岡田尊司のレビュー一覧
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事例を用いての説明は岡田尊司らしく読み易いが、本作に限っては、依存症の悪質さを何度も言葉を変えてループして言い表しているだけで、知的刺激に富んだ内容とは言い難い。同じような重複でページ数が嵩んでいる事もあり、読んでいて飛ばし読みしたくなる。
世に、中毒性のある娯楽は多い。サイト巡回をしなければ落ち着かなかったり、デイリーのログインで与えられるアイテムが習慣化している人は身近にもいる。仕事中の隙間時間に、スマホで点数稼ぎ。いったい、何に取り憑かれているのか。承認欲求、あるいは、もっと本能に近い欲求の飽くなき探索。一方で生き甲斐を得難い悩みもある。何が正しいのだろうか。健康的か否かで判断すれば、 -
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玉ねぎの皮むきではないが、自己決定の真芯には、何があるのだろうか。
自己決定の基盤である価値観は、言葉すらを持たぬ時期を出発点として、言葉、この他様々な情報を受け入れ、形成されるものだろう。
その形成過程において、情報の取捨選択が行われていない、ということはありえないとしかいえない。
とすれば、マインドコントロールとは、一般にイメージされる、カルトの取る手段などという以上に、教育に近いものなのかもしれない。
社会生活、家庭生活に不可欠な技術としてのマインドコントロール術と危険なマインドコントロール術、というようなものの境界線に興味があるのだが、そこが明瞭になるような印象は、この本にはなかった。 -
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借りたもの。
精神科・心療内科で行われている治療の流れを解説した漫画
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「メンタルクリニック」――精神科・心療内科とはいかなるものか、どの様な経緯を経て、何をもって「治療」とするのかを2つのケースを元に紹介する。
挙げられている事例は主に「家族関係」に関わるものだった。
母子関係、最近話題の毒親問題とか、通俗的な”男らしさ”の定義にがんじがらめになって、問題を抱え込んでしまう男性のケース。
最近話題の“毒親”問題。
原因は確かに親だが、それを親に責めても意味がなく、大切なのは、毒親に育てられた故に、束縛から逃れられない自身をどうするか、という問題解決であることを暗に仄めかしている。
精神 -
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ネタバレ「離陸した早々に、片羽根が傷ついたからといって、人間は飛ぶのをやめるわけには行かない。傷ついた片羽根を抱えながら、飛び続けるための必死の努力と対処の結果生み出されたものが、少し変わった飛び方であり、パーソナリティ障害の人の認知と行動のスタイルなのだ。何不自由なく飛んでいる者から見れば、それは、少し奇異で、大げさで、危なっかしく不安定に思える」
「少々変わった度の過ぎた振る舞いには、その人が抱えている生きづらさが反映されている」
自分のパーソナリティに比較的近いところのみ熟読。
自分を知りたくて読んだが、思いのほか、身近で何人もの人がはっきりした「パーソナリティ障害」を抱えていると感じた。 -
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教育の目的は何か。本著流に言うと、自立にあるのだろうか。従い、ニートや非正規雇用の増加した現代、日本の教育がこのままで良いのか、各国との比較しながら問う。しかし、目的は国家により異なる。つまり、ある立場からの見方では、この問いに答えるのは困難である。
日本の教育を経て、大人になった人が、その教育を振り返り、良かったか悪かったか。問題を抱える大人は悪かった、今が幸せな大人は良かったというのではないだろうか。つまり、教育は目的的要素を持ちながらも受け手の主観により、あるいは国家の評価により、その善悪が論じられるのだ。また、ニートなどの社会問題を教育による問題として、一点突破式に決めつけるのは危険 -
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なるほど。
いわゆる発達障害と言われるような症状は、遺伝子と育成環境の双方がその発生に関わってるよ、という話。
特に最近は遺伝要因説が主流になってるので、育成環境が与える影響を忘れないでおこう、という話。 -
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現実の行動というものは、容易に報酬が与えられるわけではない。仕事や勉強、スポーツなどによって得られる報酬は、努力に比例するとは限らない。頑張っても、逆に本人のプライドを傷つけ、落胆させるような場合もある。
あらゆる依存症は、大した努力もなしに、報酬を味わえるという性質をもっている。その報酬は、目先の報酬に過ぎず、長い目で見れば、損失になるのだが、短期的には、大した労力もなく歓びや興奮、開放感や快感をもたらす。アルコールや覚醒剤にしろ、パチンコやゲームにしろ、それを摂取するだけで、あるいはプレイするだけで、いとも簡単に興奮や歓喜を味わえる。そこに、依存症という病気の付け入るスキがある。(p.42 -
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非現実的な妄想をしたり、人目を惹きつけるための特異な行動をしたり、あるいは人を過度に避けるような人たちについて、そのタイプや原因、治療法などについて書かれたもの。
人格障害というと精神科に通わないといけないような特定の人たちのことだけをいう、ということではなく、社会全体が人格障害的な傾向を生みやすい装置として機能してしまっており、身近にもこういう人がいるかもしれないし、もしかするとおれにもこういう傾向があるのではないか、とか思ってしまう。
特に印象的だった部分は、「回避性人格障害」で説明されている「最近の若者全般に広がっている回避傾向」(pp.100-1の部分で、「新しいことに取り組むこと