岡田尊司のレビュー一覧
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ネタバレ「境界性パーソナリティー障害」と聞くとなんのことかよくわからないけれど、「激しい性格」「躁鬱がはげしい性格」…など、「性格」と捉えられていたものが、性格ではなく適切な治療を受ける必要がある「病気」として捉えたもの。
「最大の特徴ある症状としては、変動が激しいということ。気分、対人関係、自己のアイデンティティの面でも、短い間に揺れ動き、別人のように状態や方向性がかわってしまう。しまも、まったく正反対の方向に、両極端に揺れ動くのが特徴である。」
思春期、二十代前半など特に恋愛期において発症するケースが多い。
今は低年齢化も進み、その方が症状が深刻。
身近にそういう人がいたら、症状を理解したり、適切に支えたりするのに、この本は役立つと思う。 -
Posted by ブクログ
アスペルガー症候群の方との付き合い方を以下に記します。
1)ルールや約束事を明確にすること
(日課をパターン化して視覚化する、ルールはできるだけ具体的にする)
2)本人の特性に合った役割を与えること
(得意分野の一つから広げてゆく)
3)聴覚や嗅覚などの感覚が過敏なので、その点を配慮すること
時間管理など本人の弱い部分を上手にフォローしてあげること
(お気に入りのことは、苦手な活動の後でする)
4)安心感と自己肯定感を与えるようにすること
(否定的な言葉をつかわず、できるだけ肯定的な言葉を使う)
5)「普通」を押しつけることなく、良いところ探しをすること
(良いことはまめに褒めて強化する)
6)勤勉さを身につけさせること
(ご褒美は、1回分は控えめで、積み重ねられるものがよい) -
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異常心理というと、特別おかしな人が持つものだと思うかもしれない。しかし、本書では、異常心理は普通の人にもあり、それは特段おかしなことではないことを教えてくれる。
筆者によれば、異常心理は精神障害の上に成り立っているのではない。正常と異常の境目は程度や頻度の差でしかないという。むしろ正常と異常は連続しており、異常心理を知ることで正常に生きるヒントとすることが本書の目的である。
では、異常心理とはなんだろうか?本書では、多彩な例を使ってそれを解説している。完璧主義、快感、敵を作り出すメカニズム、人間の二面性、罪悪感、自己否定、異常心理はいろんなところに顔を出す。ここまで述べたものは自分の中に無いと思ったあなた。そんなことはありません。自分が気づかないところで、上記のような異常心理に陥っているのです。
最近は、メディアでも取り上げられることも多いですが、小さい頃の体験が、後日大人になってからの性癖や行動に影響するといわれています。本書でも、そのことがいくつかの実例を元に紹介されています。親だけに限らず、大人が子供に与える影響は、恐ろしいほど大きいのです。そうしたことを意識して、私達大人は子供に接しなければいけません。 -
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・瞬間の快楽あるいは強迫観念に囚われ行動自体が目的と化す「自己目的化」
・相手を攻撃し支配することで自分の優位と正統性を証明しようとする「自己絶対視」
・自己の理想像を対象に投影して陶酔する「自己対象」。…
欲求とは私たちが生きる上での原動力であるとともに、行動を支配する主でもあるのだと思わずにいられない。
幼少期は母の愛を、長じては他者からの認証を求め、不幸にもその望みが果たされなかったとき、精神は容易く均衡を崩し、欲求は暴走を始める。
例にとられた哲学者、文学者ら著名人のエピソードは非常に興味深い。
ただ、彼らの思想や嗜好、衝動の由来に関して著者の恣意的な解釈が感じられ腑に落ちないところもあった。
心理の両価性を鍵としているのは何となく納得。
愛されない自分を否定しなくていい。不完全は決して無価値と同義ではない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ著者は精神科医。「脳内汚染」でゲーム脳について議論を提起した一人。ただ、この人は京都医療少年院で長く勤務されていた方であり、そういう意味で、現在の「発達障害ブーム」に自戒を込めた警鐘を鳴らすような最近の著作はごく自然なことなのかもしれない。
臨床現場で痛切に感じるのが、就学後の「療育的教育」の乏しさ。
画一化された普通教育のトレーニングを受けてきた教師達にとって、「特別支援教育」とは指針の立たない手探りでしかない。しかも、生徒の能力も、苦手な領域もマチマチである。発達障害教育は、既に塾や予備校にその主たる座を移しているのかもしれない。
さらに、教師の要請で、病院に「診断」を貰いに来るようなお粗末な患者も存在する現状である。個々の生徒の「目的地」が全く見えない。
こうした「大学受験」を頂上としたピラミッド型の今の日本の教育を筆者は終始批判している。海外のモデルとして、オランダ・スイス・フィンランドにおける「自立」「協調性」などを育てることに主眼をおいたスタイルの重要性を強調する。
そのための基礎的な理解になるのが、生徒個々の「情報処理の仕方」である。スティーブ・ジョブズや長嶋茂雄的な「視覚空間型=芸術家・職人肌」、共感性にすぐれて、交渉や折衝を得意とするバラク・オバマ型の「聴覚言語型」、そして、論理的な思考やプレゼン・情報処理能力に優れた、ビル・ゲイツ型の「視覚言語型」の大きく3つに大別した視点である。今の日本の教育は、ノートを取ったり、ペーパーテストが苦手な「視覚空間型」や「視覚言語型」の生徒の一部にとって、能力を発揮できない可能性があると述べる。
私も、日本の教育システムは、すでにOSを書き換えるべき時に来ていると強く痛感する。受験をピラミッドとした、「受験準備のための早期教育」から、筆者も何度も述べるように「多様性」を重視した教育である。歴史的には官僚養成・エリート輩出を目的として始まったペーパーテスト。しかし、今の世の中、すべてが「エビデンス」であり、多様性を重視した結果、教育の有効性のエビデンスを示せないと言うことになりかねない。
本書でも、精神科医の「理想論」が描かれているに過ぎない。学際的な、特に教育と心理、認知科学、精神神経医学が結集して新しいシステム作りをしない限り、前には進まない。そこに伝統や既得権は障壁でしかない。この本は、現場の教師に届けるべきものである。
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Posted by ブクログ
統合失調症について、基本的なことがすべて書かれている。この病気についての本を読むのは初めてだが、この一冊で網羅されている感あり。良書。
この本で一番伝えたかったことは、この病気に立ち向かっていく上で重要なことは、「環境的要因」であること。つまり、患者の周囲の人が理解し、協力すること、人間としての尊厳を大切にして患者に接することといった、周囲環境が予後を大きく左右する。
本の最後にもあった、ゲーム理論でノーベル経済学賞をとった、ジョン・ナッシュの話は壮絶だけど、希望が持てるものだった。
近年では、うつ病に少しずつスポットライトが当てられてきており、精神病への理解が少しずつ進んでいるけど、この本も、統合失調症を理解していく上で、大きな一冊になると思う。