岡田尊司のレビュー一覧
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「第7章 職場で起きやすい適応障害」。毎日、職場で起きている現実が、見られているのではと思うくらい正確に描かれている。一行一行まったくそのとおり。思い当たることばかりで激しく身につまされる。世の中で悩んでいるのは自分一人ではないのだと勇気づけられた。心がポッキリ折れる前の処方箋もしっかり書かれている。期待値を下げる、思考の切り替え、もっと自由に生きる、見切りをつける・・・・・・丁寧詳細まことに具体的。凄く元気をもらえた。燃えに萌えて仕事に臨もうという気にさせられた。第8章の家庭生活での適応障害も非常に参考になる。ストレスや適応を左右する様々な要因とそのメカニズムの解析がわかりやすい。ストレスチ
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ネタバレ職場にアスペルガー症候群の方がいます。言われなければ分からないし、こだわりが強い人、人の気持ちが分からない人、ぐらいで済ましてしまいそうな感じです。
そういう障害だから仕方ないんだと頭では分かっていても、一見普通の人と変わらないので、どうしてもムカついてしまったり、どう接していいか分からなくなることが多々あります。もっと上手く関わっていくにはどうしたらいいかと思い、読むことにしました。
程度や症状にもいろいろあるんですね。アスペルガーの中でも正反対の特徴もあるようで、一概にこういう症状だとは言えない感じ。診断するのがとても難しそうな障害だなと思いました。
接し方や対処の仕方については、教 -
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岡田尊司の著書には、独特の父親のような雰囲気がある。どっしりと落ち着き、ポイントをゆっくり、何度も優しく語りかけるような。事例が挿話風で、引用が歴史上の人物だからだろうか。兎に角、分かりやすく、しかも、読者に正しい倫理観で語りかけてくる。だから、彼の著書を面白いと思う。反面、刺激に乏しく、展開が遅いと感じる。
母親と子供の愛着プロセス。幼少期に愛着が育まれず、オシキトシンの働きが弱くなれば、不安が強く、対人関係に支障が出る。しかし、一方で感情の昇華を見せ、芸術家になるような人物もいる。精神障害の由縁の大部分は、母親との関係性に由来する。これを、母という病と名付けた。
どういう形であれ、傷つ -
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ネタバレ「境界性パーソナリティー障害」と聞くとなんのことかよくわからないけれど、「激しい性格」「躁鬱がはげしい性格」…など、「性格」と捉えられていたものが、性格ではなく適切な治療を受ける必要がある「病気」として捉えたもの。
「最大の特徴ある症状としては、変動が激しいということ。気分、対人関係、自己のアイデンティティの面でも、短い間に揺れ動き、別人のように状態や方向性がかわってしまう。しまも、まったく正反対の方向に、両極端に揺れ動くのが特徴である。」
思春期、二十代前半など特に恋愛期において発症するケースが多い。
今は低年齢化も進み、その方が症状が深刻。
身近にそういう人がいたら、症状を理解したり、 -
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アスペルガー症候群の方との付き合い方を以下に記します。
1)ルールや約束事を明確にすること
(日課をパターン化して視覚化する、ルールはできるだけ具体的にする)
2)本人の特性に合った役割を与えること
(得意分野の一つから広げてゆく)
3)聴覚や嗅覚などの感覚が過敏なので、その点を配慮すること
時間管理など本人の弱い部分を上手にフォローしてあげること
(お気に入りのことは、苦手な活動の後でする)
4)安心感と自己肯定感を与えるようにすること
(否定的な言葉をつかわず、できるだけ肯定的な言葉を使う)
5)「普通」を押しつけることなく、良いところ探しをすること
(良いことはまめに褒めて強化 -
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異常心理というと、特別おかしな人が持つものだと思うかもしれない。しかし、本書では、異常心理は普通の人にもあり、それは特段おかしなことではないことを教えてくれる。
筆者によれば、異常心理は精神障害の上に成り立っているのではない。正常と異常の境目は程度や頻度の差でしかないという。むしろ正常と異常は連続しており、異常心理を知ることで正常に生きるヒントとすることが本書の目的である。
では、異常心理とはなんだろうか?本書では、多彩な例を使ってそれを解説している。完璧主義、快感、敵を作り出すメカニズム、人間の二面性、罪悪感、自己否定、異常心理はいろんなところに顔を出す。ここまで述べたものは自分の中に無 -
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・瞬間の快楽あるいは強迫観念に囚われ行動自体が目的と化す「自己目的化」
・相手を攻撃し支配することで自分の優位と正統性を証明しようとする「自己絶対視」
・自己の理想像を対象に投影して陶酔する「自己対象」。…
欲求とは私たちが生きる上での原動力であるとともに、行動を支配する主でもあるのだと思わずにいられない。
幼少期は母の愛を、長じては他者からの認証を求め、不幸にもその望みが果たされなかったとき、精神は容易く均衡を崩し、欲求は暴走を始める。
例にとられた哲学者、文学者ら著名人のエピソードは非常に興味深い。
ただ、彼らの思想や嗜好、衝動の由来に関して著者の恣意的な解釈が感じられ腑に落ちないところ -
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ネタバレ著者は精神科医。「脳内汚染」でゲーム脳について議論を提起した一人。ただ、この人は京都医療少年院で長く勤務されていた方であり、そういう意味で、現在の「発達障害ブーム」に自戒を込めた警鐘を鳴らすような最近の著作はごく自然なことなのかもしれない。
臨床現場で痛切に感じるのが、就学後の「療育的教育」の乏しさ。
画一化された普通教育のトレーニングを受けてきた教師達にとって、「特別支援教育」とは指針の立たない手探りでしかない。しかも、生徒の能力も、苦手な領域もマチマチである。発達障害教育は、既に塾や予備校にその主たる座を移しているのかもしれない。
さらに、教師の要請で、病院に「診断」を貰いに来るよう