍える隣人に外套をかけてあげること。素晴らしい言葉。京都の和菓子も食べたくなった

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    2026年07月05日
  • 神様のカルテ0

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    『神様のカルテ』にまつわる人々の前日譚。

    描かれるのは
    医師国家試験直前の一止、辰也、千夏、 次郎ら仲間たちの友情。
    本庄病院の内科部長・板垣(大狸)先生と敵対する事務長・金山の不思議な交流。
    本庄病院で働くことになった研修医・一止の葛藤。
    山岳写真家である一止の妻・榛名の信念。

    人気シリーズとなった作品の前日譚は、ある程度お約束。しかし、1~3までを読んだファンにはタマラナイ内容だ。
    このような前日譚を作ることは著者自らのアイデアとして湧いてくるのか?編集者サイドからの依頼(提案)なのか?ちょっと気になるところでもある。

    そして、オーディブルに導かれるままに「新章」へ

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    2026年07月02日
  • 神様のカルテ3

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    オーディブルに導かれて3へ。
    このシリーズには「スゴイ人」がけっこう登場してくる。『キングダム』で各国にスゴイ武将がいるかのように…。
    そして、「2」に続き、「3」は前作を越えてきた。

    最新医療を追いかける小幡先生の姿。そして、主人公「一止」の決断。「1」「2」とは異なる空気を感じた。

    「最新の理論・技術を身に着ける」

    実は医者に限らずプロフェッショナルがその職務を続けるためにに必要なことのはずだ。
    と、自分自身に向けての刃が飛んでくる気配を感じた。

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    2026年06月30日
  • 神様のカルテ2

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    「1」に続きオーディブル。
    耳が慣れたこともあるかもしれないが、「1」以上に引き込まれた。

    描かれている人の心と哲学。それらがサクサクと刺さってくる。まさに、
    「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角(とかく)に人の世は住みにくい。」
    だ。

    街の描写も魅力的。松本市、訪れてみたい。

    そして、オーディブルに導かれて「3」へ

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    2026年06月30日
  • 勿忘草の咲く町で 安曇野診療記

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    穂高に縁のある者として、美しい山々を思い出しながら読みました。
    テーマは重いものであり、我が身に置き換えつつ

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    2026年06月29日
  • 勿忘草の咲く町で 安曇野診療記

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    ​夏川草介先生に終末期医療をテーマに書かせたら、やはり右に出る者はいない。
    本作の素晴らしさは、決して明るいとは言えない重厚な題材を扱いながらも、現実をごまかさず、かといって過度に悲壮感を漂わせずに描き切っている点にある。
    毎回のことながら、登場人物たちが皆一癖ありつつも愛すべき個性を持っており、また、時に爽やかな恋愛模様を展開する点も趣深い
    総じて非常に完成度が高く、テレビドラマ化されるのも大いに納得の、太鼓判を押せる名作につき、ぜひ読んでいただきたい

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    2026年06月28日
  • 君を守ろうとする猫の話

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    中学生以上でも読める【夏川ファンタジー】2作目。喘息を患っているナナミという中学二年生が主人公だ。
    前作は林太郎が「いかに本を愛しているか」という力で立ち向かっていった。今作は、「本は世の中に必要なのか?」である。本を読むことは想像力を育み、他者を尊重し、自分の経験できないことを本の中で経験できる…私にとっては魔法のような産物なのだが、「自由に、自分らしく」を全面に押し出す経済先行の現代では、古典作品を始め全てが否定される(その存在として【灰色の男たちーまるでモモの世界ではないか!ー】が描かれる)。
    人を欺き、自分だけが豊かになりたいという思想ばかり。武器を持って争い傷つけ、殺しあう。歪んだも

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    2026年06月24日
  • 臨床の砦

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    コロナ禍を大衆ではなく医療現場の視点から描いた点が心に残った。同じ出来事でも立場によって見えるものは変わる。医師は目の前の命を救いながら、冷静に未来を判断しなければならない。また、最前線で戦う医療者が、未知のウイルスへの恐怖から家族や仲間に避けられる矛盾も描かれていた。誰も悪くないのに生まれる孤独や苦しさが胸に響いた。

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    2026年06月22日
  • 神様のカルテ3

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    医師としての矜持が揺らぐ出来事がありながらもゆっくりと牛のように図々しく進み続けるドクトルの姿勢に感動しました。
    小幡先生の壮絶な生き方にも注目して欲しいです。

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    2026年06月21日
  • 君を守ろうとする猫の話

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    昔、本を読んで感じたことを忘れてしまっていた

    それが何を感じてどう思っていたのか

    本の面白さや凄さってどんなことなんだろうとか


    これまで時代を超えて読み継がれてきた本の凄さ

    人はこれまでに数々の起こしてはいけない間違いや過ちをたくさん侵してきた
    その根本にあるのは人間の無限の欲

    先人たちが人間が間違いを冒さないように本に書き記して、そうならないように注意喚起してきた

    が、、、
    欲に目が眩む

    まさに何も見えない人がどんどん増えて、本すら読まない

    今の時代、コスパやタイパという言葉ばかりが先行し、失っているものの大きさに気がつかない人が増えている

    そうならないために、大切なもの

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    2026年06月21日
  • 神様のカルテ2

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    素晴らしい本でした。
    死生観と仕事に対する哲学があり、医師の大変さと素晴らしさがわかる本です。涙なしには読めません!
    はやく続編が読みたくなります。

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    2026年06月18日
  • 神様のカルテ

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    イチ先生の信念に感動しました。こんな先生がいればいいなと思います。
    医師の使命感の片鱗が伝わる小説でした。

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    2026年06月16日
  • 本を守ろうとする猫の話

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    本を守るとは何なのか。読書の数が偉いのか。読めば読むほど賢くなるのか。もちろん、そういうわけでもないけれど、昨今本を読む人が段々と減っている世の中。難しい、読めないと思う古典でもチャレンジしてみたくなる本。

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    2026年06月15日
  • 本を守ろうとする猫の話

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    人間の言葉を話すトラネコ。ファンタジー系のSFなのかなと読み進めると、次第に、ああ…なんて面白い題材なんだ!と視界が広がる。
    読書家を名乗って、こういう人いるよね(批判ではなく、分かるんだけれど〜…という感じ)と思ったり、自身を省みたり。

    コレクション、速読、書籍とは…本を読むということは……
    つまるところ、皆、本が好きなんだよね。

    医療系ではない夏川草介さんの作品。気がつけばこちらもしっかり、哲学的で現代社会への問いかけもあり、とても良かったです。

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    2026年06月12日
  • 神様のカルテ3

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    「牛のように図々しく進んで行くのが大事です」

    『神様のカルテ』を読むと夏目漱石が読みたくなる
    小幡先生に倣ってこう言おう「同じ患者が百人来ても、百人とも漱石です」
    いやどんな患者やねん!

    今作では迷い悩む一止に新たなる道が示される
    示されるのだが、それはそれで悩む
    悩みすぎて動けなくなっている一止に、この世界は迷いながら進めと背中を押すのだ

    世界はいつだってどこかに答えを用意してくれている
    だからとにかく進むのだ!
    牛のように愚直に、牛のように大真面目に、牛のように力強く、牛のように大胆に、牛のように図々しく

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    2026年06月12日