夏川草介のレビュー一覧
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『スピノザの診察室』『エピクロスの処方箋』を読み終わり、夏川草介作品を遡ってみた。今回もオーディブル。
「孤独を取り除く」というフレーズが印象的だった。
ナレーターさんの節回しの影響もあるかもしれなけど、なんとなく森見登美彦の「四畳半神話大系」な空気もチラリ感じた。それはそれで楽しい。
”電子カルテを入力……”というフレーズに「おっ」と小さく反応てしまう(『スピノザの診察室』『エピクロスの処方箋』のときも同じだった)そして。「あぁ、普及したんだなぁ」と妙な感慨を覚えた。ITベンダー社員時代「電子カルテ」の普及(まずは利用が認められる必要があった)はビジネス的に重要テーマだったのだ(特に公 -
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現代の医療における問題点を的確に表現しながらも、安曇野の雄大な自然や花、桂と美琴の爽やかな恋愛要素が彩りを添えることで、読みやすい一冊になっていました。
終末期の医療は、未だに発展途上の感があり、医療者の中でも悩みが尽きない分野です。御本人の意思が示されていれば、まだ救われるのですが、ない場合には御家族の決断が二転三転することは、よくあることです。死について話すことをタブー視するのではなく、家族や大切なひとと意思を共有できていたらいいのにと常々考えてしまいます。
この小説の中で最も共感した人物が、半崎です。半崎ほどの大事にはなっていませんが、私も看護師1年目にインシデントを起こしたことはあ -
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「スピノザの診察室」と「エピクロスの処方箋」を先に読んだので、当作も京都の雄町雄介シリーズだと思っていたら全然違った。文調もいささかギャグ路線で上記2作とのギャップに読み始めのうちは戸惑った。
しかし読み進めるうちに、雄町雄介シリーズと同じく味わいを感じるようになった。舞台は信州松本。さりげなく地酒が紹介されたり、豊かだが厳しい自然の空気感が伝わったりと、その風土の想像を楽しめた。当作も大学医局と地域の草の根医療の対峙という社会テーマをベースにしている。そのジレンマの中で描かれる人間と人間の関わりには深く感銘を受けた。読後の余韻も良かった。傑作に出会えて満足である。 -
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ネタバレ夏川さんの医療への哲学を色濃く感じた気がする。
神様のカルテが大好きなので、どうしても比較対象になってしまうのだが、神様のカルテは心温まる物語という感じだったのに対して、本作スピノザの診察室は心休まる物語という感じ。 神様のカルテは海から昇る朝日を見るようで、スピノザの診察室はひたすら穏やかな波を見ているというイメージ。温度は低いんだけど、心地いいみたいな。
スピノザに辛さじゃなくて希望を見出すマチ先生の考え方に個人的に共感できた。限界を知っているからこそ、希望がないからこそ、湧いてくるやる気があるというか。変えられないことが寧ろ希望なのが個人的に非常に分かるなと思っていた。
「なけなしの -
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引きこもり気味の高校生・林太郎が、祖父の遺した古書店で人間の言葉を話すトラネコと出会い、本を守るために異世界に入っていく、という設定。
最初はあまりのファンタジー感にちょっと入りづらい印象だったが、読み進めていくうちにどんどん引き込まれていった。
読む人によっていろんな解釈ができそうだが、自分にとっては、ファンタジーの形を借りた、夏川先生なりの“読書論”だと感じた。
本は一度読んで終わりなのか?それとも繰り返し読むべきものなのか?
難解な内容の本を時間をかけて苦労してでも読むのか?それとも効率よくエッセンスを掴むことがよいのか?
商業的に「売れる」本が価値の高い本なのか?
本を読むことの意 -
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本作は、現代日本が直面する終末期医療の「延命治療」や「看取り」という重いテーマを扱っているにもかかわらず、物語が暗く重くなりすぎず、不思議と安曇野の爽やかな風が吹き抜けるような読後感。
主人公の二人も魅力的だけど、彼らを取り巻く「死神の谷崎」「小さな巨人」「事なかれの遠藤」といった、ひと癖も二癖もあるキャラクターたちが物語をいっそう引き立ててくれて面白かった。
特に「死神」と呼ばれる谷崎の語る「看取り」のスタンスには「一理あるな」と妙に納得させられた。
「高齢者医療」は自分にはまだ先のことだと思っていたが、本作を通じて深く考えさせられた。もし自分がその立場になったら、過度な延命治療は絶対に