夏川草介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
夏川草介さんの作品、初読みです。
2026年初作家、12人目です!
考えてみたら、医療もののドラマや漫画は大好きなのに、小説はほとんど読んだことがありません。
小説で、医療ミステリーは読んだ事はあるんですけど。
すごい奇跡的な治療で命が救われたり、画期的な術式で手術が行われたりといったエンタメ的な話ではないです。
高齢者の末期癌患者を往診して、頑張れとかあきらめるなとか励ますのではなく、そんな急がなくっていいというマチ先生がすごく良かったです。
スピノザが哲学者だということも知りませんでしたが、生きるということ、死ぬということ、幸せということ色々と考えさせられるお話でした。 -
Posted by ブクログ
死をドラマチックに演出せず、一つの自然な事象として描く。その装飾を排した記述が、妙にしっくりくる。
舞台となる京都の静謐な風景は、主人公・雄町哲郎の穏やかな姿勢とよく似合っている。彼が発する言葉は、死を目前にした患者やその家族の隙間に、静かに染み入っていく。それは彼が好む甘味のように、過酷な現実のなかでふと心をほどく「しあわせな生き方、死に方」への問いかけのようにも感じた。
医療の現場で、どこまでも誠実で、哲郎のような地に足のついた医師が淡々と、けれど確かにそこに居てくれることが、どれほどの救いになるかと思わずにはいられない。
安易な感動に逃げず、事実をあるがままに見つめること。その潔い静 -