小路幸也のレビュー一覧
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なんて綺麗なタイトル、って思って購入。
買って正解でした。
読み始めて一気にその世界に引き込まれます。
小路さんの文は、特に地の文の語り口が流れるようで心地よいです。
読みやすい。それでいてリアルです。
さも自分の目の前で物語が繰り広げられているかのように伝わってくる。
最後の最後に、たぶん小路さんが暗示したかったであろう、ものすごい比喩が感じ取れて、いろんな人に読んでもらいたいと思いました。
ただのミステリーじゃないので。
でもまだ作品を消化しきれてないので、もう一回読もうかなと。読めば読むほど味が出てきそう。
東京バンドワゴンとは毛色が違って、でも小路さんの -
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名優と世間に呼ばれた老優が人生の最後に選んだ作品はかって家族であった。
役者たちとのドキュメンタリーでもフィクションでもない不思議な家族の物語。古い日本家屋を舞台に淡々と繰り広げられるドラマはまるでモノクロームの古い日本映画を見てるような気分でした。
演技なのか素なのか?それぞれの登場人物がもつ静かな爆弾が物語により深みを与えてくれています。
小路さんならではなあったかな目線が優しい感動をくれる。
笠松市朗のキャラクターがなぜか「バンドワゴン」の我南人とだぶってみえました。装丁も素敵でしたが偶数シーンの英語タイトルは「What a wonderful world」をはじめ「I'm s -
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ネタバレ音楽に携わる様々な人たちを描いた8つの音楽短編集。泣きのギタリスト、唄えなくなったヴォーカリスト、踊りながら歌う盲目のピアニスト、自分の存在感について悩むドラマー、ステージ上で駆け落ちしたトランペット吹き・・・などなど。お洒落でどこか懐かしく、そしてどの話の中にもはっとさせられる、まるで音楽が聴こえてきそうな美しい一文があります。
短編の中でも、「ピアノを弾かせてくれないかな…。」とフラリと子犬のようにバーにやってきた天才ピアニストのお話「その夜に歌う」はお奨めです。解説者のあとがきによると、タイトルが「うたうひと」と平仮名なのは歌を唄う人のことだけではなく、楽器を演奏する人も「うたうひと」だ -
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「東京バンドワゴン」シリーズの小路幸也さんが
幻冬舎文庫へ書き下ろし。
ニューヨークに事務所を構える、元警察官の私立探偵ザンティピーが、
日本人に嫁いで、温泉旅館の若女将となった妹のサンディより
「会いに来て欲しい」との電話があり、
向かった先は北海道の小さな観光地。
10年ぶりに再会した妹に、挨拶もそこそこに差し出されたのは、
人の指の骨だった。
それは誰の骨なのか。
わが国の国民的英雄といっても過言ではない
「柴又のあの人」の映画を観て習得した、
微妙な日本語を駆使しつつ探偵ザンティピーは、
かつてこの島で起こった、殺人事件を調査する。
小路さんの「東京バンドワゴン」以外の作品を読む -
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小学生と中年の日を交互に繰り返すというのは珍しいと思いますが、設定はタイムスリップSFそのものです。当然ながらタイムパラドックスも出て来ますし。でも小路さんですから、そうしたSF的設定が本題ではないわけです。
小路さんらしく、子供時代のノスタルジックなところは上手いですね。私と年齢的にドンピシャですから、当時の雰囲気がひたすら懐かしく思います。
ストーリーは過去の大事件の謎や現代の不正問題を絡めながら、次々にテンポよく進んでいきます。このあたりのワクワク感はなかなかです。登場人物も一人一人良く出来ていて、その関わりも読み応えがあります。
SFとして読めば、エンディングはいささか不満が残りますが -
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時々お世話になっている日本画家「喜田小夜子」さんが表紙の絵とか描いていたので目に留まって読んでみました。
いわゆる「3姉妹もの」です。それぞれが問題を抱え・・・とそれほど暗い話ではありません。3人で仲良く暮らしていたところに「叔父」を名乗る人物が現れて・・そこから3人の出生の秘密をめぐる騒動が。
全体的にそれほどは深刻な雰囲気にならずに「女の子が悩みながらも奮闘する」という楽しい小説・・・な印象を受けました。文章も非常に読みやすくおすすめ。
いかにもドラマ化とかしそうに思いました。
ただラストというかエピローグの「実は○と○が関係があって・・・」な話はそれまでの明るいノリから違和感を覚え -
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「解す者」シリーズの2作目。
もっとも前作の『空を見上げる古い歌を口ずさむ』もちゃんと読んでいるのに、最後の方に来るまで繋がりに気付きませんでした。むしろ、小路さんは「東京バンドワゴン」のイメージが強くて、今度はなんか違うなぁと思いながら読んでいました。
恩田さんの「常野物語」に通じるところのある、ちょっと不思議な物語です。隠れ住むひ弱なエスパー(もう死語ですかね)の物語。この手の話、結構好きなんです。
さらに小路さんらしく、架空の町の設定であっても、どこかノスタルジックで優しい。もう少し、解説があっても良い結末だと思いますが、当面こういう中途半端を楽しみましょう。 -
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早坂三姉妹のそれぞれを主人公(語り手)にした、
家族の優しい物語にちょっとしたミステリ要素。
そんな小路さんのお得意パターンですね。
ずっとその存在を知らされていなかった伯父さんが
ある日突然三人の前に現れたことで彼女たちの物語が
大きく展開し始める・・・
語り手がころころ変わると物語がぷつりぷつりと切れて
統一感がなくなりやすいものだけど、この話は別。
逆に別々に語らせることによるメリットが最大限に。
それぞれの彼氏、みんなイイ奴だな~
特に淳史。こいつみたいにかっこよくあれたら、って思った。
家族という意味では、東京バンドワゴンと同じですが、
ちょっと趣が異なっていて甲乙つけがたい